かつて選ばれし者と呼ばれた騎士   作:みどり色

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皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

なんか子供の姿をよく見るな~と思っていたのですが、世は夏休みなのですね。
暑さや事故などに気を付けて、たくさん遊んで欲しいです。

話は変わりますが、皆さんライトセーバーは何色が好きですか?
みどり色は青が好きです。
・・・え?
そこは緑じゃないのかって?
関係ないでしょ!!(逆ギレ)

小さい頃にその持ち主の性格?特性?で色が決まるみたいな話を聞いたことがあって、それを信じていた時期もありました。
劇中でも何度もありますが、同じ人でも持つライトセーバーによって色は変わるので、そんな筈はないんですけどね(笑)
でもそういう設定があったら、自分の色も知れるし、より『自分のライトセーバー』って気がして良いですよね。



第10話 暗躍

戦況が共和国に傾き始めている現在、元老院議会は最高議長の権限をさらに強める動議を提出していた。

議論を行わず、最高議長の一声で即行動に移れるようになれば戦争の終結を早める事が出来るというのが理由だった。

 

しかし、これは一部の議員にとっては思わしくない事だった。

そもそもパルパティーンは任期が終了してなお議長の座に留まり続け、非常時大権を手放さない所かその権限をさらに強めている。

 

この独裁とも取れる状況に、『民主主義とは何なのか?』と頭を悩ませる者は少なくなかったが、全体から見れば少数派だった。

それ程までにパルパティーンの力は強大になっていた。

 

ジェダイ評議会も最高議長の権限がさらに増大する事態は避けたかったが、彼らにそれを止める力は無かった。

理由はどうあれ、それが大多数の議員の求めるところだったからだ。

共和国に、民主主義に忠誠を誓ったジェダイにそれを覆すことは出来なかった。

 

 

 

<元老院オフィス・ビル 元老院議長執務室>

 

パルパティーン最高議長はジェダイ評議会を通さずに、アナキンを自らの下へ呼び出した。

その理由を明かさない議長に対して、ジェダイ評議会は議長への疑惑を増大させる。

考えたくない事だが、彼らはパルパティーンがシスの暗黒卿の手先、操り人形だと考えるようになっていた。

そんな者からの私的な呼び出しに、不安が募ることも仕方のない事だった。

 

「よく来たアナキン」

 

笑みを浮かべながらアナキンを招き入れるパルパティーン。

そして暫く思い悩むように執務室を歩き回る。

アナキンも彼に追従し、彼が自分を呼び出した理由を話し始めるまで口を閉じていた。

 

ジェダイ騎士を私的に呼び出したという事は、単なる世間話ではないだろうとアナキンは予想していた。

 

「アナキン、君は私を信頼しているか?」

 

パルパティーンは唐突に話し始める。

 

「勿論です」

 

「本当だな?」

 

アナキンは即答するが、彼はさらに念押ししてきた。

彼の真意が分からなかった。

 

「誓って。 僕は貴方を尊敬しています。 貴方はいつも気遣って下さった」

 

彼の真剣な眼差しに、アナキンは思っている事を口にした。

その後に『ジェダイとは違って』という言葉を付け加えそうになったが、寸の所で思い止まる。

一瞬、ヴェリウスの顔が頭に浮かんだのだ。

その浮かび上がった彼を心の奥底に押し込もうとする。

しかしヴェリウスは、『アナキン』と自分の名を呼び、笑顔で頭を撫でで来る。

アナキンは頭を左右に振り、彼のイメージを振り払う。

 

「どうしたのだ?」

 

その様子を見たパルパティーンは訝しげな表情を浮かべる。

その呼びかけに、彼は『何でもありません』と答える。

 

その返答に一瞬面白くないような顔を浮かべるが、それをアナキンに悟られないように、いつもの如何にも善人そうな表情に戻る。

 

「それはそうと、君はマスター・ヴェリウスと親しいようだな? 確かナブーでの一件(EP1)以来の付き合いだったな」

 

「・・・ええ」

 

「彼は素晴らしいジェダイだ。 他者を寄せ付けない強大なフォースにライトセーバーの技術、強いカリスマ性も備えている」

 

パルパティーンはその後も、ヴェリウスを素晴らしいと褒めたたえ続ける。

その言葉を聞きながら、アナキンの自尊心は傷つけられ嫉妬心にまみれた表情に変わっていく。

それを横目で見ながら続けるパルパティーンの顔には、不気味な笑みが浮かんでいく。

 

