かつて選ばれし者と呼ばれた騎士   作:みどり色

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皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

ジェダイ物にもチャレンジしたいなと常々考えていましたが、急にアイディアが浮かんだので忘れないうちに書こうと思ったので勢いのまま投稿を始めます。
「自衛官だったけどクローンになったのでジェダイを救ってみた」はかなりギャグ要素が強めでしたが、今回は趣向を変えて割と真面目?シリアス?な雰囲気で展開しようと考えています。
作者がギャグなのは変わりないのでご安心を☆(?)


序章
第1話 ヴェリウス


辺りに漂うのはブラスターに内包されているティバナガスによる硝煙と、人が焦げたような匂い。

そして肉体を高温で焼き切った時に発生する独特な匂いだ。

 

それが充満する広い空間に一人佇むのは、フードを目深に被った長身の人影。

手に握られているのは芸術的な造形をした銀色の筒で、不気味なほど静まり返っている周囲を、低く鳴り響く起動音が満たしている。

 

 

 

人影が一歩、また一歩と足を踏み出す。

そのゆっくりとした足取りは歩みを進めるたびにその光景を目に、心に刻み込むように踏みしめるのだった。

 

 

 

 

 

その人影は歩き続けた。

ゆっくりと—————そして辿り着く。

 

人影の目的地からは数えきれない程のスピーダーが行き交い、高層ビルが立ち並ぶ光景が見渡せる。

 

人影は待った。

 

長い時間、待ち続けた。

遠くから、この場所に向かってくる者がいることをフォースを通して感じる。

 

その人影は静かで、穏やかだった。

例えるなら、常に深い瞑想状態を維持しているような・・・

 

「—————!!」

 

待ち人の訪れだ。

その者は何か言葉を発しているが、人影には関係の無いことだった。

徐(おもむろ)に腰から下げていた美しいヒルトを取り出す。

 

 

 

 

 

永遠に続いたような、一瞬の出来事だったような時間が唐突に終わり、その場を支配していたのは先程と同じく、低く響き渡る光剣の起動音だった。

 

そして、その人影がたった一言だけ言葉を発する。

 

“私が選ばれし者だ”

 

 

________________________________________

 

 

私は物心付く前からおぼろげに、周りの大人達から"選ばれし者"や"フォースにバランスをもたらす者"と呼ばれていた事を覚えている。

幼いながらに普通の子供へ向ける目とは異なる視線を、大人達から向けられている事も敏感に感じていた。

 

そして自我が芽生えてくる年齢になると、私はその視線や期待に応えようとして来た。

親は居なかったが、共に訓練する大切な友人や、思慮深く優しい先生であるマスター達、ジェダイの先輩方がいた事で大変ではあるが充実した生活を送っていた。

 

そして10歳の時に、同期のイニシエイト達から先んじてパダワン見習いに昇格した。

通常は10代半ば程でパダワンに昇格する事が多いが既にアカデミーで学ぶことは無く、退屈していたのもまた事実であったため、昇格が決まった時は早く現場に出たいと言うはやる気持ちを抑えたものだ。

 

そして私の師匠になったのはマスター・ドゥークー。

ジェダイの中でも群を抜いた実力者で、マスター・ヨーダやマスター・ウィンドゥと肩を並べる程の実力者だ。

 

彼は、選ばれし者とよばれる私を弟子に取る事を自ら進んで志願した。

元々、イニシエイト時代から良くしてもらっていた事もあり、彼がマスターになる事を非常に喜んだ事を今でも覚えている。

そしてフォース感応者として私を見出したのも彼だと言うのだから驚きだ。

それを聞いて、フォースの導きを感じたのは言うまでもない。

親を知らない私にとって、彼は父を想わせる人物となった。

 

その彼はと言うと、対ライトセーバー戦において非常に熟達した騎士であり、その実力はジェダイ・マスターの中でもトップクラスのものだった。

しかし彼はライトセーバーの技術だけでなく、対話による交渉術や外交術に関しても非常に重要視した。

かと言って、彼がライトセーバーに関する技術を疎かにする訳も無く、厳しい修練の日々が私を待っていた。

 

