嬉しい。ありがとうございます。
完全に私の趣味で書いてるものですが...これからもよろしくお願いします。
さて。今回からLeo/need編突入です。
ようやくあと2グループ...。
第1話 Can you tell me where I am?
私の意識を覚醒させたのは、全身に走る痛みだった。
「っ!? う、ぐ...!」
脂汗を流しながら、我慢できずにのたうち回る私。
その拍子にベッドから落ちたのか、地面に落ちて更なる痛みが私を襲う。
...いや、待て。ベッドの上?
「...ここ、私のへ、や...っ?」
辺りを見渡すと、確かにそこは、よく見慣れた私の部屋だった。
立ち上がれないだろうか、と全身に力を入れるが、残念ながら痛みが我慢できない領域まで来ているせいで、横で寝転がっている状態でしかいられない。
首すらも満足に動かせない体で、むきだしになっている腕を見てみるが、そこには見た目でわかるような怪我はない。
けれど、確かに痛い。
一体どうなっているのか、痛みで回らない頭で考えていると、誰かが私の部屋に入ってきた。
「ちょっと瀬名、なんかすごい音がしたんだけど...ど、どうしたの?」
どうやら、絵名が、私がベッドから床に落ちた衝撃の音で、部屋まで様子を見に来てくれたようだ。
私がベッドの上でなく、床で転がっていることに驚いているようだが...助かった。ひとまず...どうしよう。病院にでも連れて行ってもらおうか。
「絵名、救急車」
「え?」
「お願い。全身が痛くて動けない」
「! い、今呼ぶから、絶対に死なないでよね!」
痛さのせいで呼吸が浅くなりながら、絵名に救急車を呼んでもらうようお願いすると、絵名は涙目になりながら、部屋を出て行った。
恐らく自分のスマホを取りに行ったと思うのだが...別にそんな動揺しなくても。今こうして元気に、ではないけれど、会話が出来ている時点で、すぐにでも死ぬようなものでもないと予想できそうだけれど。
スマホで救急車を呼び終わった絵名が部屋に戻ってきて、私に何かできることがないかとあわあわしている最中に、救急車が到着した。
隊員に優しく運び込まれて、私は突然、病院へと運ばれた。
救急車に乗って病院に行くのは、これが人生初めてである。
〈♪〉
結果から言おう。
私はなぜか、全身の至るところを骨折しており、入院することになった。
私の記憶をさかのぼっても、この時の出来事的に、私がそこまでの怪我をしそうなことがないし、そもそも、なんで私の体にぶつけたような跡がないんだ、というのも不思議だ。
私にしか通じない、私の予想だが。
最後の記憶では、私はトラックにひかれたはずなのだ。みのりを守って。
今こうして、鎮痛剤を打って多少は冷静になった頭で考えても、あれは最善手だったと思う。
もっと早くに気付いていれば、みのりを運び出すことも出来ただろうけど、あのタイミングでは、恐らく運んでいる最中に、私もみのりも子供も、まとめてこの世からさよならだ。
そんなことを、病院のベッドの上でぼーっと考えている。
既に、絵名も彰人も、両親も来てくれて、何をするにしても誰かの手伝いが必要、という点を除けば、充分なほどに用意を済ませてくれた。
多少はマシになった痛みを我慢しながら、私のスマホの電源をつける。
...私のスマホ、こんなにヒビが入っていただろうか。
これでも物持ちは良い方なのだが...どこかで落としただろうか。
さて。色々と調べようか。
〈♪〉
小1時間ほどネットサーフィンをしていてわかったことが何個かある。
まず、そもそも私はイヤホンを注文していないということ。
絵名にもってきてもらった荷物の中に入っているようだが、私が今まで使っていたイヤホンは、未だに壊れていないようだ。
次に、みのりが既にアイドルになっている。
それも、バラエティには全く出ずに、アイドルの路線を突っ走り、最近出したシングルの売上は常に上位に食い込んでいる。
ただ、私の知っているみのりは眩しい笑顔を浮かべていたのに対して、この世界のみのりは、クール系で売っている様で、笑顔を全く見たことが無いのだとか。
意味が分からん。
それだと、愛莉や雫、遥はどうなってしまうんだ、と思いながら調べてみると、3人の名前も確かに出てきた。
共通点としては、ラジオなりテレビなりの場面で、よくみのりの話題を出しているのだとか。
