東雲家の末っ子。   作:水が死んでる

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自分で「あれ、あの話どこで書いたっけ」ってなるので、そのうち副題みたいなのつけるかもしれないです。

考えるのめんどくさいなぁなんて思ってたらこんなことに...。


今回はちょっと短めです。
同時刻に第X章の「おーばーどーず! に!」も更新しているので、よければどうぞ。


第18話

すっかり慣れた眩しい光が収まり、目を開けるとちょうどいいタイミングだったのか、初音ミクとリンがそこにいた。

 

「ミクちゃん! リンちゃん!」

 

みのりが手を振りながら声をかけると、それまで難しい顔をしていたリンがパッとこちらに顔を向けて、満面の笑みを浮かべた。

 

「あ! 2人とも! 今日は愛莉ちゃんと雫ちゃんもいる! 久しぶりー! 元気だった?」

 

「ええ、おかげさまでね。この間は本当にありがとう、おかげさまでまた頑張れそうだわ。リンも、瀬名も。本当にありがとう」

 

「えへへ、愛莉ちゃんが元気になってくれてよかった! やっぱりアイドルは、笑顔が1番っ♪」

 

私の名前を呼んだタイミングで、愛莉がこちらにウィンクしたので、取り敢えず頷いておく。

流石アイドル。ウィンクが上手だ。

 

「ふふっ、そうね。元気じゃない愛莉ちゃんはとっても変な感じがするもの」

 

「へ、変って...私だって落ち込むときは落ち込むんだけど?」

 

雫の若干外れた感想に愛莉が突っ込んでいるのを放置して、みのりが先程あったことを初音ミクとリンに伝えていく。

 

「ミクちゃん! リンちゃん! あのね、2人とも遥ちゃんを元気づけるために、セカイのライブに出てくれることになったの!」

 

「それで、練習のためにステージの大きさとかを確認しなきゃって思ってきたの」

 

愛莉と雫が一緒に来た事情を把握したリンは、なるほど、と頷いた後に、何かを思いついたように手のひらに拳を乗せた。

 

「あ、それなら、そのままここで練習すればいいんじゃない? ねっ、ミクちゃん!」

 

「うん! ここはみんなの想いで出来たセカイだし、私たちがライブをしていない時だったら、いつでも練習してもらって大丈夫だよ!」

 

初音ミクとリンにそう告げられた私は、ステージをちらりと見て、すぐに視線を前に戻した。

 

あれだけの広さのステージを練習場所に使えるなんて、とんでもなく幸運なのではないだろうか。

 

「本当に? それならすごく助かるわね。みのりちゃん」

 

「うん! ありがとう、ミクちゃん、リンちゃん!!」

 

そうして、非常に恵まれた環境下で、あまり時間はかけていられないような状態での練習が始まった。

 

まず指導され始めたのは、当然と言えば当然なのだが、みのりと私の2人。

アイドル経験者であるならばまだしも、私たちは素人同然。

そう考えられて愛莉の熱血指導が入ったのだが、すぐに私はそこから外されることに。

 

「瀬名って、基本が異様に出来てるのよね。多分私が教えるよりも、雫が細かいところを教えてあげた方がよさそう。...ねぇ、本当に未経験者? 海外でアイドルやってたとかじゃない?」

 

と言うことで、私は雫に。みのりは愛莉に教えてもらっている最中だ。

 

「ストーップ! 腕の振りが小さいっ! 後半になるとすぐ動きが小さくなるわよ! 1番遠くの客席にまで、みのりの想いを届けられるように意識! ハイ、もう1回!」

 

「はいっ!」

 

「音程にも気をつけなさいよ。動きを大きくしようとして体に力を入れて、音が外れたらどうにもならないわ。自分のペースは崩さないように!」

 

「は、はい!」

 

これが体育会系のあれだろうか。

 

体育会系どころか、それ以外にも知らない私からしたら珍しいものだったので、ついそちらを見ていたら、雫に頭を軽く叩かれた。

 

「こっちに集中。瀬名ちゃんは、動きだとかの細かいところはだいぶ良くなってきたわ。...気になるのは、曲の途中で何度も、瀬名ちゃんの呼吸のリズムが別人のように変わることなのだけど...」

 

「癖。うん、多分癖」

 

「そうなのね...それで体に負担が無いならいいのだけど...やっぱり直せるなら直した方が...」

 

