かつて選ばれし者と呼ばれた騎士   作:みどり色

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はい、お疲れ様です。
みどり色です。

ようやく更新できました・・・
誰か褒めて?
え?
キモイ?
すまぬ・・・



EPⅡ
第2話 護衛


<22BBY 惑星コルサント:ジェダイ最高評議会>

 

「以上がアンシオンでの国境紛争についてのご報告になります」

 

私はミッド・リムに存在する無名の惑星であるアンシオンで起きた国境紛争についての出来事をジェダイ評議会に報告した。

最近は特にこういった問題が多い。

数千に上る恒星が銀河共和国から離脱し、ある一派を中心に分離主義運動を行っている。

銀河はかつてないほど不安定なものとなっていた。

 

「ご苦労だったヴェリウス」

 

そう労いの言葉を掛けてくるのはマスター・メイス・ウィンドゥだ。

彼の言葉に私は礼で答える。

 

「各地で分離主義派の活動が活発になっています。 早急に手を打たなければ、銀河は更なる混乱の渦へと入る事になるでしょう」

 

「・・・うーむ、フォースの暗黒面が広がっておる。未来を予測することは難しい」

 

私の言葉に、マスター・ヨーダはフォースの暗黒面によって未来を見通す力が弱まっていると語る。

 

何も暗黒面の力が強くなったのはここ最近の話ではない。

10年前(EP1)の事件を皮切りに、日に日にその力は大きくなっている。

いや、それ以前から感じていた違和感は暗黒面の力が育っていたのが理由だったのだと今ならわかる。

彼らはジェダイの中でも最高位の地位にありながら、この違和感を感じていなかったのだろうか?

それとも分かっていて放置していたのか?

瞑想も大切だが、実際に動かなければ分からない事は多い。

銀河中で起きている分離主義運動がその証拠だ。

今の共和国に不満を持つものは多い。

さらに悪い方向へと進んでいるように思ってならない。

 

「元老院では軍の創設について大いに揉めている」

 

「その投票のために各地から元老院議員が集まっている」

 

そう話すのはマスター・ムンディとマスター・ウィンドゥだ。

これ以上、投票を延期する事は不可能だろう。

事実、このまま共和国から離脱する星系が増えていけばジェダイだけで治安を維持するのは難しいだろう。

 

「うーむ、その事で最高議長との話し合いの場が設けられる。 其方も同行するが良い」

 

 

 

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<銀河元老院最高議長室>

 

「共和国からの離脱組は増える一方だ・・・これ以上の投票延期は難しいだろう。 1000年の歴史を誇る共和国を2つに割く事はどうあっても避けたい」

 

「話し合いが付かなければジェダイだけで共和国を守ることはできません。 ジェダイは兵士ではないのです」

 

話し合いで解決したいという考えのシーヴ・パルパティーンだが、それが難しいことは彼自身よく分かっていることだろう。

マスター・ウィンドゥも、ジェダイにそこまでの力が無いという事を議長に示す。

その時、ある惑星の元老院議員の一行が入室してくる。

その一行に歩み寄るのはマスター・ヨーダだ。

 

「アミダラ議員、発着場でのことは聞いた、恐ろしい。 だが無事のお姿を見てほっとしておるよ」

 

彼女はコルサントの発着場で暗殺されかけたのだ。

怪我なども無いようで安心した。

 

「ありがとうマスター・ヨーダ。 背後には誰がいると思われますか?」

 

その質問にマスター・ウィンドゥがナブーの月のスパイス掘りだという情報があると答えるが、彼女は納得がいかないようだった。

 

「・・・私はドゥークー伯爵ではないかと」

 

彼女は私の方に視線を向ける。

その視線は申し訳なさと、気遣いの心が感じられる。

彼女の言葉に私の心は少しのざわめきを覚えた。

しかし、周りにそれが悟られないように私は心を穏やかに保つ。

 

「彼は理想主義者ですが、殺し屋ではない」

 

「それに彼も元はジェダイの騎士でした。 暗殺と言う手段は彼らしくない」

 

そう話すのはマスター・ムンディとマスター・ウィンドゥだ。

その時、私の中に10年前のある場面が蘇る。

 

『私を襲ったのはシスの暗黒卿です。 間違いありません』

 

『それは無い。シスは1000年も前に滅びた』

 

マスター・クワイ=ガンが殺されたあの事件、あの時に評議会がマスター・クワイ=ガンの言葉をもっと真剣に聞いていれば、何か策を打っていればあのような忌まわしい出来事は避けられたように感じてならない。

その10年前と重なるような、何か悪い予感がするのは私だけなのか?