...これだと、意外とこの4人がグループを組むのは変わらないかもしれない。
ただその本質はかなり変わっていそうだし、セカイもあったとしても、それは私の知っているセカイではないんだろう。
「...『1度だけ語った、笑わない理由』...?」
記事を適当にタイトルだけ流し見していると、他の記事とは少し違ったタイトルのものを見つけた。
興味の湧くままに、私はその記事をタップした。
その記事には、動画が載っているタイプのもので、自動的に再生された。
そうして、私はみのりを見て、衝撃を受けた。
『なんで、笑わないのか、ですか』
『何というか、私の笑顔に嫌気がさしたんです』
『私なんかが笑っている価値があるのかって』
『だけど、アイドルにはならなくちゃいけない。死んでも』
『...まぁ、そういう感じです。私はパフォーマンスで魅せればいいかな、って』
『あの人の分まで』
〈♪〉
入院生活で出て来るご飯はまずい、とよく聞くけれど、私からしたら別に、そこまでひどいものではないと思う。
患者の事を考えて作られているそれだが、確かに普段食べている母親や絵名の料理に比べると味は薄い。
ただまぁ、それだけだ。
そもそも私は、食べないなんて日もざらにあるので、毎日3食食べることを強制されているこの状況は、私の健康的にもいいのかもしれない。
とまぁ、そんなことを考えているほどに、入院生活というのは暇である。
別にアプリゲームを普段から嗜んでいるわけでもないし、他の案としてはセカイがあげられるけれど、ここは病院。
同じ部屋に私以外の人間がいないから、実質1人部屋みたいになってはいるけれど、他人が来る可能性がある場所でセカイに入っていると、入る瞬間は見えないかもしれないけど、私がそこにいないことに驚くだろう。
まぁ、それ以前に、私の今の怪我の状況でセカイに行く理由が無い。
それ以外だと...曲作りだろうか。
もう少し体が治るまで我慢だな、と私は息を吐き出して目を閉じた。
〈♪〉
入院から1週間が経った。
入院当初、医者から『外から何かがぶつかった様子はないのに、体の中の骨はいろんな場所で折れている。だがそれらはどれも臓器を傷つける場所ではない。...???と言われていた私だが、つい昨日『キミは異常な回復力を持っているようだ。もう既に骨が大体くっついている。化け物かな?』と笑いながら告げられた。
誰が化け物だ。
さて。ようやく体も治ってきたので、まだ様子見ではあるものの、病院の敷地内であれば歩いてよくなった。
そのことを絵名に報告すると、またもや絵名は泣きながら私を抱きしめてきた。
彰人からは、駅前の有名なチーズケーキと、頭を一撫で。
うーむ、彰人は変わらないように見えるが、絵名は元々こんなだっただろうか。
ちなみに父親からは、ギターを送られた。意味不明だ。
恐らくだが、暇つぶしが出来るようなものを送りたくて、彰人が歌をやっていることを考えた時に、音楽だ、となったのだろう。
阿呆が。
母親からは、タッパに詰められた手料理だった。
何が入ってるんだろうと開けると、オムライスが出てきたのには、苦笑いしたが...まぁ美味しかった。
たった1週間の入院でも筋肉は衰弱しているようで、広めの公園のような場所に出るまでに若干息が切れた。
まぁ、背中にあるギターのせいもまぁ、あるのだろうけれど。
ベンチに腰を下ろして、ケースからギターを取り出す。
ボディは黒い。ギターの対して詳しくない私なので、このギターがなんていう種類のものなのかはわからない。なので、あげられる特徴はこれだけだ。
後はまぁ...弦が6本あるくらいか。
確かギターと似た、ベースというものもあるらしいが...これは恐らくギターだろう。
セカイで弾かずに外で弾いているのは、この天気のいい日に、日向ぼっこをしながら弾きたいと思ったから。
まぁぶっちゃけ、すぐに飽きて昼寝コースに入る予感もしている。
スマホでギターのコードを一目みて、弦を抑える。
多少指の動かし方に違和感を感じたものの、すぐに弾けるようにはなった。
これで好きな曲を弾いて時間を潰そうか、と考えていると、私に降り注いでいた日陰が遮られた。
下げていた視線を上げると、私の座っている前に誰かが立っていた。
「すごーい! ギター、上手!」
誰なんだ。このピンクのグラデーション金髪ツインテール陽キャ女は。
一体、何天馬誰咲希なんだ~?