かつて選ばれし者と呼ばれた騎士   作:みどり色

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皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

やっっっっっと更新できました。
大変お待たせ致しました。
それではご賞味下さい(恍惚)



第4話 雫

<惑星カミーノ ティポカシティ>

 

オビ=ワン・ケノービとその弟子のアナキン・スカイウォーカーは、共和国の為に生み出されたクローン兵の視察を終え、そのホストとなったジャンゴ・フェットと呼ばれる賞金稼ぎとの面会に訪れていた。

 

「ボバ、お父様はおいでに?」

 

「・・・ああ」

 

ラマ・スー首相に仕える行政補佐官であるトーン・ウィーが、ボバと呼ばれる少年に尋ねる。

ボバは来訪者の様子を観察しながら答える。

 

「会えるかしら?」

 

彼女が尋ねると、ボバは頷き客人を部屋に招き入れる。

 

「パパ、トーン・ウィーが来たよ」

 

ボバが呼ぶと、クローゼットから着替えをしていた様子の男が現れる。

軽装で現れた男は、その佇まいだけで只者ではない雰囲気を纏っている事が感じられる。

 

「ジャンゴ、お帰りなさい。 実りある旅でしたか?」

 

「・・・大いに」

 

突然の来訪者の様子を観察しながら、ジャンゴと呼ばれた男は簡潔に答える。

先程のボバと呼ばれた少年と非常によく似ている。

いや、ジャンゴに似ているのは少年の方だろう。

 

ラマ・スー首相が語っていた。

遺伝子提供の見返りとして莫大な金額のクレジットの要求とは別にもう一つ、彼は変わった条件を付けたと。

それは遺伝子調整などを行わない、自分と全く同じクローンを作ってほしいと。

 

「こちらはジェダイ・マスターのオビ=ワン・ケノービと、アナキン・スカイウォーカーです。 クローン兵の進捗状況を確認しにいらしたの」

 

トーン・ウィーから紹介されると、オビ=ワンはジャンゴと呼ばれる男に対して口を開く。

 

「君のクローンを拝見したが素晴らしい」

 

「宇宙に自分の足跡を残しておきたくてな」

 

「コルサントにも足跡を残したか?」

 

彼らの会話を見ていたアナキンは無用なやり取りだと感じた。

この2人はお互いに理解している。

“あの時のヤツ”だと。

 

会話を続ける合間にジャンゴは息子に向かって、聞いたこともない言語(フェット・コード)で声を掛ける。

それを受けた息子のボバは、クローゼットの一室の扉を閉めた。

その際に、扉の向こうにクローン・トルーパーのアーマーとよく似た物が置かれているのをアナキンは見逃さなかった。

 

「サイフォ=ディアスなんて知らないな。 俺を雇ったのはティラナスって奴だ」

 

「・・・そうか。 時間を取らせて悪かったな」

 

そう言ってオビ=ワンはお辞儀をする。

 

「ジェダイの為なら喜んで」

 

 

 

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<惑星ナブー 湖水地方の宮殿>

 

私はパドメと2人、傾いた陽と湖が照らし出す赤と橙に染まった室内で食事を取っていた。

室内に入ってくる風は穏やかで優しく、心地よい。

本当に素晴らしい場所だ。

 

「私は君が女王だとは全く気が付かなかった。 サーベは本当によく訓練された影武者だったね」

 

私たちは食事をしながら昔話に花を咲かせていた。

今話しているのは、10年前のナブー解放時(EP1)のことだ。

 

「グンガンの協力を得るためボス・ナスの説得をしている際に、突然君が『私が本物のアミダラ女王だ』と言った時は本当に驚いたよ」

 

「そんなに驚かなくても良いのに」

 

彼女は微笑みを浮かべながら、フルーツを口に運ぶ。

あの時の皆を驚かせた時の事を思い出しているのだろう。

 

「正直な所、私は女王の交渉術では協力を得られなさそうだから君が咄嗟に“嘘をついた”と思っていたんだ」

 

