東雲家の末っ子。   作:水が死んでる

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なんか絵名のアナボ多くないですか? 気のせいかな...。

それはそれとして、絵名のこと、えななんと呼ぶのか、なーんと呼ぶのか、意外とばらけてる印象なんですよね。

後はしののののめさんぐらいですかね。

多分この3択。


第14話

翌日。

 

早速とばかりに放課後に屋上で練習を始めている私たちだが、その練習がうまくいっているとはお世辞にも言えなかった。

 

その原因はみのりで、恐らく昨日の遥の一件で、この練習には集中できていないように見えた。

 

一緒に踊っている雫もみのりの様子が気になるようで、踊れてはいるものの身が入っていないように見えた。

 

「みのり! 雫と揃ってないわよ! 一緒にやるときは周りも見る!」

 

それでも愛莉の厳しい言葉は飛んでくるもので、雫は思わず愛莉に声をかけた。

 

「...愛莉ちゃん、少し休憩を入れた方がいいんじゃないかな? みのりちゃん、今日はあんまり集中できてないみたいだから」

 

愛莉に叱責されていることと、一緒に踊っている雫に心配をかけているということに気が付いたみのりは、弾かれたように頭を上げて2人に謝罪する。

 

「あっ、その...す、すみませんっ! せっかく先輩たちと一緒にやらせてもらっているのに...!」

 

「いいのよ、仕方ないわ。...昨日の遥ちゃんのことが気になっているんでしょう?」

 

雫がみのりと話をしだした段階で、私はタオルを取って汗を拭いておく。

風邪をひいたことはないが、だからと言って風邪をひかないためのことをしないとは限らないのだ。

 

まぁ、今までは全然、そんなこと考えもせずに過ごしてきたのだが。

 

ありがとう、お父さん、お母さん。私をこんな丈夫でハイスペックな体で産んでくれて。

 

私が両親に感謝の想いを込めて両手を胸の前で組んでいる間に、3人の会話は進んでいく。

 

「別に隠す必要ないわよ。私たちも一緒なんだから。...『アイドルをやる資格はない』。あんなこと聞いたら、嫌でも気になっちゃうわよ」

 

休憩しましょうか、と、愛莉の号令により、各々タオルで汗を拭いたり水分補給をしたりしながら、話を進めていく。

 

「ネットや週刊誌で『辞めた原因はコレだ!』みたいな記事も結構な数見かけたけど、あんまりピンとくるのはなかったのよね」

 

私も一応調べてみたのだが、出て来る内容は、ある芸能人との不仲だったり、アイドルとのケンカ、だったり。

あまり見られていない記事に私とのツーショットがすっぱ抜かれていたが、ただの友達だと思われていたようで、その記事はあまり見られることなく埋もれていた。

 

というか、『桐谷遥は同性愛者!?』なんて記事、中々に攻めていると思うのだが。

 

「だから、本当にただ学校で勉強したいのかも、って思ってたんだけど...」

 

結局、私たちだけで考えることに答えは出ず、この状態で練習しても身が入らないから、と言う理由でストレッチをして終わることに。

なぜかその際私だけ愛莉に厳しく指導されたのだが、なぜだろうか。

 

「あんたが適当にすませてるからでしょ!」

 

 

 

 

 

 

 

〈♪〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、オーディションの書類はもう出した?」

 

「あ、はい! 宛名も切手の値段もちゃんと確認して出しました!」

 

遥に何が起きているのか。結局それ自体に検討を付けることができないまま、私たちは帰っていた。

そんな中で、雫が自身の手のひらに手を当てて、みのりに尋ねていた。

 

既に二桁台に到達している書類の出し方だ。さすがに間違えないだろう、と2人の話を聞いていると、隣を歩いている愛莉が私の事を見ていることに気が付いた。

 

「やれることはやったんだから、あとは祈るだけ...なんだけど、瀬名も出したの?」

 

「出してない」

 

「...予想通りなのがなんとも言えないわね...いつかみのりと一緒に出すのよ」

 

「...」

 

ここで適当に返事したら、そのうちそうなる未来が見えたので、私は目をそらして無言を貫く。

その私の反応が気に食わなかったのか、愛莉からジト目で見られているのがなんとなくわかるが...これはもう諦めてくれ。なぁなぁで練習に参加しているけれど、アイドルになりたいわけじゃない。

