天高く馬肥ゆる秋、なんて言葉があるようにこの日は湿気の威勢が弱まり乾燥しきった高気圧が大空をすっきりと背伸びさせている秋晴れの日だった。上を仰げば刷毛で掃いたかの筋雲が天の大海原を波の如く流れている。一見では恰も擬態生物みたいに何かが去るのを静視しているように見えるが、よくよく眼を凝らせば実際はどの雲も停滞を装いつつ無為に流されているだけである。まるで人生のようだと俺は思った。碌に物事に執着してこなかった所為で運命の赴くがままこんな異世界にまで流されちまった俺の人生だ。
行雲流水?澱みのない人生?臍で茶を沸かしてやりたいところだ。このどうしようもない草臥は元の世界に帰るまで癒えないのだろうと判っていればこそ溜息の一つや二つ、三つも出るってもんだ。日頃の倦怠感を労わるような可愛らしい嚔が聞こえた。
「うぅー、やっぱりちょっと寒いわね。」
「だから着込んで来いと言ったんだ。」
人の外套を羽織ってそよりと肌を撫でる風に腕を摩るエリスに俺は呆れ混じりに呟いた。可愛らしいなんざとんでもない、十五年前には看護師の格好で巨大注射器を振り回しやがった凶悪な異能生命体である。
早朝の散歩道に野生ポケモンの如く現れたこの可憐なのは見た目と声だけの幼女をスイーツ屋に連れて行く羽目にならなければ、一週間後の今日横浜の郊外を連れ歩く災難に遭うこともなかっただろう。人の賑わう店内で図々しくも駄々を捏ねたエリスに体裁を取って根負けしたのが決定的な敗因だった。彼女と鉢合わせるのは三回目、好い加減ストーカーを疑いつつあるが俺如きにどうやって異能生命体の追跡を回避しろというのだ。早朝だぞ、まだ陽も昇る前の時間帯に散歩道に現れるなんてもはや狙ってるとしか思えない。そういう経緯で、街外れで待ち合わせ時刻ぴったりにやって来たエリスを伴い葡萄畑に連れて行ってやるべく辺鄙な駅へと向かっていた。
何処からともなく漂ってくる金木犀の香りと興梠の合唱が杪夏から桂秋への季節の移り変わりを祝していた。肌寒さは日に日に増している。今日は冬が一足先に支度に転がり込んできたかのような迎寒日和だった。隣を見下ろせば人形みたいな短躯には寸法の大きすぎる外套を引き摺って、小さな足を前へと動かそうとする金髪がゆさゆさと靡いている。異能生命体なのだから浮遊してくれれば俺の外套は土埃を被らずに済むんだが仮にも幼女に対して良い歳こいた大人が無粋な発言をするわけにはいくまい。
「私もグレイみたいにスーツ着たい。」
「餓鬼には早ェな。」
「むぅ」
言いつつも俺は脳裡にエリスのスーツ姿を思い浮かべてみた。ロリータファッションはあくまで森の趣味で、本人としては斬新な格好よりも普通の服を着たいのだろう。看護師かロリータという極端すぎる服装の彼女しか見たことがないが優れた容貌なのは間違いないのだから衣装は何だって試すべきだ。今度一通り服屋を巡ってやるかと密かに考える俺も結局は親馬鹿気質が抜けてないのかもしれない。にしたって森と同一視されるのは真平御免である。
普段は都心ばかりだが偶には郊外の田舎道を歩くのも悪くない。不要な電磁波に晒されているとどうしたって不調が起きて不思議と人は大自然の安らきを求めるものだ。俺が幼稚園に通ってた頃は学業だの将来だのについてを頼んでもないのに口酸っぱく警告してくれる教師なんざいないものだから、園内での触れ合いをすっぽかして近所の同世代の子供と連んでた。山下りして川で魚を獲ったり、夜遅くまで焚き火して巡査に叱られたりと誰も彼もが野生児じみた幼少期を過ごしていた。いつからか神経質な連中が増えた現代の子供達には叶わない溌剌とした娯楽だ。畦道を散策してあの頃を懐かしめるのも俺の世代で終わりかと思えば叙情的な詩の一篇でも詠みたくなるものだ。
