かつて選ばれし者と呼ばれた騎士   作:みどり色

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皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

ドラマ「アソーカ」激アツですね!!
もう第5話興奮しすぎて鼻血出て輸血されました(語彙力)


今回のお話ちょっと長めです。
お時間がある時に読んで頂けると幸いです。



第13話 真実

ヴェリウスがライトセーバーを引き抜くと、支えを失ったグリーヴァスの身体はプラットフォームに力なく倒れこむのだった。

 

ヴェリウスは純白に輝く光剣を格納し、僅かに視線を動かす。

その青い瞳には、こと切れているグリーヴァスが映っている。

 

『彼を倒したからと言って、本当に銀河は平和になるのだろうか?』

 

その瞳は喜びや、安堵と言った感情を宿してはいなかった。

それはこの任務が決まってからずっと抱えている“不安”が消えていないことを示していた。

彼を不安の渦から離さない“何か”は小さくなるどころか、その靄(もや)を大きくしている。

 

「マスター!」

 

そんなヴェリウスの内心を知らないティアは、グリーヴァス討伐を果たした師に駆け寄って行く。

これで戦争が終わる、元来争いを好まないティアはそれが嬉しかった。

忙しくも平穏な日々を、ヴェリウスと二人で宇宙を飛び回る生活を心待ちにしていたのだ。

彼女にとっては待ちに待った瞬間だ。

 

「ティア、オビ=ワンに報告を」

 

彼女の心情とは裏腹に、ヴェリウスは静かにそう言った。

ティアも師との温度差を感じながらも、自分の考えを改め素直に命令に従った。

 

『そうよ、まだ任務は終わっていない。 気を抜いてはいけないわ』

 

それも分からないなんてまだまだ甘いと自分を律し、気を引き締める。

無線機でオビ=ワンを呼び出しながら、ティアは師の方を見る。

その表情は決して明るいものではなく、何かを警戒しているような・・・

任務が終わっていないから警戒を解いていない、という雰囲気には感じられなかった。

いつも余裕を感じさせ、穏やかな雰囲気の彼を何がそこまで追いつめているのか、ティアには分からなかった。

 

 

 

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<惑星コルサント 共和国軍施設内>

 

「マスター・ウィンドゥ、お話があります」

 

「スカイウォーカー、オビ=ワンからグリーヴァスを倒したと知らせがあった。 非常時大権を手放すよう議長に告げに行く」

 

メイス・ウィンドゥは軍の発着場で、同じくジェダイ評議会のメンバーであるエージェン・コーラー、サシー・ティン、そしてキット・フィストーらと共に議長の執務室へと向かう所であった。

惑星ウータパウにいるオビ=ワンからの報告で、グリーヴァス討伐の知らせを受けたからだ。

彼らは元老院から議長に与えられている非常時大権を返すように、その本人へと告げに行く。

彼(議長)の秘めたる思惑を考えれば、少しでも早い行動が求められた。

最高評議会は、『議長はジェダイの破滅を狙っている』と睨んでいるのだ。

 

「返さないでしょう・・・忌まわしい事実です」

 

「?」

 

「パルパティーン最高議長はシスです」

 

アナキンからもたらされた情報に、ウィンドゥは一瞬言葉を失う。

 

「シスの・・・暗黒卿か?」

 

「ええ、探していた相手でした」

 

「確かか?」

 

ウィンドゥは食い気味にその事実を知った経緯を聞く。

対するアナキンは、その事実は議長本人の口からもたらされた情報だと事実を淡々と述べていく。

 

「・・・最も恐れていた事態となった。 急がないと取り返しのつかないことになる」

 

独り言のように呟くと、ウィンドゥは速足で歩きだす。

彼に追従するアナキンは、『シスの逮捕には自分の力が必要になる』と同行を具申するも却下される。

 

「お前は関わらない方が良い、心の中に大きな迷いを感じる。 現場での判断を曇らせる恐れがある」

 

「いえ、付いていきます」

 

アナキンはあくまで逮捕に付いていくと食い下がるが、ウィンドウは許可しない。

若く強力な実力を備えるアナキンは戦力としては頼もしいが、心の中に大きな迷いを抱えた彼を同行させるのはリスキーだと考えたのだ。

加えて、このメンバー(コーラー、ティン、フィストー)であれば如何に強敵であるシス卿が相手だとしても、万が一にも負ける事は無いと踏んだのだ。

これもある意味でジェダイの強すぎる自負心、慢心故だろう。

 

「お前の言った事が事実なら私の信頼を勝ち得ることとなる。 だが今はここに残れ、我々が戻るまで会議室で待っていろ」

メイス・ウィンドゥはそう言い残すと、他のメンバーを連れて共和国のガンシップであるLAAT/iに乗り込む。

 

アナキンは、ただそれを見送る事しか出来なかった。

そして彼の瞳には、少なからず負の感情が宿っていた。

 

 

 

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<惑星ウータパウ>

 

「ティア、君はオビ=ワンの下へ」

 

「マスター?」

 

ヴェリウスのかつて見たことのない雰囲気に、ティアは不安を隠しきれない。

“彼と離れてはいけない”そう感じていた。

 

「少し待って」

 

