かつて選ばれし者と呼ばれた騎士   作:みどり色

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皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

気分転換に書いているコチラの方が筆が進むのは不思議です・・・



第3話 帰郷

<惑星コルサント アミダラ議員滞在先>

 

「私が議会を離れる間、代理を貴方に委ねます。 ビンクス代議員、貴方を信じております」

 

「ユーの代理務めるミー、とっても名誉ね! 責任重いけど、ミー命懸けで頑張る! それから—————」

 

アミダラ議員が代議員に指名したジャー・ジャーへの引継ぎ中、私は周囲を警戒しながら先日の事件でオビ=ワンが突き破ったガラスを修復しているドロイドの作業を眺めていた。

その間にもジャー・ジャーはアミダラ議員が不在中に、如何に自分が頑張るかを伝えようとしていた。

 

「ジャー・ジャー、引き止めると悪いわ。 やることが沢山あるでしょう?」

 

「—————勿論よ、では議員」

 

終わりどころが見えなかった為、アミダラ議員はジャー・ジャーへ諭しの言葉をかける。

それを聞いて代議員はハッとした表情を浮かべ、礼をして自らの職務に向かって行った。

 

「このアイディアは気に入りません」

 

アミダラ議員は私の方へ近づいてくるなり開口一番そう言った。

自分の意見ではないし、勝手に回りが決めたことだ。

それに—————

 

「この1年間ずっと軍の創設に反対していたのに、肝心の投票日にその場にいないなんて!」

 

—————という訳だ。

確かに不満を抱いて当たり前だよね・・・。

 

「お気持ちは理解できます。 しかしどうか皆の心をお察し下さい」

 

「分かっています。 これが周りの総意だということも・・・」

 

彼女は、最高議長や、支持派の総意で帰郷することを渋々受け入れたのだ。

それが共和国の為になると信じて。

 

「オビ=ワンとアナキンが賞金稼ぎ捜索の任務に就きました。 そう時間も掛からずに発見できるはずです」

 

「そうなる事を願います。 それにしても貴方と二人きりだなんて・・・」

 

帰郷の準備をしながら、アミダラ議員は不満を口にする。

彼女の言葉を聞く限り、やはりアナキンの方が適役だったのではないだろうか?

この調子では先が思いやられる。

 

「議員、私が護衛でご不満かもしれませんが、どうか—————」

 

「誰も貴方に不満など持っていません! ただ・・・」

 

ただ、何だろうか?

どう考えても不満に思っているように見えるけど・・・。

 

「何かあるのでしたらハッキリと申し上げて下さい議員、これからは二人きりなのです。 問題は可能な限り排除しておきたい」

 

彼女の目をしっかりと見て伝える。

二人の関係が悪く、護衛の任務に失敗しましたとは口が裂けても言えないからね。

 

「ただ・・・貴方の話し方が気に入らないだけです」

 

彼女は目を逸らしながら小さい声でそう口にする。

・・・え?

考えもしなかった言葉に開いた口が塞がらない。

 

「・・・以前とは違い『議員』『議員』と・・・それに以前の貴方はそのような他人行儀な人ではありませんでした。 それが“不満”なのです」

 

「そ、それは・・・昔とは立場が違いますし、貴女が私を嫌っていると思っていましたのであくまで仕事上での関わり合いにと」

 

「何故嫌っていると思い込んでいるのですか!? それこそ貴方の勘違いです!」

 

どうも話が変な方向へと進んでいるように思えてならない。

しかし、ここでしっかりと話を終えておかないと任務に支障をきたす。

それに任務など関係なく、私個人としては彼女と良好な関係を築いていたい。

彼女が不満だというのなら、私は10年前に戻ることに躊躇わない。

 

「ごめんね。 君がそんな風に考えているとは思いもしなかったんだ。 議長の部屋で再会した時から、君は目が合う度に逸らしてしまうし、態度もこう・・・よそよそしい物のように感じていたんだ。 だからてっきり私は・・・」

 

彼女の前に立って真剣に話す。

どうやら私の勘違いだったようなのだから、改善すべきは自分自身だ。

 

「よ、良いのです。 それに目を逸らしてしまうのも決して貴方を嫌っているからではありません」

 

そういえば昨日、オビ=ワンらが到着する直前にパドメは私を心配してくれたではないか。

その事を思い出し、彼女が私を嫌っていないという言葉を裏付けてくれる。

 

