かつて選ばれし者と呼ばれた騎士   作:みどり色

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皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

以前からご要望にあったEPⅠを書いてみました。
この投稿だけで終わらせたのでいつもの倍の長さになっております。
ご了承ください()



外伝
外伝 EPⅠファントム・メナス


<惑星コルサント アミダラ議員のペントハウス>

 

太陽が顔を出し、ビルの隙間から世界を照らす光が差し込む。

ジェダイ評議会の任務から帰還したヴェリウスは久しぶりの休暇を与えられていた。

次世代のジェダイも育ってはいるが、かつてに比べればその数は圧倒的に少ない。

ジェダイ評議会に席を置くからといって、実力者であるヴェリウスを評議会の椅子に座らせておける程の余力は今のオーダーにはないのだ。

 

「おはようございます」

 

「やあ、パドメ。おはよう」

 

バルコニーで朝日を浴びていたヴェリウスに、その妻であり元老院議員であるパドメが声を掛ける。

日頃の激務で疲れが取れていないのか、パドメは寝ぼけまなこで目を擦っている。

そんな姿のパドメが愛おしく、そして心配から言葉を続ける。

 

「疲れているでしょ? せっかくの休みだしもう少し寝ていたら?」

 

「誰かさんが早起きなので仕方なく」

 

少し拗ねたような、そしていたずらっ子のような演技をしながら愛する夫に視線を向ける。

決して怒っている訳じゃないが、久しぶりにまとまった時間をヴェリウスと過ごせる嬉しさから彼に甘えているのだ。

 

「少し・・・昔のことを思い出していたんだ」

 

「戦争の?」

 

パドメは心配そうにヴェリウスの傍により、優しく腕に触れる。

その思いやりの心を受けてヴェリウスは微笑みを向ける。

 

「ううん、もっと昔、私たちが出会った頃を—————」

 

 

 

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□暗黒面の戦士、ゼロが率いるシンジケートの連合組織であるゼロドーンとの戦いから14年ほど遡る。

 

時は32BBY、銀河共和国の最高議長であるフィニス・ヴァローラム最高議長が銀河外縁部の自由貿易圏に対する課税案を推し進めることで通商連合の反発を招く事態となった。

外縁部に対する課税反対を口実に、ヌート・ガンレイ総督率いる通商連合が惑星ナブーを封鎖、後にナブー危機と呼ばれる事件が起こるきっかけとなった出来事だった。

 

<ナブー・ロイヤル・スターシップ船内>

 

ナブー王室が所有する改造型のヌビアン・スターシップは銀河の中心に存在するコルサントを飛び出し、このスターシップの生まれ故郷へと進路を取っていた。

ナブーを武力で侵略した通商連合に対して、共和国が何の対応も取らないことに女王であるアミダラは業を煮やし、現任のヴァローラム議長に対して不信任案を提出した。

その後、自ら“問題”を解決するためにジェダイの護衛を伴ってナブーへの帰路に就いたのだ。

 

ジェダイ・パダワンであるヴェリウスは大切な任務に就いたというのに意識を集中することができないでいた。

師であるドゥークーがこの任務に参加しないと直前で知らされたからだった。

 

ジェダイ・マスターのクワイ=ガン・ジンと、その弟子のオビ=ワン・ケノービの任務に同行することが決まった時は、師であるドゥークーも一緒のものとばかり思っていた。

マスター・クラスがいるとは言え、師と別行動ということには納得できなかった。

いや、ヴェリウスはただ単に“寂しかった”だけなのかもしれない。

ただでさえジェダイ評議会に席を置く師を持つと、一人で過ごす時間も増える。

しかし任務の時だけは共に行動することができるのだ。

だから・・・と言う訳ではないかもしれないが、彼はこの任務が決まった時に少なからず喜びを覚えたのだ。

『久しぶりに師と在れる』と。

 

「ヴェリウス」

 

「これはマスター・クワイ=ガン」

 

船に備え付けられている倉庫で思考の海に沈んでいたヴェリウスは、突然の来訪者によって現実に引き戻された。

少しの間、一人になりたかったのもあるかもしれない。

任務に対する不安はない。

しかし、師と離れての任務はやはり寂しさを感じるのだ。

 

そんな彼の心情を知ってか知らずか、オビ=ワンの師であるクワイ=ガン・ジンが彼の下を訪れたのだ。

 

「落ち着きがないように見えるな?」

 

「いえ、そんなことは」

 

「師のことなら気にすることはない。あの方は・・・何をお考えなのか、私でも予測することは難しい」

 

クワイ=ガン・ジンも、元々は彼の弟子だった。

自分と同じような悩みを持っていたのだとヴェリウスは予想する。

 

「・・・嫌な予感がするのです。何か重大な、全てが変わってしまうような出来事が起こるような気がして」

 

強大なミディ=クロリアン数を備え、既に並みの騎士では相手にならない程の剣術を身に着けているとはいえ、まだ十代半ば。

その思慮深さと落ち着き、実力と才能でついつい忘れそうになるがヴェリウスはまだ子供なのだ。

『不安を覚えるな、という方が無理があるか』とクワイ=ガンは心の中で呟く。

 

「我々は互いに同じ師に従事した言わば兄弟弟子だ。何かあれば私が力になろう」

 

「そんな・・・光栄です」

 

ヴェリウスは恐縮した様子だったが、クワイ=ガンの言葉を否定することはしなかった。

クワイ=ガンからの思いやりが嬉しかったのだ。

 

「マスターはいつも君のことを褒めていた。私のことをかつての弟子だと忘れているのか、口を開けば君の話ばかりだ」

 

クワイ=ガンの言葉を聞いて、ヴェリウスは素直に喜んだ。

いつも『失望させているのではないか?』と不安に感じていたのだ。

同時に『クワイ=ガンが少し妬いている・・・?』と考えたのはヴェリウスだけの秘密だ。

 

クワイ=ガンは優しい笑みを浮かべながらヴェリウスの頭に手を置く。

それがドゥークーの姿と重なり、温かい気持ちに包まれるヴェリウスだった。

 

 

 

 

「貴方がマスター・ジェダイの話にあった?」

 

「はい、ヴェリウスと申します。ご尊顔を拝し恐悦です陛下」

 

出立まで時間がなかったこともあり、私はナブーに向かう船の中で女王との面会・・・というよりも初めましての挨拶をしていた。

女王の豪華な飾り付けられた装いと真っ白に塗られた顔が印象的だ。

同時に『普通の格好をしている時に会っても誰か分からないだろうな』と頭の中で考えたのは私だけの秘密だ。

まさか不敬で罰せられるってことは・・・ないよね?