ヴェリウスはそう言うと、グリーヴァスのファイターに乗り込む。

既に先の戦闘で狂わせた内部は修復してあった。

そしてすぐにティアの下に戻って来た。

 

「何かあればオビ=ワンを連れて、この場所に戻るんだ」

 

『良いね?』とティアに念押しするが、彼女はそれを聞き入れなかった。

かつてない程の“何か”を感じているヴェリウスの心に影響を受けているのだ。

彼女が直接触れなくとも分かる程に。

 

「マスター、私・・・不安です。 貴方と離れてはいけない、そう感じます」

 

ティアは師の手に触れようとする。

しかしヴェリウスは、彼女の手が触れる前に歩き出す。

 

「大丈夫、オビ=ワンと居れば安全だよ」

 

違うのだ。

ティアにとって、ヴェリウスの代わりになるものなど無かった。

彼が居なければ意味がなかった。

それを伝えなければならないのに、言葉が出てこなかった。

彼女の瞳には涙が浮かんでいた。

 

しかしヴェリウスが振り返ることはなく、彼がその涙を見ることも知ることも無かった。

素早くグリーヴァスのファイターに乗り込むと、空高く舞い上がる。

 

ティアはその姿を見送ることしか出来なかった。

その瞳からは、一滴の雫が頬を伝っていた。

 

 

 

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<惑星コルサント 最高議長オフィス>

 

「お前を逮捕する、シス閣下」

 

「アナキン、こうなると言ったであろう? ジェダイの反乱だ! 奴らは銀河を支配するつもりなのだ!」

 

アナキンが駆けつけた時には、既に勝負はついていた。

部屋の入り口にはジェダイ評議会のメンバーである3人の遺体があり、いずれも致命傷となった傷はライトセーバーによるものだった。

しかしシス卿は武装解除され、メイス・ウィンドゥによってライトセーバーを突きつけられている所だった。

 

「シスの復活はもはやあり得ない、お前の負けだ」

 

「・・・違う、それは違うぞジェダイ! 死ぬのは貴様だ!!」

 

そう口にすると、シス卿の手から強力なフォース・ライトニングが強烈な光を発しながら繰り出される。

その不意打ちともいえる攻撃を、ウィンドウはなんとかライトセーバーで受け止める。

そして受け止めるだけでなく、ウィンドウはフォースの力を使って電撃をシス卿へと跳ね返した。

 

ウィンドゥのフォース能力によって跳ね返された電撃は使用者であるパルパティーンを傷つけ続ける。

みるみるうちに疲弊していくパルパティーンだったが、その場に駆けつけたアナキンへと必死に語り掛ける。

 

「お前の愛する人を救えるのは私だけだ! どちらか選べ!!」

 

「み、耳を貸すなアナキン!」

 

シス卿の強力なフォース・ライトニングを受け続けるウィンドゥにも余裕などなかった。

その強力な電撃を返しながら、ウィンドゥもアナキンへと声を掛ける。

 

しかしアナキンの目は、ウィンドゥを睨みつけるものへと少しずつ変化していく。

『彼を殺されては死の運命にあるパドメを救うことができなくなる』その考えがアナキンの理性を揺るがす。

 

そしてウィンドゥがフォース・ライトニングを振り切ると、電撃で傷つきかつての面影を感じられない姿となったパルパティーンが弱弱しく命乞いをしている。

アナキンの目には、抵抗する気のない老人をジェダイが殺めようとしているように映っていた。

 

「いけない! 裁判に委ねるべきです!」

 

「こいつの支配は裁判所にも及んでいる。 生かしておいては余りに危険だ!」

 

「そんな力は無い・・・頼む、殺さないで!」

 

「ジェダイの道に反します・・・!」

 

アナキンの言葉に耳を貸さないウィンドゥは、紫色に輝くライトセーバーを振り上げる。

シス卿の命を刈り取る為に。

 

アナキンにはその場の時の流れが酷くゆっくりに感じる。

ウィンドゥが振り下ろそうとする挙動、必死に命乞いをするパルパティーンの姿・・・・・

 

 

 

『フォースの全てを知りたければ手を貸そう』

 

アナキンの脳裏に、かつてパルパティーンから受けた言葉が蘇る。

 

『—————暗黒面を学び、力を我が物にすれば死の運命にあるパドメを救うことも、あのヴェリウスをも超える力を手に入れることができる』

 

彼を失ってしまえばパドメを救えない、そのことが頭から離れない。

彼を失ってしまえばヴェリウスを超えられない、その誘惑がアナキンを焦らせる。

 

『フォースの全てを知りたければ手を貸そう』

 

暗黒面を知れば、僕の願いが叶う?

もし、このまま何もせずに彼が殺されたら?

