なーんを求めて引きましたが200連星4が0でした。交換しました。
追記
15日朝、アンケートを追加しました。
ニーゴ編が1段落するまでの期間まで、ご希望をどうぞ
それぞれのグループだけ欲しいって人がいるかもと思ったので選択肢は多いです
「お待たせしました」
「こんにちは。急な連絡でごめんなさい。来てくれてありがとう」
「私も暇でしたから」
私は嘘を吐いている。
さて。
私は雪に呼び出され、学生御用達だというファミレスに来ていた。
まだ時間帯が遅くないこともあるのか、客はまだそんなに入っていない。
これから混むのだろう。
雪が座っている席の正面に座り、目を合わせる。
紫だ。
髪も目も、紫色をしている。
私も大概な髪と目の色をしているが、紫というのは中々見ないと思う。
希少種だ。
それに加えて、とんでもなく顔が整っている。
「今日はたまたま部活が休みで、時間が取れたので折角なら、と思いまして」
「敬語はいらないですよ。高校生、ですよね」
「...じゃあ、そうさせてもらおうかな」
これから一緒に活動していく仲間なのだ。敬語はいらないと言ってみると、それまでの柔らかい雰囲気が一瞬で消え去り、圧がかかるような雰囲気になった。
見間違いかと思うほど早い切り替えだが、流石に気づく。
「じゃあ、自己紹介しよっか。朝比奈まふゆです。宮駅坂女子学園の2年生です」
「か、神山中学校3年の、東雲瀬名、です」
雪改めまふゆから、何やら圧の強い自己紹介をされる。
学校や学年まで言う必要があったのだろうか。その圧に押されてつい私も学年まで言ってしまった。
というか、なんで圧をかけられているのだろう、私は。
「私の事、優等生ちゃんって思ってたでしょ」
「...正直に言えば、うん。思ってた」
「ふふ。よく言われる」
「...何か頼もっか」
「そうだね。何にしよっか?」
何となく居づらい空気になったことを感じ取った私は、取り敢えず流れを変えようとファミレスのメニューを取る。
それに頷いたまふゆは、席から立ち上がり、なぜか私の隣に座った。
「え」
「こっちの方が見やすいでしょ?」
「まぁ、確かに」
うわぁかおがちかい。
正面からもすごい綺麗な人だとは思ったが、横から見ても綺麗だ。
アイドルでもやってるのだろうか。
まふゆから距離を取りたくなるのを我慢しながら雑談をしつつ、何とか注文を決めた私。
ボタンを押して、スタッフを呼んで注文を終わらせても、まふゆは元の席に戻らなかった。
理由は聞きたくない。嫌な予感がする。
私が黙っていると、まふゆも黙って私を横から見つめてくる。
興味を持ったものをずっと見つめる。まるで赤子のようだ。
何か、何か話題を振らなくては。
「お、オッドアイの初音ミクに会ったことある?」
「...その話題を出すのを待ってた」
話題を振らなくてはという焦りと、異様なほどに見つめてくる居心地の悪さで私の脳のキャパシティは限界を迎え、つい口に出してしまった、異様に横切る光景の事。
口に出した時に、あ、と思ったのだが、慌ててまふゆの方を見るとさっきまでの笑顔が嘘のように消えて、真顔で私の顔を見ていた。
「ま、待ってた...?」
「ミクから聞いてた。『特異点』が来るって話。...この前会ったんでしょ? 特徴を聞いてたの」
真顔のまま私に近づいてくるまふゆ。
じりじりと下がっていくも、その分距離を詰められ、すぐに壁に追いやられてしまった。
「本当の瀬名が見たい」
「...わかった」
まふゆに詰められ、このまま黙っていたらキスされるぐらいの距離まで来た時、私は何とかこの場を切り抜けようとしていたのを諦めた。
どんな思いで今日の夜の通話に入ればいいんだ。
とはいえこれで離れてくれるだろう、と安堵していると、私の手にまふゆが重ねてきた。
本当の私が見たいと言われたのだ。ここは素直に私の反応を見せてやろう。
私は半眼でまふゆを見る。
「なに」
「...私、ずっとセカイにいたいって思ってるの。1人でいたい、そう思ってた。だけど、瀬名の声を聴いてから、瀬名にもいてほしいと思ってる」
「...それは、なるほど?」
「だから...」
段々とまた私との距離が詰まりつつある中で、店員の声が響いた。
「お待たせしました~」
「あ...ありがとうございます! 冷めないうちに食べちゃおうか」
「ハイ」
自然に私から離れ、店員に笑顔で対応するまふゆ。
私の付け焼刃の仮面では到底マネできない芸当だ。プロ。その道のプロと言っても過言ではない。