それにしても、あの時の面食らったアナキンの顔は忘れられない。

どうしてそんな顔をしているのか聞くつもりだったが忘れていたな。

 

「・・・ふっ」

 

「どうして笑うのですか!?」

 

「いや、10年でお互いすっかり変わってしまったと思っていたけど、気のせいだと分かったら今までの事が可笑しくなってしまってね」

 

私自身、10年前と何か変わったかと言われれば身長と髪が伸びたくらいのものだ。

人とはそう簡単に変わるものではないのかもしれない。

そう思うと、自然と笑みがこぼれてくる。

 

「・・・貴方は変わらないのですね」

 

そう言いながら彼女も笑みを浮かべている。

良かった、彼女と仲直りできたのは本当に嬉しい。

任務がやりやすくなっただけでなく、ヴェリウス個人として。

 

 

「ああ、そういう事だね!」

 

「? どうされたのですか?」

 

「庭園で君が言っていた言葉だよ」

 

 

 

『議員、私は以前(10年前)までとはいかなくても、貴女とは良好な関係を保っていきたいと考えております』

 

『それは護衛として? ジェダイの騎士として? それともヴェリウス個人としてかしら?』

 

 

 

「君は私個人と仲良くしたかったのに、私が“護衛だから”と言ったのか気に入らなかったんだね?」

 

「あ、貴方は本当に変わりませんね!」

 

そう言うと、彼女は私をひと睨みすると帰郷の為の準備に戻る。

・・・私はまた何かしてしまったらしい。

問題なのは、それが何か全く分からないという事だった。

 

 

 

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<惑星コルサント 発着場>

 

私たちは難民に扮してナブーへと向かう為に、とある発着場へと降り立ったところだった。

 

「どうかお気を付けて」

 

「ありがとう隊長、ドーメをよろしく」

 

ナブー親衛隊のタイフォがパドメへと声を掛ける。

護衛対象が自分の下を離れるのだ。

代りの護衛がジェダイだからと言って、心から安心はできないだろう。

 

「私が彼を守ります。 それよりも議員のことが心配です・・・もし敵に首都を立たれたという事が知れたら——————」

 

涙を流しながらドーメはそう答える。

パドメの最も献身的な従者であるドーメは、自分のことよりもパドメの身を案じている。

 

「——————そうなれば、ジェダイの強さを知ることになるでしょうね」

 

パドメは私の方を見ながら笑顔でそう答える。

彼女も不安のはずだが、そんな状況でも従者を気遣える優しさにドーメから流れる涙の量が増える。

 

「ドーメ、安心してください。 私がこの身に代えても彼女をお守りします」

 

「ええ、議員も貴方を心から信頼しています。 どうか議員をお願いします」

 

私は少しでもドーメに安心してほしく、そう言葉を掛ける。

 

「出来るだけ早く議員にお帰り願えるよう我々で陰謀を暴いてみせます」

 

「期待しています。 マスター・ジェダイ」

 

オビ=ワンがパドメにそう話している最中、アナキンからは不満のような感情を感じ取れた。

いや、今だけでなくこの任務が決まってからずっとアナキンの心は安定していない。

 

「大丈夫だよアナキン、彼女は私が必ず守るよ?

 

「・・・はい、その点については何も心配していません」

 

ん?

そうなの?

じゃあ、やっぱりパドメと離れるのが寂しいのかな?

 

「そういえばアナキン、この前久しぶりに再会した時に凄く驚いたような顔をしていたけど、あれはどういう—————」

 

「そ、そんな顔はしていません! それよりもお時間なのでは?」

 

慌てた様子で彼は時間が迫っていることを教えてくれる。

優しいね?

