レンタルマギカご存知の方がいらっしゃってとても嬉しいです。
消太さんの学校に対する掛け合いの結果、今日から私は勉強する穀潰しから運動する穀潰しにジョブチェンジした。
これで受験に落ちた場合、放逐あるいは軟禁の道を辿ることになると思うので、身柄が雄英高校の庇護下にある今のタイミングである程度体作っておかないとなと現実的なことを考える。
この貧弱な体のままお外にポイされたら終わる。
先に一番悪い道を覚悟しないと、後から悲しいことがあった時に辛いんだよね。期待値と現実の差みたいな?と人生における個人的な暴論を振り翳しながら、ランニングマシンの上でてくてくと足を運んでいる。
30分走ってランニングマシンがクールダウンモードに入る。
クールダウンで歩く時間も惜しいな、と思いつつ歩きながらボトルから水分を摂った。
とりあえず、
フィジカル弱いからしょうがないよね。なんて言ってられないし、以前は
昨日の実技試験で筋肉痛があちこちでぴきりと引き攣る。
そんな今だからこそ、ひとつだけ試してみたいことがあった。
そもそも
なら、私が、私自身の体を操ることもできるんじゃないか?と考えていた。
ランニングマシンに乗る前に使っていたダンベルを目の前に置く。それだけで筋肉痛がきりと痛み、ちょっと呻き声が上がる。
「…っ。」
自分の力といえども、筋肉に何かが触れるのは気分が悪くて声が漏れる。
「お?」
思ったよりいける。さっきよりはるかにいける。
以前として体の内側を触られる気持ち悪さはすごくあるけれど、痛みは無い。
ダンベルを肩口まで持ち上げてみる。
いとも簡単に持ち上がった。
「おお?」
もしかしてこれ、新境地ってやつじゃない?と思いつつ、新しいダンベルを連れてこようと思った。
ダンベルが乗る棚の前に行き、さっきのダンベルよりも2段階くらい重たいダンベルを手に取る。
流石に重たくて、
流石に止めた。
「うーん。」
さすがに自分の力以上にってなると骨とか筋肉とかなんとかが軋むのか。
それとも加減が下手なのか。
でもこれもしかして上手く調整出来ればだけど、一時的なドーピング技としては使えるかもしれない。
筋力の底上げに使えるし、いやとりあえずは鍛えるつもりだけど、やっぱり体が女の子だし筋肉とかつきにくいと思っているし。
筋肉痛でも頑張れるって考えると、もっと頑張ったら骨とか折れても一時的になら動けちゃうのでは?
いやぁそうそう骨が折れるなんてことあるわけないよな。折りたくないし。と自分の思考回路をぶった斬りながらまぁそうなった時やってみよ。と心の隅にメモを残した。
もう少し体ができてから考えよう。
これ、戦闘技術の時も言ってた気がするけど、優先順位的にどうなんだろう。
ドーピングを覚えてしまうのが先か、戦いのすべをみにつけるのが先か。
うーん。どうしたものかな。
「っていうことなんですけど、どう思いますか?」
「どう思いますか?と聞かれても。」
家に帰って、相も変わらず作りおいたおかずをあたためて炊飯器からご飯をよそった夕飯も食べ終わって洗い物をしているその時に質問してみた。
「戦闘訓練って一概に言ってもな、色々あるだろ。」
「個人的には徒手空拳的なものを身につけたいなぁと思っています。」
消太さんは眉を顰める。
「なんでだ。」
「私の
「その考えは間違いじゃないと思うが…」
なんでそう、微妙な顔をしているのだろう。
「他にありますかね?」
「それこそ俺の操縛布とか。」
「それ、企業秘密って仰ってませんでした?」
「……」
消太さんは口元を隠してそっぽを向いた。
さては言ったの忘れてたな?
