東雲家の末っ子。   作:水が死んでる

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アズールレーンやってました。えへ。

追記
焦りすぎた瀬名ちゃん、作者も焦って誤字する
誤字報告あざます


第8話

光が収まるとそこには、驚いた表情で椅子に座る奏がいた。

周りを見ると、そこはかつて見た奏の部屋と全く同じだった。

 

『K、大丈夫!?』

 

『まだ戻ってきてないのかな...』

 

私の背後にあるモニターから聞こえてくるのは、絵名とAmiaの焦ったような声。

奏はその2人の声に反応する様子を見せずに、ただ私を見ている。

 

このまま2人を放置するのもよくないと思い、私が反応することにした。

 

「奏は無事」

 

『え、瀬名!? 今Kの家にいるの!? あいつの所から逃げ出せたのね、よかった...すぐに迎えに行くから、場所教えてちょうだい』

 

「ん...まだ帰れない」

 

『な、なんで?』

 

絵名に帰ってくるように言われるも、まだ私には帰ることはできない。

急ピッチでやらなくちゃいけないことがある。

 

こうして話している時間も惜しい。早速作業に入ろうと奏の方を向くと、正面から奏が抱き着いてきた。

 

「...力を貸してって言ったら、すぐ来てくれるなんて。...なんだか、ヒーローみたいだね」

 

「...まふゆのヒーローは、奏がなる」

 

「うん。今度こそ救ってみせる」

 

それだけ言うと、奏は私から離れて、私は奏の隣に立ってモニターに向き合った。

 

『と、とりあえず無事に戻ってこれたんだね...よかった~』

 

『何もよくないわよ。というか、私たちミクに何されたの? 触れられたらいつの間にかここに戻ってきてたけど』

 

『うん。それに、あの場所も気になるよね。セカイって言ってたけど...』

 

『...ほんと、何なのよ、あいつ。...自分がOWNってこと隠して、こっちのこと馬鹿にして...!』

 

既に作曲に入って話を聞いていない奏を置いといて、Amiaと絵名が今さっきあったことを話している。

特に絵名のイラつきは中々のものだ。ゲージに表すと70%ぐらい...かな。

 

『やっぱボイチャだけじゃ、性格わかんないもんだね~。あはは』

 

『全然笑えないんだけど』

 

『...というかもしかして、瀬名、ってえななん...絵名の妹さん?』

 

『あぁ...そういえば言ってなかったっけ。うん、まふゆの傍にいた子が、私の妹。...ていうか、なんでまふゆの所にいたわけ?』

 

絵名とAmiaが私に関してのことを話しているが...まだ説明していなかったか、そういえば。

 

「私がS。グループに入って最初の通話の後、昼間に会いたいって連絡来た。会ったら連れてかれた」

 

『連れてかれた...って、ちょっとは抵抗しなさいよ...』

 

『やっぱりボイチャじゃ性格わかんない...声だけ聞いたときは、ボクたちより確実に年上で、頼れるお姉さんだと思ったのに...』

 

別に私にだますつもりはなかったのだが、そう言われると悪いことした気分になる。

私はため息を1つ吐き出し、これからのことを説明するのに奏の肩を叩いた。

 

「ん...何?」

 

「説明」

 

「あぁ..そっか」

 

『? K、何か言った?』

 

割と小さい声量でやり取りしていたはずなのだが、絵名がしっかりと反応してきた。

絵名の耳が地獄耳なのか、奏のこのマイクが高性能なのか。

 

「...何でもない」

 

「...?」

 

奏に、『まふゆを救うために曲を作る』とでも言えばいいのに、奏は2人に何も教えずにマイクをミュートした。

 

『ま、今日はもうお開きにしようか。...色々ありすぎて疲れたし。雪のこととか、これからのことは、また明日考えればいいよ』

 

『あんなヤツのこと、もう考える必要ないでしょ。だいたい、本人が2人でやるって...瀬名! あいつ1人にやらせなさい!』

 

