東雲家の末っ子。   作:水が死んでる

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Iなんですめっちゃよかったですね。
舌出し大好きです。

あとニーゴミクちゃん可愛い


第2話

放課後。

 

宮益坂の校門前で待機していた愛莉のおかげで、中に入ることが出来た私。

愛莉が出て来るまで、帰る生徒たちを観察していたから、まだ校内にいるであろうことは分かる。

 

「それにしても、久しぶりね。まさか、こんな形で会うことになるとは思わなかったけど」

 

堂々と校内に入って行く私の隣で、腕を組んでため息を吐き出す愛莉。

確かに私もこんな形で久しぶりに会うとは思わなかったし、不法侵入することになるとも思っていなかった。

 

他校の、それも中学の制服を着ている私を物珍しそうに周りの生徒は見てくるものの、愛莉が隣にいるからなのか、見て来るだけで何も言ってはこない。

ばれずに入りたいなんて言ったが、この様子だと別にそんなことはなかったようだ。助かったような、平和過ぎて逆に心配になるような。

 

「それで、何がしたくて入ってきたの? あんまり目立つことはできないわよ」

 

「わかってる。人探しだけだから大丈夫」

 

「そう? じゃあ、私用事あるから行くわね。なんかあったらすぐに電話しなさいよ」

 

そういうと、愛莉はスマホを私に見せながらUターンして帰っていった。

人探しまでは手伝ってくれないようだ。

 

これが絵名やまふゆ辺りなら手伝ってくれるだろうなぁと考えるあたり、私もだいぶ甘やかされてきている。

このセカイではまだ自分だけだ。自分の足で探さなくては。

 

「すみません」

 

廊下をきょろきょろしながら歩いていると、ちょうど教室かどこかから出てきた青い髪の少女と目があった。

 

「...その制服、うちのじゃないよね。他校の人?」

 

「人探し中」

 

目的を短く伝えると、青髪の少女は顎に手を当てて少し考えると、私の手を取った。

 

「とりあえず、ついてきて。先生に見つかるとまずいから」

 

「...わかった」

 

確かに、生徒たちはまだ面白がってというか、まだ何も起きていないけれど、先生に見つかると面倒なことになるだろう。

それに絵名や彰人、両親にも迷惑がかかる。それは本意ではない。

 

少女に連れられて歩くこと数分。

曲がり角の前で私は待たされ、少女が先を確認して前に進むということを繰り返してたどり着いたのは、1つの扉の前だった。

 

「とりあえず、ここで話を詳しく聞こうと思って。誰を探してるの?」

 

「名前は知らない。オレンジの髪で、オレンジの髪留めをしてた。元気は有り余ってそう」

 

「...うーん。私のクラスにはいなかった気がするな...と、電話だ。ちょっとごめんね。...はい、桐谷です」

 

話しをしている最中に、少女...小さく聞こえてきたが、桐谷さんに電話がかかってきた。

だがそれでも最低限の情報は得られただろう。桐谷さんのクラスにヘアピン少女はいない。

桐谷さんのクラスがどこなのかは知らないが、この後電話が終わった後に聞けばいいし、最悪そこら辺の生徒にでも聞けばわかるだろう。

 

薄暗いこの空間の中でも、若干光っているようなオーラを感じる。

最初に会った時は意識しないようにしていたが、今こうして後ろ姿だけでも観察していると、何だか芸能人のような雰囲気を感じるのだ。

 

それを本人が自覚しているのかは分からないが、何となく感じる。

 

電話が終わった桐谷さんは、スマホをポケットにしまい込んで、申し訳なさそうな顔で私の元へと戻ってきた。

 

「ごめん。ちょっと用事が入っちゃって、もう帰らなきゃ」

 

「大丈夫。元々1人で探すつもりだった」

 

「そっか。えらいね。...あ、名前は? 私は桐谷遥」

 

「東雲瀬名」

 

「瀬名か、うん。覚えた。そうだ、連絡先交換しようよ。名前も知らない人に会うために学校に侵入って、ちょっとおもしろいし」

 

そういうと、遥はスマホをポケットから取り出して、顔の横で振った。

まぁ、宮益坂に知り合いが増える分にはプラスな要素しかないだろう。

 

私は首を縦に振って了承し、連絡先を交換した。

 

「帰ったら、無事に会えたか聞かせてね。それじゃあ」

 

無事に交換されたことを確認すると、遥は手を振りながら背を向けて歩いて行った。

 

このスマホでは、遥が久しぶりに交換した相手だ。私の記憶の中では何人も交換してきたはずなのに。

 