 

アナキンの脳裏に突然あるイメージが浮かぶ。

 

 

ウィンドゥがシス卿を倒したことで、ジェダイ評議会が元老院を一時的に掌握した世界。

ヴェリウスがグリーヴァスを倒したことでこの戦争は終結し、彼は英雄として称えられていた。

パドメは戦争終結に喜び、ヴェリウスに向かって満面の笑みを浮かべている。

 

彼は“選ばれし者”として、戦争を終結に導いた英雄として、かつてない程の栄誉を与えられていた。

そんな光景を、自分はただ見ていることしか出来なかった。

その時感じた感情は“惨めさ”だけだった。

 

その時、突然頭の中に声が響いてくる。

フォースに直接語り掛けるように、深く心に響く声だ。

 

『君の力がさらに増せば自分たちの手に負えなくなることを分かっているのだ』

 

次の瞬間には場面が大きく切り変わる。

その場面では評議会が一時的とはいえ共和国を掌握したことで、各地の元老院を中心に反発が起きていた。

初めは非常に小さな始まりだったその反発は時と共に大きくなる。

たった一つの火の粉が原因で、広大な森が全て焼き尽くされるように。

 

『大いなる神秘を解き明かすにはあらゆる側面から学ぶ必要がる。 ジェダイの独断的で狭い視野では不可能だ。 賢明で完璧な指導者になりたければフォースの全てを知り、受け入れるのだ』

 

ジェダイは民主主義に、共和国に忠誠を誓ったはずだった。

しかし今の彼らは自分に都合の良いように正義を解釈し、独断的な行動をとっていた。

 

民衆の反発は大きくなり、それはやがて各地での紛争に繋がった。

先の戦争から僅かな時間しか経っていないのにも関わらず、ジェダイは再び軍隊を指揮し、各地に散って行った。

 

かつてアナキンが憧れていたジェダイは、平和の守護者は存在していなかった。

奴隷解放に現れる正義の味方は、この宇宙にはいなかったのだ。

その時突然、彼の目前に救えたはずの母が現れる。

 

『アニー、私のアニー』

 

「ママ!?」

 

『あー、アニー・・・大きくなったわね。 こんなにハンサムになって』

 

アナキンの目の前には、かつての変わらぬ母の姿が在った。

シミは息子の成長に喜び、笑顔を向けている。

彼はその笑顔が大好きだった。

奴隷時代は辛く、苦しい生活だったが母が居たから乗り越えられたのだ。

 

『・・・こんなにも大きくなったのに、私のことを救いに来てはくれなかったのね』

 

「え?」

 

“会える・・・そう言ってる”

 

突然の声に驚いたアナキンが視線を移すと、タトゥイーンの奴隷少年だったがかつての自分がいた。

 

“ならきっと会えるわ”

 

“僕がママを自由にするからね、約束するよ”

 

その光景は、奴隷と言う身分から解放され、ジェダイへの道に進むために歩み出す瞬間だった。

かつてタトゥイーンで、母と別れた時の場面だ。

その時の自分は、母を必ず自由にすると約束している。

 

『私は待っていたのよアニー、ずっとずっと待っていたの』

 

「ま、ママ?」

 

シミの顔は先程までの幸福に包まれたものでは無くなっていた。

少しずつ薄汚れ、顔には傷が刻まれていく。

 

『なのに、あなたは来てくれなかった・・・約束したのに!』

 

自分には救えた筈だった。

その力もあった。

しかし、現実では母を救うどころか死なせてしまった。

母の最期の姿すら見る事は出来なかった。

 

そして母に手を伸ばそうとすると、また場面が移り変わる。

その先には愛する人がいた。

出会い、この瞬間まで想いを募らせている相手だ。

 

『アナキン・・・』

 

「パドメ! どうして君が・・・・?」

 

『貴方は知っていたのに、貴方なら救えた筈なのに・・・』

 

「パドメ!!」

 

アナキンは必死に手を伸ばすが、彼女に届くことは無かった。

必死にもがくが、その距離は縮まらない。

 

パドメは突然叫び声を上げ、その場に倒れこむ。

彼女は目を見開き、身体から留めなく血が流れ出ている。

それはやがて血の海となり、アナキンを飲み込む。

 

息が出来ない、肺が空気を求めている。

必死に上を目指し、力の限り泳ぐ。

腕を必死に伸ばすと、何者かに引き上げられる。

 

それはヴェリウスだった。

血に塗(まみ)れた自分とは違い、一度も汚れたことがないような輝きを放っている。

かつて憧れたその姿には、今では嫉妬の心しか浮かばない。

 

『パドメ!!』

 

ヴェリウスがそう声を上げ、向けた視線の先には危険が迫るパドメの姿があった。

パドメはさっき・・・いや、だが実際に目の前にいる!

 

『ヴェリウス! 助けて!!』

 

しかし彼女が呼んでいるのはアナキンではなかった。

その事にアナキンの心は深く傷つく。

 

「・・・ヴェリウスじゃない。 彼女を救うのは僕なんだ!」

 

アナキンはヴェリウスを押しのけ、彼女の下へと駆けつける。

そしてパドメに迫る影に向かってライトセーバーを起動する。

 

「やめろぉぉぉぉ!!」

 

 

「やめろぉぉぉぉ!!」

 

アナキンは瞬時にライトセーバーを起動すると、ウィンドゥの手を切り落とす。

手首から先が切断され、ライトセーバーと共に眠らない街へと落下していく。

ウィンドゥは突然のことに反応できず、痛みに叫び声を上げている。

その隙を暗黒卿が見逃すはずもなく、強力なフォース・ライトニングを繰り出した。

 

強力な電撃を身に受けながら、ウィンドゥは窓から投げ出される。

その姿は街の闇の中へと消えて行った。

 

「僕はなんということを・・・」

 