無理言わないで欲しい。

 

『雪は...1人でも、すごい作品、作れるんだから』

 

『まぁまぁ。その辺もまた明日、冷静になったら話そ! それじゃ、じゃーねー♪』

 

Amiaはそれだけ言うと、さっさと通話から抜けていった。

その退出音を聞いて、先ほどから黙ってる奏もマウスに手を伸ばした。

 

「...ごめん、私も落ちる」

 

『あ...』

 

通話から抜けたことを確認した奏は、これから曲作りを再開するのかと思うと、マウスから手を放して私の方を見た。

 

「『足りなかった』。『見つからなかった』。でも、私が作ったあの1曲だけは、まふゆに届いていた。なら、方向性はあの曲で進めたい。けど...」

 

「...想いをぶつけたらいい」

 

「...想い?」

 

「きっとそれは、奏にしか見つけられない。一緒に頑張ろう」

 

「...うん」

 

そうして奏は私から視線を外し、時間が惜しいとばかりにマウスを握って打ち込みを始めた。

一緒に頑張ろう、と言ったものの、私がここから先手伝えることは少ない。

奏が行き詰まるのはわかりきっている。私の予想外のひらめきをして曲を作り出すかもしれないが、大方予想通りになるだろう。

 

そこをどう促すか。

未来はわからないけど、やってみるしかない。

 

「じゃあ、また来る」

 

作業に集中していて私の声が聞こえていないのは理解しているが、一応声をかけて私はセカイに戻った。

 

 

 

 

 

 

〈♪〉

 

 

 

 

 

 

さて。

私がまふゆに監禁されている間の身の回りについて説明しよう。

 

まず服。

ある程度の服を私が家から持ってきている。

その際の移動方法はセカイを経由してだが、この時は私のノートPCが起動しっぱなしで助かった。

コードも差しっぱなしで、この時は私のずぼらさに感謝したものだ。これが無ければ家に帰ることは難しかっただろう。

まふゆに付き添ってもらって一旦家に帰る、という手もあったのだが、それだとまふゆの両親に見つからないようにしなければならないという余計なリスクを背負うと考えたのだ。

 

次にお風呂。

基本的にはまふゆと一緒に入っている。

ここでも、移動方法はセカイを経由...ではなく、そのまま移動だ。

セカイを経由しての移動は、セカイに入ることのできるデバイスが入口と出口に1つずつ必要だ。

だが、優等生を半ば強要されているまふゆが、スマホを風呂場に持ち込むことは出来ない。

 

なので、移動中の気分はさながらスネークだ。

 

次に、寝床。

これはまふゆと一緒の布団に入っている。

寝ている時が一番無防備だと思われるが、そこで私の体が利点になる。

まふゆが被っている毛布の中にすっぽりと納まるのだ。

多少膨らんでいると思うが...まぁ大丈夫だろう。最悪セカイに飛び込むし。

 

たまにセカイで寝ることもあるが、その時は初音ミクに近くで異様に見られながら寝なければならないので、相当の精神力が必要だ。

ちなみに私は1日でギブアップした。

 

「じゃあ、寝ようか」

 

「おやすみ」

 

今日も1日が終わる。

まふゆにばれないように奏の元へと顔を出して、両方の曲作りを手伝う。

中々にハードモードだな...と考えながら、私は瞳を閉じた。

 

...まふゆさん。苦しいのでそれ以上抱きしめないでください。

 

 

 

 

 

〈♪〉

 

 

 

 

 

まふゆが学校に行っている間は、私は静かに部屋で過ごしているか、セカイで暇を潰している。

それでも最近は暇を持て余すことが多かったので、今日はまふゆから作成中の曲の、Bメロをどうするか考えていてほしいと言われている。

 

