東雲家の末っ子。   作:水が死んでる

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久しぶりの日常会...!
楽しい話を書いてると私も楽しい。


瀬名についてを軽くまとめたページを一番最初に挿入済みです。
良ければどうぞ。


第12話

「それにしても、ファミレスでオフ会ねぇ」

 

「行きたくない」

 

「瀬名のインドア派は筋金入りね...」

 

まふゆの一件が落ち着いた翌日。

私と絵名は、Amiaの提案で、オフ会をファミレスでやるために2人で向かっていた。

その私の足取りは非常に重く、絵名に手を引っ張ってもらえなければ今すぐにでも家に帰りそうな感じだ。

 

「セカイでは会ってたけど、リアルでの姿って変わらないのかな。私から見た瀬名もいつも通りだったし、そのまんまかもしれないなぁ」

 

「多分そう」

 

リアルのAmiaに会ったことはないが、それ以外のまふゆと奏は、セカイでもリアルでもまんまだった。

 

「今日は少し日差しが強いわね...もう夕方だってのに。日焼け止めは塗ったけど、あんまり浴びるのはよくないわね」

 

「ん...」

 

絵名の先導により、私は出来るだけ太陽の直射を浴びないようにしながら、ファミレスへと向かう。

私の肌が白すぎるせいで、太陽の光を浴びすぎるとすぐに赤くなるのだ。

ビビバスの時は、基本的に屋内にいたし、建物が多かったから影に避難することが出来たのが幸運だった。

 

「あ、見えてきた」

 

絵名が見ている先を見ると、一般的なファミレスがあった。

まだ客はそう入っていないように見える。前にまふゆに集合場所に指定された場所とは、また別の店なのだろう。

 

「まだ誰も来てない、か。あ、この後3人来るので、合計5人です。はい」

 

オフ会と言えども、セカイで既にあっている私たちは、どこの席に座っているのかを探すのも比較的容易だ。

ファミレス内を見渡してもいないことを確認した絵名は、店員に伝え、角の席へと向かう。

 

「ほら、瀬名は奥に座って。私が隣に座るから」

 

そう絵名に言われ、大人しく奥へと座る私。

その横に絵名が詰めて座る。

正面に椅子が2つあるので、壁に設置された椅子にはもう1人座らなければいけないので、詰めてきたのだろう。

 

というか、私が狭いのが好きだと言うのもある。

左右どちらも空いていると落ち着かないというかなんというか。

 

それを絵名も分かっているので、あらかじめ言ってくれたようだ。

 

「先に何頼むか決めておいたら?」

 

「そうする」

 

メンバーが来るまで一眠りでもしようかと思っていると、絵名からメニュー表を渡された。

確かに時間の短縮になるなと思い、メニュー表を開く。

 

やはり無難なのはハンバーグだろうか。

自分でお好みの焼き加減にできると言う、熱い石がついている物もいいが、いちいち切って焼いてを繰り返すのも面倒だ。

 

というか、切るのもめんどくさい。

ここは一番食べやすいポテトだろうか。

 

「ちゃんとご飯を選びなさいよ」

 

「はい」

 

絵名に見透かされていた。

確かにポテトだけはご飯ではないかもしれない。

胃の容量も少ないので、最悪の場合、絵名に押し付けるとしよう。

 

頼むものを、異色のハンバーグの上にパインが乗っている奴にしようかと悩んでいると、視界の端にピンク髪が映った。

 

「やっほー。おまたせ~」

 

「そんなに待ってないわよ。今来たとこ」

 

Amiaが来たようだ。

そのまま彼女は私の対面の椅子ではなく、もう片方の椅子に座った。

 

「いや~。それにしても、こうやって見るとほんとに白いねぇ。Kといい勝負なんじゃない?」

 

「確かに2人とも外に出ないから肌白いのよね。あんたの場合は髪も真っ白だし。Kは...若干青っぽいのも混ざってるから、銀みたいな色かな」

 