 

「随分とお若いようですが?」

 

「はい、15になります」

 

しまった・・・。

女王の言葉をそのままの意味と捉えて返してしまったが、『随分と若いようだけど、あなたに任せて大丈夫なのか?』という意味だったのかもしれない。

“こういう場”は基本的にマスターの傍で控えていたから場慣れしていない弊害が・・・・・

 

「ふっ、もう少しお若いかと思いました」

 

興味深そうに私を観察していた女王は口元を緩めて言葉を続ける。

良かった。

気分を害したわけではない様だ。

といういか、私って幼く見えるのかな?

以前も子供と勘違いされたことがある。

そもそも子供だから間違ってはいないのかな?

 

『うーん・・・』と首を捻りながら唸っている私を見て、女王だけでなく傍で控えている侍女らも口元を隠しながら微笑んでいる。

 

「これは失礼いたしました」

 

ハッと気づいた私は直ぐに姿勢を正す。

しかし女王は『気にしなくて良い』と口にする。

 

「パドメ、あの方に船の案内を」

 

女王は侍女の一人を指名し、船を案内してくれるようだ。

別に案内してもらう程の広さでもないが、女王の好意を無下にすることもない。

感謝の言葉を述べて、パドメと呼ばれる侍女と共に退出する。

 

「私はヴェリウスと言います。ええと、パドメさんでよろしかったですよね?」

 

先程、女王の前で名乗ってはいるが礼儀として再び挨拶をする。

歳は私と変わらないようだけど、しっかりと手に職を持っているのは素晴らしい。

 

「・・・え? あ、はい! こちらこそよろしくお願いいたします」

 

先導してくれていたパドメさんはこちらに振り返りながら、優雅で洗練された所作で返してくれる。

元々“良いところの出”なのかもしれない。

若干慌てた様子なのは何故なのだろう?

 

「・・・えぇと」

 

それに加えてパドメさんは先程からボーっとした様子でこちらを見ている。

何かあったのだろうか?

 

「アニーが言っていた天使って本当にいるのかも(ボソッ)」

 

「・・・?」

 

彼女の心はどこか遠くに行ってしまっているようだった。

脈絡無く、よく分からない言葉を口にしている。

 

「あのー、パドメさん?」

 

私は失礼を承知で彼女の顔を覗き込む。

それでようやく正気?に戻った彼女は慌てた様子で顔を真っ赤に染める。

 

「こ、これは大変な失礼を」

 

「いえ、それについては全く。それよりも———」

 

「?」

 

「天使とは何のことですか?」

 

私の問い掛けを最後に彼女は再び少しの間、機能を停止した。

隙間がないほど真っ赤に染まった彼女の顔を見て、『なんだか女王の白塗りみたいだな』と思いながらパドメさんの再起動を待つのだった。

 

 

 

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□現在

 

バルコニーから室内のソファーへと移動した私たちは、くつろぎながらかつての思い出を振り返っていた。

 

「そ、そんなことまで覚えていたのですか!?」

 

「え? うん。こう見えても記憶力は良いんだよ?」

 

何故か慌てた様子のパドメの様子に、ヴェリウスは首を傾げながら見当違い(?)の言葉を返す。

この場では関係のない話だが、彼自身の『記憶力が良い』という言葉は真実だった。

 

「・・・貴方は変わらないのですね」

 

「そうかな? 髪は伸びてきた気がするけど・・・」

 

そう言いながらヴェリウスは肩甲骨付近まで伸びた後ろ髪に触れる。

白金色の絹のような髪は朝日を浴びてキラキラと輝いていた。

その動作一つ一つが、まるで映画のワンシーンのように絵になる姿にパドメは見惚れると同時にどこか呆れたような感情が湧き上がる。

 

「それよりも、あの時言っていた“天使”ってどういう意味なの? そういえばアナキンが君のことをそう呼んでいた覚えが—————」

 

「そ、そんなことより続きを!」

 

「 ? う、うん」

 

 

 

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□時は遡り32BBY

 

「パドメ!」

 

“少々のトラブル”で始まった船内ツアーが再開されると、どこからか子供の声が聞こえて来た。

それはジェダイ聖堂で見かけた少年のものだった。

彼はマスター・クワイ=ガンが見出したフォース感応者であり、オビ=ワンに聞いた話では細胞に宿るミディ=クロリアン数はあのマスター・ヨーダを超える程だという。

確かにとても強いフォースを感じる。

 

「あなたもジェダイなの? どうぞよろしく!」

 

私の服装を見たその少年は純粋な瞳で挨拶をしてくれる。

とても素直な子のようだ。

 

「こんにちは。私はヴェリウス、まだ修業の身だけどね」

 

私の言葉を受けて、自分の名前はアナキン・スカイウォーカーだと教えてくれる。

何故だか庇護欲を駆り立てられる・・・この感情はなんなのだろうか?と頭を捻る。

 

「前の時はいなかったよね? ジェダイが二人も応援に来てくれるなんて凄いや!」

 

「ううん、私のマスターは来ないんだ。だから応援は私だけだよ」

 

「そうなの? マスター抜きで任務を任されるなんてヴェリウスは凄いんだね!」

 

アナキンはキラキラとした瞳で見つめてくる。

彼はジェダイ・オーダーに所属している者に対して、無条件で憧れや尊敬の念を抱いているようだ。

 

「アナキン、今はマスター・ヴェリウスに船の案内をしているところなの。また後で話しましょう?」

 

「なら僕も一緒に行くよ! 友達のR2も紹介したいし!」

 

パドメが困った様子でこちらに視線を送ってくる。

私は彼女に微笑みかけてから、アナキンに言葉を向ける。

 

「それじゃあ、友達のR2のところまで案内してくれる?」

 

 

 

 

「もう! ミーの言うことを聞いてヨ!」

 

アナキンに案内されたのはこの船のメンテナンス作業などを行うドロイドの格納庫だった。

そこでは複数体のアストロメク・ドロイドと見慣れない長身のヒューマノイド種族の間で“ひと悶着”起きていた。

 

「ちょっとジャー・ジャー? 何してるの?」

 

「アニー? 聞いてヨ! ミーが船の整備を手伝おうとしてるのにみんなが邪魔するのヨ!」

 

周囲のアストロメク・ドロイドは、迷惑とばかりに警告音を鳴らしている。

どう見てもジャー・ジャーと呼ばれる人物はお呼びでない様子だ。

 

「あー・・・初めましてジャー・ジャー? 私はヴェリウス。もしよろしければ何か見てくれると助かるのですが・・・えーと」

 