アナキンは自分の行いにショックを隠し切れなかった。

衝動的な行動だったとはいえ、決して許されないことをしたと後悔した。

この時のアナキンには、パドメのことも、ヴェリウスのことも頭に無かった。

ただただ後悔の念しかなかった。

 

ライトセーバーを床に落とし、力なくオフィスの装飾に腰掛ける。

そうしなければ身体を支えることすら出来なくなっていた。

息は乱れ、まるで小さい穴を通して見ているように錯覚するほど視界は狭まっていた。

 

「これが其方の運命なのだ、余の弟子となりフォースの暗黒面をいかに用いるかを学ぶのだ」

 

今のアナキンに選択肢など無かった。

ジェダイに戻ることはできない。

もう後戻りすることはできなかった。

 

「・・・何なりと仰せに、従います」

 

「よろしい・・・!」

 

アナキンの知るシーヴ・パルパティーンはもう存在しなかった。

目の前の彼はシスの暗黒卿ダース・シディアスだった。

長年の計画の一部が果たされ、これから銀河の在り方が変わる。

その現実に、暗黒卿の顔に不気味な笑みが浮かぶ。

 

 

ここに新たなるシス卿、ダース・ベイダーが誕生するのだった。

 

 

 

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「なんだ・・・これは?」

 

グリーヴァスのファイターで惑星コルサントへと向かっているヴェリウスは、現在ハイパースペースを航行していた。

そんな彼は突然、多くの命が失われるのを感じた。

フォースを通して感じられるこの騒めきは、多くのジェダイが命を落としていることを告げていた。

 

それだけじゃない。

何か、大きな力が・・・・・

 

 

『やめろぉぉぉぉ!!』

 

『これが其方の運命なのだ』

 

『何なりと仰せに従います』

 

『オーダー66を実行せよ』

 

 

木霊のように不鮮明だがフォースを通して、あるイメージ入ってくる。

それはとても信じられるようなものでは無かった。

いや、信じたくないものだった。

 

「・・・アナキン?」

 

その時、懐にしまっていたホロクロンが突然起動する。

ホロクロンは宙に浮き、その形状を変化させていく。

ホロクロンが起動し終わると、コックピット内を強烈な光が覆いつくした。

 

 

 

 

「ここは?」

 

夕暮れ時、ヴェリウスは馴染み深い場所に立っていた。

ジェダイ聖堂の敷地内でグレート・ツリー(フォース感応力を持つ木)が植えられている場所だ。

彼はこの木が好きだった。

自然を殆ど感じられないコルサントで、この木からヴェリウスは安らぎを感じていたのだ。

 

そこに歩みを進めてくる者がいた。

もはや懐かしさを覚えるその顔は、最期に見た時と比べると若さを感じる。

 

その男は無言でグレート・ツリーを眺めている。

しかし、彼の瞳にはその木は映っていなかった。

遥か遠くに心を向けているのだ。

 

ヴェリウスは驚いてはいたが、状況を飲み込むのは早かった。

『自分は過去にいるのだ』とすぐに理解した。

 

暫くすると、静かに歩み寄ってくる者がいた。

ヴェリウスは一瞬ヨーダかと思ったが、その懐かしいフォースに触れて間違いだと悟った。

ヨーダと同じ種族でジェダイ最高評議会にも籍を置くヤドルだ。

グレート・ツリーを眺めていたドゥークーも、その気配に気づき徐に話始める。

 

「幼いクワイ=ガンを連れて、よくここに来た・・・この木は彼の大のお気に入りでしてね。鉄と石の惑星であるコルサントの生まれで、自然とは縁が薄かった。 その反動でしょうな」

 

クワイ=ガンもこの木が好きだったと、今初めて知る。

同時に自らも同じようにドゥークーによくこの場所に連れてこられたことも思い出した。

 

「評議会メンバーはナブーに向かいます」

 

彼女は『葬儀はあちらで執り行われます』と続ける。

それに対してドゥークーは、葬儀に参列する気が無いことを伝える。

 

私はマスター・ヤドルの言葉で、ここは13年前のあの日だと理解する。

マスター・クワイ=ガンが殺められ、“彼”が私の前から去った時期だ。

 

加えて、マスター・ヤドルはこの時期に消息不明となっていた筈・・・

彼がマスター・ヤドルの失踪に関係しているのだろうか?

 

「彼の死の責任は評議会にあると?」

 

「・・・もはやクワイ=ガンはフォースと一体となった。 もう、そっとしておいてやりたいのです」

 

それだけ言うと、ドゥークーは振り向いて歩みだす。

彼の背に向かってヤドルは『本当に良いの?』と問いかける。

 

「行く意味がありません。 他にどうしろと?」

 

それだけ言い残し、彼は去って行った。

ヤドルはその様子を見て、何かを考えているようだった。

そしてヤドルもこの場を後にした。

 

 

この世界はホロクロンに収められた記録だ。

いや、記憶と言っても良いかもしれない。

長くフォースの探求をして来たが、こんな体験は初めてだ。

私は自分の身体が自由に動かせることを確認し、グレート・ツリーに近づく。

葉が枯れ落ちているその様は、誰かの悲しみを体現しているように見える。

 

彼は何故ホロクロンを私に残したのだろうか?

暗黒面に堕ち、私の下を去った彼が今更伝えたいことなどあるのだろうか?