 

「アナキンありがとうね、君も十分気を付けるんだよ? フォースと共に」

 

「はいヴェリウス、貴方も」

 

そう言いながら、私はアナキンの頭に手を置く。

先程までの不満のような感情は薄れているようだけどアナキンが彼女を想う気持ちは、私が考えていたものとは少し違うのかもしれない。

 

私はオビ=ワンの方を向き、彼と目が合うと頷く。

『彼を頼んだよ?』と。

オビ=ワンからは『当たり前だ』という感情が伝わってくる。

彼(アナキン)はまだ若く、危なげない部分も多い。

オビ=ワンと助け合っていれば、最悪な事態は避けられると信じている。

 

 

 

 

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<惑星ナブー行き難民シャトル>

 

私たちはナブーへと向かうシャトルの中で、食事をとっている所だった。

この船では難民に対して無料の炊き出しが行われている。

温かい食事を口にするだけでも、人々の不安を減らす助けになっているようだ。

 

「ご苦労でしたR2」 「ありがとうR2」

 

炊き出しから追加で食事を運んできてくれたアストロメク・ドロイドのR2-D2に対して、お礼の言葉を口にするが2人で被ってしまった。

その事に顔を見合わせ、微笑み合う。

パドメとは少しずつ、10年前の絆を取り戻してきたように思う。

 

「ジェダイの規律は厳しいものですね。 好きなこともできず、好きな場所に行くことも自由ではないと聞きました」

 

「確かにそうだね、そんな状況に耐えかねて自らジェダイの道を捨てる人も少なくはないよ」

 

「貴方はどうなの? 今の生活に不満はないのですか?」

 

え、私が?

不満・・・か。

考えたことも無かったな。

 

物心ついた時から“選ばれし者”と呼ばれ、周りの期待に応えるためにできる事をしてきたつもりだけど、アナキンが現れてからは自分が本当に“選ばれし者”なのか疑問を持つようになった。

それは実際にジェダイ評議会も感じている事だ。

 

当代で最も高いミディ=クロリアン数を誇っていたのはグランドマスター・ヨーダだった。

それを超える数値を計測した私だったが、それ以上のミディ=クロリアン数を叩き出したアナキンの出現に対する驚きは評議会のみならずジェダイ全体に広がった。

 

事実、予言にあるフォースにバランスをもたらす“真の選ばれし者”はアナキン・スカイウォーカーだという声は日に日に増している。

それほど彼の能力はずば抜けており、そのフォースは強大なのだ。

それと同時に評議会はアナキンの力を恐れている。

人は自らの常識を超える存在に恐怖するのだ。

それはジェダイも例外ではない。

 

私は自分が“選ばれし者”でない事に特に不満などは持っていない。

むしろ弟のように想っているアナキンが本当にフォースにバランスをもたらす者なのだとしたら、私は彼の力になりたい。

ジェダイに愛や所有、執着は禁止されているが“人や物を大切に想う気持ち”と“愛”に違いがあるとは思えない。

これはパダワン時代から様々な場所、フォースと関りが強い場所を巡ったことによる経験からもそう言える。

 

決して、ジェダイの教えだけが正しいわけではない。

私はそう考えている。

 

「ヴェリウス? どうしたのですか?」

 

顔を上げると、黙り込んでしまった私を心配そうに覗き込んでいるパドメの顔が見える。

またやってしまったな。

 

「ごめん、大丈夫だよ。 君に言われたことを考えていただけなんだ」

 

『そうですか』と答えるパドメだったが、心配している顔は変わらない。

護衛対象を不安にさせてどうするんだ、ヴェリウス!

 

「そ、そんな事よりもアナキンは随分大きくなったよね! 私は弟の成長を見ているようで嬉しく思うよ」

 

「・・・ええ、本当に大きくなりました。 はじめ見た時はアニーだとは気づきませんでした。 私も久しぶりに再会した親戚の子が大きくなったように思えてなんだか不思議な気持ちです。 あの跳ね返り坊やがジェダイだなんて」

 

彼女は急に話題を変えたことに少し不満なようだったが、特に指摘することなく会話を続けてくれる。

寧ろ言葉を続ける毎に、アナキンの成長を嬉しく思っている事が伝わってくる。

 

「彼は君との再会を心から喜んでいたよ。 同時にすぐに離れ離れになってしまうことを悲しんでもいた」

 

本当はアナキンに護衛の役目を譲るつもりだったこと、諸々の理由でそれは許可されなかったことをパドメに話す。

 

「・・・貴方はアナキンに護衛の任務を譲ることを何とも思わなかったのですか?」

 

彼女の先程までの嬉しそうな表情は影を潜め、どんどんと険しい物に変化していく。

どうやらまた余計なことを口にしてしまったようだ。

 

「アナキンは姉のように慕っている君と離れたくなかったんだよ! 幼い頃に母上と離れる事になって寂しかったんだと思う。 それに君が私を嫌っていると思っていたから・・・だから私は——————」

 

「私の護衛任務を放棄し、アナキンに譲ろうと? 言いたいことはそれだけかしら?」

 

「——————はい」

 

何故か警護・・・じゃなかった。

敬語になってしまった。

今の彼女は絶対零度の惑星も暖かく感じる程の冷たい目をしている。

どうも彼女といると、私はいつもの自分でいられない。

10年前もこうだったかな?