私の考え過ぎなのだろうか?

 

「確かなことはの、其方の身に大きな危険が迫っているという事じゃ」

 

ヨーダの言葉に続くように、最高議長は彼女をジェダイ評議会の保護下に置くことを提案する。

アミダラ議員はその提案を大げさなものと考えたようで、それ程事態は切迫していないと言う。

 

「切迫していないかね? 私はそうは思わない。 これ以上警備を強化するのは貴女にとって窮屈なだけかもしれないが・・・貴女にとって近しい、親しいものではどうかね?」

 

「良い案です。 ちょうど彼(ヴェリウス)がアンシオンの国境紛争から戻ったばかりです。 それにマスター・ケノービも先ほどコルサントへと到着したとの連絡が入りました」

 

マスター・ウィンドゥがそう言いながら、私の方に視線を向ける。

彼の言葉に最高議長は嬉しそうな笑みを浮かべる。

 

「マスター・ヴェリウスが警備に付いてくれるなら心強い。 旧知の仲だ、アミダラ議員も彼らなら納得してくれると思うが?」

 

彼女は私の方に視線を向け、目が合うとすぐにその視線を逸らす。

・・・?

何か気に障るような事をしただろうか?

 

「・・・分かりました」

 

 

 

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「ですがアミダラ議員!」

 

「大丈夫ですタイフォ、優秀な護衛が付いています。 それに積もる話もありますので」

 

アミダラ議員一行がコルサントでの滞在先のドッグに到着すると、彼女は少し歩きたいと言った。

暗殺されかけてまだ数時間しか経っていないというのに呑気なお方だ。

護衛の責任者であるキャプテン・タイフォの日頃からの苦労が容易に想像できる。

 

だが確かに、ここにはちょっとした広さのプライベート用庭園が設置されており、散歩するにはちょうど良いかもしれない。

金持ちや要人が利用する場所という事もあり、外界とも切り離されている。

気が詰まる生活に加えて、先の事件の事もある。

彼女も気分転換をしたいのだろう。

 

「キャプテン・タイフォ、この施設内だけなら問題は無いでしょう。 私が傍に付いておりますのでご安心ください」

 

「・・・分かりました。 しかし、あまり遅くならないように」

 

「ええ、ありがとうタイフォ」

 

そう言うと、キャプテン・タイフォは部下や使用人を引き連れて滞在先へと歩き出す。

いつまでこの任が続くかは分からないが、護衛を煩わしく思われては任務に支障をきたす。

少しでも彼女の不満や不安を取り除くことも任務に含まれるはずだ。

 

「・・・それでは行きましょうか」

 

タイフォらの姿が消えると、彼女はこちらを見ずに私へ声を掛ける。

先に歩き出した彼女に続くように、私も後に続く。

 

だがどうしてだか、気分転換どころか彼女からは不満などのマイナスな感情が感じ取れる。

これでは危険を冒してまで散歩をしている意味がない。

元老院議員という立場上、心労が絶えないのだろうか?

私は彼女の苦労を勝手に想像し、納得する。

少しでも気分転換が出来る機会を増やして差し上げるのが良いだろう。

彼女の気分転換の邪魔にならないように、だが不測事態に対応できるような距離で彼女に追従する。

 

「・・・どうして離れて付いてくるのですか?」

 

どういう意味だ?

 

「せっかくの議員の気分転換の機会をお邪魔しないようにと—————」

 

「—————邪魔などにはなりません」

 

彼女は信じられないという感情が籠ったような、呆れたような顔を浮かべながらそう言う。

どうも私は彼女に対して気に障るような事をしてしまっているようだ。

全く心当たりはないが、彼女の感情からは良いものを感じ取れない。

 

「大変申し訳ございません。 議員のお気持ちを害するような事を—————」

 

「そんな事はしておりません。 どうして謝るのですか?」

 

私は久しぶりに再会した彼女から、この時まで不満のような感情を向けられていると思っていたことを相手を傷つけないよう細心の注意を払いながら正直に話した。

 

「そんな風に思っていたのですね・・・貴方の見当違いです。 私は先程申し上げたでしょう? 『積もる話もあるから』と」

 

それは護衛であるタイフォへの言い訳だと思っていた・・・。

私に対して終始不機嫌な彼女が、まさか私と話をしたいなどと思っているとは考えもしなかった。

 