ザワザワと無造作に揺れる木々を眺めながら歩いていれば後方でちりんと澄んだ警鐘が鳴った。少女の腕を引っ張って脇に避ければ風を切って自転車が駆けて行った。
「そういえば三社戦争が始まったわ。」
「そうか。」
「この間探偵社とポートマフィアが衝突したの。それで鏡花が行方知れずになって…」
エリスは前触れもなく原作の進行具合を語り出した。こちらから訊いたことはないが会う度にポートマフィアが把握する横浜の最新情報を詳細に教えてくれる。無論、情報源が首領や幹部なので極めて確度が高いわけで安全圏から情報取集したい俺としては有難いことこの上ないが…機密情報を洩らしてくれる程好かれた理由は皆目見当もつかない。というより彼女の保護者は情報漏洩を承知してるのだろうか。
俺の心労を他所にエリスは満面の笑みで喋り続けていた。
近況を纏めるとこうである。先ず、鏡花を巡ってポートマフィア幹部尾崎紅葉と敦達が衝突。そこに折を見計らった組合が奇襲して尾崎は探偵社の捕虜に、鏡花は行方不明となった。その後、探偵社は秘密の隠れ家へと避難。旧晩香堂と謂う探偵社設立前に福沢が拠点としていた講堂らしい。ポートマフィア恐るべし、情報が筒抜けである。それからマフィアの管轄する港で組合のマーガレット・ミッチェルとナサニエル・ホーソーン、芥川一行が対峙して接戦の末、芥川が勝利を収めたそうだ。
「それでね、リンタロウがチューヤを探偵社の隠れ家に向かわせたの。事務員の情報を組合に漏らしたんですって。」
「やることがえげつないな。」
そんなことをすれば探偵社は陥穽と判っていても自ら嵌らずにはいられない、奴等の道義心を利用したまったく悪どいやり口だ。組合と探偵社を闘わせて残った方を潰すつもりか。探偵社員は事務員を除いて全員が各々の分野で精鋭だが、如何せん戦闘員の少なさが仇となったようだ。
実をいうと三社鼎立が始まる前にフィッツジェラルドに作戦書を渡されたのでこれから先の大体の流れは把握している。奴の魂胆も甚だ不明だが大方下手に干渉するなと警告したのだと踏んでいる。云われずともこちとら関わるどころか横浜から離れたい気分であるが生憎市内での悠々とした暮らしにも慣れてきた時期だし、仕事だってあるからそう簡単には出られない。ともあれ、癪に障る衒った面相で作戦書を渡された際には横浜を侮らない方が良いと懇切丁寧に忠告はしてやったが徒労に終わったようだ。何れにせよ各組織の勝敗は俺の関心の範疇にない。
そのうち印象的な煉瓦造りの腰折屋根が迫ってきた。付近の住民しか寄りつかない辺鄙な地域にひっそりと佇む駅舎は、強いていえば童話に描かれるような閑散とした森中の教会といった雰囲気を醸し出していた。この辺りで人の集う場所といったら駅舎隣に構える歯医者くらいだろう。
「あ、それとね!」
「まだあるのか。」
「リンタロウが…」
沈黙を知らない子供が尚も話題を進めようとした矢先、突として甲高い悲鳴が聞こえてきた。牧歌的な鄙には似付かわしくない女の悲鳴だ。続け様に聞き取りにくい日本語が矢継ぎ早に構内から何事かを訴えているのが耳朶に届くと、俺はエリスと顔を見合わせたのちに声の方角へと歩を早めた。
「敦君、やめ…て…!」
無人の改札を通り過ぎて中に入れば、瞠目すべき光景を作り出していたのは顔見知りだった。
