かつて選ばれし者と呼ばれた騎士   作:みどり色

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皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

ドラマ「アコライト」始まりましたね!
EPⅠから100年前の物語という事で、ヨーダ先生の登場を心待ちにしているみどり色です笑
簡単にセーバーを抜かない風潮?が時代の違いを感じますね。

っていうかバット・バッチ完結しちゃいましたけど、帝国抜けた某コマンダーどうなったんですか!?
最後に出て来た“奴ら”の中にいると思ったら居ないし!
ウォルフとかエコーの話もされてないので続編あると信じて待ちます。



スピンオフ 第2話 目覚め

ジオノーシスでクローン戦争が勃発し、早くも三年の月日が流れようとしていた。

銀河共和国と独立星系連合の戦いはまるで病原菌のように銀河中へと拡散し、特に銀河外縁部に存在する惑星群は戦争の影響を強く受けていた。

 

クローン戦争終結間際に発生したコルサントの戦い。

表向きにはシーヴ・パルパティーン最高議長が、分離主義勢力のグリーヴァス将軍によって誘拐された事件だ。

“真の選ばれし者”と呼ばれたアナキン・スカイウォーカーをフォースの暗黒面に引き込むために、ダース・シディアスによって計画されたある意味茶番のような事件だ。

 

コルサントの戦いが起きる少し前、アナキン・スカイウォーカーを暗黒面に引き込むための計画を師であり全てを裏で操っているダース・シディアスから聞かされたドゥークーは、自らに残された時間が少ないことを悟った。

嘘と裏切りの歴史に血塗られたシスという存在。

計画通り、スカイウォーカーがシディアスの弟子となれば自らが用済みなのは明らかだった。

『二人の掟』※に従い、処分されることだろう。

※『シス卿は同時期に二人しか存在してはならない』と1000年近く受け継がれて来た掟

 

自らの死が避けられないのであれば、すべきことがいくつか残っている。

そう考えたドゥークーはシディアスに感づかれないよう行動を起こした。

いや、シディアスは知っていたのかもしれない。

ドゥークーが何か画策していると・・・

 

しかし計画も佳境に入り、今更何をしても手遅れ。

計画に支障をきたすほどのことではないと考えたのかもしれない。

しかし、その傲慢さが後悔してもしきれない結果を、長きに渡る計画を破滅に導くことになると知るのはもう少し先の話—————

 

 

 

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19BBY、かつて選ばれし者と呼ばれた騎士ヴェリウスと、シスの暗黒卿であり全てを裏で操っていたダース・シディアスの戦い・・・・・

パルパティーン最高議長によってジェダイの反乱の“事実”と銀河帝国の樹立が宣言された特別議会が開かれていた元老院議会場で始まったこの戦いは、銀河の舵取りをしていた議員達を巻き込む形で終焉を迎えた。

 

しかしクローン・トルーパーによるジェダイ抹殺の指令、オーダー66が停止されるまでの間に銀河に散らばっていたジェダイの殆どは抹殺され、コルサントに残っていたジェダイやイニシエイト達もダース・ベイダーとなったアナキン・スカイウォーカーと彼が率いる精鋭部隊第501大隊によってその殆どが虐殺された。

 

独立星系連合のトップであり分離主義評議会のメンバーらも、グリーヴァス将軍がダース・シディアスからの指令を伝えたことで惑星ムスタファーに集結、暗黒卿の弟子となったダース・ベイダーによって皆殺しにされたのだった。

 

双方とも国の舵取りをしていた指導者を失い、共和国は平和の守護者であるジェダイを、分離主義者らはバトル・ドロイドを失った。

 

銀河はかつてないほどの混沌に包まれた時代に突入し、次代の者達は国の立て直しに奔走するのだった。

 

 

 

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□18BBY(EP3から一年後)

 

<惑星コルサント ジェダイ最高評議会>

 

「外縁部を中心に海賊の勢力が拡大しており、地域住民は共和国に救援を求めています」

 

「うーむ、すぐに助けを向かわせるべきじゃの」

 

「はい、マスター。しかし私は“別件”で身動きが取れません」

 

「うむ、お主のかつての弟子に行ってもらうのが良いじゃろう」

 

「では彼女にクローン一個中隊を率いて外縁部に急ぎ向かうよう命じます」

 