人は簡単には変わらないと言ったが訂正させてもらった方が良さそうだ。

 

 

 

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<惑星ナブー>

 

私たちはその後、特に問題なく(?)目的地であるナブーへと降り立っていた。

荷物を手に、宮殿へと向かっている最中だ。

 

「以前も年若い女王はいましたが、今思い返してみると女王の時の私は未熟で、大任に自信がありませんでした・・・若すぎたのですね」

 

唐突にパドメは自分の事を話し出す。

それに、彼女の本質的な部分の話を聞くのは珍しいと同時に思った。

 

「当時は14歳・・・・・年端も行かない女の子には一国を治めるというのは大きすぎる重責だね。 私には想像もつかない」

 

年齢だけ見ると、彼女は私の一つ下だ。

しかし、当時の彼女ですら年齢に見合わない強さと大胆さ、知識を持ち合わせていた。

そんな君も心の底では不安に思っていたんだね。

10年と数日の月日で広く空いてしまった溝が、少しだけ埋まったように感じる。

 

「何とか二期務める事が出来ましたが、その後は女王から“元老院へ”と言われ・・・断れませんでした」

 

「君はその時に元老院行きを断っていたら、何をしていたと思う?」

 

私の返しが予想外だったのか、彼女は驚いたような表情を浮かべて口を閉じる。

“どうなっていたか”それを考えているようだ。

女王の間にたどり着くまでに、彼女からその答えを聞けることは無かった。

 

 

 

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<惑星ナブー:女王の宮殿>

 

「投票の結果、共和国軍創設が決まれば各地で内戦が広がるでしょう」

 

「共和国は創設以来、全面戦争を経験しておりません。 歴史で初めての事です」

 

パドメが共和国の現状を女王らに伝える。

それを聞いたナブーの総督で王室顧問評議会のメンバーであるシオ・ビブルは、共和国が戦争状態に突入する事を恐れていた。

 

「交渉で、分離主義勢力を共和国に引き戻すことは出来ませんか?」

 

そう言うのは現在のナブー女王の座に就いているジャミーラだ。

彼女は民主主義を信じており、自分の前任者であるパドメを強く支持している。

 

「難しい問題です。 それに武力に頼れば通商連合やコマース・ギルドに走ることになるでしょう」

 

「通商連合か・・・4度も最高裁で裁かれながら、今もヌート・ガンレイが総督の地位にあるとは信じ難い。 元老院にはこの危機を解決する力は無いようですな」

 

そう話すシオ・ビブルの言いたいことも分かる。

実際、元老院に現状を打開する事は難しいだろう。

 

「・・・共和国を信じましょう。 民主主義を信じなければ、それ自体を失う事になります。 とにかく今は貴女の安全が最優先です」

 

ジャミーラ女王がそう言うと、議会は終わりを迎える。

女王は立ち上がると、パドメと共に歩き出す。

 

「マスター・ジェダイのお考えは?」

 

シオ・ビブルは、パドメの護衛についての意見を求める。

私はナブーの地理についてそこまで詳しい訳ではない。

生まれ育った彼女本人の知識を借りる方が良いだろう。

 

「そうですね・・・一番は人目に付かない静かな場所が良いでしょう。 警戒する対象が少なければ、それだけ異変に気付きやすい。 アミダラ議員のお考えは?」

 

「私は湖水地方に身を潜めるのが良いかと思います。 マスター・ジェダイの条件にも合う場所です」

 

「決まりですね。 ではそのように」

 

女王からの許可も得られ、私たちはパドメの言う湖水地方へと身を隠すことに決まった。

何も起こらなければ良いけど。

 

 

 

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<リシ・メイズ 惑星カミーノ>

 

ハイパースペース航行の為のリングを装着した2機のデルタ7イーサスプライト級軽インターセプターが現れる。

赤、黄色とそれぞれの機体にはジェダイの騎士とその弟子が乗り、アストロメク・ドロイドが装備されている。

 