「申し訳ありません」

 

全て自分の勘違いだと分かった私は、彼女の隣に立って誠意が伝わるようにしっかりと目を見て謝罪をする。

 

「・・・良いのです」

 

彼女はすぐに目を逸らし、再び歩き出す。

どうもすれ違いがあるように感じてならない。

 

彼女とはオビ=ワン、アナキンと共に10年前(EP1)の事件で共に戦った仲だ。

当時ナブーの女王だった彼女は危険を顧みず自ら進んで最前線に立ち、民を、国を救った。

当時の任務でも護衛を務めていたこと、そして年齢が近い事もあり彼女とは会話の機会も多かった。

 

だが、どうやら10年の月日が2人の関係の溝を深め、広げてしまったようだ。

一国の女王とパダワン見習いだった私たちは当時、十代半ばだった。

立場の違いはあったが、まだまだ子供だったこともあり気兼ねなく話せていたが・・・

 

10年経った現在、片や元老院議員、片やジェダイの騎士だ。

それに2人とも年齢だけで見ても立派な大人だ。

 

状況も違えば立場も違う。

すれ違いが出て来ても仕方のないことかもしれない。

 

「議員、私は以前(10年前)までとはいかなくても、貴女とは良好な関係を保っていきたいと考えております」

 

「それは護衛として? ジェダイの騎士として? それともヴェリウス個人としてかしら?」

 

「・・・それはどういう意味でしょうか?」

 

「・・・もう良いです」

 

この人はこんなにも感情的な人物だっただろうか?

美しい容姿と深い知識、決断力と勇気ある行動力によって民衆からの支持が高い。

それは選挙制度を敷いているナブーにおいて、僅か14歳で女王に即位した事実もそれを裏付けている。

さらに国民は法律を改定してまで彼女に女王を続けて欲しいとまで願ったが、彼女は任期を満了し、後任の女王の要請で元老院議員となった。

 

今でも彼女の人気は非常に高い。

そんな彼女がどうしたというのだろうか?

 

「議員、何か悩みがあるのでしたらお力になれるか分かりませんが私にお話しください。これも護衛の責務です」

 

「・・・いえ結構ですマスター・ジェダイ」

 

『信じられない』というような表情を浮かべて、彼女は部屋に戻るために歩き出した。

何を間違えてしまったのかは分からないが、彼女を呆れさせ、怒らせてしまったのはライトセーバーが発生させるプラズマの刃を見るよりも明らかだった。

 

 

 

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<アミダラ議員滞在先一室>

 

アミダラ議員の護衛の任に就く私は、同じく護衛の任務を与えられたオビ=ワンとアナキンの到着を待っていた。

と言っても、彼らが来ようと来まいが私の任務は変わらない。

だが人手が多いに越したことは無い。

護衛と言うのは信じられない程、警戒すべきことが多いのだ。

 

「それでね、パドメにミー言ったの!」

 

ん?

このフロアに2つの気配が近づいてくる。

身体に感じるフォースの流れからしても、オビ=ワンとアナキンで間違いないだろう。

私は久しぶりに再会した人物に捉まっていたが、抜け出すのに良い言い訳ができた事に安堵する。

 

「ありがとうジャー・ジャー、また今度聞かせてください。 どうやら懐かしい友人が到着したようですよ?」

 

それを聞いたジャー・ジャー・ビンクスは、顔に笑顔を浮かべながらこのフロアのエレベーターに向かう。

 

『オビ? オビ~! お久しぶり! また会えて嬉しいよ!』

 

『私もだよ、ジャー・ジャー』

 

懐かしい人物たちの会話が聞こえてきて不思議と顔に笑みが浮かぶ。

オビ=ワンらと会うのも本当に久しぶりだ。

 

マスター・クワイ=ガンが亡くなってからオビ=ワンは騎士に昇格し、アナキンを弟子に取った。

元々オビ=ワンの実力は評議会も認めていたこともあって、騎士昇格に関してはスムーズに行われたが、問題はアナキンについてだった。

おびただしいミディ=クロリアン数を誇った小さき少年を、パダワン見習いにするという話について評議会は反対の意見を崩さなかった。

歳を取り過ぎているというのも理由の一つであったが、決して前例がない話ではない。

 

評議会のマスター達は恐れたんだ。

アナキンの大き過ぎる力を。

 