このままでは収拾がつかないと考えた私は、装備の中から渡してもあまり問題が無さそうな物を探す。

それを見たジャー・ジャーは私のコムリンクに目を付ける。

言葉を選ばないで表現すると、奪い取られたという方が正しいかもしれない。

 

「ミーはジャー・ジャー・ビンクス! ミーに任せてヨ!」

 

彼は備え付けられている工具を手に、私が差し出した(?)コムリンクをいじり始める。

その後、私のコムリンクが使い物にならなくなったのはこの場にいる者しか知らない事実だ。

 

 

 

 

あれから少し経ち、船はハイパースペースから脱した。

もう少しで目的地に着くはずだ。

主要なメンバーは女王の下に集まり、今後のことについて話している。

 

「地上に降りた途端奴らに捕まり、協定書の署名を強制されます!」

 

「その通り。戻られたことが賢明かどうか・・・」

 

「ナブーは私たちの星なのです」

 

ナブー王室のセキュリティ・ガードであるキャプテン・パナカとマスター・クワイ=ガンが苦言を呈する。

しかし女王は故郷を取り戻すという考えを譲らない。

 

「ねえ、ヴェリウス」

 

「ん? どうしたのアナキン?」

 

「協定書に女王のサインが必要ってなんのこと?」

 

話し合いを見守っている中、アナキンが小声で話しかけてくる。

彼にはイマイチなんの話をしているのか分からないようだった。

 

「キャプテン・パナカが口にした協定書っていうのは簡潔に言うと通商連合のナブー封鎖という犯罪行為を合法化するのに必要なものなんだ」

 

「?」

 

「もう少し詳しく話すと、ナブー王室が進んで通商連合の支配・・・統治を受け入れたということにするための書面ということだね。そこに女王の署名が加われば晴れて通商連合の合法性が認められるということさ」

 

「でも、そんなの嘘っぱちじゃないか!」

 

「うん、アナキンの言う通りだし納得できない気持ちもよく分かるよ。でも世の中は“そういうもの”なんだ」

 

私はアナキンの頭に手を乗せて、人差し指を口の前に持っていきながら『残念だけどね』と言葉を付け加える。

まだ幼く、タトゥイーンという閉鎖的で極端な場所で生まれ育ったアナキンだったが、彼はどこまでも純粋で真っすぐだった。

彼の納得できないという気持ちは理解できる。

だけど、世界は優さや思いやりで回っている訳ではなかった。

 

彼の気持ちは分かる。

私もこの世の理全てが正しいとは考えていなかった。

 

 

 

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<惑星ナブー>

 

ナブーの軌道上で通商連合のバトル・ドロイドのコントロールを担っているルクレハルク級貨物船を確認した。

貨物船と言うのは本来の役割で、通商連合はこの船をバトルシップに改造して使用している。

こちらのレーダーで確認できたということは、向こうもこちらの接近を知ったことになる。

 

そうこうしているうちにマスター・クワイ=ガンの指示で機体が見つからないように森林地帯に着陸する。

 

ナブーには豊富な自然が育まれているとても美しい星だった。

こんなにも美しい星は見たことがないと感じる程に。

 

「ジャー・ジャーは水中都市に向かいました。女王の作戦は上手くいくでしょうか?」

 

「グンガン人次第だな」

 

オビ=ワンがマスター・クワイ=ガンに言葉を掛ける。

彼の言う女王の作戦とはグンガンを味方に付けるというものだ。

グンガンは原始的な種族だと思われがちだが実際は独自で高度な文明を築いており、強力な軍事力を誇る。

ナブーは“自衛力の範囲”の戦力は備えているものの、それは軍隊と言うよりも警察力という方が近い。

そこで同じ惑星に住む隣人として、侵略者に対して力を合わせようというものだった。

しかし残念ながらナブー人とグンガン人は元々仲が良い———訳では無かった。

マスター・クワイ=ガンの『グンガン人次第』という言葉はここに起因する。

 

「説得のためにフォースは使えない。我々の誠意を見せるしかないだろう」

 

すると間もなく水中都市に向かったジャー・ジャー・ビンクスが戻ってくる。

 

「街には誰もいないヨ! 荒らされて滅茶苦茶になってたネ! 戦いの跡だと思うけド・・・」

 

「街を捨て、どこかに避難したのでは?」

 

「ミーそうは思わなイ。グンガン、トラブルに合うと聖なる場所に行くネ! 案内するヨ、みんな付いて来テ!」

 

ジャー・ジャーは思ったことを言い終えると、周りの話など聞かずに“聖なる場所”とやらに向かって歩き出してしまう。

いずれにせよ、グンガンの助けを得られなければ話は進まない。

放っておく訳にもいかず、私たちは顔を見合わせてから大人しく付いていくことにする。

 

「ねえ、パドメ」

 

「ヴェリウス、どうしたのですか?」

 

「ジャー・ジャー・ビンクスって、どうして一族から離れてマスター達と一緒に?」

 

「ああ、それは—————」

 

私はマスター・クワイ=ガンとオビ=ワンが通商連合によるナブー封鎖に関する特使として軌道上のルクレハルク級を訪れたことは知っていた。

その後、交渉など行われずに乗って来た船を破壊され、通商連合のバトル・ドロイドから攻撃を受けた二人はこのナブーへと逃れたのだという。

その際にナブーへと本格的に侵攻を開始した通商連合から、“成り行き”でジャージャーの命を救ったのだという。

 

この辺りの話を彼女は分かり易く説明してくれる。

ちなみに馴れ馴れしくパドメと話しているのは彼女がそうして欲しいと言ったからだ。

聞けば年齢も近く、同世代の友達ができたことが嬉しかったようだ。

私もジェダイ以外の友達が出来たことをとても嬉しく思っている。

 

「つまり通商連合から命を救われたことを恩に感じて、タトゥイーンやコルサントまで?」

 

「大まかに話すとそうなりますね」

 

「不思議だなぁ。これもフォースの導きなのかな・・・」

 

彼がいなければグンガンの強力を得るための道筋は今よりも困難を極めただろうし、もしかしたらそもそも協力を得ようという話にもなっていなかったかもしれない。

彼の性格・・・というかキャラクターを見る限り、マスター・クワイ=ガンもオビ=ワンもジャー・ジャーの存在を・・・なんというか、ハッキリと言ってしまえば“鬱陶しい”と考えたはずだし。

そういえば『タトゥイーンでも厄介ごとを起こした』と飽きれた様子でオビ=ワンが愚痴っていたな。

 

というか、そもそもジャー・ジャーが地上で単独行動していたのは何故なんだろう?