「...ちょっと、風に当たろう」

 

ちょっぴりセンチメンタルな気分になった私は、切り替えようとして恐らく屋上へとつながっている扉を開ける。

するとそこには、私の探している人が横になって倒れていた。

 

「...!?」

 

自ら寝ている、にしては、体が雑に放り出されているような感じの横のなりかたをしているヘアピン少女に、私はあわてて駆け寄った。

 

彼女の横に膝をついて、ひとまず体をゆすってみようかと手を伸ばした瞬間。

 

「へくちっ!」

 

「...」

 

彼女はくしゃみをした。

もう少しで私の手がくしゃみで濡れる所だった。

 

「あ、あれ!? わたし、寝てた...あ、えっと、今日の朝ぶつかっちゃった人!」

 

「...大丈夫?」

 

私がそう問いかけながら手を差し伸べると、彼女は快活な笑みを浮かべて私の手を取って立ち上がった。

 

「大丈夫! まさか屋上で寝ちゃうなんて思わなかったけど...疲れてたのかなぁ」

 

そう言いながら、彼女はそばに置いてあったスマホを手に取り、荷物に立てかけて、こちらを撮影できるような角度に調整していた。

 

「あなたの制服って、私の制服とはデザインが違うんだね。選べるならそっちでもよかったな~」

 

なんというだろう。この少女、他校という線を疑っていない。

ここで私が話を合わせるのは簡単だが、恐らくセカイはこの少女だけで構成されているわけではないだろう。

 

仕方がないので、私はここまで来る経緯を説明した。

セカイに関しては、ぼかしてだが。

 

 

 

 

 

〈♪〉

 

 

 

 

「え~!? 中学生なの!?」

 

セカイの話はせず、この宮益坂に知り合いがいるということにして、私は今日遊びに来たという設定に。

この後愛莉か遥に連絡して、そういうことだったという風に合わせてもらう必要がある。

 

無難なのは愛莉だが、既に愛莉には校内侵入の際に協力してもらっている。

かといって遥は今日知り合ったばかりだ。早速迷惑をかけるのも...。

 

私がそう内心悩んでいると、彼女は、そうだ、と手を叩いて私の方を見た。

 

「自己紹介、まだったよね。私花里みのり! あなたは?」

 

「東雲瀬名。...ところで、屋上で何してたの?」

 

簡単に自己紹介を済ませ、私は屋上での目的を尋ねる。

みのりは、『どこか行きたい』と言うラッコのシャツで胸を張りながら、堂々と答えた。

 

「私、アイドルになりたいの! だから、そのための練習中...なんだけど、うまくできなくて。オーディションも全然通んなくて...」

 

「...」

 

「うぅ...49回も不合格...」

 

「...」

 

途端に頭を抱えだした。

なるほど、ここまで聞いているだけだと、そこらへんにいるアイドル志望の女の子だ。

 

「でも、私は諦めない。ASRUNの遥ちゃんだって言ってるもん。『今日がいい日じゃなくても、明日はいい日になるかもしれない。だからみんなが、明日こそは大丈夫って信じて頑張れるように、このステージから、“明日を頑張る希望”を届けたいんです』って。だから、もっともっともーっと、頑張る!」

 

「...そっか」

 

みのりの言葉を聞いていた私は、シンプルに羨ましいと感じていた。

 

彼女の過去に何があったのかは知らないが、そこまで夢中になる出来事があったのだろう。

そして、それを心から信じて、決して折れることなく夢を叶えるべく前へ進む努力を重ねていく。

きっと私には絶対にできないことだ。

 

何かを目指すような出来事は無く。

しようと思ったことはこの体が大した苦労もなく達成していく。

まるで神様から祝福を与えられて生まれてきたようなこの体は、きっとみのりと同じような夢を持つ人たちを、折っていくことしかできない。

 

だから私は、直接は何もしない。

だけど、夢を叶えたいと頑張っている人の応援をするのは好きだ。

 

「私も手伝うよ」

 

「...えっ!? で、でも、瀬名ちゃんは中学生だし...」

 

「移動方法はある程度目星ついてるから大丈夫。それに、他人の目があった方がいいでしょ」

 

「た...確かに...。じゃあ、お願いします!」

 

そうして私は、みのりの夢を叶える手伝いをすることになった。

 

みのりに私を投影して、まるで私が夢を叶えるために頑張っている、と言う、くだらない事を頭の片隅で考えながら。

 

 




うへぇ幼年期遥ちゃん...。

石貯めたいのに無くなっちゃいそう...。
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