 

私は徐にグレート・ツリーに手を伸ばすと、周囲が靄に包まれ場面が変化する。

 

 

 

 

「あれはやり過ぎでした!」

 

移り変わった場所は薄暗く、古いハンガーのような場所だった。

そして“彼”とフードを目深に被った人物が居る。

 

「一体なんのことだ?」

 

フードの人物は、心に重くのしかかるような不気味な声をしている。

その身に宿す力は、隠しているにも関わらず強大なものだとハッキリ感じる。

フォースの暗黒面だ。

 

「クワイ=ガン・ジン殺害をモールに許されたではありませんか!?」

 

「弟子を失ったのは余も同じこと」

 

マスター・ヤドルの前では、気丈に振舞っていたが今の彼はその感情を露にしている。

それに対してフードの人物は、『偉大な目的を達成するため銀河の再建には多少の犠牲はやむを得ない』と語る。

この人物がシスの暗黒卿?

 

マスター・クワイ=ガンを殺したシス卿は、ザブラクの男性でモールと言う名だ。

オビ=ワンが倒したはずのこの男は生き延びており、このクローン戦争に少なからず関わりを持っていた。

その行動理念は主にオビ=ワンへの復讐だったが、今では違う目的で動いているようだった。

アソーカとレックスがマンダロア包囲戦へ向かった理由がこのモールだ。

彼の逮捕の為に、第501軍団を二つに分けたのだ。

 

シス卿は常に二人で組んでいる。

このフードの人物がモールの師?

 

「多少の犠牲ですと? 彼は心強い味方となってくれたはず!」

 

「其方にとってはな」

 

「私の忠誠をお疑いか?」

 

「あぁ、常に」

 

フードの奥で黄色に染まった瞳が不気味に光る。

その目は相手の心の奥底も見通すようなものだった。

 

「ご要望には全て従ってきました!」

 

「事を成し遂げるためには、まだまだ不足よ」

 

「サイフォ=ディアス、カミーノ、クローン兵、貴方の頼みにどれだけの裏切りを重ねて来たことか・・・・・」

 

そう口にするドゥークーの表情は、酷く辛そうなものだった。

長年ジェダイの在り方に、元老院の腐敗に疑問を抱き続けて来たドゥークーだったが、決して人々を傷つけたい訳では無かった。

己が信じる正義、本当の意味で人々の為になる道を模索していたのだ。

その彼の心に付けこんだのが、このフードの人物だった。

 

「いや、それは余の為ではなく大義の為・・・其方はより大きな理念に従ったまでのこと」

 

「・・・彼はどうする気ですか?」

 

「あぁ、そうだったな。 あの少年、ヴェリウスだったか」

 

フードの人物は静かにドゥークーの周りを歩き出す。

ヴェリウスは、突然自分の名が出たことに驚きを隠せなかった。

 

「其方が“選ばれし者”と信じ、訓練してきた少年・・・奴が本当に選ばれし者だったならば、時が来れば余の下に迎え入れるつもりだったが—————」

 

「あの子は“選ばれし者”です。 その身に宿すフォースの大きさは計り知れない」

 

「—————確かに少年のフォースは強い。 だが余を欺くことはできぬ」

 

フードの人物は、クワイ=ガンが見出したアナキンのことを話し出した。

彼の出現によって、予言にあるフォースにバランスをもたらす者について再考する余地があるとの認識を持ったのだ。

 

「あの子は特別です。 今までのジェダイとは全く違う考えを持ち、その心は純粋だ」

 

しかしドゥークーは頑なに考えを変えなかった。

彼は信じているのだ、ヴェリウスこそフォースにバランスをもたらす者だと。

 

「その性質は時に危険をもたらす」

 

フードの人物はその発する言葉とは裏腹に、この状況を楽しんでいるようにさえ見える。

ドゥークーが必死になればなる程。

 

その時、ドゥークーは唐突にライトセーバーを起動する。

湾曲した特徴的なヒルトから、薄暗いこの場所を照らすように青い光剣が出現する。

 

「・・・何の真似だ?」

 

不気味な声でそう口にするフードの人物だったが、状況に反してその口元には笑みが浮かんでいる。

 

「約束したはずです。 あの子には手を出さないと」

 

『それが協力する条件の一つだった』と語る。

ドゥークーの瞳には怒りの感情が籠っていた。

 

「あぁ・・・其方の激しい怒りを感じる。 余が憎いか?」

 

彼がその言葉に答えることは無かった。

変わりにライトセーバーによる斬撃を放つ。

 

フードの人物はローブの袖から出したライトセーバーで受け止める。

その発生した光剣は、不気味に周囲を赤く照らしている。

 

 

 

彼らのやり取りを見ていたヴェリウスは動揺を隠せなかった。

“真の選ばれし者”の出現で、かつての師に捨てられたと思っていたからだ。

そして実際に、3年前のジオノーシスの一件で彼の口から直接聞いている。

 

 

『・・・捨てたのですか? "選ばれし者"でない私を』

 

『あぁ、感じる、感じるぞ・・・強い暗黒面の力を感じるわ・・・ヴェリウス、知りたがっておったな。 何故、私がお前の前から去ったのか』

 

『"選ばれし者"でなかったからだ。 選ばれし者になれなかったお前には、何の存在価値もないのだ。 私にとっても、銀河にとっても』

 

※参照:第6話 暗黒面

 

 

 

だが実際はどうだろう?