 

みのりたち4人のセカイを、正しい方向へと導きたいだけなのだ。

 

まぁ、導くためにアイドルにならなくちゃいけないようなことには、ならないで欲しいのだけれど。

 

「桃井先輩と日野森先輩に教えてもらったんだし、今回こそ...きっと...!」

 

みのりが両手を握って燃えている中で、ちょうど通り過ぎようとしていた1人が、みのりの言葉に反応した。

 

「もしかして、『QT』の桃井さんと、『Cheerful*Days』の日野森さん...?」

 

誰だこの人。と私が反応を示す前に、愛莉が1歩前に出て反応した。

 

「え? ちょっと、誰よ突然。もしかして雫の取材じゃ...って...」

 

「えっ!? ASRUNの元メンバーの...真依ちゃん!?」

 

愛莉が知り合いのような反応をしていたから、アイドルなのだろうかと検討をつけていたところに、みのりの絶叫が耳を突き破った。

ええい、落ち着けオタク。

 

「ど、どど、どうしてここに真依ちゃんが!? あ、あの! 私、アルバムで遥ちゃんと2人で歌っていた『虹色バラメータ』が大好きなんです!!」

 

大好きなグループの元メンバーが目の前にいると言う事で、テンションの上がり切っているみのりは愛莉の横をすり抜けて彼女に詰め寄っていく。

それを見ている愛莉と、寄られている彼女は引き気味だ。

みのりの愛に押されている。

 

現役だったころに、みのりのようなオタクは出てこなかったのだろうか。

 

「遥ちゃんと真依ちゃん、2人ともすっごく息ぴったりで...それに、それに...!」

 

「え、えーっと,,,あ、ありがとう...?」

 

出てきたのも困惑気味の感謝の言葉だ。

これは一度、みのりを下がらせて冷静にさせた方がいいのではないだろうか。

 

そう思いながら見つめていると、彼女の反応を見たみのりは今度は頭を抱えて2歩ほど下がり、私の隣まで戻ってきた。

 

「ど、どうしよう...困らせちゃった~...!」

 

「...少しおとなしくしてよう」

 

そんなみのりの行動を、頬をヒクつかせながら見ていた愛莉は、咳払いを1つ挟んで、彼女...真依に問いかけた。

 

「ASRUNを辞めてから、1年ぐらい見てなかったわね。どうしてここに?」

 

「...それは...」

 

愛莉にそう首を傾げられると、真依は言いづらそうに眼をそらす。

とはいえ、ASRUNの元メンバーで、1年ぐらい姿を出していなくて、今ここに現れた、ということは、もう予想できるのは1つだけだ。

 

「...もしかして、遥ちゃんに会いに来たの?」

 

雫も同じ発想をしていたようで、真依に優し気に問いかける。

 

その問いかけに、彼女は少しの時間をかけて、ゆっくりと頷いた。

 

遥か...。まだ校内にいるだろうか?

 

「とりあえず、探してみましょうか」

 

「ええ、そうね。遥ちゃんが行きそうな場所、どこかしら?」

 

「静かな場所を、って言ってたから、その辺りかも...瀬名ちゃん、どこか教えてたりしない?」

 

そうして私たちは遥を探し出したのだが、遥は既に帰宅しており、あとから遥個人の連絡先を持っていることを思い出した私は、愛莉にこめかみをグリグリされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〈♪〉

 

 

 

 

 

 

 

「桃井さん、日野森さん...それに、花里さんに東雲さん。せっかく探してもらったのに...ごめんなさい」

 

遥が既に帰宅していることを知った私たちだが、詳しい話を聞こうということになり、場所をファミレスへと移していた。

そこで、席について水を持ってきたところで、真依がおもむろに口を開いて頭を下げた。

 

「別に大丈夫よ。だから頭を上げて頂戴。...それより、どうしてわざわざ校門前で待ってたの? 辞めたとはいえ、同じグループのメンバーだったんだし、連絡先くらい知ってるんじゃないの?」

 

それは私も思っていたことだ。

事前の連絡無しで直接遥の元へと赴く理由。

まさか、私の様に忘れていた、などというわけではあるまい。

 

...まだこめかみが痛い。

 

「あ、はい...。連絡先は知ってるんですが......電話でも、メッセージでも、うまく伝えられないと思って...」

 

「伝えられない?」

 

