東雲家の末っ子。   作:水が死んでる

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お久しぶりです。

気付いたらモアジャンイベントが終わってて、ビビバスイベントが始まってました。
と言うことで更新です。

次回でモアジャン編は終了です。

急いで書いたので誤字ひどそうです。


第20話

さて。

 

正直に言おう。

このライブは、みのりがステージに立つことさえできれば失敗の可能性はほぼ無いに等しい。

みのりの想いがダイレクトに表現されるこのセカイで、それを遥が受け取らないわけがない。

 

まぁ、考えられる失敗としては、既に遥の関心が別のものに向いているか、何をしても響かないほどに心が摩耗してしまっているかのどちらかだろう。

 

「はぁっ、はぁっ...っ、ありがとう、ございました!」

 

今今できる事を全て込めたみのりは、曲が終わり足を止めた後、肩で息をしながら深く頭を下げた。

 

そして視線は、遥の元へ。

 

「...ねえ、遥ちゃん。ステージに上がらない? 今、すっごくキレイな景色が見れるよ!」

 

「...みのり。ごめんなさい、それは無理なの...。だって、ただステージの前にいるだけでも、こんなに足が震えて...」

 

遥を足止めさせている過去の記憶は、遥1人では決して克服できるものではない。

自身がしてきたこと。それが、身を結んでいなかったと目の前でわからされてしまったこと。

きっとそれを救えるのは、遥に救われた人でしかできないんだろう。

 

遥の足が震えているのは、ステージの上からでも確認できる。

何でもいいから力になりたいという()()()()()()()()()

きっと、みのりにも伝わっているだろう。

 

「それならっ!」

 

みのりはステージの端まで小走りで寄っていき、その場で膝をついて手を伸ばした。

 

「それならっ、私の手を掴んで!」

 

「...え?」

 

「あのね、遥ちゃんは私に、沢山のものをくれたんだよ。遥ちゃんみたいになりたくて始めたダンスの練習は、運動は苦手だったけど、やってたらだんだん楽しくなって、いつの間にかダンスが大好きになってた」

 

「...」

 

「遥ちゃんに会いにライブに行ったら、友達もたくさんできた。...遠くの県に住んでてあんまり会えないけど、今でもよく連絡をとってる。それに、ライブで遥ちゃんにファンサを初めてもらった時は、ドキドキしちゃって...誰かを好きになることが、こんなに嬉しいことなんだって、初めて気づけたんだよ」

 

「みのり、私は...」

 

「それから、遥ちゃんは私に、アイドルになるっていう夢をくれた! 私ができることは、これくらいしかないけど...それでも、この景色を見て、前を向いて、思い出してほしいの! 明日はきっといい日になるって、信じてほしいの!!」

 

きっと無意識に、遥の足は前に進もうとしている。

後は、彼女の口から本心を言わせるだけ。それだけで、遥はもう前を向ける。

 

...本当なら、みのりと遥だけで完結させたかったのだけれど、仕方ない。

 

「ちょ、瀬名...?」

 

後方で見守っていた愛莉と雫から離れて、そのままみのりの横を通り抜けてステージを降りる。

困惑している遥を無視して、私は背中をぐっと押した。

 

「答えはもう、決まってるでしょ」

 

「...っ、ステージに上がりたい...!」

 

私の言葉に一瞬目を見開いた遥は、覚悟を決めて、自身の想いを口にした。

 

「よ~し、それじゃあ、ステージに上がっちゃおう!」

 

「ほら、みのりちゃんの手を取って!」

 

そのまま初音ミクとリンに背中を押され、みのりの手を掴んだ勢いのまま、ステージに上がる遥。

ステージに立てていることに驚いた声をあげた遥だが、すぐにその声はしぼんでいく。

ステージの下にいる私からでもわかるほどに、遥の足は震えていた。。

 

「...震えて、足が...」

 

そのままステージの上に尻もち、と言ったところで、いつの間にか背後に来ていた雫が、遥の体を支えた。

 

「大丈夫、何度でも支えるわ。そのために私たちがいるんだから」

 