 

 

 

 

「ハ、ハイドゥ。偉大なるナス陛下」

 

「ジャー・ジャー・ビンクス、その者達は誰ダ?」

 

そうこうしているうちに、私たちはグンガンの“聖なる場所”に辿り着いていた。

ここに来るまでにかなり時間を使った。

我々の侵入は知られていると考えると、戦略的に見れば時間はそう残されていない。

グンガン達の協力が得られなけば、この星を取り戻すことは叶わなくなる。

 

「ナブーの女王アミダラ、平和を求めて参りました」

 

グンガンの指導者であるボス・ナスは“よそ者”の登場を快く思っていない様子だった。

しかし高度な文明と独自の文化を形成している知覚種族であるグンガン人は、よそ者であっても問答無用に殺しに掛かるようなことはしなかった。

 

「あー、ナブーのボス。機械の兵隊やってきタ。ユーのせいナブー悪イ!」

 

「私がここに来たのは貴方と同盟を結ぶため—————」

 

「閣下」

 

確かに襲われることは無かったが、グンガンの指導者は通商連合の侵攻はナブーに責任があると考えていた。

ある日突然平和を壊され、住む場所を奪われ、彼らは傷ついていた。

交渉決裂かと思った所で、突然パドメが声を上げる。

 

「チチチチチッ、ユーは誰ダ?」

 

「私がアミダラ女王です。彼女は影武者です。私の身代わり、忠実な護衛です。私の身を守る為に必要だったのです。お許しを」

 

へ?

皆、顔を見合わせる。

その中でマスター・クワイ=ガンだけは意味深な表情をしている。

 

「あなた方とは交流こそ無くとも、これまで争うことなく暮らしてまいりました」

 

ボス・ナスはパドメの言葉を否定することはなく、肯定の意を示している。

彼女の登場で、間違いなくこの場の空気が変わった。

 

「保たれて来たその平和を連合軍が一気に砕こうとしています。今戦わなければ平和は戻りません。力をお貸しください。この通りお願いいたします。貴方の僕として」

 

そう口にするとパドメはその場に膝を着いた。

彼女に倣って私たちも跪く。

 

「私共の運命は貴方次第」

 

「うーン・・・・・」

 

考える様子のボス・ナス。

けど良いのかな?

協力を得るためとはいえ、一介の侍女がグンガンの指導者と交渉し、さらには跪いて勝手にボス・ナスの僕になるだなんて口にしている。

結果的に“女王”までも跪くことになってしまった。

どう考えても“問題あり”だ。

 

 

 

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□現在

 

「以前も仰っていましたよね。私が“女王のフリ”をしていると勘違いしたと」

 

パドメは私の話を聞いている最中に声を出して笑い出す。

4年程前、アミダラ議員暗殺未遂事件(EPⅡ)の際に彼女の護衛に就いた時があった。

その際に話した内容だ。

 

当時、女王の影武者を務めていたサーベが交渉を続けていても、あの場でグンガンの協力を得る事は難しかっただろう。

そこで女王の代わりとなって交渉の場に立つために、自分が“本物のアミダラ女王”だと嘘をついたのだと、当時の私は考えていた。

※参照;第4話 雫

 

「そ、そんなに笑うことないのに」

 

「貴方って何でも完璧にこなしてしまうけれど、時々とても可愛らしいわ」

 

そう言うと、パドメはソファーに座りながら密着してきて私の頭を撫でる。

身長差があるからか、どうしても少し滑稽に見えてしまう。

私はそんな彼女の存在が堪らなく愛おしくて、しっかりと抱きしめる。

今は自分のターンだとばかりに少し抵抗するパドメだったが、すぐに彼女は大人しくなり抱きしめ返してくれる。

 

【ぐうぅー】

 

その時、パドメのお腹が鳴る。

そういえば朝食がまだだった。

 

「あら、ヴェリウス。お腹が空いたのですか?」

 

「え? いや、今のは君が—————」

 

「何か食べますか?」

 

「・・・はい」

 

どうしてだろう。

先程までとても和やかな時間だったのに、フォースが小さな危険を報せてくるような気がする。

 

 

 

 

その後、私たちは朝食の席に着く。

ちなみに食事は彼女が用意してくれた。

以前、『食事を作れるのか?』と彼女に問いたことがあった。

それからだろうか?

機会があれば彼女は自分の手料理を振舞ってくれるようになった。

悪意が無かったとはいえ、当時は本当に失礼なことを言ってしまった。

 

「うん、すごく美味しいよ! ありがとうパドメ」

 

「それは良かったです」

 

パドメは笑顔を浮かべながら食事を口に運んでいる。

そして話の続きを始める。

 

「そして君の説得のお陰もあってグンガンの協力を得ることができたんだよね」

 

「はい。その後、二手に分かれて星を取り戻すために動き出しました」

 

グンガンは平原で通商連合の部隊を引き付ける役目を負ってくれた。

大きな犠牲が出る作戦だったが、彼らは戦士だった。

死を恐れず、勇敢に戦ってくれたのだ。

 

「その間に私たちが宮殿に侵入し、通商連合総督の捕縛とドロイド・コントロール艦の破壊を目指しました」

 

 

 

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□32BBY

 

ナブー保安部隊の活躍もあり、私たちは宮殿内に侵入を果たしていた。

同時にN-1スターファイターの格納庫まで辿り着く。

 

そこで“トラブル”が起きた。

ジェダイは何かしらのトラブルを引き付ける体質がある。

個人と言うよりも、ジェダイ全体にその傾向があるように思う。

 

B-1バトル・ドロイドの熱烈な歓迎を受けることは想定済み。

パイロット達がN-1スターファイターに搭乗するのを援護し、アナキンについてはN-1スターファイターのコクピットに身を隠している。

パイロット達は続々と宇宙に飛び出していった。

ここまでは問題なかった。

しかし、総督逮捕へと向かおうとした所でイレギュラーが起きた。

 

漆黒の装いにフードを目深に被った人物が現れたのだ。

たった一人の人間によって、私たちは歩みを止められる。

その人物の放つオーラが尋常では無かったからだ。

 

「お任せください」

 

そう言いながらマスター・クワイ=ガンが前に出る。

目の前の人物が報告にあった闇の戦士なのだと察する。

 

私は好奇心を駆り立てられた。

フォースの暗黒面を操り、シスの武芸を体得している闇の戦士がどれ程の実力なのか。

知りたかった。

刃を交えたかった。

 

私は無意識にマスターよりも前に出る。

 

その時、闇の戦士と目が交差する。

・・・・・?

どうしたというのだろうか?

何故“そんな顔”をしているのか?

