文豪アウトサイダー   作:れいめい よる

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ヨコハマラクーンシティ

 

 

全米において都市伝説として悪声を轟かせる巷説が一台のヘリコプターとともに横浜に顕現してから物事は瞬く間に暗転した。異能開業許可証を巡って——実のところフィッツジェラルドの狙いは僕だった——取引を持ち掛けた組合を社長が断固として拒絶すると、程なくして三大勢力の異能抗争の狼煙上げられた。最初に賢治君、谷崎兄弟、事務員までもが組合とポートマフィアの攻勢の標的となり探偵社は隠れ家へと避難せざるを得ない危急へと追い込まれた。いつの間にか何処ともなしに鏡花ちゃんも蹤跡を晦ましてしまった。

僕は僕で新人ながらにも下手糞な立ち回りでどうにかこうにか争ってきた。時に与謝野さんの異能がなければ再起できない程の深傷を負い、又ある時は重圧に押し潰されそうになりながら。探偵社に入社しなければ心身を壊すこともなかっただろう、されども太宰さん達と出会わなければ此程までに必死に生きたことも誰かの為に立ち向かう心強さを感じることもなかっただろうという矛盾に戸惑いつつも降りかかる災難に挑み続けた。

 

あわよくば見通しの立たない争いがこのまま手探りの攻防を繰り返しているうちに自然消滅してくれたらと何度願ったことか。けれども僕が十八年も孤児院で苦しんできた通りに、現実はどこまでも非情だった。

無防備にも気分転換を求めて街中を漫歩いていた僕の面前にフィッツジェラルドが現れた。絶体絶命の絶妙の間で久しく見ていなかった鏡花ちゃんが助けに現れてくれて二人で奮闘したものの、抵抗も虚しく僕は捕らえられてしまった。地上で意識を失った所為であの場に残してきた鏡花ちゃんや探偵社の皆がどうなったのかも判らないまま僕は敵の本拠地たる巨大な空飛ぶ鯨船で目を覚ました。フィッツジェラルドの前に立たされて、彼の口から具に明かされたのは横浜を消滅させてしまう規模の悍ましい計画の全貌だった。組合の策略を遂行させるわけにはいかないと遮二無二阻止を試みて、無様にも次に覚醒した時には牢屋に収容されていた。 

 

白鯨は鯨の形をした空中要塞のようなもので、上空一万メートルを飛行する機械仕掛けの異能生命体から抜け出すのは無謀に等しい。なんて様だと、閉じ込められた牢の中で地団駄を踏んだところで打開策が降って湧いてくれるわけじゃなかった。あの軍警でさえ手を焼く芥川との死闘で制勝して、更には度重なる障壁に危うく躓きながらも打破してこれたことで大躍進を遂げたとでも思っていたのだろうか。だとすれば自惚れも甚だしい。結句僕は異能力と皆の力添えがなければ…あってもフィッツジェラルド相手に満足に歯向かえもしない非力な存在なんだ。

それでも自分に失望落胆している余裕なんてなかった。今頃地上で僕を探しているかもしれない探偵社の皆のことを考えると気が気じゃなくて、一刻も早く此処から逃げ出して組合が奪ったQの人形を太宰さんに届けなければ横浜中が混沌と化してしまう。

気弱になっている場合ではないと意気込んだ矢先に、人気のない廊下に上機嫌な音色が響いた。 

 

「良い様ね、中島敦。」

「君は…」 

 

柵の向こうで箒を手に佇んでいたのは、僕が以前やむを得ず負かしてしまった元組合の構成員の少女だった。確か彼女の名前はルーシー・モンゴメリ。僕の所為で組合での居場所を失って、フィッツジェラルドに懇願して雑用係として残ったと聞いた。

罪悪に駆られて目線を彷徨わせた僕の心境を悟ったのだろう、彼女はさぞ不愉快といった風に眉を顰めた。

 