マスターは数あるフォームの中で、第二の型と呼ばれるマカシを主に使用する。

この型は、対ライトセーバー戦を想定して生み出されたもので、フェイント等の剣術に重点を置いており剣捌きの精度が非常に高く、優雅さをも感じさせるフォームだ。

変則性や攻撃性、効率性を重視しているのに加えて、マスターが使用するライトセーバーのヒルトは湾曲したデザインを採用している。

これは手首のスナップを最大限活用する事を目的とされおり、これによりさらに攻撃的な斬撃を可能としたフォームへと仕上がっている。

 

 

自分で言うのもおかしな話だが、イニシエイト時代は敵なしだった。

フォースに関してもライトセーバー技術に関しても、何を取っても常にトップであり続けた。

いや、"あり続けなければいけない"と思っていた。

 

だから・・・と言う訳では無い。

勿論無いが、それなりの闘いを演じられると思っていた。

勝てるとは微塵も思っていなかったが、マスターに驚きの1つでも与えられればと慢心していたのは確かだ。

 

"圧倒的な敗北感"

 

私はそれを初めて感じた。

他の物とは一線を画す程の洗練されたフォーム・・・

芸術と言っても過言では無く、寧ろ美しさを感じた程だった。

始めて相対した時、その完璧な佇まいに隙など見つけられる訳もなく、一瞬のうちに武装解除されたことは永遠に忘れられないだろう。

 

“彼を超えること”

 

それが私の当面の目標となった。

 

 

________________________________________

 

 

彼のパダワンとなって月日が流れた。

そして様々な任務を共にこなした。

時にはある惑星の紛争を収め、宇宙海賊とひと悶着を起こし、外交で武力を行使せずに解決する。

そして積極的な・・・所謂ライトセーバーを使った交渉事など、任務は多岐にわたった。

 

 

彼の下で学ぶ日々は、彼の能力の高さを目の当たりにする日々でもあった。

当代最高レベルの剣術、外交、フォースへの探求心・・・

特に彼は研究熱心だった事もあり、シスについても知る必要があると言った。

任務の合間にフォースと繋がりの深い場所も多く訪れた。

それは勿論ジェダイだけに関わらず、だ。

この事はジェダイ評議会には秘密であった。

 

 

 

シスはジェダイにとってコインの裏表とも言える存在・・・

同じフォースへの探究者であるのにも関わらず、長い間戦争を繰り返して来た。

ジェダイの天敵とも言えるシス、1000年前を最後に誰もその姿を見ていないと言う。

盲目的に"シスは滅んだ"という考えを評議会は信じているのだ。

 

 

では"フォースにバランスをもたらす"とは?

銀河中で紛争や小規模な武力衝突は絶えず起きているものの、共和国は1000年もの間、大規模な戦争というものを経験していない。

 

各地で起きている紛争を止めれば良いのか?

それともこれより先の未来、共和国の存続を揺るがすような出来事が起きるのだろうか?

意識を深くフォースに溶かしていき、瞑想に耽るもその答えが得られることは無かった。

 

 

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<33BBY ジェダイ聖堂>

 

マスター・ドゥークーのパダワンになってから4年の月日が流れた。

私は14歳になり、身体の成長と共にフォースへの繋がりをより鮮明に感じられるようになっていた。

今は聖堂内にある訓練場でマスターを待っている所だ。

 

「ん? “ヴェリウス”じゃないか。君もマスターが来るのを待っているのか?」

 

そう声を掛けて来たのはオビ=ワン・ケノービ。

私よりも10個ほど年上のパダワン見習いだ。

パダワンと言っても、近いうちにナイトへと昇格するだろう。

既に見習いとして学ぶことは少ないとドゥークーも発言していた。

 

「オビ=ワン。 ええ、マスターが来られる筈なのですが・・・“少し遅れている”ようです。貴方もマスターをお待ちで?」

 

私はオビ=ワンに頭を下げて挨拶をする。

彼とはお互いの師匠関連で、非常に繋がりの深い人物だ。

オビ=ワンへ問い掛けに付随して出入口を確認すると、ある気配を感じるがあえて気づかないフリをする。

 