 

怒りや憎しみと言った感情を内に秘め、負の感情を力に変える戦士に変化が生じたのだ。

それは“恐れ”の感情だった。

まだ年端も行かない少年に、闇の戦士は恐怖を覚えたのだ。

 

「ヴェリウス」

 

私は肩に手を置かれてハッとする。

まるでマスターの手かと錯覚するその大きな手の持ち主はマスター・クワイ=ガンだった。

 

「マスター?」

 

「ここは我々に任せてもらおう」

 

「しかし—————」

 

「誰かが女王の護衛に就かねば。それに君の実力は並みの騎士を超えている」

 

『他に選択肢はない』とマスターは言葉を続ける。

闇の戦士相手にマスターだけでは分が悪く、パダワンであるヴェリウスを一人で戦わせる訳にもいかない。

それはオビ=ワンについても同じことだった。

・・・もっと言うと剣術に関してはオビ=ワンよりも私の方が実力は上だった。

戦略的に見てこれ以外の采配はあり得ないだろう。

 

「———分かりました。フォースと共にありますように」

 

「フォースと共にあれ、いつ、どんな時も」

 

マスター・クワイ=ガンはそう言い残すと、弟子であるオビ=ワンと共に前に出る。

それを確認したパドメは『回り道をする』と告げた。

 

ローブを脱ぎ捨て、ライトセーバーを取り出す3人を横目に私たちは別の扉へと向かう。

しかしここでまたトラブルが起きた。

3体の見慣れないバトル・ドロイドの襲撃を受けたのだ。

 

タイヤ?のように高速で転がりながら現れたそのドロイドは三本の脚で直立する形態に変形し、周囲にシールドを張りながら巨大な二門のツイン・ブラスターで攻撃を開始する。

 

パドメたちは身を隠しながら装備しているハンドブラスターで応戦するが、強力な偏光シールドの前に攻撃を防がれる。

 

私はライトセーバーを起動しながら大きく跳躍して新手のバトル・ドロイドの後方に着地する。

 

「初めて見るタイプだ。対人用のブラスター、このドロイド自身のツイン・ブラスターの出力でも突破できないシールドなのか・・・中々強力な偏光シールドだね。ライトセーバーによる攻撃はどうかな?」

 

私はドロイドに向かってセーバーを2,3回振り下ろす。

結果的にこの偏光シールドはライトセーバーを防いで見せた。

 

そして貧弱な三本脚は機動性に難がある・・・というか私生活にすら支障をきたしそうなレベルだった。

突然後方に現れた“敵”に対応する為に180°向きを変えるのに四苦八苦している。

基本的に移動は先程の高機動モード、接敵したら展開して攻撃モードに移るみたいだな。

 

「床に落ちている物や障害物がシールドの内側に入るということはある一定の速度を超えた物を遮断するみたいだね」

 

私は常に死角に入るようにバトル・ドロイドの周囲を動き回りながら観察を続ける。

開けている空間だから簡単に近づくことができたけど、動きが制限される狭い通路などでは出会いたくない相手だ。

 

「一点集中による攻撃はどうかな?」

 

私は1体のバトル・ドロイドのシールドに向かってライトセーバーを突き立てる。

するとシールドは消えて本体をライトセーバーが貫通する。

機能を停止したドロイドはその場に崩れ落ちる。

 

「一か所に集中した攻撃は効果がありそうだね。うーん、下部に付いている球体がシールド発生装置なのかな?」

 

試にフォースで下部の球体を潰すと予想通り、ドロイドの偏光シールドが消失する。

しかしシールド発生装置とドロイド本体の機能はそれぞれ独立しているようで問題なく?ドロイド自体は稼働を続けている。

とりあえずはこれくらい確認出来れば良いかな?

私は沿わせるようにライトセーバーを滑らせてドロイドの頭部を切り落とし、最後のドロイドについてもシールド発生装置を破壊してから胴体部分を貫く。

 

「頭部・・・と身体の中心部を破壊すれば問題なく倒せそう。よし、それでは行きましょうか?」

 

私は機能を停止したバトル・ドロイドを簡単に調べた後に振り返ってパドメ達に声を掛ける。

このバトル・ドロイドの情報は対処法を含めて評議会に報告しなくてはならない。

解析用に持ち帰った方が良いかな?

 

あれ?

パドメ達から反応が返ってこない。

私が時間を掛け過ぎたから?

確かに今は新型ドロイドの情報収集よりも総督逮捕が優先される。

反省しなくちゃ・・・・・

 

 

 

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□現在

 

食事を終えた私たちは再びソファーへと移動した。

本当だったら散歩でもしたいんだけど、コルサントでは中々そうもいかない。

そういえば、しばらくヴァリキーノ島の屋敷にも戻っていない。

近いうちにナブーに帰れると良いなぁ。

 

「あの時、ドロイデカを相手にした貴方を見て驚きました」

 

「ごめん、つい時間を掛けちゃったのは反省してる」

 

「 ? いえ、そう言う意味では無く・・・『ヴェリウスは本当にジェダイなんだ』と驚いたのです」

 

「え、そんなにジェダイっぽくなかった?」

 

「そういう訳ではないのですが、何と言えば良いのか・・・私が抱いていたジェダイのイメージと貴方の印象があまり重ならなかったものですから」

 

「一刻も早く総督逮捕に向かわなければならないのに私が時間を掛けてしまったからパドメ達は微妙な反応をしていたんじゃないの?」

 

と思っていたんだけど、彼女の反応を見る限りどうやらそう言う訳でもないみたい。

あれ・・・?

10年以上誤解していた?

 

「誰がそんなことを言ったのですか? むしろ新たな脅威に対して迅速に対処すると同時に敵の情報収集までしていたことに驚いたのです。それに後になって貴方の“異常さ”を知りました」

 

ドロイデカはクローンだけでなく、ジェダイも手を焼く存在だ。

対処するには接近するのが一番だけど、あの火力ではそれも簡単じゃない。

それに偏光シールドの存在がさらに対処を困難にしている。

対人火器ではあのシールドを突破することは難しい。

高価な分、配備数は少ないけど仮にB-1のように大量生産されていたら戦争の行く末は変わっていたかもしれない。

 

「私たちだけではあの状況を打開することは難しかったでしょう。マスター・クワイ=ガンの判断は正しかったわ」

 

「・・・あの状況では確かにマスターの判断は正しかったのだと思う。結果的には総督を捕え、モールを倒すことができたんだから。けれど私はどこかで後悔しているんだ・・・私が戦いに加わっていればもっと早くモールを倒すことができて、マスター・クワイ=ガンも命を落とすことは無かったんじゃないかって」

 

