かつて選ばれし者と呼ばれた騎士   作:みどり色

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皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

久々の短編の更新です。
時系列はバラバラに、気が向いた時に更新していこうかなと思っています。
それと同時にifの話も投稿しようかなと考えておりますので時々遊びに来て下さると嬉しいです。

今回もほのぼの回&短めなので気楽にお楽しみください!



短編2 天然?

<惑星ナブー ヴァリキーノ島の屋敷>

 

「おはよう、パドメ」

 

「ん、おはよう・・・ございます」

 

現実と夢の狭間にいるパドメがはっきりとしない意識の中で返事をする。

屋敷の寝室には穏やかな風が吹き込み、太陽の優しい光が差し込んでいた。

先の共和国と犯罪組織連合との戦いから暫く経ち、銀河は少しずつだが復興への道を進んでいる。

ヴェリウスはジェダイ・オーダーで、パドメは元老院議会で忙しい日々を送っている。

そんな中、二人一緒にまとまった時間を作る為に身を粉にして仕事を片付けて来た。

そのお陰で共に朝を迎えることができたのだ。

 

 

私は夜明け前に目が覚めてしまったので日課の瞑想をしていた。

暫くそうしていると日が昇ってきた為、パドメの様子を見に来たのだけれど彼女はまだ夢の中だった。

起きるまで彼女の寝顔を見ていたのは秘密だけどね。

 

 

 

 

あれから身支度を整え、長テーブルで朝食を取っている。

相変わらずここの料理は最高だ。

コックの腕が良いんだろうなぁ。

そう言えばパドメってご飯作れるのかな?

そもそも一緒に過ごす時間が少ないのもあるけど、大体のことは侍女などが身の回りの世話をしてくれるから彼女の手料理は食べたことがない。

 

「ねえ、パドメ?」

 

「・・・なんでしょうか?」

 

「パドメって料理作れるの? そういえば食べたことないなって」

 

「・・・それはどういう意味ですか?」

 

どうしてだろう・・・

彼女は笑顔を浮かべているのに、そこには温かみが全く感じられない。

背筋が凍るような感覚だ。

 

「い、いや、君ってほらお姫様だし・・・いつも身の回りの世話は侍女たちがやってくれるでしょ?」

 

「私は生まれた時から女王だった訳ではありません。貴方もそれはご存じでしょう?」

 

それは勿論知っている。

ナブーでは民主的に統治者を選出することになっており、しばしば年若い人物が君主となる。

ナブーでは生まれながらの王族というのは存在しないのだ。

だが彼女が女王に選出されたのはまだ10代前半の頃だったはずだ。

他の子どもと同様に、学校に通っていたことは本人から聞いている。

だから本格的な料理を身に着ける時間などなかった筈だ。

 

というか、そもそもこの話題を振る前から彼女は少し不機嫌だったような気がする。

しかし彼女の機嫌を損ねるような失態を犯した覚えがない。

折角二人で過ごせる貴重な時間なのに、このままという訳にもいかない。

何かしらのアクションを起こす必要があるのは間違いなかった。

 

私はフルーツが盛られた皿から彼女の好物を取り、切り分けてからフォースでゆっくりとパドメに送り出す。

少し戸惑うような仕草をするものの、無事にフォークで受け取ってくれる。

 

パドメがこちらを見るので笑顔を返すと頬を赤らめながらそのフルーツを口に運ぶ。

そんなに好物が嬉しかったのかな?

 

「・・・ずるいです」

 

「え?」

 

パドメが小声で何か言ったようだが、小さすぎて聞こえなかった。

まあ大事なことなら本人が伝えてくるだろうし、特に気にしないことにする。

それよりも彼女の雰囲気が先程よりも柔らかいものになったことを今は喜ぶとしよう。

 

その直後、給仕の為に控えていた世話係が空いた皿を片付けてくれる。

私は顔に笑顔を浮かべながら『ありがとう』と声を掛けると、もごもごと何かを言ってから足早に戻って行った。

 

どうしたのだろうか?

なんて言ったのか気になるが、今は回復した夫婦仲をさらに深める時だ。

 

「ねえ、パド———メ?」

 

おかしい。

何故だ?

どうしてなんだ?

明らかにパドメの様子がおかしかった。

彼女は“ナブー”の(元)女王だよね?

どうして目の前の彼女は氷の女王が如く絶対零度の冷気を纏っているように見えるのだろうか?

身近に危険が迫っていることをフォースが知らせてくれる(?)

 

悪いことは立て続けに起こるものだ。

隣の部屋から何かが地面に落下した音と、人の叫び声が耳に届く。

恐らく食器が落ちた音だろう。

先程の女性に何かあったのだろうか?

怪我などをしていないと良いけど・・・。

 

だけど『またか!』や『これで何人目だ!』、『恐ろしい殿方ですわ』など、全く関係のないようなセリフが聞こえてくるのは何故なのだろうか?

 

そしてその声を聞くたびにパドメの纏う冷気(?)が・・・・・

なぜだろう、実際に部屋の温度が低下しているように感じる。

そんな訳ないよね?