「どういう事? 本当は侍女なのに、私が女王のフリをしたと?」

 

彼女の言葉に頷く。

サーベが交渉を続けていても、あの場でグンガンの協力を得る事は難しかっただろう。

そこで女王の代わりとなって交渉の場に立つために、自分が“本物のアミダラ女王”だと嘘をついたのだと、当時の私は考えていた。

 

「でもね、いつまで経っても女王と言う“役”から降りない君を見て私の思い違いだったと気づいたんだ」

 

パドメは面食らったような表情を浮かべたと思ったら、次の瞬間には声を出して笑い始めた。

傍で控えている世話係や給仕人も笑いを堪え切れずに顔を逸らしている。

我慢しきれずに部屋を後にする者もいる程だ。

フォースとの繋がりが深い私は“感覚”が常人の比ではない。

申し訳ないけど部屋を出て気持ちを落ち着かせ、スンと澄ました顔で戻って来られても君が向こうで爆笑していた事実は変えられないからね?

バレてるよ?

君の顔は覚えたからね?

 

「貴方って、意外と可愛いところがあるのね」

 

笑いから来る涙を拭きながらパドメがそう言う。

周りの人達も頷いているのだから、下手に否定もできない。

 

「そんなこと言われたのは初めてだよ」

 

私は少しムッとしながらナイフを手に取り、皿に綺麗に盛られた肉を切り分ける。

この肉はナブーの草原地帯に生息しているシャクという動物で、その美味な肉はナブーの人々にとって最高の食材となっている。

それを口に運ぶと先程までのモヤモヤした気持ちがどこかへ行ってしまった。

肉を切り分けるナイフと、それを口に運ぶフォークを持つ手が止まらない。

 

パドメはというと、ボーっとした視線を私に向けてくる。

 

「どうしたの? パドメ?」

 

「い、いえ何でもありません」

 

声を掛けると、彼女も食事を再開する。

長旅で疲れたのかもしれないね。

加えて滞在先に着いて早々、隣の島まで泳がせてしまった。

それに・・・・・

 

「 ? ヴェリウス?」

 

私は島での出来事を思い出してしまった。

様子の変化を感じ取ったパドメが、今度は心配そうな視線を向けてくれる。

 

「ふっ」

 

「な、なぜ笑うのですか!?」

 

彼女は本当に色んな表情を見せてくれる。

色んな視線を向けてくれる。

それを堪らなく嬉しく思う。

 

「ありがとう、パドメ」

 

私はこの気持ちに対する礼を口にする。

彼女は少し焦ったような表情を浮かべ、泳いだ視線は行き場を失っていた。

その視線は目の前に広がる料理へと固定され、彼女は今までと比べようがないスピードで食事を再開した。

その様子が可笑しくて、私は再び笑みを浮かべてしまう。

 

 

 

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食事を終え、私は外が見渡せるテラスにいる。

陽は完全に沈み、辺りは湖の静かな波音と優しい風で満たされていた。

ここは夜でも穏やかだ。

ジェダイとして過ごす世界とは完全に切り離された別世界のように感じる。

ずっとここに居たい。

そう感じさせてくれる場所だ。

 

「ヴェリウス?」

 

そう声を掛けて来たのは、食事後に着替えを済ませたパドメだった。

肩と背中を大きく露出させた漆黒に染まるドレスで身を包んでいる。

周囲が暗い事もあってか、漆黒のドレスに身を包んだ彼女はこの世界を統べる者のようだ。

その姿は妖艶で、見たものを惑わせる。

 

「・・・綺麗だ」

 

私は見たまま、感じたままの気持ちを口にした。

それを聞いたパドメは少し恥ずかしそうな表情を浮かべるが、まんざらでもない様子だった。

 

「そしてこの場所も」

 

私は彼女から視線を外し、月が照らし出す湖畔とその先を見つめる。

静かに揺らめく湖は、見ている者の心を穏やかにする。

 

「ここは冷えるわ。 ヴェリウス、中へ」

 