長きに渡りジェダイ最高評議会が設置されていたジェダイ聖堂の一室は、かつて力のあるジェダイ・マスター達によって席が埋められていた。

しかし現在行われている会議で埋まっているのは二席のみだ。

 

「フォースと共にあれ」

 

 

 

 

「でもマスター、私も—————」

 

「お前の言いたいことも分かる・・・だが今はどこも人手不足だ」

 

トグルータの騎士は今回の任務に納得がいっていないようだった。

かつての師によってもたらされた命令に難色を示している。

 

「お前にはレックスと共に332中隊を率いて任務に就いてもらう。お前が任務を早く終わらせられれば、それだけ多くの人々を苦しみから解放できる」

 

最後に微笑みを浮かべながら『頼んだぞ』と付け加え、かつての弟子の頭に手を乗せる。

いつの間にか随分と背が伸びたものだと、少なからず感傷に浸って。

 

「はい、マスター。マスターもお気を付けて」

 

 

 

 

<惑星コルサント ヴェネター級スターデストロイヤー“トライビューナル”発着場>

 

「将軍、またご一緒できるのを光栄に思います」

 

「私もよコマンダー、貴方がいてくれて心強いわ」

 

ジェダイ騎士アソーカ・タノはクローン・コマンダーのレックスと共に、指揮する旗艦のブリッジで準備を監督していた。

 

第501軍団所属の332中隊はかつてマンダロア包囲戦で活躍した部隊だった。

惑星マンダロアで元シス卿であるモールを捕えたアソーカ達は、ジェダイ評議会にその身柄を引き渡すためについた帰路でオーダー66に巻き込まれた。

ヴェリウスによって指令が取り消されるまでの間、トライビューナル艦内で小規模な戦闘は起きたものの、被害は最小限で済んだのだった。

 

「今更ですが、ジェダイに戻られてよかったのですか?」

 

「今は混乱の時代よ・・・ジェダイの在り方も変わった。それに—————」

 

アソーカは俯き、考え込むような様子を見せる。

それを静かに見守っていたレックスは彼女が何に頭を悩ませているかを理解していた。

彼女は責任を感じているのだ。

大切な存在の喪失を、師により深く感じさせてしまったのかもしれない。

自分がいれば最悪の事態は免れたかもしれない。

かつての師に訪れた闇の責任は自分にあるのだと。

 

「将軍は喜んでおられました」

 

「え?」

 

「気恥ずかしいからか、表立って喜ぶ様子は見せませんがあのように嬉しそうな将軍を自分は初めて見ました。それに—————」

 

レックスは真っすぐとアソーカの目を見て言葉を続ける。

 

「—————我々も同じ気持ちです。アソーカ」

 

それは部下と上官という垣根に囚われない“友”としての言葉だった。

 

過ぎた過去は変えられない。

少しでも後悔しないように今を精一杯生きよう。

それでも失敗したのなら、最初から無理だったのだと共に笑い飛ばそう。

 

レックスは実際にそう口にした訳では無い。

しかしアソーカの心にはしっかりと伝わった。

 

「ありがとう、レックス」

 

 

 

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<惑星コルサント ジェダイ聖堂>

 

「目を閉じて・・・見るのではなく感じるのです。そこにフォースは在ります」

 

ジェダイ聖堂に設置された一室、そこにはジェダイ・イニシエイトと呼ばれる幼いフォース感応者達が訓練を受けていた。

訓練を指導しているのは栗色の長髪を伸ばした小柄な女性のジェダイ騎士だった。

 

そこにある人物が訪ねてくる。

その気配を感じ取ったのか彼女は訓練を一時中断する。

 

「目を開けて、みんな少し休憩にしましょう」

 

『『『こんにちはマスター・スカイウォーカー!』』』

 

突然の来訪者に気が付いたイニシエイト達は声を揃えて挨拶をする。

その姿に何かを重ねたのか一瞬だけ辛そうな表情を浮かべるが、その人物は笑顔を浮かべて応える。

 

「こんにちはみんな。ティア、邪魔してすまない」

 

「いえ、とんでもございません。何かありましたか?」

 

イニシエイト達の訓練を担当していたのは、かつてヴェリウスのパダワンだったティア・アテミスだった。

今の彼女は騎士に昇格しており、数が少なくなったジェダイの中で後進の育成という重要な役割も担っている。

 