暗黒面に繋がる“恐れ”という感情。

その感情を、私は評議員から敏感に感じ取った。

パダワン見習いだった頃に、マスターと共に様々なフォースと繋がりを持つ場所を巡っていた経験があった事も関係しているだろう。

マスター・ヨーダ本人も語っていた“暗黒面の力によって未来がよくみえない”という言葉通り、ジェダイの感覚は私たちが思っている以上に鈍化してしまっているのかもしれない。

未来に目を向ける事も大切だが、マスター・クワイガンが語っていた“今に目を向ける”という考えこそ、今の我々に必要なことだという確信が日に日に強くなる。

 

「—————?」

 

肩に手を置かれたことで、私は思考の海に沈んでいた事に気が付く。

左下を向くと、アミダラ議員が心配そうな顔を浮かべながら覗き込んでいた。

 

「大丈夫ですか、ヴェリウス?」

 

そのタイミングで、オビ=ワンらが入室してきた。

何故かアナキンは面食らったような表情を浮かべていたが、すぐさまオビ=ワンによる到着の挨拶が始まった為、その顔を見たのは私だけだったろう。

理由は後で本人に直接聞いてみる事にしよう。

この任務が終わるまで、いくらでも時間はあるだろうから。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

辺りは既に暗くなり、外には昼間と変わらない量のスピーダーが行き交うのが見える。

宇宙の中心であるこの星が眠る事はない。

私はこのフロアに設置されているテラスに出て、瞳を閉じて心を静かに保っていた。

 

「マスター・ヴェリウス、お久しぶりです」

 

そう声を掛けてきたのは、出会った頃とは見違えるほど成長したアナキン・スカイウォーカーだ。

聖堂では何度も顔を合わせているし、訓練を共にすることも多いがやはり出会った頃のイメージがどうしても私の中では大きい。

 

「アナキン、久しぶりだね! また会えて嬉しいよ。 見回りはもう良いのかい?」

 

私は笑みを浮かべてアナキンの方へと振り返る。

だが彼の表情は、あまり機嫌がよいとは言えないものだった。

アミダラ議員といい、彼といい、どうやら私は無意識に周りの人を不機嫌にすることが得意なようだ。

 

「ごめんね、アナキン」

 

私は彼の頭を撫でながら謝罪の言葉を口にする。

彼はまたもや面食らったような表情を浮かべ、私の手を払いのける。

 

「な、なぜ謝るのですか?」

 

少し頬を赤くしながらそう投げかけてくるアナキン。

表情が豊かで面白い子だ。

それは昔から変わらない事に少し安心する。

 

「私に弟がいたら、こんな感じだったのかなってね」

 

「・・・貴方といるとペースが乱されます」

 

「それは君のお師匠様も同じだと思うよ?」

 

「・・・そういう所です」

 

そういう所とは一体どういう所なのかな?

彼は私の隣に立ち、スピーダーが行き交う眠らない景色へと目を向ける。

随分と背も伸びたようだね。

彼を見ていると弟の成長を見ているようで嬉しい気持ちになる。

 

私はついアナキンの頭に手を乗せてしまう。

彼は眉をひそめたが、今度は手を払われることはなかった。

すぐに無表情に戻したつもりだろうけど、一瞬嬉しそうな表情を浮かべたのを兄は見逃さなかったよ?

 

「オビ=ワンが君の事を褒めていたよ? 優秀な弟子だってね。 でも同時に大変でもあるようだった」

 

「彼はとても良い師です。 ですが僕の力を認めようとしない! いつだって僕を子ども扱いする」

 

アナキンは自分の力を認められたいと思っている。

それは同時に、自分の能力を周りから過小評価されていると感じているということ。

 

難しい問題だね。

彼は自分だけで何でもできると考えている。

もう自分は一人前だと・・・

若さと言うのも理由ではあるのだろうが、これは何もアナキンだけの話ではない。

ジェダイ全体で、自分達の力は絶対的なものだと信じる傾向にある。

ジェダイの規律や教えが形骸化しているように感じるのは今に始まったことではない。

さらに問題なのが、多くのジェダイがそれ自体を“問題”だと思っていないところだ。

 

「君が優秀なことは皆知っているよ? でもね、パダワン見習いという立場上そこまで表立って褒める事も難しいんだ。 君が一人前だと認められるのも近いはずだよ?」

 

「貴方は僕くらいの年齢の頃には既に騎士でした」

 

「うん、そうだけど私の時とは色々事情が違うんだよ。 ・・・師も行方を眩ましてしまったしね」

 

「! 申し訳ありません」

 

彼は私を気遣うような表情を浮かべ、申し訳なさそうに謝罪する。

優しい子だね、君は何も悪くないのに。

 

「大きくなったね?」

 

「貴方に言われると複雑です」

 

再び頭を撫でながらそう口にする。

確かに身長は私の方がまだまだ高いけど、言ったのは何も背の事だけじゃないよ?