「—————それに最近では・・・そう、あのアミダラ議員と親密な仲だと聞く」

 

その言葉にアナキンはビクッと反応する。

まるで二人の状況を見ていたかのような話しが続き、アナキンの心には傷が付き、締め上げられていく。

 

「君がカミーノやジオノーシスで大変な思いをしている時に、二人は何をしていたのかな?」

 

アナキンは二人が男女の関係になったイメージを浮かべてしまう。

あの穏やかな惑星で、誰にも邪魔されず、愛を育んでいるイメージを。

 

母を失い、その傷が癒えない状況で寄り添ってくれる人や場所が無いアナキンにとって、パルパティーンの言葉は耐えられるものではなかった。

それもつい先ほど、ヴェリウスとの決闘で敗れたばかりだ。

そんな彼と比べられ、想い人も奪われ、自分に何が残っているというのだろうか?

 

「君はどう思うかね、アナキン?」

 

「・・・・・」

 

アナキンは何も答えられなかった。

どう思うか?

分からない。

そんなこと、分かるはずがなかった。

兄と慕い、敬っていた筈の相手に対して、今では負の感情しか沸いてこない。

そんな相手をどう思うかと聞かれても、アナキンには答えられなかった。

 

「疲れた顔をしているな、アナキン」

 

パルパティーンはアナキンの事を観察しながらそう口にする。

身体的には先ほどの決闘で体力は低下しているが、それが理由ではない。

厳しい訓練と実戦を通して鍛え上げられた身体は、そう簡単に音を上げる事はない。

それよりも、彼にとっては精神的な苦痛、疲弊が何よりも堪えているのだ。

 

「—————彼を超えたいか?」

 

パルパティーンは不気味な笑みを浮かべながら、アナキンに囁く。

だがそんな表情を向けてくる事にアナキンは気が付いていない。

ただ“その言葉”に意識が向いている。

 

「ヴェリウスを超え、最強の存在になりたいか?」

 

何と言った?

ヴェリウスを・・・超える?

 

「そして全てを我が物にしたいか?」

 

全てを手に入れる?

パドメを? 最強の力を?

そうすれば、僕にも居場所ができる?

 

「・・・どうすれば良いのでしょうか?」

 

 

 

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時は少し遡り—————

 

ナブーでパドメとの婚姻を終え、コルサントに帰還したヴェリウスにはやる事があった。

 

<ジェダイ聖堂 ヴェリウスの自室>

 

「え? カイバー・クリスタルを?」

 

「うん、そうなんだ」

 

弟子のティアは目を丸く見開き、驚いた表情を浮かべている。

私が新しいクリスタルを手に入れる必要があると語ったからだ。

 

「マスター程のお方が、ライトセーバーをどうされたのですが?」

 

「えーと、色々あったんだ。 だから出来るだけ早く新しいクリスタルを手に入れないと」

 

まさか結婚の際に妻に贈ったとは口が裂けても言えない。

ただでさえ、ティアは変に勘が良い。

少しでもボロを出せば、どうなるか分かったものではないからね。

 

 

 

[サイド:ティア]

数日、どこかへと姿を消していたマスター・ヴェリウスがコルサントに戻って来たと知らせを受けた。

マスターは評議会から単独の任務を命じられることもある為、別行動を余儀なくされることも少なくないけど、本音を言えば・・・やはり寂しい。

帰還の知らせを受けて、こうしてマスターの自室まで飛んできてしまったという訳だ。

 

弟子の突然の来訪にも、マスターは嫌な顔一つせずに歓迎してくれた。

寧ろ笑顔で迎えられたことで、私の寂しかった気持ちはどこかへと吹き飛んでしまった。

彼の笑顔を見る為なら、ランコアの巣に単身放り込まれてもお釣りが来るほどの価値がある。

 

私は気持ちを落ち着かせるために、マスターの部屋に視線を移す。

綺麗に整頓しているとも取れる部屋だけど、どちらかと言うと単純に物が少ないとも言える。

物質への執着を禁じているジェダイらしい部屋だ。

 

でも私は知っている。

棚の中や、ベッドの下に様々な地域の特産品や思い出の品を忍ばせていることを。

彼は歴史的建造物や、当時の貴重な品などに強い興味を示していた。

それらを密かに収集しては、この部屋に持ち帰っているのだ。

その事を私が知ってしまった時、彼は『これは二人の秘密だよ?』と口にした。

私がマスターの秘密を他の人に言う訳ないのに。

“二人だけ”と言う言葉に私は気分を良くしたのを今でも覚えている。

 

 

それにしても、マスターがライトセーバーを失うとは一体どれほどの困難があったというの?

