魔法使い、ヒーローになります!   作:ysrm

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お気に入り、評価、感想、ここすきありがとうございます。
拘ってないとは言いつつ、上がると嬉しい評価です。
そして初めてお二人からここすきをいただいてそれも嬉しく思っております。


USJ編
魔法使い、初めての救助訓練に向かいました。


とある日のヒーロー基礎学の時間。

 

「今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイトそしてもうひとりの3人体制で見ることになった。」

教壇に立った消太さんはそう言った。

 

なった。とは少し気になる言い草だなぁと思いつつ話を聞く。

 

「はい!何するんですか?」

と瀬呂くんが手を上げた。珍しい。

 

消太さんはぴしりと「Rescue」と書かれたカードを私たちに突きつけてからこう言った。

 

「災害水難なんでもござれのレスキュー訓練だ。」

救助訓練って確かにやったことないなぁ。

 

「レスキュー、今回も大変そうだな。」

「ねぇ。」

上鳴くんは三奈ちゃんに同意を求めた。

 

「バカお前、これこそヒーローの本分だぜ。鳴るぜ腕が!」

と切島くん。

 

「水難なら私の独壇場。けろけろ。」

と梅雨ちゃんも意気込みをあらわにした。

 

「おいまだ途中だ。」

あ、とみんなが消太さんに注目し直す。

 

「今回コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。」

と言いながら消太さんは、コスチュームが仕舞われている壁を開く。

 

「訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗って行く。以上、準備開始。」

消太さんは踵を返した。

 

みんながそれぞれ準備を始める。

カバンを持った人も、体育着を持った人も皆合わせて更衣室へ向かう。

 

私も一度持ち帰っていたホルスターとカバンを握って更衣室に向かった。

 

 

「あれ、弓月今日はそっち(スカートじゃない)なんだ?」

「救助なら動きやすい方がいいかなと思いまして。」

スカートも似合うけどパンツもすらっとしてかっこいいねえ!と三奈ちゃんが私の肩を叩く。

 

「本当ですわね。コスチュームで雰囲気も随分と変わられるんですね。」

まじまじと色々な角度から見られてドギマギしてしまう。

 

「というか、背、すっごい高く見えるんやね。身長おんなじくらいよね。」

と麗日ちゃんが少し背伸びをして見せる。

 

「ブーツのヒールが意外とあるからですかね?」

自分だとよくわからなくて鏡を見る。

 

上半身の服の合わせ目がなぜかチャイナスタイルで着るのに少し手間取ったパンツスタイルのコスチュームが鏡に映る。

 

基調となる色は変わらずに紺色と金。

チャイナスタイルの合わせ目が金のパイピングで縁取られていてなんだか豪華に見える。高くないのかな。これ。

 

パンツはストレッチのよく効く素材でできていて、特に動くのに支障はなさそうだ。

確認のために少し足を曲げ伸ばしする。

 

パンツの横にも金のパイピングが施されていて、もしかしてこれのせいで背が高く見えているのでは?と考える。

 

珍しい位置にあるベルトループにそれぞれスカートタイプを着用した際に荷物を詰め直して持ってきてあったホルスターを通してパチンと留め金を掛けた。

 

帽子とマントはスカートスタイルだけだったようでひらりとはためくもののないコスチュームは身軽に感じた。

 

ブーツについてはホルスター同様同じもので、という説明があったので移動する前に詰めた同じブーツを履く。

 

スカートよりパンツのほうが楽だな…

いやメディア受けはやっぱりスカートなんだろうけど。

可愛いし。

 

帽子がないので高めの位置で髪を一つにくくった。

 

「あ、忘れてた。」

念の為にブレザーに入れてあったネックレスを首に掛け、指輪を2本、指に嵌めた。

 

「弓月ー?置いてっちゃうよ?」

「今行きます!待ってくださいー!」

三奈ちゃんの声で慌ててロッカーの鍵を閉めて、更衣室を出た。

 

 

「あれ、デクくん体操服だ。コスチュームは?」

とグラウンドに出たところで麗日ちゃんが緑谷くんに聞いた。

 

「あぁ、戦闘訓練でボロボロになっちゃったから、サポート会社の修復待ちなんだ。」

…本当に爆豪くん。迷惑なやつだな…。

 

ぴーーー!とホイッスルの音が鳴り響く。

「1-A集合!バスの席順でスムーズに行くよう番号順に2列で並ぼう。」

そう言って飯田くんはぴぴ、ぴぴ!とホイッスルを鳴らす。

 

はりきりすぎでは?と思いつつ、それほど委員長になれたのが嬉しいのかと思い、微笑ましさを感じた。

 

「飯田くん、フルスロットル…」

飯田くんのテンションについていけず、みんなは呆然としていた。

 

「くそ、こういったタイプだったか…!」

飯田くんの野望はバスに乗ったその瞬間に砕けた。

そもそも彼の思い描いていた左右2列のバス座席ではなかったのだ。

 

後方は彼の予想通りの座席が取り付けられていたけど、前方には4人席のロングシートが設置されていた。

 

進行方向を向いていないと乗り物酔いしてしまうので、と飯田くんに断りをロングシートは遠慮させてもらった。

 

「意味なかったねー!」

席について項垂れた彼に三奈ちゃんはとどめを刺しに行った。

 

「お隣いいですか?」

と声をかけて、轟くんの隣の席に座らせてもらう。

返事が返って来なかったが嫌だとも言われなかったのでいいだろう。多分。

 

「私、思ったことをなんでも言っちゃうの。緑谷ちゃん。」

梅雨ちゃんは隣に座った緑谷くんに話を振る。

 

「なっ…は、はい蛙吹さん。」

「梅雨ちゃんと呼んで。」

梅雨ちゃんは自分の苗字が好きではないのだろうか?