「さっすが。ボクはそこまで詳しく見てなかったな~」

 

そう言いながら頬杖をついて絵名と会話するAmia。

セカイで見た時から思っていたが、よく笑っている人だ。それが嘘か本当かは別として。

多少の違和感は感じる物の、他に変なところはない。

 

まぁ髪色がピンクというのも中々見ない...いや、いたな。知り合いに1人いた。

 

「あ、来た来た。こっちこっち~!」

 

Amiaが振り返って誰か来ないかなと見ていると、奏がきょろきょろと店内を見渡しているのが目に入った。

 

「お待たせ」

 

「雪はHRが長引くって連絡あったから、もう少しで来るんじゃないかな?」

 

「そっか」

 

Amiaの言葉にうなずくと、奏は私を一瞬見て、私の正面の椅子に座った。

私はもう頼むものを決めたし、奏にメニュー表を渡すとしよう。

 

「奏、これ」

 

「ありがとう。...瀬名は、何頼むの?」

 

「ハンバーグにパインが乗ってるやつと、ウーロン茶」

 

「...じゃあ、私もそれにしようかな」

 

奏はそういうと、メニュー表を開きもせずに元の立てかけてあった場所に戻した。

何を頼むかは奏の自由だから何も言わないが、もう少し選んでも良かったのではないだろうか。

 

それを黙ってみていた絵名が、「それにしても」と口を開いた。

 

「昨日ぶりなのに、リアルで会うのは初めてなんだよね。...ちょっと変な気分かも」

 

「まぁでも、セカイで会ったのはちょっと別っていうか、3人とも実在してたんだなーってやっと実感できたよ。すっごく不思議な気分~」

 

「実在って...瑞希は私の写真見てるでしょ?」

 

ふむ。

Amiaは瑞希と言うのか。

ようやくこれでナイトコード全員の名前を知ることが出来たな。

 

「瑞希。東雲瀬名。よろしく」

 

「ん、よろしく~。と言っても、ボクは瀬名の名前を知ってたんだけどね、絵名とか奏とか、ハンドルネームじゃなくてそのまま呼んでたし」

 

確かに。

 

今思い返してみると、確かに2人ともそのまま呼んでいたと思う。

特に奏。絵名はまだハンドルネームで呼ぼうという努力は見えたが、奏は後の方はもうその気がなかったように感じる。

 

「あ、いや...瀬名はよく私の部屋に来て作業してたから、何となく癖になってて...」

 

私が奏をジト目で見つめ、奏がどんどん小さくなっていく中、起伏の無い声が聞こえてきた。

 

「ごめん、お待たせ」

 

「大丈夫、全然待ってないよ! みんな、まだ注文もしてないし」

 

「そう。よかった」

 

瑞希にそう言われたまふゆは、なぜか私をじっと見つめた後、奏の方を見た。

 

「隣、座っていい?」

 

「...できればこっちに座ってくれると」

 

空いているが絵名の隣にしかないため、絵名に確認を取っていると、奏がまふゆに提案した。

私のジト目から逃げるつもりか。

 

「? わかった」

 

それをまふゆが承諾すると、奏にしては珍しく機敏な動きで絵名の隣へと移動した。

そして、まふゆが空いた席に座る。

...なぜかまふゆにじっと見られている。

先程までの奏の気持ちが少し分かったかもしれない。私に罪悪感はないからちょっと状況は違うかもしれないけど。

 

「それじゃあまずは、自己紹介タイムからいってみよ~! ボクは暁山瑞希だよ♪ 瑞希って呼んでね! はい、次えななん!」

 

「はいはい。...東雲絵名。なんか...改まって名乗ると変な感じだね」

 

「あ、名前知った後もそっちで読んでなかったしね~。これからは名前で呼んじゃおっと♪」

 

妙に上機嫌な瑞希が、今度は奏の方を向く。

 

