今後の予定は内緒です。
次回の更新は私が『Booo!』をAPしたらです。
と思ってたんですが、プロセカと執筆を同時進行してたら取れてしまったので、近いうちにまた更新します。
「すっごい上手! プロみたい!」
「ありがと」
日向でぽかぽかしながらギターの弦を弾いていたら、謎の金髪美少女が現れた。
病院にいるにしては妙に元気いっぱいなので、誰かのお見舞いなのかもしれない。
とりあえず褒められたっぽいので感謝の言葉を口にしてギターに目を戻すと、少女も私の隣に座って、目を輝かせてこちらを見つめてきた。
もしかして、何か弾いて欲しいのだろうか。
「...私、まだ得意な曲とかない」
「え? ...あ、もしかして、なんでも弾けるってこと!? すっごーい! じゃあじゃあ、これは?」
私の話をあまり理解せずに、スマホのアプリで動画を再生し始める少女。
聞いた限りだと、ゴリゴリにロック...と言うよりかはポップに寄っているバンドの曲だった。
仕方がない。うなれ私のギフテッド。
じゃかじゃかじゃん。
〈♪〉
少女があれもこれも、と言い続けるままに引き続けて数十分。
ようやく満足したのか、少女は画面を消して私の指を見つめていた。
「本当にすごい、やっぱりプロ?」
「違う。今日始めたばかり」
「今日!?」
それにしても、表現が大きい。オーバーとまではいかないけれど、日本人と海外のオーバーな反応をそれぞれ混ぜて2で割ったらこんな感じだろうか。
そんな彼女は、私のギター歴を聞いて、心底驚いている様だった。
共感はするよ。私でもずるだと思うし。
何となくこの話をそらしたかった私は、今度は自分から質問をすることにした。
「あなたは?」
そもそも、名前も知らない。
そのことを彼女も思い至ったのか、はっとした表情で立ち上がった。
「そうだった! 私、天馬咲希!」
「東雲瀬名。...見た目元気そうだけど、なんでここに?」
お互い名前だけの簡易的な自己紹介を済ませると、またもや少女...咲希と名乗った少女ははっとした表情になり、慌て始めた。
「そうだった、私、最後の診察があったんだった。もう完治して、今日は最後の診察だったの。...せなちゃんは?」
「ちょっと事故にあって。でももう治りかけ」
事故にあって、の部分で眉根を下げて、治りかけ、と聞いた時にホッとしたような表情を浮かべる咲希。
賑やかな人だ。友達も多そう。
「事故にあったことを嬉しく思ってるわけじゃないけど、こうして会えたのは嬉しいかも!」
それからも、『診察がある』と言ったはずの彼女と雑談話をして、連絡先の交換まで済ませた私たち。
すっかり仲良くなった私たちに割り込んできたのは、咲希のスマホから鳴り響く音楽だった。
「あ、忘れてた...! ごめん私、いかなきゃ! また遊ぼうね~!」
咲希はそれだけ言うと、すぐに走ってどこかへと言ってしまった。
完治した、と言うのは本当なのだろう。今の私が走ろうものなら、まだ全身が悲鳴を上げるだろうし。
そろそろ私も部屋に戻らなければ。
いつもこの時間帯にやってくる絵名だが、私が部屋にいないと大変なことになる。また病院に迷惑をかけるわけにもいかないだろう。例え温かい視線を向けられていたとしても。
「んしょ...」
ギターケースを背負って、来た道を戻る。
館内案内図を一度も見たことがないせいで、自分の部屋がどのあたりにあるのかをいまいち把握できていないが...最悪リハビリ室だとか、わかる場所に行くことが出来れば、そこから逆算して私の部屋の場所は分かる。
来た道をたどれば、とも思ったが、適当にぶらぶら歩いていたので、道を覚えていない。
ようやく部屋にたどり着いた時には、私の部屋のベッドで絵名が眠っていた。
「なんで絵名が...あぁ、泣き疲れちゃったのか」
泣いた後特有の、目元が赤くなっている絵名の頭をなでて、ギターケースを壁に立てかける。
絵名は私が入院した日から、何というか、精神的に弱くなった。
私が入院してからほぼ毎日様子を見に来てくれているのだが、部屋にやってきた際にベッドに私がいないとそれはもう取り乱す。
看護師さんの協力もあって、その場はなんとか収まったのだが...絵名が来るであろう時間帯には、私はベッドの上にいなければならなくなった。
それと同時に、私が他人と関わることを異様に嫌がる。
理由を聞いても説明はしてくれず、ただ嫌がるのだ。
