俺がカードゲームで無双できる都合のいい世界 〜カードゲームアニメの世界に転移したけど、前の世界のカード持ち込めたので好き放題します〜   作:鴨山兄助

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第七十二話:真波の王と輝士①

 モニターの向こうで、藍と真波が言葉を交わしている。

 

『やっとファイトする気になってくれたんだね』

『勘違いしないで。ボクはしつこい貴女を黙らせたいだけ』

『最後に黙るのはどっちなのか、早くファイトで決めようよ!』

『はぁ……暑苦しい新人』

 

 どうやら真波は藍を力で黙らせたいらしい。

 コンピューターが先攻後攻を決める。

 モニターに表示された先攻は真波だ。

 

『ボクのターン。スタートフェイズ』

 

 六帝のファイトという事もあってか、食堂のモニター前にはどんどん人が増えてきた。

 まぁ俺もその観衆の一人なわけだけど。

 

『メインフェイズ。ボクは〈ビッグディフェンドナイト〉を召喚する』

 

 真波の場に召喚されたのは巨大な盾を構えた騎士。

 いや、輝士(きし)と表現した方が正しいかもしれない。

 

〈ビッグディフェンドナイト〉P8000 ヒット2

 

 まずは真波が防御を固めてきたか。

 アニメ通り、堅実なファイトをする奴だ。

 

『ターンエンド。貴女の番だよ』

 

 真波:ライフ10 手札4枚

 場:〈ビッグディフェンドナイト〉

 

 まずは静かな始まりなんだけど、このファイトの後攻は藍だ。

 アイツは開幕から攻撃を仕掛けてくるぞ。

 

『壁モンスターが1体だけ。簡単に突破してあげる! アタシのターン!』

 

 藍のターンが始まる。

 

『スタートフェイズ。ドローフェイズ!』

 

 藍:手札5枚→6枚

 

『メインフェイズ! まずはこの子! アタシはライフを1点払って〈ブイモンキー〉を召喚!」

 

 藍の場に、炎を纏った巨大な猿が召喚される。

 あれは入試ファイトでも使っていたモンスターだな。

 

 藍:ライフ10→9

〈ブイモンキー〉P5000 ヒット3

 

『次はこの子だ! ライフを1点払って、来て! 〈ブイゴールドベアー〉』

 

 続けて召喚されたのは、金色の大熊。斧も装備している。

 アレは多分初登場だな。結構優秀なモンスターだぞ。

 

 藍:ライフ9→8

〈ブイゴールドベアー〉P7000 ヒット2

 

 パワー5000と7000のモンスター。しかも両方効果持ち。

 ブイモンキーは魔法効果で選ばれず、ブイゴールドベアーは追加ダメージ効果と除去を持っている。

 一見優秀な盤面に見えるけど、問題がある。

 

『そのモンスター達だとボクの〈ビッグディフェンドナイト〉は破壊できないよ』

『慌てないで竜帝さん。サモンには魔法カードがあるから楽しいの!』

 

 そう言うと藍は、1枚のカードを仮想モニターに投げ込んだ。

 

『魔法カード〈ブイファイアー!〉を発動!』

『除去カードか』

『このカードは、自分の場に系統:〈勝利〉を持つモンスターが存在するなら、ヒット2以下の相手モンスターを1体選んで破壊する! これで〈ビッグディフェンドナイト〉を破壊!』

 

 藍の魔法から放たれた火球が、ビッグディフェンドナイトを焼き尽くす。

 消し炭になり破壊されたビッグディフェンドナイト。

 だが藍の魔法効果はまだ続く。

 

『〈ブイファイアー!〉の追加効果! 破壊したモンスターのヒット数分のダメージを、自分か相手に与える』

『まずはボクのライフを削る作戦か』

『いいや違う。ダメージを受けるのはアタシ! 来て!』

 

 藍の声に合わせて、もう一つの火球が藍に襲い掛かる。

 

 藍:ライフ8→6

 

 突然の自爆ダメージ。食堂のギャラリーはもちろんの事、対戦している真波も驚いていた。

 

「藍ちゃん、なんで自分にダメージを?」

 

 おっと、いつの間にかソラが隣にいた。

 そう言えばプールでは食ってばかりだったな、解説しなくては。

 

「【Vギア】を発動させるためだ」

「【Vギア】って、藍ちゃんのデッキが持ってる専用能力ですよね?」

「そうだ。【Vギア】は自分のライフが5以下でないと発動しない。逆に言えば、ライフが6以上あると藍のデッキは本領を発揮できないんだ」

「つまり自爆ダメージも、能力の発動を早めるためなんですね」

「ソラ大正解」

 

 納得してくれたようで安心した。

 ちなみに藍に自爆ダメージテクニックを教えたのは、俺だったりする。

 主人公よ、強くなってくれ。

 

『アタックフェイズ! 〈ブイゴールドベアー〉で攻撃!』

 