 

「———はぁ、“また”ですか」

 

何か諦めたような態度で深いため息をつきながらパドメが口を開く。

“また”という言葉が何を指しているかは分からないが、こういう場合は触れてはいけないと過去の経験から知っている。

 

「ごめんね」

 

「・・・どうして謝るのですか?」

 

「いや・・・でも、ごめん」

 

“何か”をしてしまい、彼女の機嫌を損ねたのは間違いないのだ。

謝罪の気持ちを伝えても良いはずだ。

 

だって

 

「君にはずっと笑っていて欲しいから」

 

私は心からの気持ちを伝える。

しっかりと自分の気持ちを伝えるのも大切なんだ。

だって、“いつ伝えられなくなるか”なんて誰にも分からないのだから。

 

「貴方は本当にずるい人です」

 

「それでも、君が選んだ人でしょ? 私が君を選んだように」

 

「もう、ヴェリウスったら」

 

先程とは打って変わってその場は和やかな雰囲気に包まれる。

二人は共に穏やかな微笑みを浮かべていた。

 

その後、食事を終えた私たちは部屋に戻るために席を立つ。

いつも素晴らしい食事を準備してくれる人たちにお礼を言ってその場を後にする。

 

 

 

『あの方が?』

 

『噂に違わぬ美しさ・・・』

 

『しっ、聞こえるわ! でも、本当に綺麗よね・・・』

 

『どこか憂いを帯びたあの青い瞳・・・』

 

私たちは通り過ぎた後に使用人たちが何やらひそひそと話をしている。

イマイチなんの話をしているか分からないけど、楽しそうでなによりだね。

 

 

 

 

「私は貴方がジェダイで良かったと、時々・・・というか割と頻繁に思うことがあります」

 

パドメが徐に口を開く。

その様子は怒りなどの感情が通り越して呆れたようなものだった。

 

「え? どういうこと?」

 

ジェダイに憧れを持つ子供は多いけど、その実生活は決して華やかなものではない。

それを知っている筈のパドメがこんなことを言うのは珍しい。

 

「貴方がもしジェダイでなく、“普通の人”として欲望のままに生きていたとしたら目も当てられない状況になると思っただけです。というか周りが放って置かないでしょう」

 

「よ、欲望?」

 

「貴方はもう少し自分のことを理解した方が良いのです。無自覚なところが余計に質が悪い。まあ、そこも貴方の魅力でもあるのですが・・・ゴニョゴニョ」

 

「質が悪い・・・?」

 

最後の方は良く聞こえなかったが、何となく責められている?貶されている?のは理解できた。

というか時々とんでもない単語が聞こえるのは気のせいだろうか?

 

「天然の貴方には理解が難しいと思うのでこれだけは言っておきます」

 

「て、天然? 理解が難しい・・・?」

 

「浮気は許しませんよ?」

 

「・・・・・え?」

 

予想もしなかった言葉に盛大な“間”が空き、気の抜けた声が出てしまった。

私がジェダイで良かったことと浮気にどういった関連性があるのか分からないが、彼女が何を心配しているのかは理解できた。

 

「良いですね??」

 

「は、はい!! というか—————」

 

「?」

 

「私はそんなに信用がない? 君という存在がいるのに、“そんなこと”はしないよ?」

 

至極当然な疑問だよね?

私は彼女を何よりも大切に想っている。

 

「問題は貴方ではなく周りの・・・はぁ、もういいです。言っても仕方のないことでした」

 

パドメは諦めた様子で深いため息をつく。

“もういい”と言っているけど、全然そうは見えない。

 

 

「パドメ」

 

私は向かいの位置から彼女の隣のソファーに移動する。

手を握り、彼女の目を見てしっかりと伝える。

 

「私は君を愛している。本当に、心から。それだけでは不安だというのなら、さらに愛そう。それでも足りないのなら、いつも君の傍に居よう」

 

「・・・・・」

 

「だから不安がらないで欲しい。君は私の全てなんだ」

 

「わ、私だってそうです! 貴方がいないと私は—————」

 

少しの時間、私たちは見つめ合う。

『これ以上大切なものを失いたくない』

その為に私たちは“表の世界”に身を置くことを選んだんだ。

それに、裏の世界には“彼”がいるしね。

 

「・・・ふっ」

 

「ど、どうして笑うのですか?」

 

「いや、幸せだなって思ったんだ」

 

独り言のように『本当に幸せだ』ともう一度呟き、穏やかな風が吹く湖畔に目を向ける。

初めは『自分だけ幸せになって良いのか?』と悩んだこともあったけど、今では生き残ったからこそ、生かされているからこそ幸せにならないといけないと思うんだ。

 

「ヴェリウス?」

 

「なんだい?」

 

「今日はどうしますか?」

 

「そうだなぁ・・・甘いものが食べたいかな?」

 

「ふふふっ、知人におすすめされたお店がシード(首都)にありますよ?」

 

「ホント? じゃあ決まりだね。パドメは買い物もしたいでしょ?」

 

「ええ、貴方が選んでください」

 

「勿論! でも———」

 

「?」

 

「全部似合い過ぎて決められないかも」

 

「もうヴェリウスったら、ふふふ」

 

昔は何がしたいかを問うても自分の気持ちを話してくれなかったヴェリウスだったが、今では素直に自分の気持ちを伝えてくれるようになったことにパドメは喜びを感じていた。

ヴェリウスは妻と何でもない日常を共に過ごせる、経験できることに何ものにも代えがたい幸せを感じていた。

 

 

そんな光景を密かに覗いていた侍女らが一週間苦い物しか口にできなかったとか何とか・・・・・

 

 

 

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