探偵社の事務員と思しき少女が敦に首を絞められ苦悶の喘ぎを漏らしながらも訴えている。傍では既に昏倒させられた女子高生が力無く蹲っていた。味方を襲う敦はといえば、まるで何者かに精神を侵されたかの如く錯乱していた。ホラー映画もかくやの充血した眼は焦点が定まっておらず、自身が虎の握力で鷲掴みにする事務員を見上げているようで彼女ではない誰かを見詰めている。口早に独り言を呟く様は異常で、正気を失っているのは一目瞭然だった。酸素を求めて呻ぐ事務員を絞め殺そうとする敦に、呆然から戻ってきた俺は直ぐに呼び掛けた。
「敦止めろ、よく見ろ」
今にもぽっきりと首を折ってしまいそうな腕を掴んで語勢を強めれば、徐々に眸に光が蘇ってくる。我に返った敦は現状を目の当たりにして愕いて後退して…今度は己の過ちを理解するや否や発狂した。
「違う!僕はただ皆を守ろうと…」
覚束無い足取りで尻餅を付くと喚き出す。悪霊に取り憑かれたみたいに虚空に向かって怒鳴り始める敦を一先ず放置して崩れ落ちた事務員を解放してやった。
「大丈夫か、嬢ちゃん。」
「す、みませ…」
「何があった。」
「…突然敦君、彼がおかしくなって襲ってきて」
彼乱れた髪を整えもせずに息も絶え絶えに痕の残った首元を抑えていた彼女は、電車から降りて二、三言交わす間も無く敦の様子が変貌したことを言葉を痞えさせながらも打ち明けてくれた。俺が感じた通り、敦は自分達を通して別の何かを見ているようだったと。すると話を聞いていたエリスが自信満々に言い放った。
「Qね、リンタロウがQを探偵社に送るって言ってた!」
噂には聞いたことがある。精神干渉系の異能力『ドグラ・マグラ』を扱う少年、夢野久作がポートマフィアに管理されてると。座敷牢に封印されているので滅多に表に出ないはずだが…先程のエリスの近況報告を聞いた直後じゃ事態は明晰だ。森は恐らくQを野放しにして探偵社と組合を一網打尽にする腹積りなのだ。何とも卑劣な手段だ、戦場よりも狡猾さが強化してるんじゃないだろうか。
視線を巡らせば果然ベンチの下に不気味な人形を発見した。何度も裁縫で修理されて所々綿が漏れ出ている、ハロウィンの時期に見れば装飾の一種だと勘違いしそうな人形だ。それを片手に持ってみるも太宰のような無効化の異能力者でもない俺にはどうすることもできない。再度事務員二人の状態を確認してから、未だに精神病院に強制入院させられた患者並みに只ならぬ混乱に陥っている敦へと歩み寄った。
「ああ、僕は…僕はッ!」
涙と血と滲ませて丸まる背中は喪失状態から脱却できておらず異能が解ける兆候はない。解除するには発動者本人の意思か、太宰の異能に頼るしかない。時期は三者鼎立の危急存亡の真っ只中、幾ら人手不足とはいえ福沢が外国勢力が垂涎する新入社員をたった一人で事務員二人の迎えに赴かせるわけがない。他にも誰かしら保護者代わりが随伴して駅で待機していた筈だがその人物が都合良く太宰であるとも限らない。
参ったとばかりに考え倦ねていれば、つと調子外れな音色が不穏な陣風に乗って流れてきた。
「おじさんも探偵社の人?」
列車のステップに足を掛けてこちらを見据える少年が居た。
白と黒のツートンヘアに星の浮かんだ双眸、茶色のボーラーハット、黄色いスカーフがふわりと靡いている。一度見れば忘れることのない特徴的な外見は少年が自己紹介せずとも己の正体を明かしていた。
「ダメだよ、勝手に邪魔しちゃ。それともおじさんも僕と遊びたいの?」