そう、私は後悔している。

オビ=ワンはこの件に触れたことはなかったけれど、彼も同じように心の中では思っていたかもしれない。

『ヴェリウスがいればマスターを失わずに済んだかもしれない』と。

もちろん仮の話でしかないし、今となってはオビ=ワンに真実を聞くこともできない。

 

「ヴェリウス、貴方はジェダイである前に“人”なのです。いかに優れていたとしても全てを一人で背負うことはできません。それに貴方がいなければ私たちは命を落とし、ナブーを取り戻すことはできなかったかもしれません」

 

彼女はそう口にしながら優しく微笑んでいる。

後悔したこともマスター・クワイ=ガンのことだけじゃない。

今までの長い戦いで、私は後悔してばかりだ。

でも彼女の言う通り、私は一人の人間に過ぎない。

自分の力で『何かを変えられる』と考えるなんて、傲慢すぎるのかもしれない。

 

「ありがとうパドメ、君の言う通りだよ」

 

 

 

________________________________________

 

 

 

□32BBY

 

通商連合の総督を捕えるためにマスター達と別行動に移った。

上階へと続く広い通路でB-1バトル・ドロイドと戦闘になるが私はパドメ達の前に出てB-1の放つ光弾を射手目掛けて弾き返す。

私が前に出てしまうことで保安部隊員が射撃できなくなるけど、彼らが命を落とす事になるよりも良いはずだ。

大して数がいなかったこともあってすぐにその場を制圧する。

 

「パドメ、私は先行してバトル・ドロイドを叩く」

 

「え? ヴェリウス!?」

 

「君たちはのんびり付いて来て」

 

私はそう言い残し、フォースを身に纏い、常人には視認すら困難な速度で廊下を駆ける。

上階にも警備のB-1がいるが問題にはならない。

ライトセーバーを起動し、すれ違いざまに次々に両断していく。

 

さらに上の階へと駆け上がる。

ここにも警備のB-1バトル・ドロイドが巡回しているがそこまで数は多くない。

本隊がグンガンと大規模な戦闘を繰り広げていることに加えて、我々の作戦のために宮殿の正門では保安部隊が陽動で時間を稼いでくれている。

『ジェダイについては闇の戦士が相手をしているから、ここに残す警備は最低限で良い』と判断したのかもしれない。

 

私は敵に気づかれないようにバトル・ドロイドの掃除に取り掛かる。

今度はライトセーバーを使わず、警備のバトル・ドロイドを減らしていく。

 

B-1は決められた道順で巡回しているからパターンさえ分かってしまえば攻略は難しくない。

別にこんな回りくどいことをしなくても正面突破の方が簡単なんだけど、たまには良いよね?

 

パドメ達が追い付くまでに掃除を終わらせようと、私は自分自身に勝手にタスクを科して“作業”を続ける。

そして彼女たちが私の前に現れるまでに警備のドロイドを片付け終える。

時間ギリギリだったのは自分だけの秘密だ。

 

「先程の戦いといい、君の力には目を見張るものがあるな」

 

「キャプテン、ありがとうございます」

 

保安部隊のキャプテン・パナカがそう口にする。

 

「しかし、一人で全てを背負う必要はない。君はまだ子供だ。大人を頼ることを覚えなさい。それに仲間にも」

 

それは確かに私に向けた言葉だったが、パドメに向けた言葉でもあるように感じた。

 

その時、大きなフォースの喪失を感じる。

突然の出来事であり、大きな衝撃は私に隙を生じさせた。

タイミング悪く、先程の新型バトル・ドロイドとB-1が現れて周囲を包囲される。

 

私だけならどうとでもなる。

しかしこの状況では全ての仲間を守ることは不可能だった。

 

「武器を置きなさい。ここまでのようです」

 

パドメの言葉で、この戦いは終わりを告げる。

 

 

 

 

武装解除された私たちは通商連合総督の下まで連行される。

総督の下まで連れて来られたのはラッキーだったかもしれない。

 

・・・ふっ、マスター・クワイ=ガンが聞いたら『運などというものは存在しない』と諭されてしまうかもしれない。

先程感じたフォースの消失、私の気のせいであって欲しいと願うばかりだけど—————

いや、今はこの時に集中しなくては。

 

「反乱ごっこもこれまでですな陛下。協定書にサインして元老院の無益な論争に終止符を—————」

 

『総督! 其方こそお終いです』

 

総督の言葉を遮るように現れたのは“本物”の女王と、保安部隊の別動隊だった。

女王が身近なドロイドに発砲したことで、周囲のバトル・ドロイドの警戒が全てそちらに向く。

 

「追え! こいつは替え玉だ!!」

 

パドメが偽物だと気づいた総督の指示でバトル・ドロイドは全て女王を追って行くために動き出す。

だがそうはさせない。

 

私は身体の大きいキャプテン・パナカの後ろから姿を現し、周囲のB-1へと意識を集中する。

そしてB-1達を宙に浮かべ、壁や柱に叩きつける。

元々、強度の低いB-1は強い衝撃を受けて機能を停止した。

 

「ジェ、ジェダイ!? どこから現れた!?」

 

「元からいましたよ、総督。女王と協定書に意識が向き過ぎです」

 

まあキャプテンの後ろに隠れて姿を隠していたのは間違いないけど。

でも透明になれる訳じゃないし、確認を怠った総督が悪いよね?

 

私と総督が会話をしている間に、パドメ達はB-1のブラスターを鹵獲、部屋に設置されている椅子に格納されていたブラスターを取り出して部屋を封鎖する。

 

「では総督、話し合いと参りましょうか?」

 

 

 

 

ヴェリウスと別れたクワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービは闇の戦士と激しい戦いを繰り広げていた。

そしてヴェリウスが受け取ったフォースによる警告は間違っていなかった。

 

ジェダイ・オーダーでも最高の剣士の一人に数えられるクワイ=ガン・ジンだったが、加齢によるスタミナ不足はこの戦いにおいては致命的と言えた。

さらにクワイ=ガンが用いるフォームⅣアタロは最もアクロバティックな型であり、長期戦には向かないものだった。

一時的に師弟は分断され、クワイ=ガンは闇の戦士との一騎打ちを強いられた結果、深紅の光剣の前に倒れたのだった。

 

しかし、目の前で師が倒れたことで制御していた感情に“怒り”が加わったオビ=ワンの前にシス卿ダース・モールは倒された。

 

この時、オビ=ワンは暗黒面に堕ちた訳ではなかった。

ジェダイは基本的に感情に左右されることなく、感情を制御している。

それは戦いの際も同じだ。

ジェダイの中には高揚感や闘争本能を戦いに用いる者もいるが、それが許されるのはほんの一握りの者だけだった。

 

