魔法使い、ヒーローになります!   作:ysrm

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お気に入り、感想、評価ありがとうございます。
入れていただいていたご評価がふとした時に下がっているのをみるとやっぱり至らないのだなぁと思います。まぁ、よくお読みいただいてるってことですね。ありがたいです。

それにしても文字、難しいですね…


魔法使い、反省会に参加しました。

講評が終わったところでオールマイト先生は慌てたように緑谷くんの元へ向かったようだ。

 

気が抜けてぐでっとした私のもとに三奈ちゃんと上鳴くんが駆け寄ってきた。

「弓月…!大丈夫?!怪我してない、ように見えるけど大丈夫!?」

「擦りむいただけですよ。三奈ちゃん。」

あわあわと私の周りを回る三奈ちゃんを見てつい癒される。

 

「うわぁよかった。相澤骨折れてなさそうじゃん…」

「上鳴くんと三奈ちゃんのおかげで擦り傷以外はありませんよ。」

よがっだぁと濁音混じりの声を上げながらしゃがみ込むは上鳴くんにお陰様でと伝えた。

 

「相澤、存外強かな戦いをするのだな。」

「それ、褒めていただいてると思って大丈夫ですか?ご挨拶遅れました。相澤弓月です。」

名前だけ返してくれた鳥のような頭の彼は常闇踏陰くんというらしい。

 

「正直あそこまでオールマイトと戦ってるの見ると、色々考えなきゃならねえこともあるんだなって思ったぜ…」

と、大柄なプロレスラー体型の子に話しかけられる。

 

「順番も最後でしたしね。考える時間だけはいっぱいあったのでそれなりのことしないとと思って頑張りました。結局実戦では役に立たないようなものばかりでしたが。私、相澤弓月です。よろしくお願いします。」

 

「お、おお。俺は砂藤力道。よろしくな。それでこっちが口田甲司。」

砂藤くんの紹介を聞いて、目線を横に移す。

障子くんくらい大きい子が、背を丸めている。

 

「口田くん。よろしくね。相澤弓月です。」

無言でぺこぺこと腰を折る口田くんは個性の都合で話せないのだろうか?よく分からない。

 

「弓月ちゃん、あこがれが身を滅ぼすって、どういう意味かしら。」

けろ、と特徴的な口癖が聞こえた。

 

「そのまんまの意味ですよ。」

なんとなく後ろめたくて目を伏せた。

 

未来に希望を見る若い子たちに、醜悪な世界をわざわざ見せる必要はないとそう思っている。

 

「口が滑っただけなんです。気にしないでください。」

ごめんなさい。と両手を合わせた。

聞いても答えないと思ったのだろう。

梅雨ちゃんは諦めたように頭を小さく振った。

 

「ね、着替えましょ。汗でベタベタなのでちょっと気持ち悪いんです。」

そう言って梅雨ちゃんと三奈ちゃんの手を引いた。

 

「ウッヒョー汗でべたべただってよ!!!!」

「峰田黙れほんと」

血走った目でテンションを上げた紫の少年は、瀬呂くんに手刀を食らわされていた。

 

あれが峰田くんか……………。

 

「相澤ちゃん!これ、今度こそ返すね。」

更衣室で、ずいとマントが返される。

 

「あぁ、葉隠ちゃんは風邪とか大丈夫そうですか?」

マントを渡すために差し出されている手首を掴んで、少し体温を測る。

…本当はおでこがいいんだけど、今のところ熱がありそうかなさそうかだけ分かればいいし、おでこがどこかわからないので手首で妥協した。

 

おでこに手を当てようとして眼球に指が刺さったりするのは勘弁。

 

「熱自体はなさそうな気がしますけど、できれば今日はあったかくして寝てくださいね。」

「あ、う、うん。ありがとう。」

いいえ、と言いつつ制服に着替える。

 