彼は『色々あった』としか語らないけど・・・

でもとにかく怪我などは無いようで安心した。

 

「では惑星イラムへ?」

 

「うーん、未知領域にあるイラムに行くのには時間が掛かるよね・・・それに」

 

『恐らく相当時間が掛かるはず』とマスターは語る。

それはコルサントからイラムまでの物理的な距離の話だけではない。

マスターに共鳴するカイバー・クリスタルを見つけ出すのにかなりの時間を要するのだ。

 

かつてイニシエイト時代のギャザリングで、マスターは他の挑戦者に比べてカイバー・クリスタルを見つけ出すのに遥かに時間が掛かったと聞いたことがある。

それはマスターの実力不足などでは決してない、決して。

 

一般的なフォース感応者とは一線を画す強さを誇るマスターの力に、共鳴するクリスタルが少ないのかもしれない。

本人も『あの時の大変さは他にないかも』と語る程だった。

 

挑戦者たちがクリスタルを選ぶのではない。

クリスタルが持ち主を選ぶのだ。

 

一方的な気持ちでは自分に共鳴するカイバー・クリスタルを見つけ出せないという事よね?

 

それにしても・・・

イニシエイト時代のマスターかぁ・・・見たい。

絶対に可愛い。

ぎゅって抱きしめたい。

抱きしめながら一緒に寝たい。

それから—————

 

 

 

[サイド:ヴェリウス]

ティアは先程から口を閉ざしてしまった。

そして時々微笑みを浮かべたり、ハッとした表情になったと思ったら、何かを考えるような仕草を見せたりもしている。

色々な表情を見せてくれる彼女を見ていると飽きない。

弟子と言うよりも、どちらかと言うと妹のような存在だ。

幸いなことに、彼女も私を慕ってくれている。

 

彼女が妹という事は、アナキンはティアのお兄さんになるのか。

アナキンがお兄さんしている所を、私とパドメ、オビ=ワンと微笑みながら見ているのも楽しそうだ。

 

・・・"彼"が居たら何と言うだろうか?

私が弟子を取ったことを喜んでくれるだろうか?

もしジェダイのままだったら、私に助言を与えて下さるだろうか?

 

私の中で彼はシスの暗黒卿ではなく、優しく微笑んでくれるマスターだった。

闇に堕ちたことを知っても、憎んだことがあっても一時の感情に過ぎなかった。

思い出される彼は、師だった頃の姿だった。

 

 

私が彼の事を考えていると、部屋の中から不思議な気配を感じるようになった。

それは床下の物置からだった。

密かに作ったこの物置は、特に重要な物をしまい込んである場所だ。

 

 

ヴェリウスは何かに導かれるように立ち上がり、床下から横長の箱を取り出す。

 

「・・・マスター?」

 

急に立ち上がった師に心配そうに声を掛けるティアだったが、ヴェリウスは意に介さずに箱を開ける。

 

そこには特徴的に湾曲する造形をした銀色に輝くヒルトが収められていた。

ヴェリウスのかつての師であり、シスの暗黒卿ダース・ティラナスが用いたカーブド=ヒルト・ライトセーバーだ。

 

シスに転向する前から彼が使用していたもので、ヴェリウスにとっては非常に思い出深い品。

ヴェリウスは先の作戦時にインヴィジブル・ハンドから秘密裏に回収していたのだ。

 

「これは・・・?」

 

「うん、私のマスターが使っていたものだよ」

 

彼はそう言うと、箱からライトセーバーを取り出す。

そして暫しの時間、思い出に耽るように眺めていた。

 

そんな様子の彼を、ティアは邪魔にならないように静かに待ち続けた。

ヴェリウスの師匠だったドゥークーが、シスの暗黒卿だったことは彼女も知っていた。

その遺品を独断で所有するのは許されないことも。

しかし、彼女はそれを咎めるは出来なかった。

自分が仮に、もし同じ立場になったとしたら同じことをすると考えたからだ。

 