「見えたぞアナキン、予測通りの位置だったな」

 

『はいマスター、あれが謎の惑星カミーノですね』

 

装着していたリングをパージし、惑星カミーノへと向かう2機のジェダイ・スターファイター。

オビ=ワンらは惑星へと降下していき、嵐が荒れ狂う中に1つの町を発見する。

 

建物の中に入ると、身体が異様に細長い種族の出迎えを受ける。

オビ=ワンは、これがデックスの言っていたカミーノアンだと予想するのだった。

 

 

 

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□惑星カミーノ発見より少し前

 

オビ=ワンとアナキンの二人は、謎の賞金稼ぎが放った毒矢の真相を突き止めるために行動していた。

その際にオビ=ワンが頼ったのはコルサントの工業地区でダイナーを営む人物。

デックスと呼ばれるベサリスク種族の男性は多彩な経歴を持つ人物で、オビ=ワンとは旧知の仲だった。

彼の情報では、女性の賞金稼ぎの命を奪った毒矢は“セーバーダート(吹き矢)”と呼ばれる物で、惑星カミーノと呼ばれるクローン技術に秀でた星の物だと言うのだ。

その情報を元に、オビ=ワンらは謎の惑星カミーノを見つけるために動き出すのだった。

 

 

 

<惑星コルサント ジェダイ聖堂>

 

「マスター、本当に彼(デックス)の情報は確かなのでしょうか? 公文書館の記録にはありませんでしたし、座標が正しくないのでは?」

 

ジェダイ公文書館でカミーノと呼ばれる惑星の場所を調べるオビ=ワンらだったが、何故かその場所を発見できないでいた。

情報提供者(デックス)には、記録で簡単に見つかると言われていた為、情報への信頼を失いつつあるアナキンだった。

 

「分からないことだらけだな・・・しかし今は“惑星カミーノ”と“惑星が存在すると思われる座標”の2つしか情報がない。 とりあえず今は“年長者の知恵”を借りる事にしよう」

 

そういうオビ=ワンについて行くアナキンは、まだ幼いイニシエイトを訓練しているグランド・マスターの下に辿り着く。

 

「・・・休憩。 客人が見えた」

 

オビ=ワンとアナキンの気配を感じたヨーダは、訓練生たちに休憩を命じる。

イニシエイト達は、オビ=ワンらを見つけると子供らしく声を揃えて挨拶をする。

 

「やあ皆、お邪魔してすみません」

 

「ワシになんの用じゃオビ=ワン?」

 

「古い友人に教わった星を探しているのですが、どういう訳か公文書館のチャートに載っていないのです」

 

オビ=ワンは今までの経緯を含めて、探している惑星を見つけられないことを伝える。

それを聞いたヨーダは、幼いイニシエイト達の力を借りる事に決めたようだ。

 

「マスター・オビ=ワンが見つけられない星か。 うーん、困ったのぅ・・・いやはやどうしたものか・・・」

 

ワザと大袈裟にリアクションをするグランド・マスターを見てイニシエイト達が笑っている声が聞こえる。

彼のパダワンであるアナキンも、微笑ましい光景に口角を上げている。

 

「リーアム、シェード(日よけ)を」

 

ヨーダは部屋を暗くさせ、全員を部屋の投影機に集合させる。

その投影機はアウター・リムよりも先に存在するリシ・メイズの周辺を立体的に表示する。

 

「惑星の重力によって周辺の星たちが引き付けられていますが、肝心の惑星が存在しないのです」

 

投影機に映し出された場所を指しながらアナキンが説明する。

 

「うーん、重力の痕跡は残っておるが太陽も周囲の惑星もみんな消えておる。 どうしてかのう・・・誰かわからぬか?」

 

「マスター、誰かが公文書館の記録を消したんです」

 

皆が様々な可能性を思案していると、一人の幼いイニシエイトが発言する。

オビ=ワンもアナキンも、あり得ない事だが子供が言っていることだから仕方ないと微笑みを浮かべている。

だが、誰よりも経験を積んだグランド・マスターは違った。

笑い声を上げながら、イニシエイトの考えを肯定する。

 

「子供の心はまさしく脅威じゃの! この子の言う事は正しい」

 

ヨーダはオビ=ワンらに対して、重力の痕跡がある場所に向かえば探している星が見つかるという。

 