「以前から問題に上がっていた外縁部で拡大している海賊への対応にアソーカが向かった」

 

「そうですか・・・彼女の無事を祈りましょう」

 

クローン戦争中、ティアはアソーカと共に多くの任務を共にした。

彼女がジェダイ・オーダーから去った時はとても寂しそうにしていたのをアナキンはよく覚えている。

今も彼女はアソーカの身を心から気にかけている。

 

「アソーカなら心配ない。あのモールですら捕らえたんだ。海賊なんかに遅れは取らないさ」

 

アナキンはティアを安心させようと言葉を掛ける。

それは彼女を安心させるために口にした言葉だが、アナキンの本心から来る言葉だった。

勿論、全く心配していない訳ではないがそれは親が子供も心配する感情と同じだ。

自身の手を離れたと言っても、教え子のことはいつまで経っても心配なものだ。

弟子離れできないのは師の方なのだろう。

 

「それで・・・“彼”から連絡は?」

 

アナキンは言いだし難そうに言葉を続ける。

ティアはこの話題が本題なのだと察した。

 

「マスターからは何も・・・・・」

 

「そうか」

 

ヴェリウスが旅立ってから早くも一年、あれから何も連絡はなかった。

彼は知りたいと言った・・・フォースの意思が何なのかを。

そして贖罪の旅でもあると語り、一人で去って行ったのだ。

 

「ヴェリウス、貴方の力が必要なんだ・・・」

 

アナキンは部屋の窓から夕陽に目を向けながらそう口にする。

同様にティアも沈みゆく太陽に視線を移す。

そうする事でその姿を、彼の存在を感じる事が出来るとでも言うかのように。

 

 

 

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<銀河外縁部 惑星カリーナ>

 

『英雄だ!』

『救世主様!』

『結婚して!』

『まるで神話の存在だ!』

 

「いやぁ、はははは・・・・・」

 

その頃、ヴェリウスは銀河外縁部に存在する惑星カリーナ※にいた。

この惑星はハイパースペース航路において重要な拠点になる場所に存在していた為、外縁部を中心に拡大している海賊たちのターゲットになっていたのだ。

※筆者がテキトーに作った惑星

 

ヴェリウスはたまたま海賊たちによって封鎖されているこの惑星を発見し、正義感の強い彼は見過ごせるわけもなく単身カリーナに乗り込んだのだ。

そして瞬く間に海賊たちから住民を救い今に至るのだ。

 

ヴェリウスは住民たちの包囲を何とか突破すると、拘束している海賊たちの下へとやって来た。

 

「いやアンタすげーよ! 恐れ入った! 武器も使わずたった一人で俺達を負かしちまうなんてよ!」

 

海賊を率いていたウィークウェイの男性が声を掛けてくる。

つかみどころが無い人物だな。

 

「あなた方はどうしてこの星を?」

 

「そんなの決まってるだろ! 儲かるからさ! 俺達は海賊、稼ぐのが仕事さ!」

 

海賊って職業なの?

でもそれでご飯を食べているなら仕事とも言えなくもない・・・のかな?

 

「それで、海賊さん。誰の指示でこの星を?」

 

「ボスはこの俺、ホンドー・オナカー様さ! 俺様に命令できるのは俺様だけだ!」

 

縛られたまま声高らかにそう宣言する。

こういう状況に慣れているのかな?

 

「初めましてホンドーさん、それで何度もお聞きして申し訳ないですが誰の指示でこの星を狙ったのですか?」

 

「旦那もしつこい人だな。どうしてそんなこと聞くんだ?」

 

ヴェリウスは銀河外縁部で拡大する海賊たちの裏には大きな存在が絡んでいるとみていた。彼は既にいくつかの海賊たちと戦い、ある程度統制された組織的な動きを感じていたのだ。

 

「私はただ・・・この銀河が平和になって欲しいだけです」

 

ヴェリウスは少し俯きながらそう口にする。

その様子をホンドーは興味深そうに観察する。

 

「・・・旦那、ジェダイだろ? なんでジェダイが一人でこんな所にいるんだ?」

 