 

そしてヴェリウスは、徐にフォースを用いた。

空中に浮遊したセイバーはそれぞれの主要なパーツに分解されていく。

そして最後に、格納されていた赤色に輝くカイバー・クリスタルが出現する。

 

その赤色に輝くクリスタルは、シスの暗黒卿が用いるには純粋過ぎる輝きを放っていた。

カイバー・クリスタルは本質的にフォースのライトサイドと調和する。

暗黒面の力を持つ者には抵抗を示すのだ。

そのクリスタルを強制的に屈服させ、支配するとクリスタルはまるで生き物が血を流すように深紅に変化する。

 

ヴェリウスは、シスの用いる深紅のカイバー・クリスタルはもっと深い闇を感じさせる物だと思っていた。

しかし実際に目にするとどうだろう?

このクリスタルは、その本来の輝きを未だ己の奥深くに秘めている。

 

 

ヴェリウスはこの深紅に輝くクリスタルを引き寄せる。

いや、クリスタル自身がヴェリウスに近づいたと言う方が正しいかもしれない。

傍でそれを見ていたティアは、ヴェリウスとクリスタルが対話をしているように見えていた。

 

 

 

クリスタルは受け入れた。

自身が何者で、役割は何なのかを。

抵抗する気など皆無だった。

ヴェリウスの純粋で強大なフォースに触れ、それを身に浸透させた。

流れ出た血は浄化され、より浄く、無垢で、純潔で、純粋だった。

そして深紅から穢れなき純白に染まったカイバー・クリスタルは、静かにヴェリウスの手に収まった。

 

カイバー・クリスタルの浄化、それをクリスタル自身に選択させたヴェリウスは最早ジェダイとも呼べない存在なのかもしれない。

光でも、闇でもない存在。

ただ“ヴェリウス”という存在がここに在った。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<惑星コルサント ジェダイ最高評議会>

 

「何と言ったスカイウォーカー?」

 

「僕をジェダイ評議会のメンバーにと、マスターの地位を与えるようにと最高議長からのご指示です」

 

パルパティーンからの私的な呼び出しに関する報告をアナキンから受けていた評議会は、思いもしなかったことにそれぞれ顔を見合わせる。

 

予想外の報告にメイス・ウィンドゥはアナキンに聞き返すが、同じ言葉が返ってくるだけだった。

パルパティーンはアナキンのジェダイ評議会入りを求めたのだ。

 

「評議員入りを決めるのは評議会じゃ、分かっていることだとは思うがパルパティーンの口出し出来る問題ではない」

 

「マスターへの昇格に関しても、議長のあずかり知らぬこと」

 

そう話すのはヨーダと、キ=アディ=ムンディだ。

元々、ジェダイ評議会は元老院に対して助言を与える立場にある。

その元老院がジェダイ評議会に対して、あれこれ注文をつけられる訳がないのだ。

監督機関を自らの思い通りに動かせては、その監督機関の存在意義が無くなってしまう。

まさに独裁だ。

 

「分かっております」

 

アナキンはそれだけ口にする。

彼も十分理解しているのだ。

しかし自分の置かれている立場、評価が正当な物でないと考えているアナキンにとってはこの要求は寧ろ受け入れられて当然と言うスタンスだった。

 

「評議会入りを認めよう」

 

ヨーダ、オビ=ワンと視線を合わせたメイス・ウィンドゥが彼の評議会入りを認めた。

他の評議員を見回せば、この決定に賛成していない者が居ることは明白だった。

 

「・・・ありがとうございます」

 

思いのほかあっさりと評議会入りを認められたアナキンは、少し拍子抜けと言った顔をしていた。

だがその時、評議員の誰かが『それならばヴェリウスをメンバーにした方が・・・』と呟いた。

その言葉は決して大きな声ではなかったが、この場に居る全ての者の耳に届いた。

 

「ヴェリウス? 彼は関係ありません! 最高議長は直々に僕を指名した・・・ヴェリウスではなく、この僕を!」

 

アナキンが声を荒げたことに評議員らは良い顔をしなかった。

特にヨーダとメイス・ウィンドゥは顔を見合わせている。

 

「スカイウォーカー、まだ話は終わっていない。 お前の評議会入りは認めるがマスターの称号は与えない。 これは特例措置だ」

 