ひとまず休憩時間を得た私だが、この後逃れられない地獄が待っている。
この状況を打開する策を思いつこうと必死に考えたのだが、時間だけが無情に過ぎていき、2人とも頼んだものを食べ終わってしまった。
ちなみに私が頼んだのはポテトSサイズで、まふゆはパンケーキ。
ライス小でもよかったのだが、流石にやめておいた。
「...じゃあ、会計しようか。お金は私が出すよ」
「ありがと」
おお、おごってくれるのか。優しいなまふゆは。
ポテトが予想以上にさっぱりとしたもので、意外と美味しかったことに機嫌を良くした私は、まふゆと一緒にファミレスを出た私。
ファミレスの中で起きたことを思い出したのは、まふゆに手を繋がれ、スマホの画面を見せられた時だった。
「...」
「あ、『Untitled』...」
瞬間、私の視界は白く染まった。
〈♪〉
何時間たっただろうか。
まふゆにこのセカイに連れてこられてから、初音ミクに抱き着かれて身動きができないようにされてからスマホをまふゆに奪われた。
そしてそのまま、まふゆは自分だけこのセカイから出て行ったのだ。
「...そんなのまかり通るのおかしい」
「?」
そんなのありかよ、と思ったものだが、こうして私だけ取り残されているところを見ると、ありなのだろう。ふざけたセカイだ。
私はこのセカイに閉じ込められてから、もう出ることを半ば諦めている。
このセカイから出る方法は、私が知っている限りだと1つしかない。スマホの再生されている楽曲を止めるだけ。
もしかしたら初音ミクに強制的に出してもらう、という芸当が出来るかもしれないが...。
「~♪」
「...楽しそう」
「うん、楽しい。『特異点』と遊ぶの楽しい」
この様子だと無理そうだ。
...とりあえず別の事を考えようか。
このセカイで初音ミクと触れ合って分かったことがある。
生まれたばかりの子ども、というべきだろうか。
体だけ大きいけれど、中身は好奇心旺盛な子供で、ただ物事を知らないだけ。そんな感じだろうか。
だからこうして私と一緒にいるだけで楽しそうにしている。
まぁ、笑顔を浮かべているわけではないが...まぁとにかく上機嫌なのはわかる。
初音ミクがくるくる回りながらどこかで聞いたことのある鼻歌を歌っているのを横目に見ながら、セカイを改めて見渡す。
最初に見た通り、鉄骨がぶっ刺さっているぐらいしか物はない。
何ともまぁ寂しいセカイだなぁと思うと同時に、つまらなくも感じる。
暇をつぶせるものが何もない。
寝て時間を潰そうとその場に倒れると、それを見た初音ミクが私と同じように、私の横に来て寝転がった。
私の服の裾を掴みながら、こっちをただ見つめる初音ミク。
もうこの距離感にも慣れたし、見られるのも耐性がついた。
瞼を閉じて、何も考えないようにする。
そんな時、まふゆが戻ってきた。
「戻ってきた」
「まふゆ」
私が起き上がると、初音ミクも同じように起き上がる。
まふゆの顔はとんでもなく暗い。
私が好物の魚を夕食に出すと聞いていたのに、出てきたのは嫌いなきのこだったぐらい暗いかもしれない。いやそれ以上か。
まふゆの手を見ると、手にはお菓子の袋が握られていた。
「まふゆ、それは?」
「...お腹、空いたと思って」
「わあい」
まふゆからお菓子を受け取り、すぐに封を開ける。
中身はHARIB〇だ。H〇RIBO。
胃の小さい私でもある程度食べたら満腹になるだろう。
今はこれで我慢しようとひたすらに噛んでいると、まふゆが私の膝に頭を乗せて寝転がった。
「...」
「...」
察するに、何か嫌な事でもあったんだろう。
私はまふゆのすることをそのままに、グミを食べ続けた。
ある程度胃に収めて満足した後、まふゆが完全に眠っていることを確認して、まふゆのポケットをあさる。
そうして見つけた私のスマホ。ようやく私の手に帰ってきたようだ。
スマホには絵名と彰人から鬼のように連絡が来ていた。
心配させてしまったらしい。まぁ、朝出て行ったきり帰ってきた様子がないし部屋にもいないとなると、それなりに心配させてしまうか。
時間も確認するとそこそこ遅い時間だ。
私は静かにまふゆの頭を持ち上げ、初音ミクを私の場所まで移動させて、私の代わりに膝枕をさせる。
「今日は帰る。...また戻ってくる」
「うん。待ってる」
短くそれだけかわすと、私は曲を止めてセカイから出た。
それから1週間ほど、私は夜遅くまでまふゆのセカイにいて、まふゆが眠ってから家に帰るということを繰り返していた。