魔法使い、ヒーローになります!   作:ysrm

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ミッドナイトさんとお買い物編です。


魔法使い、ミッドナイトさんとデートをしました。

土曜日の朝、アラームの音と同時に瞼を持ち上げる。

 

今日は、ミッドナイトさんとのお買い物の日だ。

 

普段よりうきうきとした気持ちで朝ごはんを食べた。

いつもより少し丁寧に髪を梳かして、ミッドナイトさんが初日にくれたお洋服から少し華やかなものを選ぶ。

 

消太さんからは、欲しいものがあれば買え。と諭吉さんを3人手渡された。

 

慌てて返そうと思ったけど、手持ちのお金なんてないし、おとなしく借りて、今度返そう。

 

「いってきます!」

ここにきてから消太さん以外と出かけるの初めてで、つい心が踊ってしまう。

 

エレベーターで下まで降りる。

上がる心を表すみたいに靴先が踊った。

 

ふふ。

 

外に出るとパンツスタイルで車の前に立っている女性を見つけて駆け寄る。

鬼のようにスタイルがいい。

 

「弓月ちゃん、おはよう。」

「おはようございます!」

助手席に促されて、座ると、ドリンクホルダーにミルクティーが刺さっている。

 

「ミルクティー苦手じゃない?ダメだったらストレートティーもあるわよ。」

と運転席側のドリンクホルダーから同じカップを持ち上げる。

ミッドナイトさん、ここに来る前に買ってきてくれたんだなぁと思って嬉しくなった。

 

「お酒さえ入ってなければ、なんでも好きです!」

紙製のストローから一口飲むとミルクの甘みが口に広がった。

換気のために開いた窓から吹く風が爽やかで空から照る太陽が眩しかった。

 

とりあえず服からね。と言いながらショッピングモールに入って行くミッドナイトさんはすごく絵になる。

 

こう、なんて言うんだろう。ハイヒールがよく似合う。

私が履いたら多分子供の背伸びみたいになってしまうから羨ましいな。

「弓月ちゃん、これどうかしら?」

この間入れておいたトップスとも合うと思うんだけど…と呟きながらスカートを私に当てがう。

 

ミッドナイトさんのセンスに間違い無いなぁと思いながらおとなしく着せ替え人形になっていると、

 

「ううん、全部似合ってるわね。ちょっとこのコーディネートで着直して来て頂戴。」

一番しっくり来ると思ったコーディネートを着直すように言われ、着てから試着室を出る。

出たところの靴を履くように促される。

この靴、ヒールは低いのに足が綺麗に見える。

 

「このコーディネートは着て帰るわ。他の服と、着てきた服はこの住所に送っておいて。」

ぴ。とクレジットカードが切られる。

「え?」

 

こんなに服を一気に買ったことがないからいくらかまではわからないけど絶対それなりにするはずだ。申し訳なさすぎる。

 

「年下の女の子のトータルコーディネート組めるなんて新鮮で楽しいのよ。」

お姉さんにも見栄くらい張らせて頂戴。と微笑むミッドナイトさんに流されてしまった。

 

そこからもうこれ以上買ってもらうわけには!!!!!と抵抗する少女と買わせて頂戴!!!!!!!!!とクレジットカードを振り回す女性のセットの目撃情報がこのショッピングモールの各所で上がった。あれ、ミッドナイトじゃね?みたいな声も聞こえた。

 

…結局お洋服を何着買ってもらったのかわからない。

全部のお店で送って頂戴ってミッドナイトさんが言うものだから荷物持ちすらさせてもらえない。

 

「次は化粧品ね。」

化粧品こそは私、自分で買うぞ!と心の拳を握りしめてコスメコーナーに踏み入れる。

 

目につくのは色とりどりのファンデーション。

この世界は肌の色に個人差が大きいからファンデーションのカラーが多いんだなぁと思いながら緑だったり青だったりのファンデーションを手に取ってまじまじと見る。

 

薄づきのリキッドファンデーションの色を手の甲で見て、ちょうどいい色を手に取る。

粒子の細かそうなパウダーと一緒にカゴに入れてから、

 

「あの、ミッドナイトさん。」

「なぁに?」

「色物、見てもらいたいです。」

ミッドナイトさんが嬉しそうな顔をする。可愛い。

 

結局楽しそうにあれこれ選んだミッドナイトさんは私のカゴをするりと抜き取ってまたもやクレジットカードでお会計を終わらせてしまった。

 

「流石に、奢っていただきすぎている気がします…!」

唇を尖らせて訴える私をニコニコと見つめるミッドナイトさん。

 

目の前にパンケーキのお店がある。これくらいはさせてもらおう。

「ミッドナイトさん、お腹空きましたよね?」

にっこりと微笑んだ。

 

ランチ系のパンケーキを二人で選んで半分ずつシェアする。

先払いの代金は私が(消太さんのお金だけど)支払った。

 

ポケットにお釣りを全部流し込んだ私はこのあと鞄数点と財布を買ってもらうことになる。

 

「美味しいわね。」

「美味しいですね…こっちにきてから美味しいものしか食べてない気がします。」

 

ランチラッシュのご飯も美味しいしね。とパンケーキを頬張ったミッドナイトさんがにこりと笑った。

 

楽しいなぁ。

 

楽しい時間はすぐ終わるっていう定説は本当にその通りで、あっという間に夕暮れどきになってしまった。

 

私をマンションの駐車場に送り届けたミッドナイトさんはまた遊びましょうね!と言いながら走り去っていったのでそれを見送ってから家に入る。

 

「ただいま帰りました。」

「おかえり。」

ソファに腰掛けた消太さんが楽しかったか?と聞く。

 

「すっごく楽しかったです!消太さんも今度一緒にどうですか?」

消太さんは返事の代わりにすごく渋い顔をした。

 

ちなみにほとんど使わなかったので返そうとしたお小遣いは、

「たまには好きなもん買え。」

と言われて返させてもらえなかった。

 

 

 

そして後日、どっちゃりとお家に届いたお洋服の仕舞い込み作業でほぼ一日潰れることになるなんて思っていなかった。

 

服もさることながら、鞄と靴も相当にあって、玄関から部屋まで運ぶことすら一苦労だったので、消太さんにお手伝いしてもらった。

 

消太さん、嫌な顔するかなと思ったら普通にちょっと楽しそうだったから安心した。




あの世界だとファンデーションの色数すごく多いと思うんですよね。楽しそう。
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