「その目、気に食わないわ。私を憐れんでいるのかしら。」

「そういうわけじゃ」

「貴方なんかに同情されなくても私には居場所があるわ。」 

 

吐き捨てられた台詞に僕は頭を擡げた。己を降格させた組合が彼女にとっての居場所なのか、将又別の心の拠り所があるのかは些か判然としない。けれども本人の声音からは本気で此処の雑用仕事を唯一の在処としているわけではないのは察せられた。それならば必要以上に気を揉むのは却って彼女の誇りを傷つけてしまうことにも思い至った。だから僕は至急着手しなければならない試みへと話頭を転じた。

 

「此処を開けてくれ。早くしないと皆が、横浜の街が大変なことになってしまう!」

「皆って貴方のお仲間でしょ?そんなの私の知ったことではないわ。」

 

今すぐに戻ってフィッツジェラルドの策略を社長や太宰さん達に伝えなければならない。彼の「緊急プラン」はQを人柱として樹木を操作する組合員の異能と掛け合わせて精神錯乱の異能を街全体に及ばせるという陰惨たるものだった。一度発動されれば探偵社やポートマフィアだけじゃない、横浜に住まう何百万もの無告の市民が出し抜けの狂気に巻き込まれてしまう。我を失い発狂した群衆が街を闊歩する地獄絵図が出来上がってしまうのだ。

だけど馴染み深い街への僕の想いも、喫緊の人災を前に噛み締める焦燥も彼女には通じない。横浜の土地で生まれ育っておらず、それのみか一度は元組合員として日本社会の安寧を蹂躙しようとした異国の徒には説得は端から無意味だったのだ。こちらがどれだけ道徳に訴えようともまるで暖簾に腕押し。主張は一方通行に跳ね除けられてしまい水かけ論の繰り返し。

 

滅多に人の通らない下層の獄所において、この期を逃せば二度と脱出の機会は訪れないかもしれない。少なからず幹部を降りて雑用係となった彼女を説得する以外に道はなかった。無理算段で現状を説落せるような言葉を脳内で去来させて倦んでいると、ついと僕を観察していた少女が口を開いた。 

 

「ねえ、貴方も知ってるんでしょ。売れ残りの交織服をぼろぼろになっても何年も着続けなきゃならない虚しさを…凍傷で血の滲む指で一日中皿洗いさせられた日、身も心も痺れてまともに動いてくれない焦ったさを。熱した火搔き棒で折檻されて夜中になっても啜り泣くような灼熱感は?」 

 

僕は息を呑んだ。嫌というほど心の傷を抉る発言は勿論のこと、徐に捲られた袖の下から現れた、目を背けたくなるようなケロイド跡に。もう痛みはなくとも赤く盛り上がった無数の瘢痕は彼女の過去の惨痛を愍然に証明していた。どれだけ進もうとも光の見えない暗く長いトンネルを彷徨っていた僕の記憶が無情に呼び起こされた。

 

「教えてよ、どうして見ず知らずの他人の為にそこまで頑張れるの。」 

 

純粋な疑問だった。苦心惨憺の末にありつけた平穏を一体如何して自ら手放すような真似ができるのかと、彼女は心底不思議そうに問うていた。

僕は無意識のうちに己の裾を捲って彼女が受けた屈辱と似通った受難の過去を晒した。尊厳の対極にあるような地獄で虫けらのように扱われてきた。人権なんてあってないようなものだった。とうに無茶苦茶にされた人間性を取り戻す余地もなく、ひっきりなしに訪れる薄明を恐怖に震えながら仰ぐ日々。底なしの孤独。あんなに忌まわしい環境で如何して死を選ばなかったのか、自分でも分からない。

 

「でも、けれども孤独は僕達を永遠に支配する王様じゃなかった。」

「………。」

「孤独は時に消え、時に現れるただの朧雲だ。横浜に逃げ延びてそれが判ったよ。」 

 