次の瞬間には、アナキンをさらに突き落とすような発言をするメイス・ウィンドゥ。

その言葉はアナキンの感情をさらに逆なでさせるには十分だった。

 

「・・・何と?」

 

アナキンは評議員らを見渡す。

この決定を支持していることは、彼らの顔を見れば明らかだった。

 

「特例措置・・・? そんな馬鹿な、それは無いでしょう! 評議会のメンバーなのに、“マスター”で無いなんて!!」

 

彼は『こんな不公平なことは無い』と感情を露にする。

しかし評議会の決定は覆らず、すぐに次の議題へと進んでしまう。

元々、公平な評価を受けていないと感じていたアナキンはこの出来事でさらにジェダイへの不信感を募らせてしまうのだった。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<ジェダイ聖堂内>

 

一連の会議を終えたオビ=ワンとアナキンは、夕日が差し込む聖堂内を二人で歩いていた。

アナキンは評議会の決定に納得しておらず、その不満をオビ=ワンにぶつけていた。

 

「絶対におかしいですよ、評議員なのにマスターで無いなんて! ジェダイの歴史にないことだ、侮辱です」

 

「落ち着けアナキン、名誉に思うべきだ。 お前の若さで評議員になった者は一人もいない」

 

オビ=ワンは寧ろこの決定を、名誉に捉えるべきだと言う。

彼がマスターに認められないのは、最高議長であるパルパティーンと親し過ぎる事が問題だという。

ジェダイ評議会は、最高議長による必要以上の干渉を快く思っていないのだ。

 

「評議員になりたいと言ったことはありません」

 

「だが結果はそうなっているし、望んでいたことだ」

 

評議会がメンバー入りを認めたのは、アナキンが議長に信頼されているからだと語る。

そして、こんな立場に追い込みたくは無かったとも。

 

「なんの話をしているのです?」

 

「・・・評議会はお前を通して、議長の動向を知りたがっている。 彼を見張って欲しいのだ」

 

「議長をスパイしろと? 背信行為です」

 

「今は戦時中だ」

 

アナキンは、どうして会議の席で直接命じなかったのかと投げかける。

それに対してオビ=ワンは、記録に残せない任務だからだと語る。

公式には命じることも、存在することを認めることすら出来ない任務だと。

 

「議長は悪い人ではありません。 ずっと僕を見守り、気遣って下さっている」

 

「だからこそお前に頼んでいる。 アナキン、我々が忠誠を尽くすのは任期が切れても議会に居座っている議長ではないのだ」

 

「議会が留任を求めたのです」

 

「ああ、だが今のこの状況下では不適切だ」

 

アナキンはその言葉を聞き、何かを考えるように外へ目を向ける。

そして振り返った彼の顔には、明らかな反発心が浮かんでいた。

 

「貴方の頼みはジェダイの掟に反しています。 共和国の法にも、友情にも・・・それこそ不適切なのではないのですか?」

 

貴方らしくもない、と付け加える。

納得できないと語るアナキンの心情をオビ=ワンはよく理解できた。

何故ならこんなことは望んでいないからだった。

 

「・・・評議会の意向なのだ」

 

その言葉を聞いて、アナキンは信じられないという表情を浮かべる。

まさかジェダイ評議会の命令だとは思わなかったからだ。

オーダーの最高意思決定機関であるジェダイ最高評議会が、公的で無いとはいえ最高議長のスパイを命じるという事は只事では無かった。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<アミダラ議員のペントハウス>

 

「ヴェリウス! お帰りなさい」

 

パドメは夫であるヴェリウスの帰りを喜んでいた。

その表情は、笑顔はナブーの湖畔(EP2)で彼に向けていた頃のものと何も変わっていない。

 

「うん、ただいま」

 

ヴェリウスは抱き着いてくる彼女を大きな身体でしっかりと受け止めた。

しかし、彼の微妙な変化にパドメはすぐに気が付いた。

 

「何かあったのですか?」

 

それに対してヴェリウスは『なんでも無い』と答えるが、それで彼女が納得する訳はなかった。

 

「嘘です。 貴方は隠し事をするとすぐに分かります。 それに私は貴方の妻、そんな私にも言えない事なのですか?」

 