しかしこの時のオビ=ワンは“怒り”の感情で一時的にフォースの出力が上昇している状態なのは間違いなかった。

制御・・・ある意味で抑圧された感情が解放されたのだ。

 

後に、この時の戦いを客観的に『あのまま戦っていたら敗れたのは自分だったはず』とオビ=ワンは振り返っていた。

ダークサイドの入り口、そのきっかけになる感情である“怒り”や“憎しみ”により、辛くも勝利を得たオビ=ワンだったが、その危険性を身をもって経験したのだ。

 

「も・・・もう、遅い」

 

「いいえ!!」

 

闇の戦士を倒したオビ=ワンはすぐに師の下に駆け寄る。

しかしクワイ=ガンは自身の死期を悟っていた。

対するオビ=ワンは、クワイ=ガンの死を受け入れる準備はできていなかった。

先程と同じように、暗黒面に通じる悲しみや喪失感、後悔といった感情が涙と共に溢れ出す。

 

「オビ=ワン、“あの子”を・・・鍛えると、約束してくれ」

 

「はい、マスター」

 

「アナキン・・・・・ヴェリウス・・・“選ばれし者”—————フォースにバランスを・・・・・」

 

クワイ=ガン・ジンは自らの弟子に、アナキンを鍛えることを望ながらフォースの冥界へと旅立って行った。

彼がアナキン、ヴェリウス両名の名と、“選ばれし者”という言葉を口にした真意は誰にも分からない。

ただ一つ確かなのは、この出来事が銀河の運命を左右する重大な転換点であったことだ。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

その後、通商連合総督は元老院に引き渡され、クワイ=ガンの遺言通り、アナキンは騎士に昇格したオビ=ワンの弟子となった。

 

この一連の事件で命を落としたジェダイ・マスター、クワイ=ガン・ジンの葬儀がナブーの首都シードの斎場で執り行われていた。

ナブーでは故人の肉体を死後二日以内に火葬する習わしがあり、火葬された故人の生命力は惑星に回帰すると信じられていた。

世俗的的な執着を良しとせず、生物としての死をフォースの冥界への旅立ちと考えているジェダイ達は普段通りの装いで葬儀に参列し、クワイ=ガンの生前の献身を称えていた。

 

葬儀にはジェダイ評議会のメンバーが集結している。

しかし、この場にドゥークーの姿は無かった。

かつての弟子の葬儀にドゥークーが参列していないことにヴェリウスは大きな不安を抱いていた。

そしてヴェリウスが感じていたこの不安は、後にドゥークーのジェダイ・オーダー脱退と言う形で証明されてしまうのだった

 

 

 

 

<惑星コルサント ジェダイ最高評議会>

 

「既に聞いているかもしれないが、其方の師であるドゥークーがオーダーからの脱退を表明した」

 

「・・・・・っ」

 

「ドゥークーは『ジェダイの教義に従うことはできない』と自らオーダーを去ることを選んだのだ」

 

そう口にするのは評議員のメイス・ウィンドゥとキ=アディ=ムンディだ。

ヴェリウスはこの二人のジェダイ・マスターが発している言葉の意味は分かったが理解はできなかった。

彼は生まれて大きな不安を感じており、その身体はまるで自分のものとは思えないほど精神との一体感が無い。

しかし、自らの状態を評議員らに悟られないように感情のコントロールに全力を注ぐ。

不安や恐怖、苦痛といった感情を心の奥底に沈めていく。

これら負の感情は決して無くなった訳ではない。

ただ心の奥底に、深く、深く仕舞い込む。

自分以外の誰にもこの感情を知られないように。

 

「ヴェリウス、其方はまだパダワンだ。本来であれば新しいマスターの下で修業を続けるのが通例だ」

 

「だが評議会で協議した結果、特例で騎士への昇格を認めることとなった」

 

キ=アディ=ムンディとメイス・ウィンドゥが言葉を続ける。

10歳でイニシエイトからパダワンとなったことも異例の早さだったが、15歳という年齢で騎士昇格というのはまさに前例のないことだった。

ある意味で『今のヴェリウスの実力で新しい師の下で修業を受けさせる』ということが中途半端なタイミングとも言えた。

評議員らの頭を悩ませたのはヴェリウスの“年齢”だけだった。

しかし結果的には騎士昇格を認めたのだ。

歴代でも最高クラスのフォース、既に並みの騎士以上の剣技、そして精神的成熟性などが考慮されたのもあるが、やはりマスターであるドゥークーのオーダー脱退というのが決定的な要因と言えたかもしれない。

 

 

 

その後、ヴェリウスはパダワンの証であるパダワン・ブレード(三つ編み)を切り落とされ、正式に騎士へと昇格した。

しかし慣れ親しんだ三つ編みが落とされたことで、本当の意味で師であるドゥークーとの決別が決定的なものになったようにヴェリウスは感じていた。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<惑星コルサント 某所>

 

「あれはやり過ぎでした!」

 

惑星全体が大都市になっているコルサントだったが、この地域は人気のない寂しい場所だった。

古いハンガーのような場所で怒りと悲しみを含んだ声が響き渡っている。

 

【一体なんのことだ?】

 

暗がりから現れたフードの人物は、心に重くのしかかるような不気味な声をしている。

その身に宿す力は強大なフォースの暗黒面だ。

 

「クワイ=ガン・ジン殺害をモールに許されたではありませんか!?」

 

【弟子を失ったのは余も同じこと】

 

激しい感情を露にしているのはジェダイ評議会に名を連ねているドゥークーだった。

後にナブー危機と呼ばれる先の事件で、ドゥークーはかつて弟子だったクワイ=ガン・ジンを失った。

それに対してフードの人物は、『偉大な目的を達成するため銀河の再建には多少の犠牲はやむを得ない』と語る。

 

「多少の犠牲ですと? 彼は心強い味方となってくれたはず!」

 

【其方にとってはな】

 

「私の忠誠をお疑いか?」

 

【あぁ、常に】

 

フードの奥で黄色に染まった瞳が不気味に光る。

その目は相手の心の奥底も見通すようなものだった。

 

「ご要望には全て従ってきました!」

 

【事を成し遂げるためには、まだまだ不足よ】

 

「サイフォ=ディアス、カミーノ、クローン兵、貴方の頼みにどれだけの裏切りを重ねて来たことか・・・・・」

 

そう口にするドゥークーの表情は、酷く辛そうなものだった。

長年ジェダイの在り方に、元老院の腐敗に疑問を抱き続けて来たドゥークーだったが、決して人々を傷つけたい訳では無かった。

己が信じる正義、本当の意味で人々の為になる道を模索していたのだ。

その彼の心に付けこんだのが、このフードの人物だった。

 