それを教えてくれたのは探偵社の皆と、何よりもグレイさんだった。淋しさにどうしようもなくなった時、何処からともなく現れては最低限の鼓舞を与えて勇気を振り絞る僕に満足して去っていく。決してヒーローではなくとも僕にとっての救世主。太宰さんに素性を打ち明けられても尚彼への畏敬を撤回することはできなかった。 

瞼を閉じれば真っ暗闇にこれ迄の半生が、酸いも甘いも鮮明に蘇ってくる。再び目を開ければ、等身大の僕が異国の少女の姿を模って其処に居た。僕は彼女を直視した。 

 

「僕達にもう少し想像力があれば気付けたはずなんだ。」 

 

今この瞬間にも、組合の作為的な暴挙によって何の罪もない人々が譫妄の脅威から怯え逃げ惑っている。そして彼等の中にも僕達と同じ逆境に苛まれてる人達がきっと居る。凡ては想像力の問題だったんだ。

 

「彼等を見捨てれば、君は…僕達は過去の自分を見捨てることになる。それでも善いのかい?」

 

刹那、景色が変わった。 

転瞬の隙に顕現したのは白黒のタイル張りの床と如何にも年頃の女子を聯想させる可愛らしい装飾が為されたピンク調の部屋。以前彼女と対峙した異空間の舞台、アンの部屋だった。 

 

「はぁ、道理で負けるわけだわ。私よりも達観してくれちゃって…」

「え?」 

「何でもないわよ!ほんとムカつくんだから。」

 

いつの間にか僕達を隔てていた鉄格子は無くなっていた。脱いだ頭巾を握り込んだ彼女が何処からか気の毒なくらいに綿を露出させた人形を取り出した。Qの人形だ。

 

「それはっ…!」

「ご立派な覚悟だけど、もう遅いわ。作戦書には一度発動した呪いの異能を止める手段はないって書いてたもの。」

「いいや、太宰さんの異能『人間失格』でその呪いに触れれば異能は消滅する。」 

 

希望を孕んだ調子で否定した僕を鋭い眼光が睨めつけた。今にも角が生えてきそうな形相はこれから僕がやろうとしている試みが無謀だと警告していた。 

此処から落ちれば白鯨の対空砲に撃たれて死ぬか、地面に叩きつけられて死ぬか、ないしは地上の狂った人達に引き裂かれて死ぬだろう。何れを選択しようとも助かる確率は限りなく低い。それでも僕は… 

 

「『昔、私は自分のした事に就いて後悔したことはなかった。しなかった事に就いてのみ、何時も後悔を感じていた。』」 

 

作者の名は何と云っただろうか。自然と脳裏を掠めたのは昔、孤児院の図書室で埃を被っていた本を閲覧したときにとても身に沁みた言葉だった。

 

「僕は後悔したくない。」 

 

此処で何もせず葛藤していただけでは探偵社の皆やグレイさんに一生顔向けできなくなると、臍を固めて彼女を見詰めた。

……随分の間があった。 

 

「あーもう!」

「えっ」 

 

怱卒にアンが出現したかと思えば巨人みたいな両手が僕に何かを押し付けてきた。

それはQの人形と灰色のリュックだった。当惑して目線を動かせば、心なしか彼女は先程よりも幾分か柔らかな眦で僕を見据えていた。 …一瞬、ほんの一刹那だけその微笑が僕にとって馴染みのある誰かと重なったような気がした。

 

「リュックの中身は落下傘(パラシュート)よ。此処から逃げる時の為に隠しておいたの。もう一つあるから差し上げる。それからあのドアを白鯨の外壁に繋げたわ。」 

 

そう云って指差す先はこの部屋の出口。試しに開けてみると、視界いっぱいの空色に陽光を帯びて銀色に輝く雲が薄らと浮かんでいた。轟々と吹き荒れる風に体を取られないよう一度扉を閉めた。 

 

「私、少し思うの。あんな風に最初から探偵社とマフィアに同時攻撃されてたらいくら組合でも一溜りもなかったんじゃないかって。」 

 