「1人で無理なら、周りに頼りなさい。ほら、腕回して。...そんな足元ばっかり見てないで、振り返って前を見てみなさいよ!」

 

それに続いて愛莉も遥を支える体制に入り、遥は両隣から支えてもらって立っている状態に。

背中を見せたままの遥だが、愛莉に言われてゆっくり振り返って見えたその顔は、とても綺麗だった。

 

「この光は、全部遥ちゃんがくれた、希望の光なんだよ。私がアイドルを目指せているのも、ここでライブができたのも、先輩たちと瀬名ちゃんと一緒にライブができたのも、全部遥ちゃんが希望を届けてくれたから」

 

そういって、みのりは遥に向けていた視線を外して、青に染まっている観客を見渡した。

 

「遥ちゃんがいなかったら、私もこの景色は見れてない。この光の数だけ、遥ちゃんは私に希望を届けてくれたんだよ。だから...何度だって、私は伝えたいの。本当に本当に、ありがとう、遥ちゃん! 私に希望をくれて...!」

 

「私が...希望を...そっか。ちゃんと、届けられてたんだ...」

 

その光景を見届けて、私はようやく安堵の息を吐きだす。

私の予感が正しければ、この後。

 

「あれ...? スマホが...ううん、『Untitled』が光ってる...!?」

 

予想通り。

みのりの様子を見て、愛莉たちもそれぞれのスマホを取り出して、自分たちも同じ状況になっている所を確認しあっている。

この後の流れは変わらない。想いから歌が生まれる。

 

「本当の想いを見つけられたから、みんなの想いから歌が生まれようとしてるんだよ」

 

初音ミクがみんなにそう告げる中で、私もスマホを取り出す。

私のスマホは、光っていない。

 

 

 

 

 

 

 

〈♪〉

 

 

 

 

 

 

 

4人の想いが歌になった曲、『アイドル新鋭隊』。

その曲を4人と初音ミクで歌った後、最後に、みのりが初音ミクとリンに『また一緒にライブをしてほしい』と話した後で、4人はセカイから出て行った。

 

それを見送る側に立っていた私を見て、初音ミクとリンは不思議そうに首を傾げた。

 

「あれ? 瀬名ちゃんはいかなくていいの?」

 

「もしかして不完全燃焼? よーし、それなら今すぐ準備して」

 

「ストップ。もう疲れたからライブはいい」

 

ステージの準備をしようと走り出しかけたリンを止めて、私は初音ミクを見る。

 

「ありがとう。どれだけの時間がかかったのかは、わからないけど」

 

「...覚えてる...わけじゃないんだよね。でも、キミがいてくれたおかげで、なんとかなってる。私こそ、ありがとう」

 

私の感謝の言葉に、リンは首をかしげているが、初音ミクは一瞬驚いた顔をした後、笑顔を浮かべて頷いてそう言った。

 

気になっていたことがあったのだ。

『特異点』というワード。あれが何を意味するのかと言う事と、繰り返す時間。記憶にない傷。

初めて時間が巻き戻った時に告げられた、『今回はうまくいったね』という言葉。

 

ループしていることはわかっている。ただそのことを、それぞれのセカイの初音ミクも把握しているのかがわからなかった。

これで確信が持てた。私の知らない私を、初音ミクたちだけは知っている。

 

それだけわかれば十分だ。

今後繰り返す中で立ち回るのに、知っておいて損はない情報だろう。

 

それを確信した私は、セカイから出た。

 

「じゃあ、さようなら」

 

「うん、さようなら」

 

「またねー!」

 

恐らくもう会う事はない。

それを理解している私と初音ミクと、何も理解していないリン。

その差は挨拶ににじみ出ていた。

 

 

 

 

 

 

〈♪〉

 

 

 

 

 

それから数日後。

セカイという便利な練習場所があるにも関わらず、宮益坂女子学園の屋上という、いつも通りの環境で練習を続けていたみのりたちだが、今日はまだ練習を始めていなかった。

 

少し遅れてやってきた私の姿を見た愛莉は、準備が整ったとばかりにみのりに頷いた。

 

「さて、メンツも揃ったことだし、みのり」

 