私は捨てられてなどいなかった。

彼は誰にも悩みを打ち明けることもできずに苦しんでいたのだ。

今もこうして、私を守る為にシスの暗黒卿に一人立ち向かっている。

でも、どうして?

なぜ彼はそこまでして私を?

 

そして再び周囲が靄に包まれる。

 

 

 

 

場所はジェダイ聖堂内。

ここで育ったヴェリウスには見慣れた風景だ。

 

「休憩」

 

そう口にするにはマスター・ヨーダだ。

彼はイニシエイト達を訓練している。

その中に、白金の髪をした少年を見つけた。

 

「私だ・・・」

 

それは幼き日の自分の姿だった。

休憩の指示がでると他のイニシエイト達は仲間と談笑しているが、幼き日の自分は一人その場に座り込んで瞑想をしている。

 

私は気配を感じて入り口付近へと目を移すと、“彼”がいた。

幼き日の自分に向けるその瞳は、まるで親が子供を見守るようなものだった。

 

「あの子が気になるかの、かつてのパダワンよ」

 

「マスター・ヨーダ。 いえ、そういう訳では」

 

ヨーダはヴェリウスの様子を見に来たと思われるドゥークーに近づき、声を掛ける。

彼はヨーダに頭を下げて挨拶をするが、その問い掛けには否定の意を示した。

 

「隠すでない。 お主があの子を気に掛けていることは分かっておる」

 

「彼は“選ばれし者”です。 お分かりの筈でしょう?」

 

「・・・そうかもしれぬ、だが特別扱いはできないぞドゥークー。 お主が見せているのはあの子への執着心とも取れる」

 

ヨーダは『うーむ』と頭の中で考えを巡らせている様子を見せながら、ドゥークーを見上げている。

しかし、彼はヨーダがヴェリウスに与えているこの訓練を時間の浪費だと考えているようだった。

 

「あの子が学ぶべきことは既に他にあります。 同じ年頃の子供たちと訓練させても—————」

 

ドゥークーは言葉を中断する。

ヴェリウスが近づいてきたのだ。

 

「こんにちは、マスター・ドゥークー」

 

そう口にしながら、ヴェリウスは頭を下げる。

幼いながらに二人のマスターの間を流れる微妙な雰囲気を敏感に感じ取ったのだろう。

 

「ああ、ヴェリウス。 元気にしておるか?」

 

「はい、マスター! マスターはどうしてこちらへ?」

 

「少しマスター・ヨーダに用があってな」

 

そう言いながら、ドゥークーは幼きヴェリウスの頭に手を置く。

それは親が子にするような愛おしさを感じさせるものだった。

ヴェリウスはその大きな手の温もりと心地よさを、月日が経過した今でも鮮明に覚えていた。

 

「では、マスター」

 

そう言うと、ドゥークーはその場を後にした。

その後を追いかけると、彼の思念が入ってくる。

 

『評議会は理解していないようだ。 あの子の存在がこの銀河にとって如何に重要なのかを』

 

他の子どもたちと同じように扱う評議会の方針から、ドゥークーはヴェリウスをジェダイにする考えを少なからず後悔していた。

その気になればオーダーから離れ、自ら彼に訓練を施すことも可能だったからだ。

 

『迫りくる闇の存在を感じ、評議会に警告しているが彼らは聞く耳を持たない。 手遅れにならなければ良いが・・・』

 

 

 

 

再び場面が変わり、先程と同じようにグレート・ツリーが植えられている場所に来ていた。

そこには幼きヴェリウスとドゥークーが並んで立ち、葉を散らす木を眺めていた。

 

「マスター、どうしてジェダイは闇を恐れるのでしょう?」

 

「暗黒面の力のことか?」

 

「はい、どうして禁じているのか分からないのです。 誰が、どんな理由でそう決めたのですか?」

 

「・・・・・」

 

ドゥークーは答えられなかった。

彼の問いは、ジェダイの誰も疑問として抱くことは無いからだ。

 

「光明面だけが良いとは限りません。 強すぎる光は肌を焼き、作物を枯らせます。 しかし、だからと言って闇だけでも生物は生きられない・・・全てはバランスの上で成り立っています。 それはジェダイとシスにも言える事なのではないでしょうか?」

 

「その事は誰かに言ったのか?」

 

「同じクランの仲間たちに一度だけ。 ですが『暗黒面はダメなものだから』と。 それ以来・・・・・」

 

ははは、と笑うヴェリウスだったが彼が傷ついていることは明白だった。

それからは周りの意見を尊重するようになったと語る。

 

「? マスター、何故辛そうにしているのですか?」

 

こんなにも純粋で感受性が豊かな子は、今のオーダーにいるだろうか?

いや、今までのジェダイの歴史において存在しただろうか?