何気なく呟かれた一言に僕の心臓が大きく躍動した。

アンの部屋で戦った際、あの場にはポートマフィアの首領もいた。あの時は心付かなかったけれど、窮地に陥った挙句他の探偵社員の助力を得るべく一度は後退しようとした僕を引き留めて、そればかりか困難に打ち勝つ為の助言を与えてくれたのだ。探偵社の僕とマフィアの彼が協力したことで勝率が激減したと彼女は断言した。

豈図らんや啓示を受けたかの衝撃だった。世紀に一度もかくやの目覚ましい発想が脳内を駆け巡り、胸を衝かれた。けれども思わず僕を立ち尽くさせた閃きは矢庭に開かれた扉から吹き込んできた暴風によって妨げられた。

 

「誰か来るわ、早く」 

 

矢継ぎ早に促されると僕は早足で出口へと向かった。

人形を片手に確りと抱えて、パラシュートの入ったリュックを背負うと戸当たりに手を掛ける。

 

「ルーシーは…あ、えっと」

「構わないわよ、呼び捨てでも。」

「ならルーシー、本当に大丈夫なの?一人で降りられても追手が来るんじゃ」

「問題ないわ。私にはこの世界で一番安全な避難場所があるもの。」 

 

さあ。ルーシーは応援するような手付きで僕の背中を叩いた。

もう躊躇いはしない。今一度彼女に礼を告げて、ヒラヒラと風に靡く純白のスカートを端に、僕は白鯨から飛び降りた。

 

 

水中での浮遊感とハリケーンが直撃かの如き不安定さと無重力感とが一遍にして襲いかかってきた。

内臓が体内で洗濯機に掛けられたようにひっくり返っている。僕は眩暈と吐き気に見舞われながらも体勢を整えようと藻がいていた。

見下ろしてみれば、自動的に切り替わった虎の眼が数千メートル先の事象を仔細に捉えた。探偵社のビルが見えた。少し目線を東の方に流せば、かつてない数のポートマフィアの構成員達が自我を喪失して取り乱す人々で溢れ返る地上で攻防戦を繰り広げている。  

 

二番手に回ってしまったことを悟った僕を人形がケタケタと嘲笑った。何処かに投げつけてやりたい衝動を堪えて、人形を握り込んで歯を食い縛る。これ以上街が破壊される前に太宰さんに人形を届けなければ…!

パラシュートを開くと急速に落下速度が減速していく。目的地を定めんとした僕の視界の端で一瞬、何かが映り込んだ。嫌な予感に咄嗟に飛来物を見留めようとして…

 

——パァン!

空気を劈く凶音が頭上で轟いた。気付けば僕は蒼穹を仰いでいた。

破けたパラシュートが散り散りに飛んでゆく様を見届けながら、己の身に起きた事態を理解する前に視界が暗転した。

 

………。

 

何処もかしこも冷ややかな暗闇に包まれていた。視界を巡らしても四辺の壁も見当たらず、自身の輪郭すらぼやけて見える程の暗澹だけが在った。 

方角も定まらないどこか遠くで風を切るような音だけが奇妙な原理で鼓膜に接していた。白昼夢を視た時みたいな感覚が僕を現実感から強引に引き剥がそうとしていた。

 

僕は死んだのだろうか。

ぽつりと捻り出された疑問が虚空に物静かな波紋を広げた。此処に至るまでの道のりで嘗めてきた塗炭の苦しみは想像を絶するものばかりだった。もう立上れないと現実から目を逸らしたことだって数えきれないほどある。荒涼とした境地に叩き堕とされて、それでも堅忍にして撓まず進み続けられたのは周囲の支えがあったから。無力感に支配される度に奮起させてくれる人達に恵まれていたから。…だというのにこんな無様な死を迎えるとはなんて情けないんだ。

最後の最後になって刺すような嫌悪感と自責の念に苛まれる己が惨めで仕方なかった。

 

