東雲家の末っ子。   作:水が死んでる

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嬉しい。ありがとうございます。
完全に私の趣味で書いてるものですが...これからもよろしくお願いします。



さて。今回からLeo/need編突入です。

ようやくあと2グループ...。


第4章 Leo/need編
第1話 Can you tell me where I am?


私の意識を覚醒させたのは、全身に走る痛みだった。

 

「っ!? う、ぐ...!」

 

脂汗を流しながら、我慢できずにのたうち回る私。

その拍子にベッドから落ちたのか、地面に落ちて更なる痛みが私を襲う。

 

...いや、待て。ベッドの上?

 

「...ここ、私のへ、や...っ?」

 

辺りを見渡すと、確かにそこは、よく見慣れた私の部屋だった。

 

立ち上がれないだろうか、と全身に力を入れるが、残念ながら痛みが我慢できない領域まで来ているせいで、横で寝転がっている状態でしかいられない。

 

首すらも満足に動かせない体で、むきだしになっている腕を見てみるが、そこには見た目でわかるような怪我はない。

けれど、確かに痛い。

 

一体どうなっているのか、痛みで回らない頭で考えていると、誰かが私の部屋に入ってきた。

 

「ちょっと瀬名、なんかすごい音がしたんだけど...ど、どうしたの?」

 

どうやら、絵名が、私がベッドから床に落ちた衝撃の音で、部屋まで様子を見に来てくれたようだ。

私がベッドの上でなく、床で転がっていることに驚いているようだが...助かった。ひとまず...どうしよう。病院にでも連れて行ってもらおうか。

 

「絵名、救急車」

 

「え?」

 

「お願い。全身が痛くて動けない」

 

「! い、今呼ぶから、絶対に死なないでよね!」

 

痛さのせいで呼吸が浅くなりながら、絵名に救急車を呼んでもらうようお願いすると、絵名は涙目になりながら、部屋を出て行った。

恐らく自分のスマホを取りに行ったと思うのだが...別にそんな動揺しなくても。今こうして元気に、ではないけれど、会話が出来ている時点で、すぐにでも死ぬようなものでもないと予想できそうだけれど。

 

スマホで救急車を呼び終わった絵名が部屋に戻ってきて、私に何かできることがないかとあわあわしている最中に、救急車が到着した。

 

隊員に優しく運び込まれて、私は突然、病院へと運ばれた。

救急車に乗って病院に行くのは、これが人生初めてである。

 

 

 

 

 

 

〈♪〉

 

 

 

 

 

 

結果から言おう。

私はなぜか、全身の至るところを骨折しており、入院することになった。

 

私の記憶をさかのぼっても、この時の出来事的に、私がそこまでの怪我をしそうなことがないし、そもそも、なんで私の体にぶつけたような跡がないんだ、というのも不思議だ。

 

私にしか通じない、私の予想だが。

最後の記憶では、私はトラックにひかれたはずなのだ。みのりを守って。

今こうして、鎮痛剤を打って多少は冷静になった頭で考えても、あれは最善手だったと思う。

 

もっと早くに気付いていれば、みのりを運び出すことも出来ただろうけど、あのタイミングでは、恐らく運んでいる最中に、私もみのりも子供も、まとめてこの世からさよならだ。

 

そんなことを、病院のベッドの上でぼーっと考えている。

既に、絵名も彰人も、両親も来てくれて、何をするにしても誰かの手伝いが必要、という点を除けば、充分なほどに用意を済ませてくれた。

 

多少はマシになった痛みを我慢しながら、私のスマホの電源をつける。

 

...私のスマホ、こんなにヒビが入っていただろうか。

これでも物持ちは良い方なのだが...どこかで落としただろうか。

 

さて。色々と調べようか。

 

 

 

 

 

 

〈♪〉

 

 

 

 

 

小1時間ほどネットサーフィンをしていてわかったことが何個かある。

 

まず、そもそも私はイヤホンを注文していないということ。

絵名にもってきてもらった荷物の中に入っているようだが、私が今まで使っていたイヤホンは、未だに壊れていないようだ。

 

次に、みのりが既にアイドルになっている。

それも、バラエティには全く出ずに、アイドルの路線を突っ走り、最近出したシングルの売上は常に上位に食い込んでいる。

ただ、私の知っているみのりは眩しい笑顔を浮かべていたのに対して、この世界のみのりは、クール系で売っている様で、笑顔を全く見たことが無いのだとか。

 

意味が分からん。

それだと、愛莉や雫、遥はどうなってしまうんだ、と思いながら調べてみると、3人の名前も確かに出てきた。

共通点としては、ラジオなりテレビなりの場面で、よくみのりの話題を出しているのだとか。

...これだと、意外とこの4人がグループを組むのは変わらないかもしれない。

ただその本質はかなり変わっていそうだし、セカイもあったとしても、それは私の知っているセカイではないんだろう。

 