喉が渇いてしまって、近くの自販機に寄り道をしてから教室に戻ったところで、切島くんに声をかけられた。

「相澤も一緒に反省会しねぇ?」

「反省会、ですか?」

 

「そうそう、やっぱ戦闘訓練だと他の人のアドバイス欲しくなっちゃうわけよ。」

という瀬呂くんの言葉を聞いてなるほど、と頷いた。

 

尾白くんも葉隠ちゃんも教室にいるのでおそらく残って反省会に参加するのだろう。

「ちょっと待ってもらってもいいですか?先始めてていいので。」

「ん、おう。全然いいぜ。」

「ありがとうございます。」

切島くんに少し遅れると伝えて職員室へ向かう。

 

 

こんこん、と相変わらず大きな扉をノックして横にスライドさせた。

 

「あれ?弓月ちゃん。どうしたの?」

ミッドナイトさんが声をかけてくれる。

 

「今日の訓練の反省会しようって話になったんですけど、ふたりくらい凍えちゃった子がいるのでブランケット2枚程あれば借りたいなぁと思って。」

あります?と聞いたところ、13号先生がすっと差し出してくれる。

 

「風邪引いちゃうと長引くから、気をつけてくださいね。」

「ありがとうございます。終わったらお返ししにきますね!」

ぱたぱたと職員室を出た。

 

職員室にあるブランケット、すごく肌触りが良くて私も結構お世話になっているので、ふたりが凍えているのを見てふと思い出したのだ。

 

からからと教室の扉を開いて目的のふたりに声をかける。

「尾白くん、葉隠ちゃん。念のためあったまっててください。」

きょと、と尾白くんの瞳がこちらを向く。

 

「そのためにどこか行ってたの?」

葉隠ちゃんの言葉に肯定を返す。

 

「はい。職員室のブランケットすごく気持ちいいんですよ。」

うわーありがとう!!と葉隠ちゃんがブランケットを纏う。

 

「お言葉に甘えようかな。」

と尾白くんもブランケットを私の腕から攫う。

うわほんとに手触りいいね。とつぶやく声に笑みを漏らしながら、すでに始まっていた討論会に耳を向ける。

 

あそこはあぁするべきだったんじゃねえの?

いやぁこうするしかなかったってと討論会というより言い訳の会になり始める教室をペットボトルの水を胃に流し込みながら眺める。

 

カラカラと扉が開く。

「おおー緑谷来た!お疲れ!」

みんなが緑谷くんを囲む。

ボロボロだったけど、彼は今日のMVPだろう。

 

「いやー何喋ってっかわかんなかったけど、暑かったぜおめえ!」

切島くんが拳を握る。

 

「入試2位の爆豪と互角に渡り合うなんてな!」

瀬呂くんも興奮気味だ。

 

「よく避けたよ!」

と三奈ちゃんも胸前で拳をキュッと握る。

 

「1戦目であんなのやられたら俺らも力入っちまったぜ!」

と砂藤くんも興奮気味だ。

 

「エレガントには程遠かったけ「よく避けたよ!!!!」

青山くんの謎の苦言を三奈ちゃんがさらっと遮った。

 

「え、ええ?えっ?」

緑谷くんは、ネコに囲まれたネズミみたいにキョロキョロしている。

 

「俺は切島鋭児郎。今みんなで訓練の反省会してたんだ。」

「俺、瀬呂範太。」

「僕は青山「私芦戸三奈!よく避けたよーー!」

「蛙吹梅雨よ。梅雨ちゃんと呼んで。」

「俺、砂藤!」

永遠に挨拶させてもらえない青山くんを見てきらきらしい彼は案外いじられるタイプなんだなぁと思う。

 

「あ、あの…その…」

 

「おいらは峰田!」

「どっから出てくんだよおめえ。」

峰田くんに突進された切島くんは呆れ気味に聞く。

いくら峰田くんが小柄とはいえ、小揺るぎもしない切島くんの体幹が強くてびっくりした。

 