そんな私の姿を眺めていたパドメがそう口にする。

ここが温暖な気候とはいえ、夜になると吹き付ける風も冷たくなる。

 

パドメはとても薄着だ。

悪い事をしてしまった。

彼女に促されるまま、建物に設置された暖炉へと歩みを進める。

その際に自分が身に着けていた灰色のジェダイローブを彼女へと羽織らせる。

パドメは少し驚いた様子だったが、そのローブをぎゅっと握りしめている。

やっぱり寒かったんだね。

ごめんね、パドメ。

 

 

 

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私たちはテラスを後にし、暖炉の前に設置されているソファーへと腰を下ろして冷えた身体を暖めている。

暖炉の火が薄暗い室内を照らし、パチパチと薪が弾ける音が周囲を支配している。

 

彼女は向かいのソファーに座っているが、どうも落ち着かない様子だった。

それを感じ取っている私も、気軽に話しかけられない雰囲気なので暖炉の火を眺めているしかなかった。

 

そんな私の様子を見ていたパドメは徐(おもむろ)に立ち上がり、私が座っているソファーへとやってくる。

彼女は身に着けていた私のローブを脱いで、隣に腰を下ろした。

 

「ローブをありがとう・・・とても暖かかったわ」

 

「うんん、それよりも寒い思いをさせてしまったね」

 

一般的に建物に入る際はローブやコートの類は脱ぐのがマナーだが彼女は冷えていたし、周りに誰かいる訳でもない。

私は謝罪の言葉を口にしてローブを受け取る。

その後、再び気まずい雰囲気になるがその静寂を破ったのは彼女だった。

 

「その、申し訳ありませんでした。 昼間の・・・島でのこと」

 

彼女が何の事を言っているかはハッキリと言われなくても理解できた。

出来るだけ考えないようにしていたことだ。

しかし食事や他の事に集中している時ならいざ知らず、今のように何をする訳でもなく静寂が支配している状況では考えずにはいられない。

 

「良いんだ。 君もつい・・・弾みであんな事を—————」

 

「—————弾みではありません」

 

彼女は、静かだが確かな意思を持ってそう言った。

その力強さに私は言葉に詰まってしまう。

 

「貴方は・・・貴方と出会ってから私は・・・・・」

 

言葉に詰まりながらも彼女は言葉を続ける。

自分の中の気持ちを確認するように、それがどういう意味を持つかを考えながら。

 

「貴方と出会い、共にこの国を救い、そして長い間再会する事は叶いませんでした。 しかし、突然私の前に現れた貴方は—————」

 

「—————パドメ?」

 

再び言葉に詰まってしまった彼女の瞳を覗き込む。

その瞳には、先程の物とはまったく意味の異なる涙が溜まっていた。

 

「貴方の深く吸い込まれるような青い瞳も、流れるような白金の長髪も、その姿は私を惑わすのです。貴方を見ているといつもの自分ではいられない」

 

そう口にする彼女はとても苦しんで見えた。

俯き、苦しむ姿を見て、私は堪らず彼女の肩に手を置く。

そうすると彼女は顔を上げ、私の瞳を見つめ返してくる。

 

「ヴェリウス、貴方の優しさに触れる度に私は・・・」

 

彼女は再び口を閉ざしてしまう。

フォースを通じて伝わってくる彼女の感情は滅茶苦茶だった。

喜びや悲しみ、不安や期待、恐怖・・・

様々な感情が濁流のように押し寄せ、それは留まることを知らない。

 

「パドメ?」

 

私はもう一度彼女の名を呼ぶ。

今度は静かだがハッキリと。

 

顔を上げた彼女の顔は涙で濡れていた。

それを見た私は、その姿を美しいと思ってしまった。

この世に、彼女以上に美しいものが存在するだろうか?

 

私は震える彼女の身体を抱きしめる為に、手を伸ばすが途中で躊躇してしまう。

この行為にどういう意味があるのか?