ここにきて、色んな人の技術を盗んでいたことが裏目に出ている。

動画の中で激しく動いている人の呼吸タイミングまで把握できる私の目のせいで、同じようなステップが入ってくると、そちらに引っ張られているのだ。

 

雫の懸念はそのまま当たっており、私の体、主に肺に多大な影響を及ぼしている。

現状は雫に隠し通せる程度ではあるが、これが続いたり、もっと激しく動くようなことになったら大変かもしれない。

 

...まぁ、最悪ばれてもいい。

今こうして一生懸命教えてくれている雫には申し訳ないが、私はアイドルを続けるつもりはないのだし。

 

そんな風に考えていると、練習を見ていたリンが嬉しそうな声を上げた。

 

「あ! 愛莉ちゃんと雫ちゃんの想いも重なって、ステージがどんどんキラキラしていってるよ!」

 

その声はみのりたち3人には聞こえていない様で、止まることなく動き続けている。

 

...先程アイドルを続けるつもりはない、と思った事。それを変えるつもりはないが...みのりの想いを届けるために、出来るだけのことはして見せよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

〈♪〉

 

 

 

 

 

 

 

音楽を流して、一通り踊る。

ステージの上にはみのりだけで、私と愛莉と雫の3人は、みのりを正面から見ているような形だ。

この次に私も1人で踊ることになっているのだが...絶対に踊らなきゃダメだろうか。

 

いや、出来るだけのことはしよう、とは決めたけど、私に限っては別にこのテストみたいなのはしなくても問題ないのだ。

例え骨折しても風邪ひいても寸分違わず踊れる自信がある。

 

私が羞恥心に負けて現実逃避をしている間に、曲はいつの間にか終わっていたようで、みのりが自信ありげな顔でこちらを見ていた。

 

「出来ました! 今、最後で完璧に出来たと思います!」

 

「待って、今動画も確認してるから...うん! これなら完璧ね! 遥にも見せられるレベルだわ!」

 

愛莉から太鼓判を押されたことに心底安心したような表情を浮かべたみのりは、ステージから降りてきて、私の目の前に立った。

 

「次は、瀬名ちゃんの番だね。頑張って!」

 

すごく嫌です。

 

 

 

 

 

 

 

 

〈♪〉

 

 

 

 

 

 

 

 

私の踊りに関しては...特筆すべきこともないだろう。

 

少し集中して踊ったから、自分がミスをしていないことが手に取るようにわかる。

自分で言うのもなんだが、まさにパーフェクト。音ゲーならAP。

 

そんな私のパフォーマンスを見ていた愛莉は、私の動きが止まった直後にこちらに駆け寄り、顎に手を当てながら私の体をじろじろ見始めた。

 

「やっぱり経験者...それも、足さばきが私の知ってるアイドルにそっくり...どういうこと?」

 

私の事情をそのまま話すことが出来たら、どんなに楽だっただろうか。

隠しているのは私が変に目立ちたくないからで、こんなことになるなら中学でハイスペックボディに物を言わせて暴れておけばよかった。

それなら、事情を説明してもすぐに納得してくれるだろうに。

 

愛莉から目をそらすと、異様に目を輝かせた雫と目があった。

 

「すごいわ瀬名ちゃん! 教えたことも全部出来てる!」

 

雫は変なことを考えずにただ褒めてくれるので、まだ対応が楽だ。

 

「...とにかく、これで2人とも大丈夫ね。ひとまずお疲れ様」

 

私から離れた愛莉がみのりと私を交互に見ながらそう言うと、雫も頷いて続いた。

 

「頑張ったわね、2人とも。最後の方はほとんど私たちのペースになっちゃってごめんなさい」

 

「いえ、先輩たちのおかげで、ここまで来られたんです。本当に、ありがとうございます!」

 

私もみのりの言う通りだとし、頷いておく。

 

これでペースを落とされていたら、みのりはまだ練習中だった可能性が高い。

これだけの時間で、ここまでのクオリティまで上げてくれたことには感謝しかない。

 

「あとは...遥ちゃんに届けるだけ...!」

 

さて。

では、このみのりの努力を無駄にしないために、まずは遥を屋上にでも呼び出す方法を考えなければ。

 

 




追加楽曲に「Hello,Worker」あるの個人的に神です。
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