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<惑星コルサント:某所>

 

「殺したのは影武者でした」

 

顔を覆っていたマスクを外し、素顔を晒しながらそう話すのは賞金稼ぎ風の女性だ。

その相手は全身に輝く鎧を身に着けた人物で、顔もヘルメットで覆っているため直接確認する事は出来ないが、声と話し方からして男性だと思われる。

 

「今度こそ仕留めねば・・・クライアントがイラついている」

 

そう言いながら鎧の人物は、細長い円柱状のケースを女性の賞金稼ぎに手渡す。

中には無数の足を持った節足動物のような2匹の生き物が蠢いている。

 

「ほらコレを。 猛毒だ、気を付けろ」

 

彼女は無言で頷きながらそれを受け取り、自分のスピーダーに引き返す。

 

「ザム、今度はしくじるなよ?」

 

 

 

ザムと呼ばれた賞金稼ぎは、鎧の人物から受け取った円柱状のケースを浮遊型のドロイドに装着する。

それを受け取ったドロイドは、プログラムされた命令を遂行するために無数のスピーダーが飛び交うコルサントの空へと舞い上がるのだった。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<アミダラ議員滞在先>

 

私はオビ=ワン、アナキンと交代して各階フロアの巡回を行っている。

何処も警備は厳重で、そう簡単に侵入できる状況ではない。

しかし、昼間に爆薬によって暗殺計画を実行した犯人が素直に自ら侵入してくるとは考えにくい。

安全な所から効果的な手段を用いてくると考えて然るべきだ。

 

現段階では特に嫌な気配は感じない。

取り敢えず、アミダラ議員が休んでおられるフロアに戻る事にしよう。

 

 

 

 

 

『疲れているな?』

 

『最近眠れなくて』

 

『お母さんのことか?』

 

このフロアのリビングスペースから、オビ=ワン達の話し声が聞こえてくる。

別に聞き耳を立てるつもりは無いが、少し入りにくいな。

 

『どうせならパドメの夢を見たい。 彼女が身近にいると我を忘れる』

 

『気を付けろアナキン、危険な兆候だ。 ジェダイの掟に従い、破らぬように』

 

『彼は・・・マスター・ヴェリウスと彼女は—————』

 

『ん? ヴェリウスがどうしたというのだ?』

 

『—————彼とパドメはとても親密な関係に見えます』

 

え?

どういう事だ?

いつ親密に見えたのだろうか?

アナキンは勘違いをしている。

アミダラ議員は、私のことを快く思っていない。

それは今日の会話で嫌と言う程わかったことだ。

 

『どうしてそう思うんだ?』

 

『それは・・・』

 

ダメだ。

これ以上誤解させたままにしておいては、この先の任務に支障をきたす。

今すぐ誤解を解かないと大変だ。

 

「オビ=ワン、アナキン! 何か誤解をしているようだけど—————」

 

彼らの前に姿を現し、誤解を解こうとするがそのタイミングでフォースが危険を知らせてくる。

私は全身にフォースを纏い、常人には決して出すことのできないスピードでフロアを駆け抜ける。

 

『ヴェリウス!? 一体どうし—————』

 

アナキンの声を置き去りにし、アミダラ議員の部屋に飛び込む。

プライベートを気にしている場合ではない。

その部屋を確認すると、ベッドに横たわるアミダラ議員と突然の物音で起動するR2-D2。

そして窓から得体のしれない生物を解き放つドロイドを確認する。

 

私は瞬時に現場の優先順位を判断し、腰に差したライトセーバーを起動する。

瞬間的に二振りの斬撃を繰り出し、放たれた2匹の刺客を排除する。

 

そして遅れて突入してきたアナキンとオビ=ワン。

オビ=ワンはそのまま脱出しようとしているドロイドに向かって走り出し、ガラスを突き破ってドロイドにしがみ付く。

アナキンはアミダラ議員の無事を確認すると、オビ=ワンの応援のために走り出す。

 