それを考えると、私は彼女を抱きしめることが出来なかった。

 

パドメは自分に伸びて来た手が宙で止まったのを見るとゆっくりと口を開いた。

 

「分かっています。 この想いが叶わぬものだという事は・・・・・ですが考えてしまうのです。 ここに着いてからの事や島でのことを」

 

私は彼女の話を静かに聞く。

今の私にできる事は・・・それくらいしかない。

 

「貴方に触れ、その温もりを感じたい、愛を感じたい。 でも拒まれたらと思うと・・・・・ヴェリウス、答えて下さい。 苦しんでいるのは私だけなのですか? 貴方は—————」

 

涙を流しながらそう尋ねてくる彼女からは、少しでも希望があるのならそれに縋りたいという感情が伝わってくる。

私はジェダイの騎士だ。

その事実だけで既に答えは出ているようなものだ。

考える必要はない。

 

だが、それは私の本意なのだろうか?

“ジェダイだから”と言うのは物事に対しての言い訳のように感じてしまう。

今までフォースと深く繋がり、剣の訓練に打ち込み、“選ばれし者”としての役目を全うする為に自分に出来る事をして来た。

しかし短くも彼女と過ごしたひと時は、今までで最も安らぎと安寧、幸せを感じた時間だった。

この気持ちに噓偽りはない。

それでも—————

 

「ヴェリウス、貴方は私に尋ねましたね?」

 

 

 

『以前も年若い女王はいましたが、今思い返してみると女王の時の私は未熟で、大任に自信がありませんでした・・・若すぎたのですね』

 

『当時は14歳・・・・・年端も行かない女の子には一国を治めるというのは大きすぎる重責だね。 私には想像もつかない』

 

『何とか二期務める事が出来ましたが、その後は女王から“元老院へ”と言われ・・・断れませんでした』

 

『君はその時に元老院行きを断っていたら、何をしていたと思う?』

 

 

 

彼女はナブーに着いた時の会話について話し出した。

私の『君はその時に元老院行きを断っていたら、何をしていたと思う?』という言葉についてだ。

 

「貴方にそう尋ねられ、私はすぐに答える事が出来ませんでした。 学生の頃はやりたいこと何ていくらでも思いついたというのに・・・・・しかし、今なら分かります。 ヴェリウス、私は貴方と共に在りたい。 それが私の願いです」

 

「私たちはそれぞれ立場のある人間だ。 君は元老院、私は平和の守護者としてこの銀河をより良いものへと導く責任がある・・・・・それに君は、今この時代に必要な人だ」

 

彼女が聞きたかった言葉じゃないという事は分かっている。

それでも、彼女が求めている言葉を私は口にすることが出来なかった。

 

「パドメ、私は・・・・・君と過ごした時間は本当に幸せだった、今までで最も。 でも、君だって分かっているはずだよ? この道を進んでも私たちを待っているのは破滅だけだ」

 

 

 

その後も私たちの話し合いに明確な答えが出る事は無かった。

夜も更け、彼女を休ませるために自室へと促す。

本当に長い1日だった。

 

 

 

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<惑星カミーノ ティポカシティ>

 

「“第1陣は完成した”と、ジェダイ評議会にご報告を。 さらにクローン・トルーパーが必要ならその育成には時間を要すると」

 

「必ず伝えましょう。 色々とありがとう」

 

オビ=ワンはカミーノ滞在中に世話になったトーン・ウィーへと礼を述べ、弟子のアナキン・スカイウォーカーと共に豪雨が吹き荒れる中、ファイターへと歩みを進める。

 

「マスター、ジャンゴ・フェットを捕えなくて良いのですか?」

 

「今は評議会への報告が先だ」

 

「そんな悠長なことをしていたら、奴に逃げられますよ?」

 

アナキンはオビ=ワンの規則遵守な性格を良く思っていなかった。

柔軟性に欠けるジェダイの方針は、自分の能力を発揮する足枷になると。

 

「R4、コード5でコルサントのジェダイ評議会に連絡だ」

 

