サブタイトルは色々考え中ですので後々変えることになるかなと思っております。
このままだと迷い込み続けてしまうので………
「
というミッドナイトさんの言葉に多分私は凄く間抜けな顔をしていたと思う。
「ない?行ったことがないとかではなく…ですか?」
神妙な面持ちでミッドナイトさんが頷いた。
もうここまできちゃうと実はドッキリかもしれないな。と思ったけれど、かの
彼の名誉のために弁解しておくが、彼はそんな頓知気なことをするタイプではないし、多分出来るだろうけどやらないと思う。
「ちなみにですが、〈協会〉だったり、
ネズミの校長先生とミッドナイトさんが否を唱える。
心当たりがない?喋って動いて紅茶を飲むネズミなんて、
ふと、瞬きをする寸前に見た男のことを思い出す。
あれ…?
頭の中の歯車が噛んだ。後ろからガツンと頭を殴られた気がした。最悪だ。
時を越えたとしても次元を越えたとしてもあの男の仕業なら不思議じゃない。
転生ものにありがちな言葉だななんて呑気に考えてたけど本当にそうなるとは思ってもいなかった。
『生まれ変わって別の世界に行くのが
いやにテンションの高い友人が昔披露してくれた知識を突然思い出す。彼女はどちらが好きだって言ってたっけ?
困惑と怒りとで突然血圧が上がってガンガンと痛む頭で多分これ〈アストラル〉には戻れないなとどこか冷静な私が算盤を弾いた。
「大丈夫かい?どこか痛むかな?」
気遣わしげなネズミの校長先生の声すら煩わしい。
「どうしたの?!」
慌てたようなミッドナイトさんの声すら目に刺さる。
「いままで見ていたものは、ここには、ない。」
もう一度くらい気を失ってしまいたい気分だった。
荒れた心に合わせるように
たとえば〈アストラル〉に帰れないとして、今ここで危ない人間だと思われたら個性社会なんて勝手のよくわからないところで野垂れ死ぬのではないかと噛み締めた唇からぷつりと流れた血液を視界に収めつつ考えた。
私にとって幸運なことにここは学校だと、ネズミの校長先生が言っていた。
学舎だというならば、聞いてみる価値はあるかもしれない。
ふと目を上げて、こう聞いた。
「すみません。私ってこの高校に入学できますかね?」
「僕も君にここに入学する気がないか聞こうと思っていたところだよ。」
校長先生は少し笑い声を滲ませてそう答えた。
─side相澤
半年先の入試についての会議をしていたら突然知らない少女が出現した。
降ってきたでも、落ちてきたでもない。出現した。
反射的に捕縛して少女を睨みつける。髪が逆立った。
少女は眉根を寄せて、俺を含めた周りの人間を見渡した。
その直後に、
「ところで君は一体誰なのかな?」
という校長の一言で卒倒した。失礼すぎやしないか。
「なんなんだそいつ…」
マイクの一言はその場の全員の総意だった。
この少女をどうするべきなのか、全員が考えあぐねていた。
「とりあえず、保健室に運んであげよう。尋問は目を覚ましてからゆっくりさせて貰えばいいのさ。」
校長の一言を皮切りにようやくその場の空気が動き出した。
いくらなんでも女の子だし、という理由でやたら重たいコートだけ脱がせてベッドに横たえた。
目が覚めるまでは、校長とミッドナイトが同席することになった。
いつでも個性を封じられるように保健室の扉の外には俺が待機する。
扉に遮られてくぐもった声が聞こえた。
扉の内側の会話が聞こえるようにインカムを耳に嵌める。
「個性ってなんですか?」
きょとんという言葉がぴったり合うような声色で発された質問に俺は耳を疑った。
この個性社会に?日本語を知らないわけじゃない。なら嫌でもオールマイトを筆頭としたヒーローの話は耳に入ってくるはずだ。
「
戸惑っている間に校長からの質問とはややずれているような、俺たちの頭を疑問で埋め尽くす自己紹介が投下された。
魔法使い派遣会社ってなんだ。そもそもその見た目じゃ成人してないだろう。名乗った弓月というのは苗字なのか名前なのかも判別し難い。全てにおいて意味がわからない。
頭が痛くなった。
「実演した方がいいならやりますよ。」
俺が頭を抱えている間に実際に魔法を使うことになっている。
実演ってなんだ。包丁でも売り込むのか?
先程の胡散臭すぎる自己紹介のせいで言葉の端々が胡散臭く聞こえる。
俺の仕事のタイミングだよな。と、眉根を寄せて扉のガラス窓から中を覗き見た。
浮いていた。
少女はただその場に浮いていた。
あとはこんなことも。と呟いた少女はその場からティーポットとティーカップを操作したらしい。
誰もその場から動いていないのに校長とミッドナイトの目の前には紅茶の入ったティーカップが置かれている。
紅茶の溢れていないティーカップを凝視している間に少女はベッドに腰かけ直していた。
「質問ばかりで申し訳ないのだけど、君は今いくつなのかな?」
「16です。」
…精々13、4歳にしか見えない。
小柄だからか、表情のせいなのか、ランドセルを背負ってる歳だと言われても納得のいく雰囲気の少女は16歳だという。
「じゃあどこからきたのかな?」
「住民票は東京都布留部市にありますよ。」
調べてください。と言わんばかりの抑揚と、聞き覚えのない地名が耳に当たる。
ミッドナイトが地名を調べているようだがヒットしていないようだ。
俺のスマホで調べても布留部市という地名は出てこない。
「疑うようで悪いんだけどね。布留部市なんて住所、東京にはないのよ。」
少女は鳩が豆鉄砲を食ったような表情をした。
スマホを閉じて言葉を発したミッドナイトはそれでも少女の心情に配慮したらしい。
そもそも布留部市なんて住所、
「ちなみにですが、〈協会〉だったり、
困り顔の少女はよくわからない単語を並べているが、校長もミッドナイトも首を横に振る。
何かに思い当たったような、苦々しいものを噛み込んだような表情切り替わった少女は二人の心配の声も耳に入らないようで、個性を漏らす。
止めなければ、少女を見つめて髪を逆立てる。
…止まらない?
ぎしぎしと悲鳴をあげるスプリングの音は止まなかった。
「イレイザー?!抹消は??!」
インカムからマイクの声が聞こえる。
「…やってるよ。」
扉の内側に聞こえないように小声で呟いた。
個性じゃないという言葉に少しだけ信憑性があるような気がした。
半信半疑が六信四疑に変わったあたりで
「すみません。私ってこの高校に入学できますかね?」
「僕も君にここに入学する気がないか聞こうと思っていたところだよ。」
校長が穏やかにそう答えた時に、少しだけ厄介ごとの気配がした。
妖精眼が一言だけ喋っておりますが、しばらく出番はありません。
弓月ちゃんのいい名前が見つからなさすぎて下の名前ということにしてしまいました。