「とりあえず、素手での戦闘だな。だがそのドーピング?ってやつはなんなんだ?」
「まだ練習中なのであまり上手いこと説明できないんですけど、筋肉をこう、
ただ、力加減を失敗すると骨とかが逝きそうになっちゃって。と呟くとガバリと消太さんが私の腕を掴んだ。
がちゃんと消太さんが拭いていたお皿が悲鳴をあげた。
「おいどこやったんだ。」
そんなことも気にならないようで、消太さんはぐるぐると私の腕を動かし、あっちに傾けこっちに傾けする。
「逝きそうになったってだけで、なんともなってないですって!」
びっくりしちゃってつい大きな声が出る。
「本当か?いや、明日リカバリーガールに確認する。」
「え、そんなに信用ないんですか?」
びっくりした。半年間暮らしてきたのに?
「半年暮らしてきた感じだとお前誰も知らない間に無理して突然電池切れみたいにぶっ倒れるタイプじゃねえか。」
「…否定できないところもあります、けどほらなんもないじゃないですか!」
袖をガバリと捲ってみせる。
「
「えええ…」
「実技試験も見てて思ったがな、もうちょっと他を頼れ。」
その言葉に少しムッとする。
「いやでも瀬呂範太くんと共闘しましたよ。実技試験という括りの中では珍しい方と自負しています。」
「お前が最初ひとりで
「あれは、芦戸三奈ちゃんが足をくじいてあの巨体の足元にいたから、ですね?」
「ほう。」
あれこれ許してくれなさそうな気がする。
「瓦礫挟み込んで破壊されたの近くの皆さん見てて逃げて行っちゃいましたし」
「ほう。」
この直近と同じ返事って怖いですよね。
「これどうにかできるの近くに私しかいないかなぁ!って思いました!」
はぁ、と消太さんがため息をついた。失礼では。
「正直、個性制御の練習のさせ方がわからなくて特に何もやらせなかったことを後悔している。」
「まぁそもそも個性じゃないですしね。」
混ぜ返してみた。
「だからこそ俺たちはお前のその魔法に重量制限があることも知らなかったわけだ。」
「誰にも言ってないですしね。」
わたしの混ぜ返しは見事に亡き者にされてしまった。
「全部の手の内晒せとは言わないが、もう少し教えろ。訓練方法を考えたい。」
眉間による皺を伸ばすみたいに手を当てる消太さんが言葉を続ける。
「ええと、私の
たとえば、地上100回建てのビルから飛び降りる事になったとして、衝撃を緩和する幕のようなものを多層に出して落ちる衝撃を緩和することはできるけど、そのまま直でトランポリンのようなものを作っても衝撃が強すぎて跳ね返してくれないよね。と私が思ってしまうと、前者は叶うけど、後者だと不発になります。
と、わかりにくいような説明を図解にする。
「なるほど、基本的に個人の想像力によって可能不可能が変わるってことか。」
「まぁおおよそは。例外としてこの間の
いくら筋肉だるまのような人間であっても3tトラックは持ち上がらないのだ。
ただし、と続ける。
「対象との距離が近づけばキャパシティの上限も少し上がります。逆に離れれば、力も小さく、精度も下がる傾向にあります。10メートル先だと針に糸は通せないですね。」
「いや十分だと思うが。」
消太さん、針に糸通すの下手そうだもんなぁ…
「うーんそれくらいですかね。」
「なるほど、キャパシティっていうのは鍛えれば上がるものか?」
「微妙かもしれないです。結構頑張った結果のこれなので。」
いうても想像力だって鍛えるって言っても何するのって感じするし。
「だから徒手空拳か?」
「はい。」
「…そうか。」
わかった。と消太さんは呟いた。
「色々考えてみるから。とりあえず今日は寝ろ。疲れたろ。」
「ん、そうします。」
ふわりとあくびが漏れて、そのあと程なくして眠りについた。
なんだかんだ2人で食卓を囲んで、洗い物を2人で片付けるそんな時間が好きになってきている弓月でした。