どうしたものか、と思いながらベッドの端に腰掛ける。
私がベッドにいなくても暴れたりしなくなっただけまだましになった方だが...絵名も、一度医者に診てもらった方が良いかもしれない。
〈♪〉
時間も遅くなり、絵名も夜間学校に通わなくてはならないので帰った後の、1人の時間。
部屋に置かれているテレビをつけると、今日もとあるアイドルが映っている。
花里みのり。
デビューしてから今までソロで活動し続けており、彼女の笑う姿は、仲のいい桐谷遥でも見たことがないのだという。
ただ、彼女自身笑わないから冷たいのだというわけではなく、困っている人がいたら後先考えずに動いてしまうのだとか。
『優しい心の持ち主なんですね』
『...私としては、忌々しく思う時もありましたけど』
『? それはどういう...』
『いえ。こちらの話です。お気になさらず』
そうしてテレビは一旦CMに入り、そこでもみのりがCMに映る。
本当に、大人気アイドルなんだ、と思いながら、スマホでとある単語を打ち込む。
「....出て、来ない?」
検索したワードは、『25時、ナイトコードで。』だ。
奏たちが活動を始めたタイミングまでは把握していないが、さすがにこの時期にはもう名前が売れ始めていてもおかしくない時期のはず。
何かがずれ始めているのかもしれない。
私はひび割れたスマホを操作して、久しぶりに自分の『Untitled』を再生した。
〈♪〉
久しぶりにやってきたセカイには、いつもの真っ黒な初音ミクと、背の低いリンと、もう1人、知らない誰かがそこにいた。
私がセカイにやってきたことに気が付いたのはリンで、ててて、と擬音が付きそうな小走りで私の元へと駆け寄ってきた。
「ようやく来た。瀬名、どういう別れ方したの?」
「どういう、って?」
リンの言う事に首をかしげていると、リンは人差し指で上を見ろと示してきた。
一体なんだと思いながら上を大人しく上を見る。そこには星が変わらず20個あり、みのりたちの分が終わったからなのか、色のついていなかった星が緑に光っていた。
ただ問題は、その緑に光っている4つの星が全て、明滅している事。
「あれ、なんで暗くなったりしてるの?」
「よほど精神に異常をきたすほどの何かがあった時にしかならないはず。それこそ、個人の根底を揺るがすほどの大きな衝撃。だから、あの子たちの前でどういう別れ方したの、って聞いてるの」
リンのその感情の読めない目に見られながら、私は考える。
基本的に私がすること大体は、この私のセカイにいる住人はみんな知っていたはず。それなのに、別れ際の事を覚えていない、または知らないのは、あまりにも急だったからなのだろうか。
そもそも。
みのりたちの目の前で死んだから明滅しているのであれば、リセットされたはずのセカイでもおかしくなっている絵名の星は何も起きていないのがおかしく感じる。
あれも、本来の絵名だとでも言うのだろうか。
考えても答えは出なさそうだ、とひとまず頭の片隅に追いやって、リンに何があったのかを簡易的に話す。
「別に、どうあがいても間に合わなかったから、トラックにひかれるみのりを助けて、ひかれただけ」
「...はぁ、全く」
私の説明にリンは目を細めてため息を吐きだした後、私の手を引いて初音ミクたちの所へと引っ張っていった。
「紹介する。巡音ルカ。ちょっと事情があって声は出せないけど、悪い子じゃない」
私とリンが近くまで来たことに気がついた2人は、じゃれるのを止めて立ち上がってこちらを向いた。
「やぁやぁ、待ってたよ」
また変なキャラ付けをしている初音ミクの隣に立っている、ピンク髪のサイドアップにしている彼女を見る。
ルカ、と呼ばれた彼女は、リンに聞いた通り喋る様子を見せず、表情と身振り手振りでこちらに意志を伝えていた。
変なやつが増えないのは助かる。ここに来ることもあまり無くなったけれど。
周りを見渡しても、私のセカイには変化はない。
ルカが増えたことと、星が明滅し始めただけだ。
……また考え事をする時にでも来よう。
「じゃあ、また」
「うん」
「はいはーい。まったね〜」
ひとます絵名のことをどうにかしなくては、と考えながら、私は『Untitled』を止めた。
「私たちが関与しなくても関わり始めた。引き寄せやすくなってる?」
「菴輔〒縺?繧阪≧縺ュ?」
「まぁ何とかなるでしょ」