すっごいお気に入り増えててびっくりしています。
「常闇くん!」
「上鳴!」
いつのまにか少しアホになりかけている上鳴くんにめがけて
「うぇ?」
それを迎撃するように放電が弾け飛んだ。
常闇くんの舌打ちが聞こえた気がした。
「くそデク!!!」
氷壁の間を縫うように爆豪くんが飛び出していく。
「っ!上がります!」
「相澤!大丈夫なの?」
爆豪くんの飛び上がりに若干の恐怖を覚えて高度を上げる。
心操くんの質問の意図が分からなくて大丈夫ですよとだけ答える。
「麗日さん!」
「おっしゃぁあ!」
麗日ちゃんが最後の力と言わんばかりに気合を入れる。
「…っう!」
「八百万!」
飯田くんはエンストを起こしたようで、マフラーはため息のような排気を出して、止まった。
ヤオモモちゃんが長い棒のようなものを創造して轟くんに渡す。
「1000万が?!ん?!半分野郎!」
1000万の鉢巻を狙って飛んできたのだろう。
爆豪くんは爆破で自分の進行方向をずらして、今1000万を首にかける轟くんの元へ向かう。
轟くんの手にある長い棒は、氷結でぴしぴしと凍りついていく。
「ううう!」
緑谷くんも轟くんに向けて腕を伸ばす。
「タイムアップ!!!!!!!第2種目騎馬戦終了!」
マイクさんの声で爆豪くんが墜落した。
「うう、くそっ!」
緑谷くんは悔しそうに拳を握りしめる。
「ううっ…くっ!」
「爆豪。」
「平気か?お前。」
瀬呂くんと切島くんの声を聞いているのかいないのか爆豪くんはだんだんと地面を拳で叩く。
「…くそっ。」
騎馬から降りた轟くんも悔しげだ。
「…下ろしますね。多分降りたとき、若干ふらつくと思います。ゆっくり地面に慣れてください。」
「ジェットコースターに乗った後みたいなイメージかい?」
庄田くんの言葉にそうですと頷いて、3人を下ろす。
尾白くんがバランスを崩して尻餅をついた。
「あぁ、確かに。若干。」
「じゃ、若干?」
すてんと転んだ尾白くんは心操くんの言葉に信じられないような顔をしている。
「尾白くんは、いちばん無理してもらったので多分影響が大きいんですね。目はまわってないですか?頭は痛くないですか?」
「うん、大丈夫。ずっと持ち上げられてたからかな?人生で初めて尻尾が重く感じる…。」
たははと後頭部を掻く尾白くんを見て、無理もないなと思う。
彼1人に負担が集中していたのは紛れもなく私の未熟だ。
「いやぁ…申し訳ないです…。」
「大丈夫、俺が
尾白くんは目の前でしゅんとするけど、多分この面子で私が
…爆豪くんの突貫を止められたかもしれないかなくらい?