「ああ、私もクワイ=ガンを待っているのだが・・・こちらも遅れているようだ」

 

彼もまた、私の問い掛けに出入口を確認することで応える。

オビ=ワンは出入口にいる存在の気配を感じ取っていない様だ。

 

「そうだヴェリウス、久しぶりに訓練といかないか? “選ばれし者”がどこまで実力を上げたのか見せて欲しい」

 

「そうですね、まだマスター方は“いらっしゃらない”ようですし、私もナイト昇格が近い先輩の実力が知れる良い機会です」

 

私はマスター陣の目的を何となく察したことで、オビ=ワンの提案を受け入れる。

それならそうと、先に言って下されば良いものを・・・マスター達も人が悪い。

そう思いながら、私はもう一度出入口の方へと視線を向ける。

 

「おいおい、誰がそんな事を言ったんだ?」

 

「いえ、忘れて下さい」

 

「相変わらず読めない奴だ」

 

オビ=ワンとは少なくない回数を共に訓練をして来たが、今回は久しぶりだ。

将来、ジェダイオーダーを共に担う仲間として、親交を深めるのは決して悪い事ではない。

 

お互い相手に礼を示し、腰に装着している銀色に輝くヒルトを取り出す。

同時にライトセーバーを起動すると、2つのカイバークリスタルが発生させるプラズマの青い光と低い起動音が周囲を支配する。

 

互いに間合いを読み合い、フィールドをゆっくりと回る。

私はマカシ、オビ=ワンはアタロの構えを取っている。

それぞれお互いのマスターが得意とするフォームだ。

 

先に動いたのはオビ=ワンだ。

彼はフォースで肉体を強化するアタロの特性を活かし、飛び掛かりざまに回転と捻りを加えた斬撃を繰り出してきた。

私はマカシの正確な足運びを使い、オビ=ワンの斬撃を空振りさせる。

オビ=ワンは空振りした勢いのまま大きく跳躍し、私の背後までジャンプを行う。

着地する瞬間に斬撃を加えてくるが、私は後ろを向いたままお辞儀をする形で再び彼のセーバーを空振りさせる。

そのままオビ=ワンは、足、腕、胴と狙いを定めて斬撃を振るうが空を斬る。

さらに彼が斬撃を押し込んできた事で、私はライトセーバーを使って受け止める。

 

「さすがの腕前ですね」

 

「君に言われると、嫌味のように感じてしまうよっ!」

 

そう言うと、彼はアタロの本領発揮と言わんばかりの激しい攻撃を加えてくるが、私はマカシのスタイルを貫き、務めて冷静に、落ち着き、力任せに振るう事はせずに、最小限の動きで攻撃をいなしていく。

しかし流石はオビ=ワンだ。

これだけ激しく攻撃を加え続けているというのに、彼はスタミナ切れを起こすどころか、さらに集中力を増し、斬撃のキレやフォースによる“読み”を増していっているように感じる。

既にその実力はパダワンの域を超えており、一人前の騎士と言って差支えのない実力だ。

 

私はオビ=ワンの動きを見定めるように攻撃を受け流していたが、ある時を境に少しずつ攻勢に転じる。

本当に少しずつ・・・少しずつ—————

彼は少しのやり難さと違和感を覚える程度のはずだ。

 

だが、それを感じるようになってからでは時すでに遅し。

攻撃一辺倒だった彼の戦いの流れが崩された事で、一瞬の隙を晒してしまう。

それは僅かな隙だった。

一般人同士の戦いでは、取るに足らない隙。

だが激しい剣術の往行を繰り広げながらもフォースを用い、相手との読み合いをしているフォース感応者による戦いでは、それが勝敗を分ける決定的な要因となる。

 

私はオビ=ワンのライトセーバーを絡めとり、手首のスナップを用いる事で彼から銀色に輝くヒルトを手放させることに成功する。

 

「そこまでだな」

 

そう発言したのは、彼のマスターであるクワイ=ガン・ジンだ。

勝負がついたとみると、ドゥークーと共に訓練場へと入出してきたのだ。

 

「マスター! いつお着きに?」

 

「初めからだよ、パダワン」

 

オビ=ワンは、負けたところをクワイ=ガンに見られたのが恥ずかしい様子だった。

そんな彼を見てクワイ=ガンは、『ヴェリウスは初めから気が付いていた。我々の意図を察してお前の誘いに乗ったのだ』と諭す。

 

それを聞いて、オビ=ワンがさらに顔を赤くしたのは言うまでもない。

・・・少し悪い事をしただろうか?

