東雲家の末っ子。   作:水が死んでる

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今回は短めです。


第8話 I never thought I would be doing something like this

『多分そうはならないと思うけど、無闇に言いふらさないでよ』と一応と言ったような注意を受けた後、愛莉との会話はいったん終了した。

 

愛莉からの情報をまとめると。

 

・みのり、愛莉、雫、遥の4人は仲がいい

・全員、アイドルを引退などはしておらず、続けたまま関係を持っている

・現状に不満があるのか、それとももっと上を目指したいのかは不明だが、4人でグループを組もうと画策している

 

と言ったところだろうか。

 

意味が分からん。

 

元の世界...と言うか、私がみのりたちと知り合った時の状態とあまりにかけ離れている。

みのりたちがおかしくなっただろう分岐点が、私が繰り返している時間帯に無い。私の仮説通りに、私自身がループしているとしても、失敗したら失敗したときの記憶は全て消えているのだから、反省を活かそうにもどうにもならないのだけれど。

 

...そうだ、ループ。

もしこの現象が私だけじゃなくて、他の人も繰り返していたら?

 

この『もし』が本当に起きている事象だとしたら、相当に面倒だ。

私は過去のループの記憶を持ち得ていないのに対して、この仮説で言えばみのりは過去の記憶を持っていることになる。

 

「...最悪」

 

だとしたら、つい口に出してしまったが状況は最悪だ。

 

これから関わる人は何とかなるかもしれない。けれど、既に解決したはずの人たちが段々とおかしくなってしまう。

みのりの目の前で親しい人が死ぬ、と言うのも、別に私が計画していたことではなく仕方なしに起きたことだが、悪手中の悪手だったというわけだ。

 

しかし、だとしたら絵名の異変に説明がつかない気がする。

別に絵名の目の前で首を吊って死んだわけでも、絶縁を言い渡したわけでもない。普通に解決したはず。

 

しばらく首を傾げていると、そういえば、と唐突に思いだした。

 

みのりたちの世界線の時だ。

宮益坂女子学園にいった時に、話したことも会ったこともないまふゆに、夢の話をされた記憶がある。

 

実際、あれも夢の話ではないのだろう。ちょっと怖くて考えないようにしていたけど、まふゆもほぼ確信していたようだし。

 

「...これは、私も動かなきゃいけない気がする」

 

私がそれぞれのセカイに関わるということは、それぞれのセカイにいる4人ではバッドエンドに行ってしまうから、それを何とかするために私がいるということになる。

ただ今のところ、私が何とかしなければいけないような雰囲気にはなっていないし、もし困りごとがあるなら咲希あたりがすぐさま連絡をくれそうなものだし。

 

私がまず連絡を取るべき相手は...。

 

 

 

 

 

 

 

〈♪〉

 

 

 

 

 

 

翌日。

疲れた頭ではこれ以上考えても何も出ないと判断し、一眠りしてすっきりした頭で情報を整理する。

 

私が連絡を取れる相手は今のところ、

 

・絵名

・彰人

・愛莉

 

の3人。この3人が、今の私が連絡を取っても違和感を持たれないリスト。

さて、ここからはオカルトな話になるのだが。

 

私の連絡先にはなぜか、『朝比奈まふゆ』と、『花里みのり』の2人の連絡先が存在している。

正直意味不明である。この2人の連絡先が存在しているのに、他の人の連絡先が消去されているのがわからない。

 

まぁ、私のスマホがこれまで新品同様に綺麗だったのが、病院で手に取った時にはひび割れた状態だった時点で、察するべきだったかもしれない。

あの時の私は他に気になることが多すぎて、スマホの損傷状態なんてスルーしていた。

 

少々リスクがあるが、ここは絵名たちではなく、まふゆかみのりに連絡を取るべきじゃないだろうか。

少なくとも、現状の把握には有用な情報を得られるはず。

 

...まふゆに連絡して監禁でもされたら、まぁそれはそれは困ることになる。ここはみのりに連絡しようか。

 

というか、今や国民的アイドルとなった彼女に、私と会うなんて時間がとれるのだろうか。

そこまで非人道的なスケジュールで働いてるとは思いたくはないが...芸能人の働くペースなんて、私みたいな一般人が想像するだけ無駄だろう。

 

咲希に『今日の練習は私用でいけない』とだけ伝えて、今度はみのりのとのトークルームを開く。

 

「...まぁ、無難にいけばいいか」

 

一瞬なんて送ろうかと悩んだが、恐らくだけど、みのりも私のことを覚えているのだろう。

 

『瀬名:元気?』

 

それだけ唐突に送っても、まぁ許してくれるはず。

後はみのりが気づいてくれた段階で連絡を返してくれるはずだから、私はその間他の人に声をかけてみよう、と。そう考えているうちに、私のスマホが振動した。

 

「...通話?」

 

画面に表示される相手は、『花里みのり』。

まさかメッセージではなく、通話をかけてくるとは思ってもいなかった私は、一瞬思考が止まった。

 

そのまま何も考えずに通話ボタンをタップして、私はスマホを耳に当てた。

 

「...もしもし?」

 

『ずっと待ってたんだよ?』

 

...なんだろう。まだまふゆに連絡したほうが良かったかもしれない。




次の更新を6月中に出来るように頑張ります。

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