「...『1度だけ語った、笑わない理由』...?」

 

記事を適当にタイトルだけ流し見していると、他の記事とは少し違ったタイトルのものを見つけた。

 

興味の湧くままに、私はその記事をタップした。

 

その記事には、動画が載っているタイプのもので、自動的に再生された。

そうして、私はみのりを見て、衝撃を受けた。

 

『なんで、笑わないのか、ですか』

 

『何というか、私の笑顔に嫌気がさしたんです』

 

『私なんかが笑っている価値があるのかって』

 

『だけど、アイドルにはならなくちゃいけない。死んでも』

 

『...まぁ、そういう感じです。私はパフォーマンスで魅せればいいかな、って』

 

『あの人の分まで』

 

 

 

 

 

 

 

 

〈♪〉

 

 

 

 

 

 

 

入院生活で出て来るご飯はまずい、とよく聞くけれど、私からしたら別に、そこまでひどいものではないと思う。

患者の事を考えて作られているそれだが、確かに普段食べている母親や絵名の料理に比べると味は薄い。

ただまぁ、それだけだ。

 

そもそも私は、食べないなんて日もざらにあるので、毎日3食食べることを強制されているこの状況は、私の健康的にもいいのかもしれない。

 

とまぁ、そんなことを考えているほどに、入院生活というのは暇である。

別にアプリゲームを普段から嗜んでいるわけでもないし、他の案としてはセカイがあげられるけれど、ここは病院。

同じ部屋に私以外の人間がいないから、実質1人部屋みたいになってはいるけれど、他人が来る可能性がある場所でセカイに入っていると、入る瞬間は見えないかもしれないけど、私がそこにいないことに驚くだろう。

 

まぁ、それ以前に、私の今の怪我の状況でセカイに行く理由が無い。

 

それ以外だと...曲作りだろうか。

 

もう少し体が治るまで我慢だな、と私は息を吐き出して目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

〈♪〉

 

 

 

 

 

入院から1週間が経った。

入院当初、医者から『外から何かがぶつかった様子はないのに、体の中の骨はいろんな場所で折れている。だがそれらはどれも臓器を傷つける場所ではない。...???と言われていた私だが、つい昨日『キミは異常な回復力を持っているようだ。もう既に骨が大体くっついている。化け物かな?』と笑いながら告げられた。

 

誰が化け物だ。

 

さて。ようやく体も治ってきたので、まだ様子見ではあるものの、病院の敷地内であれば歩いてよくなった。

そのことを絵名に報告すると、またもや絵名は泣きながら私を抱きしめてきた。

彰人からは、駅前の有名なチーズケーキと、頭を一撫で。

 

うーむ、彰人は変わらないように見えるが、絵名は元々こんなだっただろうか。

 

ちなみに父親からは、ギターを送られた。意味不明だ。

恐らくだが、暇つぶしが出来るようなものを送りたくて、彰人が歌をやっていることを考えた時に、音楽だ、となったのだろう。

阿呆が。

 

母親からは、タッパに詰められた手料理だった。

何が入ってるんだろうと開けると、オムライスが出てきたのには、苦笑いしたが...まぁ美味しかった。

 

たった1週間の入院でも筋肉は衰弱しているようで、広めの公園のような場所に出るまでに若干息が切れた。

まぁ、背中にあるギターのせいもまぁ、あるのだろうけれど。

 

ベンチに腰を下ろして、ケースからギターを取り出す。

ボディは黒い。ギターの対して詳しくない私なので、このギターがなんていう種類のものなのかはわからない。なので、あげられる特徴はこれだけだ。

 

後はまぁ...弦が6本あるくらいか。

確かギターと似た、ベースというものもあるらしいが...これは恐らくギターだろう。

 

セカイで弾かずに外で弾いているのは、この天気のいい日に、日向ぼっこをしながら弾きたいと思ったから。

まぁぶっちゃけ、すぐに飽きて昼寝コースに入る予感もしている。

 

スマホでギターのコードを一目みて、弦を抑える。

多少指の動かし方に違和感を感じたものの、すぐに弾けるようにはなった。

これで好きな曲を弾いて時間を潰そうか、と考えていると、私に降り注いでいた日陰が遮られた。

 

下げていた視線を上げると、私の座っている前に誰かが立っていた。

 

「すごーい! ギター、上手!」

 

誰なんだ。このピンクのグラデーション金髪ツインテール陽キャ女は。

 




一体、何天馬誰咲希なんだ~?
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