【You got the Last Attack!!】
明滅する紫色のシステムメッセージ――すかさずタップする。
「く、くくぅ、……えへへ……」
遂にきた――きてしまった。
やはり私は持っているようだ。
カミサマ、ありがとうございます。感謝、感謝……とはいえ、このALOのカミサマは、あんまり、だけど。
「イヤー凄かったネー! ナイスファイトだヨー!」
「流石 <血盟騎士団の最終兵器> だな。見事な剣技だった――」
びくり、だ。
思いっきり浮かれていて気がつかなかった――シルフとケットシーの領主が近づいてくることに。
「あの、あなたが、その……」
全身が総毛立つ。すぐそばにシルフの娘が立っている、ようだ。
「あ、ぁぁぁ……くぅぅぅ……えと……えとえと……」
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
このままでは囲まれてしまう。そして、またいつものアレが始まってしまう。
「あ、ぁ……あのぉ~……あわわ」
危険。本当にこの状況は危険。
よりによっての 《ザ・フェイタルサイズ》 より、何倍も危険すぎる。
焦って、焦って、焦って、焦っては駄目だ。
動け――私。
「ぉ、お疲れ様でした。ありがとうございました。失礼いたしますぅ――」
瞬間、私は反転してボス部屋最奥を目指した。
大扉が開くなり、本日最高のダッシュ。
前だけを見てひたすらに駆ける。
「……」
質問攻め――いつも、そうだ。
このゲームに限って、ではない。
興味、関心、好奇心。
それが私にどれだけの恐怖を与えるか、ダメージをくらわせるのか、みんな分かっていない。
だから私は 《速さ》 を磨いた。
その結果、なんとか生き延びることが出来た。
あのゲーム、あの世界を……偉いぞ、私。
「おっつ、ソラっチ!」
いきなりの声に身がすくむ。
硬まってしまった私の肩をポンと叩くと、
「プルプル震えちゃって、怖かったのカナ? にゃーハハハ――!」
――ずっと見ていたのか。この情報屋。でも、流石、情報屋。
「さーて、急ぐゾ――」
とてつもない速さで駆ける情報屋の背中を追う。
あのゲームで――ただひとり速さで敵わなかったプレイヤー。
情報屋のアルゴ――
いつもこの調子だけど……いつだってからかわれてばかりだけど……
私の唯一の友達。いや、私だけ、かもしれないけれど。
「ま、まって……まちな、アルゴ!」
「遅くなったなー、ソラっチ。アッチに戻って太ったんじゃないのカ?」
あー、言った。言っちゃったね。言いました。
はい、やろう。追いついたら、やってしまおう。
私はウインドウをタップした。
《エリュシデータ》 の試し斬りには申し分ない相手。
胸が高まる、高まる。
「さよなら、アルゴちゃん……えへへへ……ふふふ……」