一連の騒ぎに目を覚ますアミダラ議員、そして彼女の側近らが部屋に飛び込んでくる。

他の刺客が潜んでいる可能性を考慮して、私は議員の傍を離れない。

護衛の要であるジェダイ3人全員が、その護衛対象から離れてしまうというのはあり得ない。

仕向けられた刺客はドロイドであり、黒幕は他にいる。

一先ず状況の説明を彼女たちに行うとしよう。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<ジェダイ最高評議会>

 

事件の早朝、私たちは報告のためジェダイ評議会を訪れていた。

オビ=ワンとアナキンは、暗殺ドロイドを差し向けた女性の賞金稼ぎに辿り着いたが、重要な情報を引き出すあと一歩のところで、別の人物に殺されてしまったという。

聞き出せたのは“賞金稼ぎ”という事だけだ。

 

「オビ=ワン、その賞金稼ぎを突き止めよ」

 

「知りたいのは背後の黒幕だ」

 

そう話すのはマスター・ヨーダと、マスター・ウィンドゥだ。

当初はアミダラ議員の護衛が目的だったけど、どうやらそう言ってもいられなくなったようだね。

 

「アミダラ議員の警護は? まだ危険が去ったわけではありません」

 

「その役目はヴェリウスに譲れ。 お前は弟子と共に敵の正体を暴くのじゃ」

 

「ヴェリウス、議員をナブーまでお送りしろ。 言うまでも無いだろうが安全第一だ」

 

「はい、マスター。 登録された便は使用せずに、難民を装えば敵の目を欺くことが出来るかと」

 

マスター・ウィンドゥは私の発言に対して頷くことで肯定する。

だが、それを聞いたアナキンは驚いた表情を隠すことなく反対の意を示す。

 

「し、しかし共和国軍創設反対派の彼女を帰国させるのは困難かと・・・」

 

「それはお前が案じる事ではない。 敵の正体が分かるまで議員には我らの指示に従ってもらう」

 

確かにアナキンの意見にも一理ある。

彼女は軍創設の反対派リーダーだ。

アミダラ議員が不在となると、反対派はさらに厳しい戦いを強いられるだろう。

それは彼女自身が一番よく知っている。

 

だからと言って、命を狙われている彼女をこのままコルサントに滞在させておくわけにもいかないという評議会の決定も分かる。

状況によってはジェダイだけで守り切れるとは保証できないからね。

だけど、アナキンが反対意見を出した真の理由はそこではないと私は知っているよ?

仲の良い彼女と離れたくないんだよね?

お母さんと離れ離れになってしまってから、彼女に心の拠り所を見つけたのだと勝手に解釈する。

まだまだ甘えたい年頃なのかな?

可愛いね、アナキン?

 

「マスター・ウィンドゥ、どうでしょう? そのアミダラ議員護衛の役目はアナキンに譲ると言うのは?」

 

「・・・どういう事だ、ヴェリウス?」

 

マスター・ヨーダと顔を見合わせたマスター・ウィンドゥが私に問いかける。

予想外の発言に私の真意を聞きたいのだろう。

 

「共にアミダラ議員護衛の任に付いていてそれがベストだと思ったからです。 彼は議員と親しい間柄ですし、議員もまたアナキンを信頼しています」

 

それに彼の持つ実力なら問題ないかと、と付け加える。

それを聞いた2人のマスターは再び顔を見合わせる。

しかし、マスター・ムンディが反対の意見を述べる。

 

「スカイウォーカーはまだパダワンだ。 今回のような不確定な要素を含んだ単独任務は任せられない。 わざわざマスターと離れて行動を共にする理由もなかろう」

 

「それに“親しい者”という理由であれば、其方でも問題ないだろう」

 

その言葉にマスター・ウィンドゥが続く。

彼らの言い分はもっともだ。

どう頭を捻っても、『私よりアナキンを護衛任務に就ける方がメリットがある』という評議会を納得させられる理由が思いつかない。

 

「・・・分かりました」

 

「では以上だ、フォースと共にあれ」

 

マスター・ウィンドゥの言葉で議会は締めくくられた。

ごめんねアナキン、兄は頑張ったけど力足らずだったよ・・・。

 




はい、お疲れさまでした。

主人公のヴェリウスは、アナキンがパドメに対して恋愛感情を持っているとは思いもよらず、どちらかと言うと弟が姉に甘えるようなイメージを持っているという設定です。

それではまた近いうちに・・・
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