「はい。それじゃあ...見ます!」

 

また来たばかりで何も理解できていないのだが、みのりたち3人の緊迫した表情で見つめる、みのりの手にある封筒を見て全てを理解した。

 

そういえば前に書類を出していたオーディションがあったんだったか。

 

「...ふ...ふ、不合格!? そんなぁー!」

 

みのりには申し訳ないが、まぁ予想通り...と言うか、そうでなければ困る。

 

「またダメだったー!」

 

「ぐぇ」

 

愛莉に紙を渡したみのりが、私のお腹に突撃してくる。

考え事をしていたせいで、その衝撃でお腹から空気が抜けた。

 

「...ほ、本当に落ちてる...。も~! まったく、見る目のない審査員!」

 

「残念だったわね...。そうだわ。帰りにおうどんを一緒に食べない? 駅前にとっても美味しいところがあるのよ」

 

みのりから受け取った紙を、穴が開くほど見つめていた愛莉は信じられない、と声をあげ、雫は雫なりの慰めをしていた。

 

「うぅ...ありがとうございます...先輩たちに手伝ってもらったのになぁ...」

 

今回は自分だけの力でなく、愛莉や雫たちの助言を受けたうえでの結果だ。

愛莉たちに教えてもらえれば大丈夫、と思っていたわけではなく、むしろ先輩方に申し訳なく思っているのだろう。

 

ただ、小さく呟いたつもりのその言葉は、少し離れた場所にいた愛莉と雫にも届いていた。

 

「な~にらしくなく凹んでるわけ?」

 

「え?」

 

「ふふ、そうね。なんて言ったって、みのりちゃんは私たちを励ましてくれたアイドルですもの。これくらいじゃ諦めないでしょう?」

 

思わず、と言った様子で顔を上げたみのりに、愛莉は不敵な笑みで声をかけ、雫はみのりがまた立ち上がると信じて問いかける。

 

「...はい!! 落ちた50回が、51回になっただけです! 私、希望を届けられるアイドル目指して、もっともっともーっと頑張ります!!」

 

それに応えるように、私から離れて、笑顔で立ち上がり宣言するみのり。

まぁ、希望自体は既に届けられているとは思うが、まぁ知らないのは本人だけだ。

 

眩しすぎる光は、意図せずして他人の生き方を曲げる。

それは良くも悪くも。

 

「やっぱみのりは、そうじゃなくっちゃ!! それじゃあ、今日も厳しくいくわよ!」

 

みのりの意志を見て満足気に頷いた愛莉は、みのりとなぜか私を見ながらそう言い放つ。

まさか私もまだしごかれるのだろうか。

 

声にならない声を出しそうになっていると、屋上へと入ってくる扉が突然開いた。

もしかして屋上で騒ぎすぎて誰か注意に来たのでは、と思いそちらを見てみると、そこには遥が立っていた。

 

「やっぱり、みんなここにいたんだね」

 

そう言いながら微笑を浮かべつつ歩いてくる遥の姿は、まるでCMを見ている様だった。

なんだこの女。

 

「遥ちゃん?」

 

「いいところに来たわね、遥! 今から練習するから、ちょっと見ててくれない? オーディションに落ちたみのりと瀬名を、今日はみっちりしごくわよ!」

 

私も落ちたことにされている。しかもしごくのは確定か。

 

私が心の中で涙を流していると、遥が驚いた顔で首を傾げた。

 

「...みのり、モリプロのオーディションに落ちたの?」

 

「うぐ...う、うん。でも、諦めないよ! もっともっと頑張って、遥ちゃんみたいなアイドルになる!!」

 

「...ねえ、ひとつ提案があるの」

 

みのりがオーディションに落ちたことを確認すると、そのあとの宣言を嬉しそうな顔で聞き届けた後、顎に手を当てながら、遥はこう続けた。

 

「私たちみんなで、一緒にアイドルをやらない?」

 

 




別ゲーで忙しくて、プロセカはチャレンジライブしかやってません。

\イトヨ、コウサクセヨ/

      \タケキホノオヨ!/

  \プリンセスコネクト!リダイブ!/
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