「データは、何者かが消したのじゃ」

 

部屋を出て、歩きながらヨーダは話し出す。

だがオビ=ワンらはその考えに否定的だ。

 

「ですがマスター・ヨーダ、公文書館のデータを消すことなど可能でしょうか?」

 

「あそこの情報に触れられるのはジェダイだけです。 そんな事は不可能では?」

 

オビワンとアナキンは、それぞれ自分の意見を述べる。

仮に聖堂に忍び込み、ジェダイに気づかれずにそんな事ができる者がいるとしたら大問題だ。

しかし、彼らはそんな事はあり得ないと考えている。

何かあれば、ジェダイである自分たちが気づかない筈はないと・・・。

 

「この謎解きには危険が付きまとうぞ? データを消せるのは他でもないジェダイだけじゃ・・・誰が、何のために・・・さて困ったのぅ——————」

 

ヨーダの言葉を聞いて、オビワンとアナキンは顔を見合わせる。

『そんな事があり得るのか? 仮にそうだとしたら何の目的で?』

無言でもお互いの言いたいことが分かった。

それを見ていたヨーダもまた、彼らの心の内が理解できた。

 

「——————しばし瞑想に耽るかの、この謎を解く鍵がみつかるかもしれぬ」

 

 

 

 

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□現在

 

オビ=ワンとアナキンは閉鎖的だと聞いていたカミーノアンに、予想外の歓迎を受けていた。

ラマ・スーと呼ばれる首相自ら応対し、共和国のためにクローン軍団を10年も前から作っていたのだと。

それも他ならぬジェダイ・マスターの依頼によって。

 

当時ジェダイ評議会のメンバーであったサイフォ=ディアスによって発注されたクローン軍は、ジャンゴ・フェットと呼ばれる賞金稼ぎをホストとしたものだとカミーノアンは語る。

しかもそのジャンゴ・フェットと呼ばれる賞金稼ぎは、このカミーノに滞在しているという。

それを聞いたオビワンとアナキンは“当たり”だと考えた。

そのジャンゴ・フェットと呼ばれる賞金稼ぎに会えるよう取り計らうとカミーノアンが申し出たところで、クローン軍の見学先に到着する。

 

「・・・凄い」

 

彼らの見下ろす先には部隊ごとに規律正しく行進する、純白のアーマーに身を包んだクローン軍団が広がっていた。

その洗練、統制された様子を見るだけでも彼らの精強さが伝わってくる。

 

「素晴らしいでしょう? 今まで一番の最高傑作だと自負しております。 それに彼らに施している戦闘プログラムにも自信があります。 必ずや共和国のお力になるでしょう」

 

そう口にするアナキンの様子を見て満足そうにするにはラマ・スー首相だ。

自分たちの自信作を正当に評価されたとあってご満悦のようだ。

饒舌にどんなに素晴らしい“製品”か、という事を語り続けている。

クローン軍を見たオビ=ワンはその姿に圧倒され、アナキンは高揚感を覚えるのだった。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<惑星ナブー 湖水地方>

 

私たちは小舟に乗って、湖水地方に存在する屋敷に到着していた。

周りには他に建物も無く、パドメが言うように静かで落ち着いた雰囲気の場所だ。

時が止まっているかのような印象を受ける程だ。

今いるのは宮殿のテラスのような場所で、綺麗な湖を見渡せる。

吹き込んでくる優しい風が本当に心地よい。

 

「とても良い場所だね」

 

「気に入りましたか?」

 

「うん、とっても。 これなら窮屈な思いをしないで済みそうだね」

 

私がこの場所を褒めると、彼女は嬉しそうに聞き返してきた。

パドメの様子を見ていても、この場所を気に入っているのが分かる。

 

「学生時代によくこの場所に来ました。 友達と島まで泳ぐのが日課でした」

 

水が好きだと、彼女は嬉しそうに当時を振り返りながら話してくれる。

泳ぎ終えたら砂浜に横になり、身体を乾かすのだという。

嬉しそうに話すパドメの横顔をすぐ隣で見ていると、私も不思議と嬉しい気持ちになる。

そんな私の視線に気が付いたのか、パドメが私を見上げてくる。

目が合うと、彼女はいつものように目を逸らしてしまう。

 

「ねえパドメ?」

 

「ど、どうしたのですか?」

 

「何故君は、私と目が合うと逸らすんだい?」

 

私の事を嫌っていないというのは分かったが、未だに彼女は目を合わせようとしてくれない。

彼女は俯くだけで、何も答えてくれない。

言い難い理由なのだろうか?