話題を変えるために、私は久しぶりに会うクワイ=ガンへと挨拶をする。

 

「お久しぶりです、マスター・クワイ=ガン」

 

「ああ、“大きくなった”なヴェリウス」

 

彼は笑顔を見せながら、私の肩へと手を乗せる。

その手は大きく、静かだが力強さを感じさせるものだった。

彼が言った“大きくなった”という言葉は、何も身体の成長だけを指している訳ではなかった。

 

 

________________________________________

 

 

<32BBY ジェダイ聖堂>

 

あれから1年が経った。

オビ=ワンとクワイ=ガンは、惑星ナブーを封鎖した通商連合への外交特使としての任務に就いた。

よくある貿易紛争を平和的に解決する簡単な任務のはずだったが、そこで問題が起きた。

彼らが通商連合の旗艦に到着したことを報せる連絡を最後に、通信不能に陥ったのだ。

 

「マスター、ナブーとの通信も不可能となったようです。マスター・クワイ=ガンらの消息が途絶えた事も考えると・・・」

 

「うむ・・・通商連合がそのような行動に出るとは予測できなかった」

 

「私もです。事態が悪い方向へと動いているように感じてなりません」

 

ジェダイ評議会のメンバーであるドゥークーは、会議室へと歩みを進める。

彼が評議会のメンバーである事もあり、私は一人待たされるという状況になることも多かったが、この時間を利用して訓練や瞑想に勤しんでいることもあり、特に不満は感じなかった。

オビ=ワンとクワイ=ガンの安否は気になるが、連絡が取れなくなるというのはジェダイの任務ではよくある事だ。

それこそ、一般人からしたら『もう死んでいるだろう』と言われている状況でも、何でもないような顔で乗り越えるのがジェダイと言うものだ。

それよりもっと、大きな“何か”が起きようとしている、今回の一件はその始まりのように感じてならなかった。

 

だがどちらにせよ、今の私にできる事は何もない。

 

 

 

私はいつもの訓練場へと向かう。

ドゥークーのパダワンになってからと言うもの、対ライトセーバー戦で彼を超える事を目標の1つとしていた。

その為に、ジェダイオーダーに伝わる様々なフォームを訓練した。

 

彼の特性を理解するためにマカシを習熟するのは必須事項であり、私はそこからさらに技術を発展させる必要を感じた。

マカシは自制心や精密さ、正確な攻撃や洗練された足運びが特徴だ。

一見、対ライトセーバー戦では隙が無いように思われるがそんなことは無い。

緻密さや効率を重視するあまり、瞬間的なパワーに劣り、力強い一撃に押し切られる一面も存在する。

 

 

そこで注目したのがフォーム5のシエン、フォーム7のジュヨーだ。

 

シエンは防御の型が発展してより攻撃的になったものであり、この型を修める者は攻撃、防御のどちらの面も等しく身に着ける必要があるが、殆どのケースで攻撃特化のフォームとして使われる事が多い。

 

 

ジュヨーはあらゆるフォームを極めたものが習得、制御しうる究極のフォームと呼ばれ

“静と動”、2つの相反する特性を同時に併せ持つことからも、習得の難しさが伺える。

だが完璧な制御下に置けば、身のこなし、太刀筋共に予測困難な動きが可能となる。

 

 

マカシとジュヨーは型こそ違うが、似通った点がいくつかある。

自制心や精密さを重視する点は"静"、正確な連撃や変則性は"動"に通じる。

だがマカシは主に片手で扱う点や、どちらかと言うと"静"に寄っている所をみると、慣れているからと言って習得が容易くなる訳ではない。

 