「宵崎奏。...雪は?」

 

「...朝比奈まふゆ」

 

まふゆの名前を聞いたとき、奏は「あぁ」と何かに思い当たったような声をあげた。

 

「だから、雪って名前だったんだね」

 

「これからもよろしくね、まふゆ」

 

「うん。...迷惑かけて、ごめん」

 

これから奏のまふゆ絶救作曲が始まるんだなぁ、と思っていると、隣の絵名がそれに嚙みついた。

 

「...ねぇ、それ、ほんとに悪いと思って言ってるわけ?」

 

「...どうなのかな。自分でもよくわからなくて」

 

「...なにそれ? 散々振り回したんだから、もうちょっと反省してほしいんだけど?」

 

「多分、反省してると思うよ」

 

どこかずれた反応をするまふゆに、勢いがそがれたのか、絵名は半眼になってまふゆを眺めた。

 

「あんた...もしかしてこれからずっとこんな感じなの...?」

 

もしかしたらそうかもしれないなぁ、と私も思うが、それはそれで面白いかもしれない。

一種のキャラ付け、みたいな。

流石に優等生キャラで通してる他の場面では難しいかもしれないが。

 

「あーはいはい。注文しよ注文。ボクもうお腹ペコペコ~。ほら、絵名は何にする?」

 

先程既に何を注文するか決めていた私と奏は良いとして、まだ決めていない絵名に話を振る瑞希。

 

「...はぁ。私、お昼遅かったから、チーズケーキとアイスティー」

 

「おっけ~。まふゆは?」

 

絵名の注文を聞いた瑞希は、今度はまふゆの方を向いて注文を聞く。

一瞬瑞希の方を見たまふゆだが、すぐに私に視線を戻し、首を傾げた。

 

「瀬名は?」

 

「パインハンバーグとウーロン茶」

 

「じゃあ私もそれで」

 

「5分の3パインハンバーグって何...? 流行りでも来てるわけ...?」

 

それを見ていた絵名が、隣で頭を抱えていた。

 

「じゃ、決まりだね! 注文して、乾杯しよ!」

 

乾杯。乾杯か...何を乾杯するんだろう。

 

絵名も同じことを思ったらしく、瑞希の言葉に首を傾げながら問いかけた。

 

「乾杯? なんの?」

 

「ニーゴの初オフ会記念に決まってるじゃん! そのためにみんなに集まってもらったんだし♪」

 

勢いよく絵名に説明していると、突然瑞希の動きが止まり、私たち3人をそれぞれ見た。

 

「あ、3人とも。こんな感じのテンションでも大丈夫?」

 

「うん。居心地は悪くない」

 

「私も」

 

「問題なし」

 

正直、通話していた時とそう大差ないと思うのだが。

 

まふゆと奏がそう思っていたかはわからないが、2人とも大丈夫との事だった。

 

「お待たせいたしました~♪」

 

とそこに、店員が私たちが頼んだものが届いた。

それを瑞希が受け取り、私たちの場所へと動かす。

 

「えっと、ウーロン茶が奏とまふゆと瀬名で、アイスティーが絵名...みんな、飲み物持ったね! それじゃあ、ニーゴ初オフ会を祝して...かんぱーいっ!」

 

それに続いて、絵名と奏もコップを持ち上げる。

 

「テンション高すぎでしょ、もう」

 

まふゆも、それを見てコップを低くだが、一応上げた。

 

私もそれをマネしてコップを上げ、すぐにおろしてウーロン茶を飲む。

...うん、久々にウーロン茶を飲んだが、美味しい。

 

飲み物と一緒の運ばれてきたハンバーグをフォークとナイフを使い、切り分けて口に運ぶ。

これも美味しい。

正直パインハンバーグは面白半分というか、怖いもの見たさで選んだところがあるが、意外にも美味しい。

ハンバーグから出る肉汁を、パインの酸味がうまく打ち消しているというか。

 