【いや、それは余の為ではなく大義の為・・・其方はより大きな理念に従ったまでのこと】

 

「私のせいでどれだけの命が失われたことか・・・あの子をどうする気ですか?」

 

【それも自由の為の代償だ】

 

「あの子をどうする御つもりか?」

 

【あの少年・・・ヴェリウスだったか。其方が“選ばれし者”と信じ、訓練してきた少年・・・奴が本当に選ばれし者だったならば、時が来れば余の下に迎え入れるつもりだったが—————】

 

「あの子は“選ばれし者”です。その身に宿すフォースの大きさは計り知れない」

 

【—————確かに少年のフォースは強い。だが余を欺くことはできぬ】

 

フードの人物は、クワイ=ガンが見出したアナキンのことを話し出した。

彼の出現によって、予言にあるフォースにバランスをもたらす者について再考する余地があると認識を改めたのだ。

 

「あの子は特別です。今までのジェダイとは全く違う考えを持ち、その心は純粋だ」

 

しかしドゥークーは頑なに考えを変えなかった。

彼は信じていた。

『ヴェリウスこそフォースにバランスをもたらす者だ』と。

 

【その性質は時に危険をもたらす】

 

フードの人物はその発する言葉とは裏腹に、この状況を楽しんでいるようにさえ見える。

ドゥークーが必死になればなる程。

その時、ドゥークーは唐突にライトセーバーを起動する。

湾曲した特徴的なヒルトから、薄暗いこの場所を照らすように青い光剣が出現する。

 

【・・・何の真似だ?】

 

不気味な声でそう口にするフードの人物だったが、状況に反してその口元には笑みが浮かんでいる。

 

「約束したはずです。あの子には手を出さないと」

 

『それが協力する条件の一つだった』と語る。

ドゥークーの瞳には怒りの感情が籠っていた。

 

【あぁ・・・其方の激しい怒りを感じる。余が憎いか?】

 

彼がその言葉に答えることは無かった。

変わりにライトセーバーによる斬撃を放つ。

 

フードの人物はローブの袖から出したライトセーバーで受け止める。

その発生した光剣は、不気味に周囲を赤く照らしている。

 

【ふははははははは】

 

鍔迫り合いで激しいプラズマが発生している中、フードの人物の不気味な笑い声が辺りに響き渡る。

 

「あなたの目論見もここまで・・・シスの暗黒卿」

 

その時、思いもよらない人物がその場に現れる。

それはジェダイ評議会のメンバーでもあるマスター・ヤドルだった。

 

【今度は余を裏切ったか?】

 

既に自らに剣を向けていること、そして突然のジェダイ・マスターの登場にシス卿はドゥークーの裏切りを疑った。

 

「マスター・ヤドル?!」

 

しかしドゥークーは酷く驚いた様子だった。

彼女の登場は予期していなかったのだ。

ヤドルはドゥークーの様子を不審に思い、密かに彼の跡を追跡したのだ。

彼女の登場で剣を交えていた二人は距離を取る。

 

「ドゥークー、こちらに来て。理由はどうあれ貴方は暗黒卿に刃を向けた。二人で戦えばシスを倒せます」

 

「では聞いてしまったという訳だ・・・私の罪を」

 

「それは大きな問題ではありません」

 

【信じるでない】

 

「彼にどんな嘘を吹き込まれ、どんなことをしてきても、今シスの逮捕に協力すれば全ては許される」

 

ドゥークーは揺れていた。

今ここでシス卿を倒すことができれば、今まで通りヴェリウスとの日々を取り戻せる・・・?

 

【其方自身が余に言ったことを思い出せ。民の代表であることを忘れ、腐敗した元老院とジェダイが共和国を破滅に導いている。それに—————】

 

『其方にとって何よりも大切な存在を』とシス卿は言葉を続ける。

彼が暗黒卿に従ったのは共和国の腐敗や形骸化した考えや教えに盲目的に従うジェダイというのも理由ではあったが、決定的なのはヴェリウスの存在だった。

彼の存在が、ドゥークーの生きる目的となったのだ。

 

【忠誠心を示すのだ。やることは分かっているな? やるのだ!】

 

「まだ正せるチャンスはある」

 

「・・・残念だ」

 

「本来の貴方に戻るのです」

 

「もう・・・手遅れなのです」

 

ドゥークーの顔には、先程まで浮かんでいた迷いの感情が消えていた。

しかしどうだろう?

その顔はとても、とても悲しいものだった。

 

ドゥークーの湾曲したヒルトから青い光剣が立ち昇る。

目を開けていられない程の強烈な夕日が差し込み、ヤドルの姿はまるで影のようにぼんやりと宙に浮かんでいる。

彼女が最後に何を思ったのか、それを知る者は誰もいなかった。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<ジェダイ聖堂 最高評議会>

 

ヴェリウスは騎士昇格を告げられた評議会でそのままパダワン・ブレードを断髪された。

各マスターが退出した後も、彼はその場に残り続けた。

 

ここにはかつての師であるドゥークーの席がまだ置かれている。

ふと、いつもと変わらない様子でドゥークーが帰ってくるかもしれない。

ただ“そうなることを求めた”だけなのかもしれない。

 

理由はヴェリウスにしか分からない。

しかし彼はこの場に居続けた。

時は黄昏時、燃えるような夕焼けが評議会を染め上げている。

その時、友であり同じように騎士に昇格したオビ=ワン・ケノービが現れる。

 

「ヴェリウス、ここにいたのか。探したぞ?」

 

窓際で夕日に向かって立っているヴェリウスの姿はまるで影のようだった。

目を細めながらオビ=ワンは彼に声を掛ける。

 

「ヴェリウス?」

 

もう一度声を掛けられたヴェリウスはゆっくりと振り返る。

 

「—————あの人が泣いている」

 

ヴェリウスはただ一言、それだけを口にする。

視界が効かない状況だが、オビ=ワンにはヴェリウスの瞳が強く光ったように見えるのだった。

 




はい、お疲れ様でした。

PCの調子が悪くて誤字脱字の確認があまりできていませんが、皆さまフォース・センシティブだと思いますので“感じて”下さい()

ヴェリウスの実力としては既にドゥークーに迫る程の技量になっている設定です。
あくまで“技量”だけなので、経験不足や勝負における駆け引きなどは実力のあるマスター・クラスには及ばないイメージでいます。

最後の表現は色々な捉え方ができるように敢えてボカしたものにしています。
皆さん、“感じて”下さい(2回目)

今後、この作品を投稿していくかはまだ分かりませんが引き続きよろしくお願いいたします。

それではまた近いうちに—————
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