蹲りも頭を抱えもせずに只々呆然と立ち竦んでいる僕の背後で、ついと何かの気配を感じた。振り返ってみる。獣の唸り声が無愛想な挨拶をした。 

孤児院の頃から、或いはもっと昔から僕と共にあった白虎。僕の異能。 

 

「お前か。」  

 

殺風景な空間で、愛嬌の欠片もない互いを見交わすだけの時間が過ぎてゆく。それは永遠にも一指弾の間にも感じられた。

 

不意に虎が荒々しく咆哮すると、音一つなく飛躍した。研ぎ澄まされた刃物さながらに尖った牙がスローモーションを見てるようにゆっくりと迫ってくる。 

飛びかかってきた白銀の巨体を僕は抵抗するでもなく受け入れた。目を瞑る。忽ち繭籠もりの如き温もりが僕を押し包んだ。完全に気が遠のいてしまう前に僕は最後に僕自身へと感謝を伝えた。 

 

今までありがとう。

 

 

次に意識が浮上すると其処は天国でも地獄でもなく…否、限りなく地獄と形容するに相応しい荒れ果てた地上だった。 

 

嗅覚を刺激する強烈な硝煙や腐った亜鉛の悪臭に脳漿が急速に活性化される。自身を見下ろすと着ていた服は目も当てられないくらいのぼろ着と化しているものの、驚愕すべきことに肉体は傷一つなかった。目測でも飛行機が着陸体勢に入る時の高度よりも遥かに高いであろう空中から、コンクリートよりも固い地面へと叩き付けられて無傷で生き延びられる筈がない。僕が有する唯一の非人間的な能力と謂えば虎の脅威的再生力しか思い当たらなかった。 

蹌踉めきながらも身を起こして、即刻脳裡に浮かび上がったのは眼前の惨状の原因。

 

「人形がッ…!」 

 

落下の拍子に手放してしまったのか、あれだけ大切に抱えていたQの人形は手元から失われていた。

直様街中を走り回って無我夢中に捜索するが一向に見当たらない。歩を進める度に焦りの色は濃厚になっていった。

 

彼方此方で得物を振りかざす狂人、大切な人の亡骸を強く抱き締めて愕然とする人々、入り乱れる悲劇と狂乱の不協和音が耳にこびり付いて離れない。己の眼で街の残状を見渡すだけで胸が抉られそうだった。でも一々立ち止まっているわけにはいかない。一刻も早く人形を見つけて惨劇を止める術を確保することは誰からでもなく、僕が自分に課すべき当然の使命だった。 

されどもパラシュートを狙撃した組合の狙撃手からの追撃が再開され、四方八方に韋駄天走りに右往左往する始末。何処まで逃げようが弾雨は止む兆候がなく、途方に暮れる最中に放置された乳母車を見つけた。置き去りにされた赤ん坊を。

 

「危ないっ!」 

 

階段を転がり降る乳母車の中で赤ん坊は危機を察知したかのように甲高い声で喚き泣く。僕は脚力を込めて敏捷に接近すると乳母車ごと抱えて飛び去った。

寸秒後、己が跳躍した地面を弾丸が抉っていた。乳母車から赤ん坊を引き上げて、必死に足を動かしていると曲がり角の先で二人の男に行き合った。  

 

「おや?」

「君は…」 

 

特徴的な軍服は僕の記憶が正しければ軍警のものだった。二人の若い軍人は恰も顔見知りと出会ったかの面相で僕を見ていた。一人は馴染みがないけれど、もう一人は何処かで会ったことがあるような…。しかし遥か上空で反響した発砲音が記憶の弄っている暇はないと奨めてきた。

 

「すみません!この子頼みます!」

「え、えぇ…?ちょっと君!」 

「ふふ、お似合いですね。」

 

時間が惜しくて赤ん坊を押しつけると僕は返事も聞かずに駆け出した。直後、自身に向かって集中射出される膨大な鉄砲玉が後方で密かに斬り捨てられていることには気付く由もなかった。

 

 

 

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