話題のポートマフィアの問題児、夢野久作ことQはケタケタ嗤う人形そっくりに嗤っていた。俺は悪態を堪えて胸中で盛大に溜息を吐いた。
「遊んでやっても良いが、まずは敦を元に戻せ。」
「んー、どうしよっかな?」
「戻せ。」
陸そっぽまともな躾を受けてこなかった悪童を親が叱りつけるように咎めると、意外にも顔色を変えたQは大人しく異能を解除した。聞かないようなら大人を舐めるなよと迫るつもりだったのだがとんだ拍子抜けだ。素直なのは良いことだと人形を返してやれば少年は放心したまま受け取った。
敦に眼を移す。変わらずの虚脱っぷりだが留めどなく流れていた血涙は収まったようだ。
「Q、お前は列車の中で待ってろ。エリス、此奴の保護者を見て来い。」
「もお、グレイったら人使い荒いんだから…」
「好きなだけお菓子買ってやるよ。」
「うぅー、約束よ!」
人形を抱いて呆然としていたQは一転してこれでもかと不満を尖った唇に乗せたものの、渋々といった足取りで身を翻した。エリスはお菓子を引き合いに出せば積極性に動いてくれたのだから矢張り一度子育てを成し遂げた身としては子供は扱いやすいものだ。それにしても注射器を顕現させて目にも止まらぬ速さで飛び去る小さな背中には瞠目せざるを得ない。果たして臨戦態勢で挑む程の気合は要るのかと引き留めようとして瞬く間に角へと姿を消してしまうのを見届けると、彼女が派手なやらかしをしないよう祈るばかりだった。
マフィアのちびっ子二人が居なくなった場は打って変わって静まり返っていた。線路に停車する列車がなければ此処が廃れた無人駅だと錯覚していただろう。蒸気機関車が機械仕掛けの獅子の如き頭部からしきりに黒煙を吐き出していた。事務員二人が苦労の末にベンチに凭れ掛かるのを一瞥してから俺は敦に向き直った。
「敦。」
「僕は、居ちゃいけなかったんだ…」
ある意味散々挙措を失った青年に即座に正気に戻れという方が酷だったのかもしれない。たった一度の精神干渉で失意のどん底に落とされた敦に他人の声など届きやしなかった。長嘆息を漏らしたいのを堪えて、俺は片方の手袋を外した。
乾いた音が爽快に空気に伝播して、そして静寂に溶け込んでいった。音が静まったのは一瞬なのに、振りかぶった手の熱が引くのは数秒要した。俯き顔から瞬間的に真横を向いた敦は暫し唖然としていた。己の頬に降り掛かった衝撃を遅れて自覚して、徐に向き直ってから漸く俺の存在を認識した。
「グレイ、さん?」
幻覚と現実の区別もつかぬ、夢から覚めたような音色だった。白く柔な睫毛が心許なく屡叩いた。
「しっかりしろ、まだすべきことがあるだろ。」
「…僕には無理なんです。」
随分と溜め込んで覇気なく溢されたのは自己嫌悪だった。ホームの奥を見遣る。エリスが戻ってくる気配はない。面倒臭い成り行きは凡て保護者に任せて退散したいところだったがそうもいかなくなった。
「僕なんかには最初から何かを成す力なんて」
「あるわけないだろ、いつまでもなよなよしてんじゃねェぞ。」
すかさず遮った俺の言葉に慰めを掛けられるとばかり思い込んでいたらしい敦は肩透かしを食らったみたいに見開いた。ともすれば説教臭くなっちまうのは歳だからだろうかと、無音の息を漏らして手袋を嵌め直した。本来は俺の仕事じゃないが意気阻喪する年若い青年に喝を入れてやるのは大人の役目だろう。
不憫な出自故か、どうも敦は過ちを犯すことを極端に恐れる節があってそれが大きな勘違いを招いていた。早めに是正しなければ独りでどこまでも突っ走ってゴールに辿り着く前に力尽きちまうような、年頃の若者がしがちな危うい誤解だ。