こう言った油なものが平気な人は別にいらないかもしれないが、私のようなすぐに胸焼けするようなタイプの人にはいいかもしれない。

 

どうやら奏も同じことを思っていたのか、瑞希と何やらやり取りをしている絵名を挟んで、私たちは顔を見合わせた。

 

「これ、瀬名は美味しいの知ってたの?」

 

「たまたま」

 

私がそういうと、奏は顎に手をあてて何かを呟き始めた。

何を呟いているのかは、間にいる絵名と瑞希が騒がしくて聞こえないが、どうせ曲作りの事に関してなのだろう。

このパインとハンバーグの組み合わせがどう曲作りにかかわってくるかはわからないが...まふゆにパインの被り物を付けさせて、踊らせるとか。

 

そんなわけないか、とバカな思考を振り払って、ハンバーグをもう1口食べる。

 

何やら視線を感じると思って顔を上げると、まふゆが口を動かしながらこちらを見ていた。

 

ただ黙々と口に放り込んでは、ハンバーグを噛みながら私を見ているまふゆ。

口に何かついているだろうか。

 

「何かついてる?」

 

「何もついてない」

 

違ったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

〈♪〉

 

 

 

 

 

 

ファミレスでオフ会を済ませた夜。

私は本当に久しぶりに自分のセカイへとやってきていた。

 

「久しぶり」

 

「...ひさしぶり~」

 

しばらく来ていなかったためなのか、私のセカイの真っ黒な初音ミクは、拗ねたように膝を抱えて横に転がっていた。

 

「ごめん、忘れてた」

 

「だろうと思ったよ。...ま、来てくれたからいっか。ほら、あれ確認に来たんでしょ?」

 

そういいながら、初音ミクは寝転がりながら空を指した。

初音ミクの言う通り、それが目的でやってきた私は、初音ミクの言うとおりに空を見上げる。

 

...今回は紫か。

 

ビビバスの時は赤で、ニーゴの時は紫。

この色合いには、何か意味があるんだろうか。

 

空をぼーっと見ていると、服をくいくい、と引っ張られる感触を覚えた。

 

視線を下にずらすと、そこにはおおよそ100cmほどしかない、黄色でショートの髪型の少女が立っていた。

いつの間に私のそばに、と言うか、このセカイに存在していたのだろうか。

 

「ねぇ」

 

「...何?」

 

「暇」

 

「...あそこの真っ黒なお姉さんは?」

 

「あれはダメ。面白くない」

 

少し離れたところで寝ている初音ミクを指で示すと、少女は心底失望した顔で首を横に振った。

遠くから「私に無茶ぶりさせておいて興味なさげ...悲しい」とシクシク泣き始める初音ミクの声が聞こえてくるので、既に試した結果だったのだろう。

 

と言うか、順序が逆のような気もするが、この少女は誰なのだろう?

 

「そういえば、名前は」

 

「...鏡音リン」

 

まだ幼い、ニーゴの初音ミクのような感覚を覚える彼女は、どうやら鏡音リンと言う、ビビバスのセカイにもいた、鏡音レンの妹だか姉だかの存在だった。

 

どうしてこのセカイに出てきたのかは不明だが、恐らくニーゴでの事が原因なのだろう。

それだけ予想がつけば十分だとして、私はポケットからスマホを取り出した。

今日の活動は無い。日中オフ会と称してファミレスでしゃべり倒したのだ。正直疲れていたのでありがたい。

 

「じゃあ、帰る」

 

私がそういうと、初音ミクは起き上がってリンの頭に手を置いて、微笑んだ。

 

「うん、今度はちゃんと来てね」

 

「...また」

 

笑顔の初音ミクと、遊べなかったことが若干不服なのか、若干頬を膨らましているリン。

なんだかいい組み合わせのような気がして、私はセカイから出た。

 

 

 

 

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