《央都アルン》
九種族会議を終えて、シルフ族の仮拠点へ戻ったサクヤは開口一番、
「まずは、三日後に決まった――」
領主の帰還を待ち続けていた者達はその言葉に息を呑んだ。
「総指揮官はサラマンダー領主・モーティマー。だが、戦闘指揮は私が務める――」
喜びと興奮の歓声、そして安堵の溜息。
「ボス戦は九種族の領主推薦者、そこにSAOギルドのプレイヤーを交えた現在考えられる最大戦力のレイドで挑むことになる――」
サクヤはリーファの目を真っ直ぐに見つめた。
「よろしく頼む」
リーファは緊張した面持ちで大きく頷く。
「うん。まかせて!」
サクヤは微笑み小さく頷くと、視線を皆に向けた。
「今回の九種族会議終了と同時に各種族が持つ情報、及び資金、装備、アイテムは共有される事になった。つまり、アルヴヘイムの全妖精総力を挙げて最終迷宮区を突破――その先の世界樹、 <グランド・クエスト> を攻略する――」
直後、割れんばかりの大歓声がアルンの街に響き渡る。
リーファの隣では感極まったレコンが涙を流していた。
おもむろにリーファの手を取り、
「僕、僕頑張るよ! リーファちゃん!」
「あっ、うん。っていうか、あんた、なにしてんの!」
素早く手を払いのけると腹部に強烈な一撃。
「ではリーファ、早速だが準備に取り掛かるとしよう」
サクヤが目で促した先をリーファは見る。
「誰……?」
扉の前にレプラコーン族らしき女性プレイヤーが立っていた。
女性はこちらに気付いたのか軽く会釈をする。
きょとんとして首を傾げるレコンを置いてふたりは彼女の方へ。
「お久しぶりです、サクヤさん。九種族会議お疲れ様でした。それでは早速ですけれど、今から彼女を先生の工房にお連れしても構いませんか?」
「ああ、問題無い。本当に急で申し訳ないのだが、よろしく頼む。先生にもよろしく伝えてくれ」
すっと頭を下げると、サクヤはリーファに向けてフフっと悪戯な笑みを見せた。
「頑張るのだぞ。いや、折角なのだから楽しんでこい。リーファ」
「えっ、えっ!? ちょっと、サクヤ――」
「リーファさん!!」
唐突に手首をぎゅっと掴まれ動転するリーファ。
「あっ、えっ? あのちょっと、一体何なんですか!?」
「さあ、行きましょう――!」
「ちょっ、ちょっと待ってください! どこに行くんですか――!?」
ぐんぐんと腕を引っ張られて仮拠点の外へ連れ出された。
「さあ、急ぎましょう。先生が工房でお待ちです――それにしても素晴らしいスタイルですね……うふふ。貴重な素材も使い放題だし、きっと先生の最高傑作が出来上がることでしょう。わくわくしますね!」
「……はい?」
この悪い予感、それは現実のものになるだろう――
リーファは、混乱したままで覚悟を決めた。