夫に包まれながら彼を見上げて、自信たっぷりにそう口にする彼女の姿に面白くなってしまうヴェリウス。

彼女の姿に溜まらず吹き出してしまう。

 

「ど、どうして笑うのですか?」

 

少し怒ったような、焦ったような表情を浮かべる妻に、ヴェリウスは表現できない愛おしさを覚える。

そして自然と手が伸び、彼女の頭に手を回し、自分の身体に密着させる。

誤魔化されたと感じたパドメだったが、その心地よさにいつの間にか瞳を閉じ、その幸せを全身に感じていた。

 

 

 

「アナキンと・・・喧嘩したんだ」

 

暫くそうしていたが、唐突にヴェリウスが話し出す。

アナキンが自分を探していたと聞き、訓練場で待ち合わせたこと。

その後、突然剣を交える事になったこと。

アナキンが自分に対する不満を口にし、そのまま去っていったこと。

 

「彼を弟のように想い、大切にしてきたつもりだったんだけど・・・」

 

彼には迷惑だったのかもしれない、とヴェリウスは語る。

そんな言葉を口にするヴェリウスは辛く、悲しそうだ。

静かに聞いていた彼女は、徐に口を開く。

 

「アニーは貴方のことを本当に慕っているわ。 後で聞いた話だけど、オビ=ワンではなく貴方の弟子になりたかったと言っていた時もあったそうよ?」

 

「・・・知らなかった」

 

「それに貴方と一緒にいる彼は本当に嬉しそうよ? 嫌がるような素振りを見せていても、それはアニーの照れ隠しだわ」

 

“かつては”そうだったろう。

しかし、先程の彼からは確かに暗黒面の片鱗を感じた。

それは確かな感情を持って、私に対峙したという事を意味する。

 

それをパドメに伝える事は酷だろう。

彼女はアナキンの事を弟のように想っている。

 

だが、過去(EP2)には私自身も暗黒面の力に触れた。

その時の経験があるからこそ、今の私が存在するとも言える。

ジェダイは誰しも暗黒面に魅せられる。

それを如何に乗り越えるかが重要になってくるのだ。

経験を積んだマスターですら、暗黒面に堕ちる事も少なくない。

 

これを乗り越える事が出来れば、アナキンはジェダイとして遥か高みに登れる筈だ。

私は少しでもその手伝いが出来れば良い。

 

「・・・うん、ありがとう。 少し考えすぎていたのかもしれない」

 

「時間が解決してくれるわ、彼には時間が必要なのよ」

 

そう言うと、パドメは再び私に身体を預ける。

私は彼女を抱きしめ、今後のことに想いを巡らすのだった。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<ジェダイ聖堂 最高評議会>

 

『ウータパウにグリーヴァスが居るという根拠は?』

 

「クローン情報部からの報告と、ウータパウから出された外交小包の中に奴に関する情報がありました」

 

アナキンは最高議長からもたらされたグリーヴァス将軍の居場所を、ジェダイ評議会で報告している所だった。

極寒の惑星マイギートーから遠隔で会議に参加しているキ=アディ=ムンディがその情報の確実性を問うが、アナキンの自信ある態度に他の評議員らも無視できない情報だと考えているようだった。

 

『うーむ、すぐに動くべきじゃの。 グリーヴァス将軍を捕えればこの戦争は終わる』

 

そう口にするのは、同じく遠隔で会議に参加しているヨーダだ。

ホログラムで映し出された彼は、早期の戦争終結の為に、すぐに部隊を展開することを提案する。

 

「指揮は僕に執らせるようにと、議長からの要請です」

 

パルパティーンはアナキンにその指揮を執らせたがったが、メイス・ウィンドゥはその要請を受け入れなかった。

 

「誰を送るか決めるのは議長ではなく評議会だ。 それにお前には別の任務を与えてある」

 

メイス・ウィンドゥが言っている任務とは、パルパティーン議長に対する情報収集のことだった。

アナキンは既にその任に就いているため、コルサントを離れる事は許されないと。

 

仮にこの戦争が終わっても、課題は山積みなのだ。

パルパティーンの動向に目を光らせておくことが、ジェダイ評議会にとって戦争終結と並ぶほど重要なことだった。

 

『より経験の積んだ者を行かせるべきじゃの』

 

『同感です。 マスター・ケノービとヴェリウスが適任かと』

 