「僕は青山優雅。キラメキの止まらない男だよ!」

 

「お前の演習、酷かったなぁ。」

と砂藤くんが同情気味に言う。

またもスルーされる青山くんに少し同情の気持ちが湧いた。

かわいそう…

 

「騒々しい…」

「同意ですが、青春って感じがしますね。」

かくいうわたしは常闇くんの隣でのんびりとしていた。

煎茶でも飲みたいなぁ。

 

「常闇くん!机は腰かけじゃないぞ。今すぐやめよう!」

飯田くんは、机の製作者に並々ならぬ思いがあるらしい。

ビシと揃えられた五指を見ると飯田くんだなって感じがする。

 

最初はこの気迫が怖かったのに、たった2日で慣れたものだなぁ、と自分の適応能力に舌を巻く。

 

「いいじゃんそのくらい。」

「なぬ?!?!」

耳郎ちゃんの軽い一言に驚愕する飯田くん。

もう何するにも全力だな、彼。

 

「てかなに、その手。」

みんな思ってたことをさらっと聞く人って切島くんだと思ってたけど尾白くんもそうだったとは。

 

「き、君たち。偉大な先輩たちが使用してきた机を蔑ろにする行為を看過することは出来ない!」

ぴし、ぴし、と揃ったままの指先を肘から縦に振る飯田くんを見る。

楽しい人だな。飯田くん。

 

「騒々しい…!」

「飯田くん、常闇くんも、どうどう。」

落ち着いてーと緩く飯田くんの暴走を止めつつ、常闇くんの怒りを鎮めようと目論む。

 

がらがらとまた教室の扉が開いて、麗日ちゃんと上鳴くんが姿を現す。

 

「なぁ、麗日今度飯行かね?何好きなん?」

「お餅…あ!」

麗日ちゃんは緑谷くんに気がついてぱたぱたと駆け出す。

上鳴くんのナンパは失敗したみたいだ。

 

麗日ちゃんはお餅が好きなのか、と心の中にメモを取る。

 

「あれ、デクくん。怪我治して貰えなかったの?!」

「あぁ、いや、これは僕の体力のアレで。」

 

「あの、麗日さん。それより、かっちゃんは?」

「みんな停めたんだけどさっき黙って帰っちゃったよ。」

その言葉を聞いた緑谷くんは、教室からバタバタと走り去って行った。

 

「相澤さん。体力のあれってなんやと思う?」

「リカバリーガールの治癒はね、体力と引替えに治癒力を活性化させるっていうものだから、重症な時に全部治癒させると逆に死んじゃうんですよ。」

「逆に死んでまう?!」

 

「そうそう、私もこれ以上無茶なトレーニングして怪我するなら逆にすごく治してやろうかって脅されたことありますし。」

わはは、怖かったなぁと遠くに眼差しを向ける。

 

「そ、そんな脅し方あるんやね。」

麗日ちゃんは少し引いたようで、窓の外を見に行った。

 

「というか、相澤って結構先生方と仲いいよな。」

切島くん。

 

「ちょっとした事情がありまして、入学前の半年間はここに通ってましたからね。今年から赴任のオールマイト先生以外はおおよそ顔見知りです。」

 

「じゃあテストの内容とか相澤に聞けば教えてもらえちゃったりする???」

「しないですね。」

しないんかーい!とお笑い芸人さながらのツッコミの素振りする上鳴くんに面白い子だなぁと思う。

 

ぐうとお腹の虫が鳴いた気がした。




一応、一応面通しが終わりました。
爆豪くんは喧嘩しちゃったので自己紹介はしていませんし、口田くんはこの時点で喋ってくれる気がしません。あと峰田くんはなんか、遠くからこんなやつなんだな…っていう理解の時間が必要かなと思っているため、ふんわりと面識を作りました。

明日、書きあがればハンバーガーを食べにいく小話を上げたいです。
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