ヴェリウスはその問いに答えない。

彼はどう答えれば良いのか分からなかった。

銀河の舵取りをしていた指導者がいなくなり、今は混乱の時代だ。

本来であれば国の立て直しに尽力するべきなのだろうが、彼は自分の我が儘でこの広い宇宙を旅している。

本当に存在するかも分からないフォースの意思を探し、これまでの罪を償うための贖罪の旅・・・

彼は自身が取った行動が本当に正しかったのか悩んでいるのだ。

 

「・・・とにかく、あなた方の身柄は共和国に引き渡します。もう悪い事はしないで下さいね」

 

「そりゃないぜ!? 俺とアンタの仲じゃねーか! ここは穏便に話し合いで解決するべきだろ?」

 

 

ヴェリウスはその声を背中に受けながらも歩き続ける。

『話し合いで解決できるなら、どうして銀河から戦いが無くならないんだ』

そう言いかけたが、寸の所で口を紡ぐ。

こんな疑問を彼に投げかけても意味の無い事だと考えたのだ。

 

 

 

 

<カリーナ城 謁見の間>

 

ホンドー・オナカーの尋問を終わらせたヴェリウスは、この星の首都に存在するカリーナ城に足を運んでいた。

 

「陛下、お招きいただき光栄です」

 

「面を上げて下さい。国の英雄には不要なことです」

 

カリーナは王政を敷いている惑星だった。

前国王が早くに死去し、現在はその妻である女王が国のトップの座にいた。

ヴェリウスは女王の前で跪いていたが、女王はその行為を不要だと口にする。

 

「国の危機を救って頂いたことに、改めて感謝の意を」

 

女王はそう口にするとその場に立ち上がり、頭を下げて礼の意を示す。

ヴェリウスも女王と同様に頭を下げる。

彼のその立ち振る舞いを見た女王は少し驚くような表情を浮かべる。

 

「失礼を承知で伺いますが、貴方はどこか高位の家柄の出なのですか?」

 

「いえ、そんな事は・・・ございません」

 

彼は孤児であり、生まれてすぐにジェダイ聖堂の前でドゥークーに保護されたのだ。

自身の出自や家柄については知る由もなかった。

しかし現在はセレノーの伯爵位に就いている為、あながち間違いではない事も影響してヴェリウスは若干ハッキリとしない様子で答える。

 

『ふふふ、お隠しにならなくてもよろしいのに』と女王は何か察するような態度を取り、貴方の秘密は誰にも漏らしませんと付け加える。

女王はヴェリウスの態度を完全に勘違いをしていた。

彼は何か理由があって身分を明かせないのだと。

 

「それでヴェリウス様、先程の話は考えて頂けましたか?」

 

「いえ、それは・・・」

 

女王の話とは、端的に言えば“救国の英雄であるヴェリウスに自分の娘を貰って欲しい”というものだった。

 

「夫に早くに先立たれ、私が王位を継ぎましたが娘である王女は気に入った殿方がおらず・・・跡継ぎを生むのも立派な王族の役目だと話してはいるのですが」

 

元々病弱だった前国王は後継ぎとなる娘を彼女との間に儲けてすぐに亡くなったという。

若くして夫を亡くし、この国を支えてきたことに彼女の苦労が伺える。

 

そんな苦労人の女王だが、それを感じさせない人としての強さがある。

だが“これは困った”とでも言いたげな様子で首を傾げるのはやめて欲しい。

絶対本気では困っていないですよね?

いたずらっ子のように私が困っている様子を見て楽しんでいる節があった。

 

「王女もまだまだ幼いとお察しします。まだご自身が結婚するというのは想像が難しいのでしょう」

 

カリーナ女王の年齢は容姿から判断しても20代前半だ。

結婚が早かったと仮定しても娘である王女はまだ10歳にもなっていないだろう。

そんな年齢で夫となるべき人を決め、跡継ぎのことまで考えるというのは難しいと想像に難くない。

私は年齢を言い訳に何とかこの場をやり過ごそうと考えた。

 

「あら、そんな事はありません。娘ももう16、私が夫と一緒になったのと同じ年頃ですわ」

 

・・・え?

王女が16?

 

「ご、ご冗談を。どう見ても陛下は20代前半、16歳になるお子様がいるとは到底思えません」

 

「あら、嬉しいことを言って下さるのね。私は15で結婚して、16で娘を出産しましたのよ」

 

「・・・?」

 

という事は陛下は現在32歳ということになる。

私は改めて女王の姿を確認する。

 

名をエメラド・アン・カリーナ。

カリーナ王族家の特徴なのか一番目を引くのはその銀色に輝く髪と瞳だ。

その美しい容姿と白い肌も相まって、男女関係なく見る者の心を掴んで離さないだろう。

どう考えても16歳の娘がいるようには見えない。

 

女王は私の慌てた様子を見てニコニコしている。

もしかして慣れているやり取りなのだろうか?