 斧を構えて、真波に突撃するブイゴールドベアー。

 あのカードは相手モンスターを破壊する、または相手にダメージを与えると、自分か相手に1点のダメージを与える。

 藍はこの能力を使って【Vギア】を達成するつもりだ。

 

『いっけぇー!』

 

 ブイゴールドベアーが斧を振り下ろす。

 しかし……

 

『魔法カード〈ダイレクトウォール〉を発動。アタックフェイズを強制終了させる』

 

 真波の前にバリアが展開され、ブイゴールドベアーの攻撃が無効化される。

 それだけではない、藍のアタックフェイズも強制終了させられてしまった。

 というか忘れてたわ。

 そもそも俺が〈ダイレクトウォール〉を知ったきっかけって、アニメで真波が使ってたからだ。

 

『うぅ……ターンエンド』

 

 藍:ライフ6 手札3枚

 場:〈ブイモンキー〉〈ブイゴールドベアー〉

 

 うーん、ちと不味いな。

 このターン藍は真波にダメージを与えられず、自爆ダメージを受けただけだ。

 これは危ないぞ。というか真波のライフは10点満タンだ。

 

『ボクのターン。スタートフェイズ。ドローフェイズ』

 

 落ち着いた雰囲気で、真波がターンを開始する。

 

 真波:手札3枚→4枚

 

 ドローしたカードを確認しても、真波は顔色一つ変えていないな。

 クールなもんだ。

 

『メインフェイズ……このターンで終わらせるね』

 

 最終ターン宣言。

 それが出た瞬間、食堂のギャラリーも騒めきだした。

 当然ながら、藍も驚いている。

 だが同時に、藍はこの状況さえ楽しんでいる様子であった。

 

『コストとしてライフを1点払い〈フレイムナイト〉を召喚』

 

 真波の場に炎の剣を手にした騎士が召喚される。

 あれまたレアなカードを使うもんだ。

 

 真波:ライフ10→9

〈フレイムナイト〉P7000 ヒット3

 

 ステータスは高めのレアカード。

 多分この世界の一般人なら、あれだけでエースカードになるだろう。

 だけどフレイムナイトの効果はまだ発揮できない。今はただのバニラだ。

 そんなバニラ同然の状態で、仮にも【竜帝(りゅうてい)】を名乗るファイターが立てるとは思えない。

 となれば恐らく……持っているな?

 

 真波は手札から1枚のカードを仮想モニターに投げ込んだ。

 真波の場に白銀の魔法陣が展開される。

 

『王の名の下、白銀(しろがね)の風を起こせ。ボクの半身! 〈【王子竜(おうじりゅう)】シルドラ〉召喚!』

『ハァァァ!』

 

 魔法陣の中から、1体の小さなドラゴンが召喚される。

 その身体は銀色。気品あふれる輝きすら感じられる。

 

〈【王子竜】シルドラ〉P6000 ヒット2

 

 九頭竜(くずりゅう)真波の相棒、シルドラが現れた。

 あのカードが場に出れば、真波のデッキは真の力を発揮する。

 

『系統:〈王竜(おうりゅう)〉を持つモンスター〈シルドラ〉が場に出た事で、〈フレイムナイト〉の【ロードストライク】を発動!』

『【ロードストライク】?』

『【ロードストライク】は系統:〈輝士(きし)〉だけが持つ専用能力。系統:〈王竜〉のモンスターがいれば、追加能力を発揮する』

 

 これが九頭竜真波の【王竜/輝士】デッキ。

 上手く回れば強力なデッキだ。

 

『〈フレイムナイト〉の【ロードストライク】によって、ボクの場のモンスターは全てパワー+3000となる』

 

〈フレイムナイト〉P7000→P10000

〈【王子竜】シルドラ〉P6000→P9000

 

 一気に強化された真波のモンスター。

 特にシルドラの強化が怖いな。

 

『魔法カード〈キングダムドロー〉を発動』

 

 で、出たー! クソインチキスペック魔法カード!

 前の世界でも普通にガチカードですよ!

 周りのギャラリーは理解してなさそうだけど。

 

『このカードは、自分のデッキを上から3枚オープンする。その中に系統:〈王竜〉または〈輝士〉を持つカードがあれば、全て手札に加える』

 

 このあたりで理解できた奴は、あのカードのヤバさを理解していた。

 

「あの、ツルギくん……あのカードって」

「ご想像通り、強いカードだ」

 

 だって専用デッキに入れたらノーコスト3ドローですよ!?

 弱いわけがないでしょ!

 このインチキ効果!

 

 ちなみにオープンされたカードは次の通り。

〈キングダムウォール!〉〈ディスペルスラッシュ!〉〈キングダムセイバー〉

 うん知ってた。

 流石はアニメキャラ、全部系統:〈王竜〉か〈輝士〉のカードじゃん。

 

『3枚のカードを手札に加える』

『ねぇ、そのドロー強すぎない?』

『そんな事を言われても困る』

 

 文句を言う藍。だけどな藍、お前にそれを言う資格は無い。

 いや、問題はそこじゃない。

 さっき真波が手札に加えたカードの中には……アレがあった。

 

『コストとしてデッキを上から5枚除外する』

 

 真波の場に銀色の魔法陣が出現する。

 このコストは……来るぞ!