そう話すのはヨーダとキ=アディ=ムンディだ。

他の評議会の主要なメンバーであるキット・フィストーやエージェン・コーラー、サシー・ティンは別命により、コルサントを離れられなかった。

銀河外縁部の広い範囲まで部隊を展開している共和国軍は、その指揮に当たっているジェダイ騎士を含めて人手不足だった。

しかし、だからと言ってグリーヴァスを逃がすことになってしまっては戦争終結という目的はさらに遠のくことになるだろう。

自由に動かせる人員で確実にグリーヴァスを捕えるためには、この二人の名前が挙がるのは必然だった。

 

投票権のある評議員らが賛成の声を上げていく。

そして満場一致で、この二人を任務に就かせることが決定するのだった。

たった一人、顔を微かに歪ませる人物を除いて。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<ジェダイ聖堂>

 

「ティア、君はオビ=ワンと共にウータパウに向かって」

 

「マスターはどうされるのですか?」

 

「私は少しやる事がある。 大丈夫、後から必ず行くから」

 

ジェダイ評議会からウータパウに潜むと思われるグリーヴァス逮捕の任に就くように命令を受けたヴェリウスは、弟子のティア・アテミスにオビ=ワンの指揮に入るように指示を与えていた。

 

「・・・ですが」

 

「大丈夫、奴を捕えればこの戦争は終わる。 戦いが始まる頃合いには合流しているはずだよ」

 

そう言いながら、ヴェリウスは弟子の頭を撫でる。

しかし、ティアの不安そうな表情は消えなかった。

 

「私、不安です。 何か取り返しのつかない事が起こりそうで・・・・」

 

彼女は言葉では言い表せない不安に囚われていた。

この先、遠くない未来に何か大きな出来事があるような予感がしているのだ。

それは師であるヴェリウスも同じだった。

いや、寧ろヴェリウスの感じ取っている“何か”を、ティアがフォースを通して触れているような状態だった。

 

「ティア、どんな時も不安に囚われてはいけないよ? 常に冷静に、自分のできる事をするんだ」

 

「・・・はい、マスター。 フォースと共にありますように」

 

「うん、君もねティア。 フォースと共に」

 

 

 

<ヴェネター級スター・デストロイヤー発着場>

 

「僕の力が必要です」

 

「ああ、そうだな。 だが空振りに終わる可能性もある。 貧乏くじを引くのは私とヴェリウスだけで十分だ」

 

そう話すのはアナキンとオビ=ワンだ。

ヴェネター級への物資や兵器の積み込みは順調で、直ぐにでもウータパウへ向かう事が出来るだろう。

 

「・・・マスター、謝らせてください。 僕は決して良い弟子ではありませんでした」

 

アナキンは反抗的で、ひたすらに傲慢な自分を許して欲しいとオビ=ワンへ謝罪する。

ジェダイ評議会への不満が募ったことで、彼に当たってしまったと。

 

そして心の中ではヴェリウスにも謝罪の言葉を述べたいと思っていた。

彼もまた、自分の事を想い、気遣ってくれていることを知っているからだ。

しかし、彼に対する“別の想い”を秘めていることもまた真実だった。

アナキンは自分の気持ちの整理がつかず、混乱していた。

 

「お前は強いし、賢い。 自慢の弟子だよ。 少年の頃からお前を鍛え、持てる全てを教えて来た。 今や私以上の、そして望んだ以上の立派なジェダイとなった」

 

師からの言葉に、アナキンは喜びを覚えた。

オビ=ワンが彼を褒めることなど、そうは無いからだ。

 

「今は耐える時なのだ。 評議会にマスターだと認められる日はそう遠くはない」

 

そう言うと、オビ=ワンはアナキンに背を向けてヴェネター級に続く橋に足を掛ける。

 

「オビ=ワン、フォースが共にあるように」

 

「さらばだ友よ、フォースと共にあれ」

 

オビ=ワンはアナキンの方へ振り返り、それだけを口にした。

この別れを皮切りに、銀河の運命が大きく分かれる事になるのだった。

 




はい、お疲れさまでした。
いつもながら細かい表現や誤字などは、後ほど訂正させて頂きます。

少しずつ物語が進んできましたね。
稚拙な文ですが、お付き合い頂いている皆さんには本当に感謝です。
今後の展開もお楽しみに。

それではまた近いうちに・・・・
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