 

「とにかく娘にお会いするだけでも」

 

そう言うと、女王は私の返事も聞かずに王女をここに呼ぶよう指示を出している。

私は女王に挨拶を済まして、すぐにこの惑星から去るつもりだったのだが・・・

何だか話がどんどんおかしな方向に進んでいるように思えてならない。

 

「・・・私は29になります。王女も年の離れた相手と言うのは遠慮したいはずです」

 

「あら、私が当時15だった時、夫は40でしたのよ。それと比べれば同世代と言っても差し支えない年齢差ですわ」

 

そんな会話を続けていると、遠くから誰かの話し声が聞こえてくる。

どうやら若い女性の声で、扉の向こうだと言うのにその内容まで耳に入ってくる。

 

『またお母様が結婚相手を連れて来たですって!? 私は何度も申し上げておりますのに! 見ず知らずの男性と結婚などする気は無いと!』

 

『そうは仰いますが陛下はこの国とラピス様の事を心から—————』

 

『国を想っているというのなら自分が子を生(な)せばよろしいのですわ! 母はまだ32でしょう? まだまだ現役ですわ』

 

・・・聞いているこちらが恥ずかしくなるような会話がハッキリと聞こえてくる。

何が現役なのかは聞きたくも無いし本当に今すぐ帰りたい。

その時、謁見の間に続く扉が開かれエメラドにとてもよく似た少女が現れる。

 

「お母様! 私は何度も申し上げたはずですわ! 結婚と言うのはお互いに・・・想い・・・合った・・・・・」

 

恐らくこの方が女王の娘なのだろう。

エメラドと同じ銀色の髪と瞳、色白の肌に整った容姿を見れば肉親だと直ぐに理解した。

・・・やっぱり姉妹と言った方が近いな。

どう考えても親子には見えない。

 

「あらあらラピス、どうして固まっているのかしら?」

 

ふふふ、と上品に笑いながらエメラドは娘に声を掛ける。

女王の言う通り、ラピスと呼ばれた少女はここにやって来てから固まって動かなくなってしまった。

それよりも女王が楽しそうにしているのは何故なのだろうか?

暫く固まっていたラピスは急にハッと意識を取り戻し、母である王女の下へと駆け出した。

 

『お、お、お、おか、おか、お母様!! あ・・・ああ・・あああのあのあのお方は!?』

 

「あら、あなたの未来の旦那様にどうかと思っていたのですけど、どうやら不要の様ですわね。確かに結婚はお互いに想い合っているに越したことは無いですし・・・あなたの言う通り、この私が貰ってしまおうかしら? 聞くところによる私の方が年齢が近いようですし—————」

 

『ね? ヴェリウス様?』と笑顔で言葉を続けるエメラルド。

真面目に言っているのか、冗談を言っているのか中々読みにくいお方だ・・・

 

 

 

 

何とか女王らの包囲網を突破したヴェリウスは、専用機であるイータ2アクティス級軽インターセプターへと戻って来ていた。

このインターセプターは装甲にナブー・ロイヤル・スター・シップと同じクロミウムが使用されているのに加え、エンジンも大型化されたツイン・イオン・エンジンが搭載されている。

加えてヴェリウス自身の手によってハイパー・ドライブ発生装置が搭載されており、超高速での移動を可能にしていた。

軽インターセプターであるオリジナルよりもかなり大型化されているが、その分火力や防御性能が格段に向上している。

 

「R2、ジェダイ評議会に通信を繋げて」

 

「~~~♪」

 

「・・・何か嫌な予感がする」

 

 

 

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<銀河外縁部 惑星セレノー>

 