 

さらにジュヨーは、その特性から暗黒面に肉薄する点も注意が必要になる。

まずはシエンで"動"の面を学び、加えてシエン本来の特性である防御性と攻撃性の両立を目指すのが良いと5年前に結論付けた。

 

 

そしてこの考えは間違いではなかった。

マカシの修練に伴いドゥークーの剣術の特徴を捉えやすくなり、瞬間的なパワーに劣る部分をシエンの攻撃力によって押し切れる場面が増えたのだ。

 

しかし、だからと言って彼に勝てた事は一度もない。

周囲の期待に応える為にも、私は強くならなければならない。

当代最強・・・いや、史上最強のジェダイに。

 

 

 

私は"選ばれし者"なのだから。

 

 

________________________________________

 

 

<ジェダイ聖堂:最高評議会>

 

「予言にある"フォースにバランスをもたらす者"、それがその少年だというのか?」

 

クワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービは、惑星ナブーから女王であるアミダラを救出し、度重なる障害を乗り越えてコルサントへ帰還していた。

 

 

アナキン・スカイウォーカーという男の子を連れて。

 

 

クワイ=ガンは、男の子との出会いを通じて彼を予言にある"選ばれし者"だと確信したと言う。

しかし、メイス・ウィンドゥからの問い掛けは続く。

 

「我々は15年も前から既に選ばれし者と"思われる"人物を訓練し、見守って来た。其方もそれは重々承知しているはず・・・」

 

「うむ・・・マスター・クワイ=ガン、何故その子を選ばれし者だと?うん?」

 

メイス・ウィンドゥの後にヨーダの問い掛けが続く。

 

「その子の血液から夥(おびただ)しい数のミディクロリアンを発見しました。"彼"のミディクロリアン数を優に超える程の—————」

 

クワイ=ガンの言葉に、評議会のメンバー達は顔を見合わせる。

"彼"のミディクロリアン数はヨーダを超えている。

それをも大きく超える数値というのは、決して無視できない要素足り得るのだ。

 

「—————ミディクロリアンによって生まれた可能性があります。あの子は普通じゃない。確信があります」

 

再び顔を見合わせる評議員達。

そして、メイス・ウィンドゥが代表してクワイ=ガンに命じる。

 

「その子を連れて来い」

 

 

 

 

 

私はあれから暫しの休息を与えられていた。

正確には、通商連合との一件で評議会が慌ただしくしているのが原因だ。

評議員を務めるジェダイをマスターに持つと、こういう事はよくある話なのだ。

ドゥークーもグランドマスターであるヨーダのパダワン時代は、同じような状況であったのだと容易に想像がつく。

 

私は時間が取れる時の日課になっている一通りの訓練や瞑想を終え、ジェダイ評議会のある階層を訪れていた。

評議会から呼び出しを受けたのだ。

ちょうどその時、親しい友人の姿が目に入る。

 

「オビ=ワン! ご無事でしたか」

 

夕焼けが見渡せるテラスにいるオビ=ワンは、何か考え事をしていたのか一瞬反応が遅れる。

 

「・・・あぁ、ヴェリウス」

 

彼から任務の顛末を聞く。

正直、通商連合のニモーディアン達がそんな大胆な行動に出るとは予測出来なかった。

今回の件は、単なる貿易紛争というだけで済まされるものではない。

何の大義名分もないナブー侵略という苦労に見合う見返りが無ければ、あの強欲なニモーディアン達が動くとは思えない。

何か裏があると考えて然るべきだろう。

 

「なるほど・・・これは只事では—————」

 

その時、見慣れない男の子を連れたクワイ=ガン・ジンが会議室に入って行くところが見えた。

 

「—————オビ=ワン、あの男の子は?」

 

「ああ、あの子は・・・色々と複雑な事情があるんだ」

 

どうも歯切れが悪い。

だがあの少年を見た時に、何か不思議な感覚に陥った。

言葉では言い表せないが、フォースのざわめきの様な・・・

 

その時クワイ=ガンだけが会議室から退出し、こちらにやってくる。

 

「マスター・クワイ=ガン、ご無事でなによりです」

 

「ありがとう、ヴェリウス」

 

お互いの名前を呼び、頭を下げて挨拶をする。

そして彼は、『テストはすぐに終わる』とオビ=ワンに声を掛けて、会議室に向かって行った。

 

 

テスト?