要するに、『会って話がしたい』的な感じだろう。

ただ、彼女の場合は遥にそれすらも連絡を入れていないということだが。

 

「...何か、事情があるのかしら。私たちで良かったら、話を聞かせてもらえない?」

 

同じ『元アイドル』同士だから、と雫はそう声をかける。

そうして、真依は語りだした。

 

真依は遥に謝りたくて来たのだと言う。

遥がアイドルを辞めた理由。真依が感情的にぶつけた言葉が、遥が辞めた理由になっているのだと。

それらを聞いて思い返すのは、遥が言っていた資格の話。

 

「私に何度も希望をくれていたのに、憧れの人なのに。私は...ずっと後悔してるんです。なんであんなことを、って...」

 

「......」

 

「だから、遥ちゃんが引退するって知った時、目の前が真っ暗になりました。これきっと、私のせいなんだろう、って。謝らなくちゃいけない。謝ってもどうしようもないかもしれません。それでも私は、遥ちゃんに謝らなくちゃいけないんです」

 

そう言い切った彼女は、視線を下げて口を閉じた。

 

真依の話は理解できた。

簡単にまとめるのは申し訳ないから口には出さないけれど、『私のせいでアイドル辞めちゃった遥に謝りたい』ってことだ。

 

まぁ、伝えたいことがあるのなら直接伝えるのがいいだろう。

 

「...2人の間にどんな確執があるのか、私たちにはわからないけど...言いたいことが、伝えたいことがあるのなら、ちゃんと話した方がいいわね」

 

「...そうね。もし傷つけてしまっていたとしても、ちゃんと話せれば前に進めるかもしれないもの」

 

その言葉には、実感が伴っているためか説得感があった。

経緯を知らずとも、そのことを感じたのか真依は安心したような表情を浮かべた。

 

「桃井さん...日野森さん...ありがとうございます」

 

「そうと決まれば、まずは遥に連絡を取りましょうか。直接会うにしても、先に帰られたらその日は無駄足になっちゃうし、こっちの方が確実よね」

 

そう言いながらスマホを取り出す愛莉だが、すぐにスマホを机の上に置いた。

 

「そういえば、連絡先入ってなかったわ。雫は?」

 

「私も、遥ちゃんとは交換していなかったわ...真依ちゃんから連絡したら警戒されちゃうかもしれないし...」

 

そういったところで、愛莉と雫の目が同時に私の方を向いた。

急にグリンとこちらを見られると、恐怖心を感じるのだが。

 

「私たちは元アイドルで、この間のこともあるし警戒されるかもしれないけど、瀬名なら...?」

 

「瀬名ちゃんは、普段遥ちゃんとどんな話をしているのかしら」

 

愛莉から有無を言わせないような眼を向けられ、雫からは期待の眼差しを向けられている。

私から連絡する流れになりそうだ。

 

「私は...別に、普通の話」

 

スマホを取り出して、みんなに画面が見えるように机の上に置く。

 

やり取りしているメッセージなんて、そこら辺の友達同士がしている内容と大差ないような気がするけれど。

 

『遥:今時間ある? 20:59

 

『瀬名:平気。何かあった? 21:00

 

『遥:この間、いい雰囲気の喫茶店を見つけたんだ。この前瀬名と一緒に行ったことのあるところに雰囲気も似てたし、今度一緒にどうかな? 21:01

 

『瀬名:時間あった時に行こう。私はいつでも暇だけど。 21:01

 

『遥:じゃあ、今度の休日にでも。細かい日程はまた連絡するから 21:02

 

「...随分仲が良いのね。いや、別にダメってわけじゃないんだけど...なんていうか...うん、まぁ好都合ね!」

 

私のスマホの画面を見て微妙な顔を浮かべた愛莉は、何かを振り切るように頭を振って、拳を握った。

 

まぁ、雰囲気をぶち壊したのは否めないけれど。

 

「とっても仲が良いのね。...妹がいるんだけど、誘ってもあんまり一緒に出掛けてくれないから、羨ましいわ」

 

「遥ちゃんがコーヒーを飲んでる姿...し、写真...はダメだよね..うぐぅ...」

 

 




そろそろ、元のストーリーから少し離れた内容になってもいいかなぁなんて考えてます。
最終的に同じような感じに着地させればまぁ大丈夫でしょ...。
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