ジェダイ・マスターであり、ジェダイ最高評議会にも籍を置くアナキン・スカイウォーカーは単身ドゥークー伯爵の生まれ故郷を訪れていた。

銀河外縁部でも地政学的に優れた位置に存在するセレノーが海賊たちの標的になる懸念や、単純にドゥークーの財宝を狙ってくる輩もいるという噂を耳にした。

彼の任務は多数存在したが、もしかすればヴェリウスと再会できるかもしれないという思いもあった。

彼はドゥークーから伯爵位を継いでおり、セレノーを統治する権利を得ている。

正式なセレノー家の人間ではないが、そもそもドゥークーが死んだ時点で直系は断絶している。

誰かも分からない人間が継ぐよりも、先代が決めた人間が引き継ぐ方が良いのだろう。

“隠し子”だったなど理由はいくらでも後から付けられるのだろうな。

 

「・・・これは」

 

アナキンは上空から街の様子を確認するがそれは悲惨な状態だった。

建物の多くが破壊されており、廃墟のようになっていた。

彼は自身の専用機であるイータ2アクティス級軽インターセプターを旋回させると、街から少し離れた森林地帯にファイターを着陸させる。

 

「R4、僕から離れるなよ」

 

「~~~♪」

 

このアストロメク・ドロイドはR4-G9、クローン戦争時代にジェダイ・マスターとして名声を高めていたオビ=ワン・ケノービに仕えていたドロイドだ。

オーダー66によって主人を亡くしたドロイドは多い。

惑星ウータパウでグリーヴァス将軍を発見したオビ=ワン・ケノービは、副官であるコマンダー・コーディーの下にR4-G9を向かわせた。

彼女はオビ=ワンからの命令を確実に果たしたが、その後主人に再会する事は叶わなかった。

命令を遂行し、ヴェネター級スターデストロイヤー<ヴィジランス>で待機している最中にオーダー66が発令されたのだ。

 

 

 

 

首都に入ったアナキンとR4だったが、生存者を発見する事はできなかった。

上空からは分からなかったが首都の高台にそびえ立つセレノー城も荒らされているようだった。

 

「海賊たちの仕業か・・・」

 

既に海賊たちの姿は無く、立ち去った後だった。

建物の破損状態を見る限り、船による砲撃を受けたのだろう。

共和国の介入を恐れた海賊たちは手段を選ばず短時間で金目の物を運び出すことを優先したようだ。

 

 

 

 

<セレノー城>

 

インターセプターに戻り、そのままセレノー城のドックに降り立ったアナキンらは城の中にいた。

 

「ここも荒らされているな・・・R4、センサーに生命反応は?」

 

「~~~♪」

 

「地下?」

 

R4によると、城のずっと地下に小さいが生命反応が確認できるらしい。

海賊たちから身を隠していたのかもしれないと考えたアナキンは急ぎ地下への道を探すのだった。

 

 

 

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<惑星コルサント ジェダイ最高評議会>

 

決して大きくはないこの議会場も、席が埋まっていないと妙に広く感じるのは気のせいではないだろう。

議会でグランドマスターを務めているヨーダはただ一人、静かに目を閉じていた。

その場は静かだった・・・静か過ぎる程に。

無音と言ってもいいこの空間は、寧ろ人の心を惑わす。

しかし、この心を乱す程の静寂を破ったのは彼にとって意外な人物だった。

 

『マスター、お久しぶりです』

 

「うむ、お主から連絡が来るとは意外だったの」

 

『長い間ご連絡もせず、申し訳ございませんでした』

 

「お主の事じゃ、何か理由があったのじゃろ」

 

“皆も喜ぶ”とジェダイ評議会のグランドマスターであるヨーダは静かに笑っている。

しかしヴェリウスの様子はヨーダとは対照的だった。

 

『何か嫌な予感がします。銀河に・・・再び“何か”が』

 

「うーむ、それは——————」

 

“海賊たちのことだけではないのです”とヴェリウスは言葉を続ける。

ヴェリウスが人の言葉を遮るというのは珍しいことだった。

常に冷静で、子供の頃からジェダイ・マスター顔負けの思慮深さを見せていた彼らしからぬ様子と言ってもいい。

 

「—————マスター・スカイウォーカーから、外縁部を中心に海賊の動きが活発化していると報告を受けておる。その対処にはアソーカとクローンを向かわせた」

 

『アソーカがオーダーに? ・・・・・聞かねばならぬ話がまだまだありそうですね』

 

ヴェリウスはクローン戦争終結と共に姿を消した。

アナキンのかつての弟子であるアソーカ・タノがオーダーに戻っているという事を知らなくても無理はない。

『それで、アナキンは?』とヴェリウスは言葉を続ける。

 