 

『アームドカード〈キングダムセイバー〉を顕現!』

 

 魔法陣を突き破り、真波の場に一振りの剣が出現した。

 アームドカードという最新のカード。その登場に、ギャラリーは一気に沸き上がった。

 もちろん、対戦している藍も同様だ。

 

『ふわぁぁぁ! アームドカードだー!』

 

 子供のようにはしゃぐ藍を、真波はクールにスルーする。

 

『〈キングダムセイバー〉を〈【王子竜】シルドラ〉に武装(アームド)!』

 

 キングダムセイバーは強い輝きを放った後、シルドラが手に持てるサイズへと変貌した。

 それをシルドラが手に持ち、武装する。

 

『〈バレルナイト〉を召喚』

 

 武装によって空いたモンスターゾーンに、二丁拳銃を手にした騎士が召喚された。

 

〈バレルナイト〉P3000 ヒット1

 

 これで場にモンスターは揃った。攻撃が始まるぞ。

 

『アタックフェイズ。〈キングダムセイバー〉の武装時効果によって〈シルドラ〉は【指定アタック】を得ている。ボクは〈ブイゴールドベアー〉に指定アタック!」

 

 白銀の剣を構えて、シルドラはブイゴールドベアーに攻撃を仕掛ける。

 パワーは9000で勝っている。シルドラによってブイゴールドベアーが破壊される……だけでは終わらない。

 

『〈シルドラ〉の攻撃時効果【王波(おうは)】を発動』

『おうは?』

『〈シルドラ〉の【王波】によって、〈シルドラ〉よりもパワーの低いモンスター〈ブイモンキー〉を破壊する!』

 

 シルドラは口から衝撃波をブイモンキーに撃ち込む。

 衝撃波を受けたブイモンキーは一瞬にして爆散してしまった。

 あれが系統:〈王竜〉が持つ専用能力【王波】。

 何が厄介って、【王波】による破壊はあらゆる耐性を貫通してくるんだよ。防御不可の一撃なんだ。

 

 ブイモンキーを破壊したシルドラは、そのままキングダムセイバーでブイゴールドベアーを切り裂く。

 ゴールドベアーも爆散してしまった。

 

『〈ブイモンキー〉! 〈ブイゴールドベアー〉!』

『これだけで終わらない。この瞬間〈バレルナイト〉の【ロードストライク】を発動! 相手モンスターが破壊される度に、相手に2点のダメージを与える』

 

 破壊されたモンスターは2体。

 バレルナイトは二丁の拳銃の銃口を藍に向けて、発砲した。

 

『きゃ!』

 

 藍:ライフ6→4→2

 

 大ダメージを受ける藍。

 不味いな、残りライフ2点。ブロッカーもいない。

 フレイムナイトの攻撃を受けたら負けるぞ。

 

『これで終わり。〈フレイムナイト〉で攻撃』

 

 炎の剣を手にして、フレイムナイトが藍に襲いかかる。

 ギャラリーは完全に藍の敗北を確信して、食堂のモニター前から去ろうとしていた。

 だが俺は知っているぞ。藍はここで終わるタイプじゃない事をな!

 

『魔法カード〈ビクトリーウォール!〉を発動!』

『なに!?』

『自分のライフが5以下なら、相手のアタックフェイズを強制終了させる!』

 

 炎の壁に攻撃を阻まれたフレイムナイト。

 そのまま真波のアタックフェイズは強制終了させられてしまった。

 真波の最終ターン宣言を回避した藍。

 その予想外な展開に、再び食堂ではモニター前に人が集まり始めた。

 

『どーだ! 最終ターン宣言破れたりー!』

『……なるほど。ちょっとは面白そうなファイターなんだね』

『絶対勝つんだから!』

『それはない』

 

 ばっさり切り捨てられた藍は、その場でずっこけた。

 

『エンドフェイズ。このターンにボクはモンスターを2体破壊した。よって〈シルドラ〉は自身の効果で回復』

 

 シルドラは相手モンスターを2体倒したターンであれば、好きなタイミングで1度だけ回復できる。

 これでブロッカーもできたというわけだ。

 

『ターンエンド』

 

 真波:ライフ9 手札2枚

 場:〈フレイムナイト〉〈バレルナイト〉〈【王子竜】シルドラ(キングダムセイバー武装状態)〉

 

 ターンを終える真波。

 すると真波は藍を静かに見据えた。

 

『貴女、名前なんだっけ?』

『覚えてないの!? まぁいいや。アタシは藍! 武井藍!』

『藍、覚えた。だけどボクがファイトに勝つという結果は変わらない』

『それはアタシのターンを耐えきってから言ってよね!』

 

 既にライフは5以下。藍の本領も発揮できる状態だ。

 

『テンション爆上げ! ブイブイいってきたー!』

 

 気合を入れて、藍はターンを開始した。

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