 

 

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<惑星コルサント ジェダイ聖堂:瞑想室>

 

『カミーノの首相、ラマ・スーとの接触に成功しました。 ジャンゴ・フェットと呼ばれる賞金稼ぎをホストにクローン軍を造っています。 この賞金稼ぎこそが探していた暗殺者ではないかと思われます』

 

「カミーノ人がアミダラ議員暗殺に関与している可能性はあるか?」

 

『いいえ、カミーノ人には動機がありません』

 

オビ=ワンからの報告にメイス・ウィンドゥはカミーノ人関与の可能性を危惧するが、彼はその可能性は低いという。

 

「予断は禁物じゃぞオビ=ワン、心を透明に保たねばこの陰謀の背後に潜む黒幕は暴けぬぞ」

 

さらに報告は続き、10年前にサイフォ=ディアスがジェダイ評議会の命を受けてクローン軍を発注したとカミーノアンが話している事を伝える。

オビ=ワンはこの時点でサイフォ=ディアスが死んでいたのではと予測している。

これらの報告を受けて、ヨーダとウィンドゥは顔を見合わせる。

 

「評議会が軍の発注を行った事実は無い。 評議会のあずかり知らぬことだ」

 

「・・・・・ジャンゴ・フェットを捕え、連れてくるのじゃ」

 

『はいマスター、追って連絡致します』

 

そうしてオビ=ワンからの通信が切れる。

ヨーダとメイスは再び顔を見合わせる。

 

「クローン軍とは・・・それに気づかぬとは我らの目は節穴じゃのう」

 

「・・・・・元老院にジェダイの力が弱まったことを伝えますか? 我らの力も限りが出たと」

 

メイス・ウィンドゥはその事実に少なからず衝撃を受けているようだ。

手遅れになる前に元老院への報告をと考えたが、グランド・マスターは違った。

 

「我らの弱点を知るのはシスの暗黒卿のみじゃ。 元老院に知らせれば敵対者を増やすことになりかねん。 慎重に動く必要があるのう」

 

2人のジェダイ・マスターはそれぞれ瞑想に耽るのだった。

 

 

 

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<惑星カミーノ ティポカシティ>

 

「パパ、ジェダイだよ!」

 

「ボバ、船に乗れ!」

 

ジャンゴの息子がオビ=ワンとアナキンを発見し、迫る危険を父に伝える。

息子と旅支度をしていたジャンゴは振り向きざまにブラスターを抜く。

その姿は銀色に輝く特徴的なアーマーに包まれており、クローン・トルーパーが身に着けているアーマーによく似ている。

 

「だから言ったんですよ! 奴を捕まえなくても良いのかと!」

 

アナキンはライトセーバーを起動しながら師に対して不満を言い放つ。

 

「ああ、次からは先に捕らえてから評議会に報告するとしよう」

 

守りもしない約束を口にし、オビ=ワンもライトセーバーを起動する。

豪雨が吹き荒れる中でもその低い起動音が辺りに鳴り響く。

 

ジャンゴ・フェットは2丁のウェスター34ブラスター・ピストルを器用に使い、2人のジェダイに向かってバトル・ドロイドとは比較にならない程正確な射撃を加えた。

 

その射撃を偏向しながら積極的に前進してくるのは弟子のアナキン・スカイウォーカーだ。

彼は不利な距離を縮めていき、攻撃が届く距離になるとライトセーバーを横に振り抜いた。

しかし、ジャンゴはアーマーの背面に装備されたジェットパックを用いてその斬撃を回避する。

嵐が吹き荒れる空へと飛びあがったジャンゴは、空中からブラスターによる攻撃を続ける。

 

その隙にボバは改造されたファイアスプレー級インターセプターに装備されている2基のツイン・ブラスターキャノンを2人のジェダイに向けて照準を合わせる。

フォースによる先読みによって予め危機を察知したオビ=ワンとアナキンは船から距離を取るが、そのブラスター・キャノンによって放たれた高威力の光弾がデッキへと着弾し、2人の身体を大きく吹き飛ばした。