無理してまで言って欲しいとは思わない。

この空気を切り替えるには・・・

 

「よく泳いでいた島と言うのはどこなの?」

 

「・・・え?」

 

突然の私の言葉に、脳が処理するのが追い付いていないようだった。

彼女は少し間をおいて、『あの島です』と指をさして教えてくれる。

 

「行こう? 私も泳ぎには自信があるんだ」

 

「え、ちょっと待ってください!」

 

私は彼女の手を引くと、湖に向かって走り出した。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

突然の出来事に驚いたようだったが、彼女はさすがの対応力を発揮した。

島に向かって先に泳ぎ出した私だったが、パドメは負けじと全速力で泳いだ。

今は屋敷から離れた小島に辿り着き、彼女が語っていたように一緒になって砂浜に横になり、身体と服を乾かしている最中だった。

 

「こんなに動いたのは久しぶりです」

 

彼女は泳ぎ疲れた様子だったが、運動後の心地よい疲労感もあってスッキリとした表情を浮かべている。

私たちは水を吸って重くなった上着を脱ぎ捨て、下に着ていた服だけで軽装だ。

顔を横に向けると、彼女の髪からは水が滴り、身体には浜の砂が地肌に付いているのが分かる。

 

「あまり見ないでください・・・」

 

彼女は私の視線に気が付くと、恥ずかしそうにそう言う。

配慮が足りなかったな。

『つい見とれてしまった』と言うと、パドメは驚いたような表情を浮かべる。

そんなに驚くことかな?

 

「ヴェリウスがそんなこと言うなんて驚きました。 私の事など興味はないでしょう?」

 

「どうして? 君は美しいよ?」

 

私は正直に思っていることを伝える。

彼女は恥ずかしそうにしているが、嬉しそうな雰囲気も感じる。

 

「ジェダイにそんな感情があるとは知りませんでした」

 

パドメはいたずらっ子の様な顔を浮かべながらそう言う。

一国の女王と元老院議員を経験しているため忘れがちだが、彼女はまだ24歳と年若い。

少女のような面影を残しているのが、この表情を見ればわかる。

 

「少し傷つくな・・・私たちだって感情のある普通の人間だよ?」

 

フォースと深い繋がりがあるからと言って私たちは普通の人間と変わらない。

時間が経てば老化し、傷を負えば死ぬし、病気にもなる。

世間のジェダイに対するイメージは少し飛躍し過ぎているように感じてならない。

 

「ですがジェダイは愛を禁じているのではなかった?」

 

「確かに物質への執着は禁じられているね。 でも人や物を大切にする事と愛に違いがあるとは思えないし、ジェダイの教えが絶対的に正しいとは思っていないよ」

 

「そうですか・・・」

 

それだけ言って彼女は口を紡ぐ。

会話こそなかったが、辺りには穏やかな雰囲気に包まれている。

 

私は目を閉じて穏やかな空気を堪能する。

こんなにも心穏やかだったことがあるだろうか?

本当に素敵な場所だ。

 

すると突然、辺りが暗くなる。

私の身体を優しく照らしていた太陽の光が遮られたのだ。

瞼を開くとパドメが私の顔の横に手をつき、見下ろしている姿が目に入る。

彼女の髪は未だ乾ききらず、砂が付いた身体を覆っている衣服は乱れていた。

 

その姿から目が離せない。

この宇宙で、彼女より美しい存在を私は知らなかった。

 

「ヴェリウス・・・」

 

彼女は私の名を呼び、顔を近づけてくる。

避けようと思えば避けられた。

しかし、私の身体は動こうとせずに自然と彼女の“行為”を受け入れてしまう。

太陽の光によって砂浜に映し出される二人の影は重なり、一つになる。

 

私は湖の静かな波音と、優しく身体を包む太陽と風、そして唇を通して伝わってくる彼女の体温で包まれるのだった。

 




はい、お疲れさまでした。

パドメは10年前(EP1)から年の近いヴェリウスに恋心を寄せていました。
危険な場面で命を救われたり、力を合わせて自分の星を救ったりと色々あったようです。

それではまた近いうちに・・・
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