誰も疑問に思わないようなことに気が付き、偏見や独断的な思想に染まらない彼の可能性を縛り付けるオーダーに怒りさえ覚えた。

 

「マスター?」

 

何も答えないドゥークーを見上げるヴェリウス。

その顔はあまりに幼く、儚い。

しかし、その身に纏うオーラは彼の存在を確かなものとしていた。

 

「・・・いや、何でもないぞ」

 

そう言われたヴェリウスは、何か考えるような仕草をする。

今度はドゥークーがその様子を見て頭に疑問を浮かべる。

 

「私はマスターが大好きですよ?」

 

「・・・え?」

 

ヴェリウスの突然の発言にドゥークーは面食らった顔をしている。

彼の反応も無理はない。

ジェダイという立場上、同族からこのような言葉を受けることはないのだ。

 

ヴェリウスは、自分が彼をどう思っているのか。

この時、自らの好意を相手に伝えるべきだと感じたのだ。

 

同世代の仲間に異端の目で見られ、傷ついているのは自分の筈だ。

頼れる親もなく、唯一の仲間にも疎外されている。

それがこんな幼い子供が、自分よりも相手の負の感情を敏感に感じ取り、それを思いやる気持ちを第一としたのだ。

 

親が子を想うように、子が親を愛するように。

それは身勝手な一方通行な好意では決してあり得ない、純粋でこの世で最も美しい感情だった。

 

ドゥークーは彼から顔を背け、一人涙を浮かべる。

忘れもしない“あの日”と同じように。

 

 

 

 

再び場面が変わり、そこはジェダイ聖堂の前だった。

聖堂の入り口には見慣れない小さな包みが置いてあった。

爆発物の可能性もある為、無意識に慎重になる。

だが記憶の世界だという事を思い出し、警戒心を解いて近づく。

 

「赤ちゃん?」

 

よく見ると、そこには生まれたばかりの赤子が布に包まれていた。

周りには誰もいなかったがその赤子は泣く事もなく、生後間もないため見えているかも定かではない瞳を忙しなく動かしていた。

上空を飛ぶ船やスピーダー、建物に目を向けては興味深そうに視線を次々に移している。

 

そこにゆっくりと歩みを進めて現れたのはドゥークーだった。

彼は疲れた表情を浮かべながら、目的が何かも分からない様子だった。

聖堂から姿を現した彼は、赤子を視線に捉えると近づいて行く。

 

「何か感じて来てみれば・・・」

 

何かに導かれるようにこの場所へと赴いたドゥークーは、目の前の赤子がフォース感応者だと本能的に感じていた。

しかし彼は迷った。

ジェダイを増やすことに意味があるのか、と。

ドゥークーはもう随分と前からジェダイを含めた共和国の腐敗に一人悩んでいた。

 

すると船や建造物に向いていた赤子の目がドゥークーを捉えると、視線を固定する。

 

「・・・どちらにせよ、このままにはしておけぬか」

 

そう呟くと、ドゥークーは布に包まれた赤子を抱き上げる。

その赤子は泣きだすこともせず、彼の目を見続ける。

 

「ほう、幼い割にしっかりとしている」

 

ドゥークーは無意識に手を伸ばす。

その手が赤子の頬に触れる。

 

すると突然、赤子は彼の手を掴んだ。

生まれたばかりの小さな手で。

 

ドゥークーも払う事はせず、好きにさせる。

だが突然、赤子の瞳に涙が溜まる。

新生児・乳児が泣くのは当たり前だ。

それが仕事だと言っても良い。

 

しかし目の前の子は声を上げることもなく、しっかりとドゥークーの目を見据えながら静かに涙を流していた。

ドゥークーはフォースを通して、赤子が自分の為に泣いているのだと理解した。

 

この赤子が感じ取っているのは彼の“感情”だ。

赤子はドゥークーの悲しみや苦しみ、長年悩んできた感情に触れたことで涙を流していた。

 

 

かつてジェダイが他者の為に涙を流したことがあっただろうか?

人や物に対する執着を禁じているジェダイにとって、それは許されないことだった。

“個”に対する執着は、暗黒面に通じる危険な感情だと。

 

しかし、目の前の赤子はどうだろうか?

この世に生まれ落ちたばかりで、このまま放置されれば儚く散る命。

本来であれば親にその身を包まれながら、静かに寝息を立てていることだろう。

 

そんな赤子が初めて流した涙は、何の関わりもない赤の他人のためだった。

ジェダイの規範などという概念が存在しない、純粋な感情。

それを自らの為でなく、他者に向けた無償の愛。

 

この子が向けてくれる愛のどこに闇へと繋がる要素があるというのだろうか?

ドゥークーは無意識に涙を流していた。

一度流れ出たその涙を止めることはできず、留めなく流れ落ちる。

その人間として当たり前の感情に共感し、受け止めていたのは生後間もない赤子だった。

誰にも分かってもらえない感情を、理解してくれたのはこの赤子だった。

 

ドゥークーは救われた気がした。

この子ならば、ジェダイ・オーダーの形骸化した教えに捉われない希望の光となると。

予言にあるフォースにバランスをもたらす者であると。

 

「其方が“選ばれし者”だ、ヴェリウス」

 

 

 

 

ヴェリウスは記憶の世界から帰還した。

強烈な光は消え去り、そこには起動した状態でホロクロンが宙に浮いている。

 

ヴェリウスは、記憶の世界で見たことに驚きを隠せなかった。

動揺していると言ってもいい。

今までの認識が崩れ去り、それを消化するのに時間を要している。

 

『ヴェリウス、突然のことで驚いていることと思う』

 