「彼には身を隠しているジェダイの生き残りを探す任務を与えておる」

 

『そう・・・ですか』

 

アナキンに与えられた任務は非常に辛いものだろう。

しかし彼はそれを自らの役割だと決して他者には譲らなかった。

それが自らの罪と向き合う方法であり、贖罪だとでも言うように。

 

『その彼は今どこに?』

 

「アナキンは—————」

 

 

 

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<セレノー城 地下>

 

「やめろ! 僕は戦いに来たわけじゃない!」

 

「・・・侵入者は誰であろうと排除します」

 

地下への道を発見したアナキンは、そこで謎の人物から攻撃を受けていた。

服装からしてこの城の使用人のようだが、その身のこなしはただの使用人のものではなかった。

身体中に隠し持った投擲用ナイフで侵入者であるアナキンの命を刈り取る為に全力を尽くしていた。

 

まるで訓練場のような円形の空間で若いセレニアンの女性は絶えず動き続けていた。

様々な角度で投擲される小型のナイフは、一般人であれば一瞬でその命を落としていただろう。

しかし相手はジェダイ・マスターの称号を授けられるほどの実力の持ち主だった。

当代最高レベルの実力を誇るアナキンは、フォースによる先読みで投擲されるナイフを次々に避けていく。

 

実力の差は明らかだったが、セレニアンの女性は諦めなかった。

しかし彼女が必死になればなるほど、“何かある”と言っているようなものだった。

アナキンは投げられるナイフを避けながら彼女の下へと接近していき、最後にライトセーバーを起動してその青色に光る光剣を突きつける。

 

「そこまでだ。僕は君を傷つけたい訳じゃない」

 

「・・・ジェダイ?」

 

アナキンの持つライトセーバーを確認すると、警戒しながらもその手に持つナイフを足元へと放棄する。

 

「海賊ではない・・・? ジェダイがこの城にどのような御用でしょうか?」

 

「外縁部で活発化している海賊への対処で訪れた。それと—————」

 

「?」

 

「—————“ある人”を・・・探している」

 

アナキンはライトセーバーを格納しながらそう口にする。

アナキンの様子に何か事情がある事を察した使用人だったが、彼の力にはなれないだろうと思った。

 

「・・・この城には暫く誰も来ておりません」

 

『海賊を除いて』と使用人は付け加える。

その言葉に肩を落とすアナキンだったが、何となくそうだろうとは察していた。

この惨状を目にすれば、ヴェリウスが何の手も打たない訳はないと考えたからだ。

 

「そうか・・・」

 

「その方はこのセレノーとどういったご関係が?」

 

「先代の伯爵であるドゥークーから正式に爵位を継いだ人物だ。その名を・・・ヴェリウス」

 

「!?」

 

アナキンの言葉を受け、使用人には明らかな動揺が見て取れた。

間違いなくこの使用人はヴェリウスの事を知っている。

そう確信した。

 

「ヴェリウスを知っているのか!? 頼む、教えてくれ・・・彼が今どこにいるのか!」

 

使用人は少しの沈黙の後、徐に口を開く。

 

「・・・私はその方にお会いしたことはありません。どうぞお引き取り下さい」

 

それだけ口にすると、使用人はアナキンの言葉を待たずして歩き出す。

しかしアナキンは彼女の後ろ姿に言葉を続ける。

 

「待ってくれ! 何か知っているなら教えてくれ!」

 

その言葉を受けても彼女は歩き続ける。

間違いなくこの使用人は何か秘密を知っている。

そう考えたアナキンは手段を選ばない。

 

【君は秘密を教える】

 

アナキンは手を胸の前で振り、使用人に向けてフォースを用いる。

フォースによるマインド・トリックを使って使用人から情報を引き出そうとしたのだ。

しかし彼女は精神を強く保つ事でその命令に逆らう。

 

【言うんだ!】

 

抵抗する使用人に対して、用いるフォースを強化する。

それは最早マインド・トリックなどと生易しいものではなかった。

アナキンはさらに強制力の強い精神探査を無意識に用いる。

マインド・プローブは対象者に苦痛や不快感をもたらす侵略的な技術だったが、より確実に情報を引き出すことが可能だった。

 