先程の子に、ジェダイの訓練を受けさせようとしているという事だろうか。

随分と歳が行き過ぎているようにも思うが・・・

再び一人になった私は、思考の海に沈むのだった。

 

 

 

 

 

彼らが退出した後に私は評議会へと呼び出され、クワイ=ガンらと共にアミダラ女王護衛の任に就くよう命令を受けた。

その際に、通商連合との一件でジェダイに非常によく似た武芸に通じる謎の人物からの襲撃にあった事を明かされた。

 

私はそれを聞いた時に、一番に頭に浮かんだのは1000年前に滅んだと言われるシスの存在だ。

実際に刃を交えたクワイ=ガン自身も、その襲撃者はシスの暗黒卿だと確信しているようだが、評議会の面々の大半はその考えに消極的なようだ。

 

「元老院は新たな議長の選出に入り、連合にプレッシャーを与える事になる。対立は激化するだろう。君にはクワイ=ガン・ジンらと共にアミダラ女王の護衛、共にナブーへと向かって欲しい」

 

「例の襲撃者も姿を見せよう」

 

そう話すのはメイス・ウィンドゥとキ=アディ=ムンディだ。

特にマスター・ムンディはシスの復活はありえないという考えが固いようだ。

 

「君には謎の襲撃者の正体を探って欲しい。我々も襲撃者の究明に全力を尽くす」

 

「はい、マスター」

 

 

________________________________________

 

 

「共には行かない」

 

そう言うのはドゥークーだ。

ナブーへと向かう為、ナブー・ロイヤル・スターシップの発着場へと歩みを進めていたところで、彼の任務不参加を聞かされる。

てっきり一緒の任務だと思い込んでいた私は、驚きを隠すこともなくその理由を尋ねる。

 

「私は他にやる事がある。パダワンよ、其方はクワイ=ガンらと行動を共にするのだ」

 

評議会は謎の襲撃者の解明に全力を挙げると言っていた。

彼はそれに関連して、別の任務が与えられたのだろうか?

 

「マスター、何か嫌な予感がします」

 

私は父のように想っている彼に対して、正直に心の不安を打ち明ける。

何故だか物凄い不安感を覚える。

こんなにも心が落ち着かないのは初めてだ。

何か取り返しのつかない事が起ころうとしているような気がしてならない。

しかし彼は、『心配するな』と言うのみだ。

 

「はい、マスター・・・フォースと共にありますように」

 

彼は頷くと、私に背を向けて共に歩いて来た道を再び戻っていく。

その背中から、その光景から目が離せない。

 

 

 

 

 

 

そしてナブーでの一件でクワイ=ガン・ジンが命を落とし、ドゥークーは行方不明となった。

 

 

 

彼はジェダイオーダーを去った。

いや—————彼は私を捨てたのだ。

 




はい、お疲れ様でした。

「自衛官だったけどクローンになったのでジェダイを救ってみた」とは、かなり雰囲気が違ったと思いますが、楽しんで頂ければ幸いです。


主人公のヴェリウスは幼き頃から常に周囲の期待が付きまとい、その期待に“応えなければいけない”と考えています。
そしてその期待に応えるべく、身を削るような努力をしてきました。

彼にとって親しい友人や優しい先生であっても、本当の意味で気が許せる事はありませんでした。
しかしドゥークーのパダワンとなり、初めて圧倒的な敗北感というものを味わい、『彼になら弱い自分を見せても良いんだ』と考えるようになります。

そして親の存在を知らない彼にとって、ドゥークーはその影を感じさせる存在となりました。
そんな存在が突然、自分の前から消えたのです。



それではまた近いうちに・・・・
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