「落ち着きました?」
「うん。ありがとう。」
尾白くんの背中を擦りながら少し待って、
ぱしりと手を握って彼の体をぐいと引き上げる。
「んじゃあ早速上位4チーム。見てみようか!」
マイクさんの言葉を聞いてつい放送席に目を向ける。
「1位、轟チーム!」
「ふぅ、勝ちはしましたけど薄氷を踏む思いでしたわ。」
「すまない。俺のせいで迷惑をかけた。」
ため息をつくヤオモモちゃんの言葉を受けて飯田くんが拳を握る。
「そ、そんなこと!飯田さんがいなければわたしたちの勝利はなかったですわ!」
ヤオモモちゃんがフォローに回る。
上鳴くんは放電のしすぎでアホになってしまったようで、うぇい…うぇい…と呟いて徘徊している。
「2位、やっぱ空中にとどまれるやつは有利すぎるな。相澤チーム!」
「まさか俺たちが2位とはねぇ。」
「いやもうすっごく頑張りましたもん。」
こめかみを伝う汗を手首で拭いながら尾白くんに答える。
有利と言われても、なんだかあまり有利感もなかった気がする。
爆豪くん飛んでたし、緑谷くんたちも飛んでたし。
「3位、爆豪チーム。」
「あぁーもうちょっとだったのにーー!」
「まぁ、3位なら上々だって。結果オーライ。」
三奈ちゃんが残念そうに腕をふらふらと振る。
にっと笑う瀬呂くんを見た切島くんが、爆豪くんに視線を移す。
「そんなこと思うかよあいつが。」
「うぅ…だぁああ!」
地面には悔しげに震える爆豪くんがあぐらをかいていた。
「よいしょ。」
「デクくん?」
サポート科の子が緑谷くんの背のバックパックを外しているところに、麗日ちゃんが声をかける。
「あの、ごめん本当に…。」
「ん?あは。」
「ん?はぁ…。」
緑谷くんの謝罪を聞いたふたりは電光掲示板を指差す。
「お前の初撃から轟は明らかな動揺を見せた。1000万を取るのが本意だったろうが…そううまくはいかないな。」
常闇くんの言葉に合わせるように
「は…ぁ!」
「それでも1本。警戒が薄くなっていた頭の方をいただいておいた。緑谷、お前が追い込み生み出した轟の隙だ。」
「4位、緑谷チーム!」
その声を聞いた緑谷くんは滝のように涙を流す。
「…あれ、枯れちゃわないんですかね?」
「大丈夫なんじゃないかな?」
尾白くんが言うなら大丈夫と言うことにしようと思った。
少し心配だから後でお水くらい差し入れよう。
「以上の4組が最終種目へ進出だ!」
マイクさんの言葉に胸を撫で下ろした。
尾白くん、心操くん、庄田くんを落とさずに済んだ。
緊張の糸が解けて、私の足はたたらを踏んだ。
「相澤。大丈夫?」
「平気ですよ。」
心操くんが背中を支えてくれた。
余力を持って私を支えるその腕に、華奢とは言えやっぱり男の子なんだなぁと思う。
「みなさん。騎馬戦、たのしかったですね!」
「次は敵同士だけどね。」
心操くんがそっぽを向く。
「また、共闘できるときを楽しみにしているよ。」
「相見えるじゃなくていいんですか?」
できれば女の子とは戦いたくない。と首を横に振る庄田くんを見送る。
「尾白くんとも、次は戦ってみたいですね。」
「それは俺が吹っ切れてからがいいなぁ。」
僅かに影を落とした表情で言う尾白くんをみて、やはりUSJの件はあそこまでやるべきではなかったのだろうと思う。
でもきっと、またあの場に居合わせたら同じようなことをやってしまうとも、思った。
「いけねぇ。これじゃ、親父の思う通りじゃねえか。」
そう呟いた轟くんの意図は私には図りかねた。
ところで轟くんのお父さんのエンデヴァーさん。
観客席の通路とは言え、煌々と炎を出し続けているのはどういう意図なのだろうか?
眩しくて鬱陶しい。
「それじゃ、1時間ほど昼休憩挟んでから午後の部だぜ。じゃあな!」
マイクさんの言葉で観客席の人たちはスタジアムから出ていった。
「おいイレイザー。飯いこうぜ。」
「寝る…。」
うっそでしょ消太さん。
「悔しいわぁ。三奈ちゃん。おめでとう。」
「うーん爆豪、轟の氷対策で私のこと入れてくれただけで実力に見合ってんのかわかんないよ。」
「飯田くん!あんな超必持ってたのずるいよ!」
「ズルとはなんだ。あれはただの誤った使用法だ!」
走る真似のように腕を振る麗日ちゃんに飯田くんが反論する。
うえーいとまだアホになったままの上鳴くんがグッドサインを掲げている。
「どうにも緑谷くんとは張り合いたくてな。」
「男のアレだなぁー!て言うかその緑谷くん、デクくんはどこだ?」
麗日ちゃんがそう呟いたのを聞いて、のんびりと校門近くの屋台に思いを馳せた。
お腹が空いた。美味しいものはあるだろうか。
ようやっと騎馬戦が終わりました。