 

「くそっ、こんな事ならファイターで備えていれば良かった」

 

「私に奴を押し付ける気か?」

 

「いいえマスター、お好きな方をどうぞ」

 

危険な状況でも2人はユーモアを忘れない。

そんな彼らに向かって、寡黙な賞金稼ぎは追い打ちを掛ける。

ジェットパックに装備されたミサイルを発射したのだ。

その弾頭がデッキに着弾すると、甚大な被害をもたらす爆発が発生した。

再び大きく吹き飛ばされてしまうオビ=ワンとアナキン。

大きな怪我を負っていないのは不幸中の幸いだ。

 

「くそっ、ジェダイが2人もいてこのザマか?」

 

「1人は修行中の身ですから・・・・・ちょっと失礼!」

 

「おい、アナキンどこへ行く!?」

 

師の悪態を聞き流し、その弟子は建物へと走り出す。

途中フォースでライトセーバーを拾うのも忘れない。

オビ=ワンの制止など耳に入らない様子で、彼は建物の奥へと姿を消していった。

 

「勘弁してくれ」

 

弟子の姿を見送った後、オビ=ワンは賞金稼ぎに視線を戻す。

ジャンゴはチャンスとばかりにジェットパックを用いて、オビ=ワンへと急速に接近している。

オビ=ワンはフォースを身に纏い、空へと大きく跳躍した。

空中で2人が交差するタイミングで、オビ=ワンはジャンゴの腹部へと強烈な蹴り技を加える。

賞金稼ぎは大きく吹き飛ばされ、デッキへと叩きつけられる。

 

その隙にオビ=ワンは自身のライトセーバーをフォースで引き寄せるが、すぐに態勢を整えたジャンゴによって妨害される。

 

「良いアーマーだな」

 

常人なら戦闘に復帰するのにも今しばらく時間を要しただろうが、特別製のアーマーに身を包んだジャンゴにとっては大したダメージではなかったようだ。

オビ=ワンが独り言のように発したその言葉がこの賞金稼ぎの耳に届いていたかは知りようも無いが、彼の答えはウィップコードを発射してジェダイの両腕を拘束するというものだった。

ジャンゴはオビ=ワンを荒れ狂う海へと落とす為に再び大空へと舞い上がる。

 

ライトセーバーを拾えなかったオビ=ワンに、ウィップコードを切断する術はなかった。

酷い嵐の中、オビ=ワンを宙吊りにしたままジャンゴは大きく高度を上げていく。

そして遥か上空まで上昇した賞金稼ぎは、無慈悲にもヴァンブレイスに繋がっているウィップコードを切断した。

 

ジェダイの騎士が荒れ狂う海の中へ消えたのを確認した後、息子が待機しているファイアスプレー級インターセプターへと舞い戻る。

 

「パパ、ジェダイをやったの?」

 

「ああ、師匠の方を海に叩き落としてやった」

 

「すげえや、さすがパパだ!」

 

「弟子の方の行方が知れない。 念のために奴らのファイターを破壊しておくか」

 

その役目は自分にさせてくれと言う息子の言葉に、ジャンゴは不敵な笑みを浮かべて頷く。

彼らは愛機であるスレーヴ1を起動して、ティポカシティ上空を旋回する。

そしてある一角に停まっているジェダイ・スターファイターを確認し、先程の言葉通り息子であるボバが操縦桿に備えられたトリガーを絞る。

すると備え付けられている強力な2基のツイン・ブラスターキャノンが火を噴き、大きな爆発と共にファイターが炎に包まれた。

低空でそれを確認したジャンゴらは、この惑星から脱出していった。

 

 

 




はい、皆さんお疲れさまでした。

正直、今回のヴェリウスとパドメの扱いは本当に悩みました。
そして現在もこの2人の関係をどうしていくかは悩み中です。
第5話も書き始めているので今しばらくお待ちください。

それではまた近いうちに・・・
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