その声にハッと顔を上げるヴェリウス。

そこにはホロクロンが表示させているドゥークーの姿があった。

 

『この記憶をお主に見せるか最後まで悩んだ。 だが、お主自身が選択し、今後の道を決めるのには真実が必要な筈・・・』

 

ヴェリウスは静かに待つ。

その言葉、一字一句を聞き逃さないように。

 

『私は其方を見守り、訓練してきた。 それがこの世の為になると考えたからだ。 元老院の腐敗、オーダーの凝り固まり前時代的で形骸化した教えから脱することができると』

 

『だが遅かった・・・既に共和国はシスの手中だった』

 

ヴェリウスは、記憶の世界でドゥークーが会話をしていた人物を頭に浮かべる。

彼がシスの暗黒卿であり、共和国を影で操って来た人物なのだと理解する。

 

『私はジェダイ滅亡が避けられないと悟り、条件付きで暗黒卿に従うことを約束した。 お主が生きてさえいれば・・・』

 

彼は『ヴェリウスだけは手を出さない』という条件を出し、シス卿に協力したのだ。

ドゥークーにとってオーダー存続よりも、ヴェリウスの命の方が大きかったのだ。

 

『クローン兵製造も、この戦争も全てはシス卿ダース・シディアスが計画したこと。 全て茶番だった』

 

先程見たビジョン。

クローン兵は、もはやジェダイの味方ではないのだろう。

今この時も、銀河中に散らばったジェダイが命を落としているのを感じる。

如何にシス卿といえども、数多くいるジェダイを一人で倒すことはできない。

クローンの突然の裏切りに、対応できるジェダイは多くないだろう。

運良く生き延びる事が出来ても、ジェダイ狩りが始まることは想像に難くない。

 

『避けられなかった事とはいえ、お主を傷つけたことを許して欲しい。 全ては必要なことだったのだ』

 

理由はどうあれ、暗黒面の力を受け入れたドゥークーはその過程が必要なものだと気づいたという。

ヴェリウスを傷つけ、暗黒面の力に触れさせる事が彼自身の為になると。

 

『この話を聞き、お主がどうするかは私には分からない。 だが—————』

 

ドゥークーは一度言葉を飲み込む。

一呼吸おいて再び口を開いた彼には確固たる意志を感じた。

 

『ヴェリウス、お主に出会えたことが私の人生において最高の贈り物だった。 “あの日”、私は救われたのだ』

 

「・・・・・」

 

『お主がどのような選択をしても私はその道を信じておる。 お主が選んだ道、それがこの銀河にとって正しい道となるだろう』

 

「“マスター”・・・」

 

ドゥークーは一人で長年悩み、苦しんでいた。

民を蔑ろにし、自らの権力と富を独占する腐敗した元老院。

本来ジェダイが仕えるのは元老院ではなく、共和国の民だ。

その理念から遠く離れたジェダイは、口では平和を謳いながらも、実際は裕福な権力者の為に法と秩序を守っていたのだ。

そして闇が迫っていることを以前から警告していたにも関わらず、ジェダイ評議会は聞く耳を持たなかった。

 

彼はジェダイと共和国、元老院に絶望していた。

そして理想主義者だと言われた彼は、広い宇宙を二分化する戦争を始めた。

その手を血で染め、多くの命を奪ってきたのだ。

 

優しく、強く、正義感に溢れる師とは、とても同一人物とは思えなかった。

何が彼をそこまで変えてしまったのか、今まで私には理解できなかった。

しかし実際は、裏切り者という烙印を押されてでも私を守る為に・・・・・。

 

 

ホログラムのドゥークーは、最後に二つ渡す物があると口にする。

一つは自らの伯爵位とすべての遺産をヴェリウスに譲り渡すというもの。

その手続きは既に終わっており、そのデータはこのホロクロンに収められているという。

 

そしてもう一つはある設計図だった。

ヴェリウスはこの設計図に心当たりがあった。

3年前、ジオノーシスの一件で見たものだ。

 

 

『お主が私を恨んでいても仕方のないこと、それだけの事をしてしまったのだ。 だが、これだけは分かって欲しい。 お主を本当の息子のように想っている・・・今までも、そしてこれからも』

 

ドゥークーは直接の好意を口にした訳では無かったが、かつてグレート・ツリーの前でヴェリウスが彼に向けた言葉への答えだと理解した。

 

ヴェリウスは耐えられなかった。

一度流れ落ちた雫を止めることは出来ず、その身に着けているローブを濡らした。

ホログラムで映し出されているドゥークーの瞳にも、涙が浮かんでいた。

 

その姿を最後にホログラムは終了した。

そのタイミングでファイターはハイパースペースを脱し、目的地である惑星コルサントへと辿り着く。

 

宇宙特有の静かな世界と、ファイターの計器が発する起動音が支配するコックピットの中で、ヴェリウスは一人涙を流していた。

 




はい、お疲れさまでした。

メインはドゥークーとヴェリウスのお話でした。
心理表現が下手くそなので、皆さんにちゃんとお伝えできているか不安です笑
あえてこの場で詳しく解説はしないでの、皆さんの読解力に全てをお任せします。
※細かい表現や誤字などは後ほど修正いたします


それではまた近いうちに・・・・・

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