フォースを通して、アナキンの中に使用人のイメージが流入する。

仮面の男、ドゥークー、地下に存在するバクタ・タンクなど断片的な情報が流れてくる。

 

それを確認するとアナキンは使用人をその場に残して歩き出す。

 

「・・・お、お待ち下さい!」

 

使用人は痛みが残る身体を何とか支えながら声を荒げる。

しかしアナキンは止まらない。

さらに下へと続く隠された通路に向かって歩みを進める。

 

 

 

 

そこは上階の訓練場と同じくらいの広さの空間が広がっていた。

人の目から隠されるように存在するその部屋が異様なのは、そこに存在するのがバクタ・タンク1台だけということだった。

 

アナキンはバクタ・タンクに向かって行く。

その一歩ごとに彼の心臓の鼓動が早くなる。

 

そのタンクの中には、アナキンのよく知る人物がいた。

いや、探し求めていた人物だと言うべきだろう。

 

「ヴェリウス・・・!」

 

その整った顔立ちと、美しい長髪は一度見れば忘れる事は無い。

見間違う筈はない。

長年兄と慕い、目標にしていた人物。

闇に堕ち、多くのジェダイ、友人(オビ=ワン)を殺した自分を最後まで見捨てなかった人が目の前に居る。

 

「お待ちください! この方は・・・!」

 

「君は僕を騙していた! ヴェリウスはここにいる!」

 

「・・・え?」

 

使用人は全く予想もしなかった言葉を耳にして固まってしまう。

その間にアナキンはバクタ・タンクを管理している計器を確認する。

バイタルは安定しており、タンクから出しても問題のない状態だった。

 

「ヴェリウス、今お出しします」

 

アナキンがタンクに充填されたバクタ溶液を排出する。

そこから現れたのは彼のよく知る人物だった。

自ら呼吸器を外し、咳込んでいるヴェリウスの下にアナキンが駆け寄る。

 

「もう大丈夫です。ゆっくりと呼吸してください」

 

アナキンは彼に肩を貸す。

その接触でヴェリウスが閉じていた瞳を開け、アナキンの事を目視する。

すると一瞬の間に強力なフォースでアナキンは壁まで吹き飛ばされてしまった。

 

アナキンは身体を襲った衝撃で強制的に肺から空気が押し出されてしまう。

しかし彼は呼吸もままならない状態でも何が起きたのかを確認する。

そこには未だ咳込んでいるヴェリウスに駆け寄る先程の使用人の姿があった。

 

「ゼロ様、どうぞノアの肩に!」

 

「はあ、はあ、ノアか? ・・・あの者は?」

 

「ジェダイに御座います」

 

「ジェダイ・・・だと?」

 

ゼロは自らの世話係であるノア・デラ=セールからもたらされた情報に目の色を変える。

その存在を討ち滅ぼす為に、この世に生を受けてからずっと訓練をして来た。

今この瞬間、目の前にその存在がいる。

その事実にハッキリとしない意識の中、ゼロはその場に立ち上がる。

 

「ゼロ様! ご無理をなさらずに!」

 

「ジェダイがいると言うのにお前は何をやっていた? この場所にまで侵入を許すとは・・・ティラナス卿は?」

 

「いえ、それは・・・・・」

 

ゼロから向けられる言葉に動揺を隠せないノア。

彼は知らないのだ。

既にドゥークーがこの世に存在しないという事を。

 

「ヴェリウス、僕です・・・アナキンです。お分かりになりますか?」

 

アナキンは何とか息を整えてその場に立ち上がる。

その言葉に対してゼロは意識を向ける。

 

「ヴェリウスだと? お前には聞かねばならぬ事があるようだ」

 

そう口にするとゼロはアナキンに向けてフォースを繰り出す。

宙に浮かばせ、ゆっくりと自らの下まで引き寄せる。

 

突然の攻撃と、目覚めたばかりとは思えない程の強力なフォースにされるがままのアナキンは苦しみに顔を歪める。

 

 

 

【“ヴェリウス”とは何者だ?】

 




はい、お疲れ様でした。
ゼロさん、まさかのヴェリウスのソックリさんという事実・・・
続きも是非お待ちください。

っていうか、スピンオフ作品は短くしようと考えていたのに長くなりそうで暗黒面に堕ちそうです・・・
ダレカ、タスケテ

それではまた近いうち・・・・・
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