「七転び八起きって言葉を知ってるか?強さってのは何も戦闘能力や頭脳において優れてることだけを指すわけじゃない、大業を成せるのは何度挫けようとも奮い立てる芯の強さがあってこそだ。」
孤児院で受けた心の傷はそう簡単に癒えるものではない。どれ程善き仲間に恵まれようと、真摯な慰めの言葉でつかえが降りた心地になろうともそれは根本的な解決にはならない。…時間だ。己自身と向き合い桎梏を一つ一つ手放していく有為な時間の妙薬だけが心痛を拭い去ってくれるのだ。されども成人してもいない思春期の青年が陥っている災禍、これからも襲いくる数々の苦難を知っていればこそに無責任な鼓舞を掛けられるはずもなかった。敦だから、主人公だからと闇雲な叱咤激励ができるような輩はそれこそ俺をこの世界に追いやった理不尽な神様と変わらぬ外道だ。俺や周囲の人間に出来ることは敦が徐徐に前に進めるようにその都度背中を押してやることだけだ。
情けない眉をつくって耳を傾ける敦を正視した。
「後悔する暇があんなら確りと前を向け。」
目を覆いたくなるような惨い過去や悔恨は誰だって抱えてる。敦と大差のない劣悪な環境で一寸先の光も見えないどん底から這い上がってきた人間だっていることを俺は知っている。彼女は今もまだ世の中の歪みと対峙しながらも己自身と折り合いをつけようと足掻いている。途方もなく辛い闘いに思えるが、他人の為に命を賭せる強さを持つ敦ならば必ずや乗り越えられるだろう。そう確信している。
「さあ立て、中島敦。しっかり
お前はヒーローじゃないが、悲劇の主人公でもないのだから。事務員に目線を流すと、敦も釣られるように二人を見た。確かな足取りで地面を踏み締め、困憊して互いを支え合う事務員達を眼差す眸にもう一寸の迷いも見当たらない。
気を取り直して歩き出した敦をさも一仕事終えた心地で見送ると、折良く遠方から注射器を無くしたエリスがふよふよと漂ってきた。
「ごめんなさい、あまり時間稼ぎできなかったわ。」
弓形の綺麗な眉を落として心底申し訳ないといった気配を背負い謝った俺は彼女に呆れ返った眼差しを注いだ。やけに遅いと思ったら…誰が足止めしろと言ったよ。所詮はマフィア首領の狂気を反映した異能生命体だと指摘したくなって、しかし項垂れた頭から犬耳が萎れてるのを幻視してしまえば云うに云えなくなった。代わりに彼女が行きしなに落としていった俺の外套を拾って羽織らせてやれば、親の説教を免れた少女の無垢で晴々しい笑顔が返ってきた。
「良いさ、用は済んだ。」
事務員の嬢ちゃん達を介抱する敦が離れたところからエリスの姿に喫驚していた。抗争が勃発してから何かしらの面識があったのかもしれないと思い至った。とまれ、これ以上此処に居れば更なる難事に巻き込まれかねないと俺は探偵社に背を向けた。原作の主要人物と関わる、それ即ち大空襲の中心部に自ら留まるのと同義である。
「んじゃ、葡萄畑に行くか。」
「わぁーい!」
「敦君ッ!」
エリスが往来した曲がり角から太宰が駆け足で姿を現した。なんだ、保護者がお前だったなら早く引き返してくれりゃあ態々俺が出張る必要もなかったってのに。物憂いとばかりに肩を竦めれば俺を視界に捉えるや否や太宰は焦燥と警戒で忙しそうに面差しを引き締めた。んな睨まなくたって部外者は退散するさと薄ら笑いを浮かべて俺はエリスを伴い列車に乗った。
「じゃあな敦、達者でな。」
「またねー!」
蒸気機関車が出発の咆哮を上げた。最後に見返り、物言いたげな敦に手を振って俺達は駅を出た。