 

「う、うん。」

「あなたの個性、オールマイトに似てる。」

「えっ?!そ、そうかな?!いやでも、あの、僕は…えっと、その…」

梅雨ちゃんの突拍子もない言葉に見るからに焦る緑谷くん。

 

「待てよ梅雨ちゃん。オールマイトは怪我しねえぞ。似て非なるあれだぜ。」

と切島くん。

ところで切島くんのコスチューム、目の毒なのでどうにかして仕舞ってほしい。目のやり場に困る。

尾白くんといい、葉隠ちゃんと言いどうしてこう…露出が多いの…?

 

「しっかし増強型のシンプルな個性はいいな。派手でできることが多い。」

そう言いながら切島くんは左手を伸ばす。

 

「俺の硬化は対人じゃ強ぇけどいかんせん地味なんだよなぁ。」

と、肘から先を硬化してみせる切島くん。

 

「僕はすごくかっこいいと思うよ。プロにも十分通用する個性だよ!」

と緑谷くんは目をキラキラと輝かせる。

 

「プロなぁ、しかしやっぱヒーローも人気商売みてえなとこあるぜ?」

と切島くんは諦め気味の表情で語る。

 

「僕のネビルレーザーは派手さも強さもプロ並み。」

と両手を頬に添えた青山くんが口を開く。

 

「でもおなか壊しちゃうのはよくないね。」

と三奈ちゃんが青山くんの肩に手を置いた。

 

「まぁ、派手で強えっつったらやっぱ轟と爆豪だな。」

「ん…?ケッ。」

切島くんからの言葉にそっぽを向く爆豪くん。

隣の耳郎ちゃんはスマホに耳先を挿して何かを聞いているようだった。

 

「爆豪ちゃんはキレてばかりだから、人気でなさそう。」

「んだとコラ!出すわ!」

「ほらね。」

キレてばかりを見事に体現する爆豪くん、すごい。

 

「この付き合いの浅さですでにクソを下水で煮込んだような性格って認識されてるのすげえよ。」

上鳴くんはそう言いながら爆豪くんに指を向ける。

 

「てめえのボキャブラリーはなんだコラ殺すぞ!」

もはやバスの座席から立ち上がってギャンギャンと喚く爆豪くんの襟元を後ろから引いた。

 

「んだてめえ!」

「バスの走行中に座席から立ち上がるの、危ないんですよ?いきなりブレーキかかったら爆豪くんが投げ飛ばされて、着地地点に誰かいたらその人の首がご臨終しちゃいます。というか慣性の法則的に轟くんか私が。」

爆豪くんの装備、重たそうだし私の上に落ちてきたら間違いなく私が敗北する。

そんなくだらない理由でお陀仏なんてごめんだ。

 

「爆豪くん、粗暴な口の利き方をやめたまえと何度言えば。」

「うるせえなこの委員長が!」

入学初日から恒例となりかけている飯田くんと爆豪くんの言い合いを眺める。

ううむうるさい。

 

「そういえば相澤の個性もなかなか派手だよな。空飛べちまうもん。」

「私実技試験のとき空飛ぶ弓月に抱えてもらったもんねぇ。」

どうして少し自慢げなの三奈ちゃん。

 

「あれもなかなか難儀なものですよ。結局自分の体は柔らかい肉のままなのであまり早く飛ばせもしないですし。羨ましいです、硬化。」

そうかぁ?と切島くん。

 

「切島くんに抱え込んでいただいて私ごと射出すればいい感じに私無傷でぶっ飛べたりします?」

「それ硬化した俺に触れてる相澤が無傷じゃねぇからな多分。」

閃いたと思ったのに…。

 

「残念そうな顔すんなよ…今度試すだけ試してみるか?」

「え!ありがとうございます!」

ぼろぼろになったらリカバリーガールのところまでちゃんと行くんだぞ!と言われたので大人しく頷いた。

 

「低俗な会話ですこと。」

「でもこう言うの好きだ、わたし。」

ガヤガヤとする車内に眉を顰めて口元に手を置いた八百万ちゃんの言葉に楽しそうに返す麗日ちゃん。

 

女の子、かわいい。癒される。

爆豪くんももう少し可愛くなってくれればいいのになぁ。

 

「もう着くぞ。いい加減にしとけ。」

と消太さんが口を開いて、バスの中は静かになる。

 

いよいよ、救助訓練。

私は密かに拳を握った。

 

うなじを撫でる嫌な気配は、気のせいということにして黙殺した。




USJ編始まりました。
ここから先1話がめちゃめちゃ長かったり(6000字くらい)短かったり(2500字くらい)すると思いますが、許してください。切りどころが難しいんです………

結構本格的に長いことになりそうですが、お付き合いいただきたいです。
よろしくお願いします。
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