Bメロ。正直最近音楽に触れ始めた私では、ちょっと考えなければどの辺りのことなのかわからない。

Aメロ、Bメロ、サビの順番で確か作られているはずなので、そのままサビ前の部分を考えなくてはいけないのだろう。

 

まふゆの起動されたままのノートPCとシンセサイザーを使って、適当に音を打ち込んでいく。

この時間はまふゆの両親は家にはいない。それは先程確認済みだ。

 

「~♪...ここはこうじゃないかも」

 

鼻歌を歌いながら打ち込み、あーでもないこーでもないと言う私。

ふと時計を見ると、作業を始めて3時間が経過していた。

 

「もう12時。まふゆは、今4時間目かな」

 

学校の時間割など、ほぼ通っていないに等しい私からしてみれば思い出すのにまず一苦労だ。

ただ、昼ご飯を食べる時間が12時ではなかった記憶があるので、多分4時間目あたりだろう。

 

まふゆは、将来の夢とかあるのだろうか。

何となく、学校でのまふゆは想像できるかもしれない。

生徒からだけでなく先生からも頼りにされて、何気なしに書いた作文とかでコンクールに出たりするんだろう。

それらのおかげで理想のまふゆ像というものが確立されてしまい、後はもうまふゆはそれに引っ張られるだけだ。

本人にその自覚があるのかはわからないが...大体そんな感じだろう。多分。

 

昼ご飯をまふゆから与えられたお菓子で乗り切り、夕方頃まで作業は続いた。

案外集中力は持つんだな...。さすが私。とはいえそろそろ限界だし、まふゆも帰ってくる頃だろう。

データを保存して、ノートPCを閉じて私はため息を吐きだした。

 

流石に疲れたと私はベッドに腰をかけて、まふゆの帰りを待つ。

 

足音が聞こえてくる。

まふゆだろうか。

 

「まふゆの部屋も掃除しておかな、いと...?」

 

「あ...」

 

ガチャリと扉を開けた先には、顔立ちがまふゆに似た、確実にまふゆの母親だろう女性が立っていた。

 

しまった。

ここに来て凡ミスだ。

 

何か、言い訳に使える何かは無いかと必死に頭を考えていると、まふゆ母の顔から表情が消えていく。

 

「か、神中3年生の東雲瀬名、です。現在の偏差値は75を超えています! 将来の夢は看護師になることです! 今は、まふゆ先輩が医者を目指していると聞いて、看護師を目指している私と一緒に勉強をしています! ただ学校で用事があるらしく、先に家に行っていてと言われて来ました!」

 

「...」

 

恐らく、この人生の中で後にも先にも一番喋っただろう。

まふゆ母を何とかするのに必要なのは、ひたすらに私の頭が良いことをアピールすること。

頭脳明晰で、既に中学の範囲はマスター。高校どころか大学レベルであることをアピールしまくれば、まふゆにとって害どころか益になる存在であることが理解できるだろう。

 

背中が汗でびっしょりなのを自覚しながら、まふゆ母の目をまっすぐ見る。

この嘘が通るか通らないかで、私の今後どころか、命が左右される。

何しろ今の私の状況は、まふゆ母から見れば、ただの不審者だ。

 

私は内心、必死に祈る。

 

「...そうだったの♪ もしかして、最近まふゆが考え事をしているのも、私たちに面白い子がいるって言っていたのも、貴女の事だったのかしら」

 

「...そー、じゃないですかね」

 

どうやらまふゆが両親に私の話をしていたらしい。

助かった、と思うけど、同時に家に隠してる存在の話をするなとも思う。

 

「そうねぇ、あ、良かったら掃除、手伝ってくれない? その代わり晩御飯はうんと美味しいもの作るから!」

 

「ええ、それぐらいでよければ」

 

こうして私は、まふゆ母とまふゆの部屋の片づけを始めた。

 

 




そういえば次イベント。予想通り、なーんバナーでしたね。

なーんの太もも、まぶしいな...。

なーんの太ももについての話を書こうか迷いました。
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