アンテナ(だけ)でダンジョンに行くのは、流石に間違っている。 作:クロジャ/時々シロジャ
初撃を当てることに成功、相手の攻撃を避け、安心したのも束の間。思ってたよりも遥かに速いことに不安を募らせる。
こちらは攻撃するのにも、強化するのにも、時間がかかるのにも関わらず、あちらは問答無用で攻撃してくる。ターン制でないということは、同時にアンテナの強みを一切活かせなくなることに等しい。
ゲームだからこそ通じていたことが、現実になってしまうと、圧倒的なこちら側の不利的状況。
実質アンテナふうじを喰らった状態の自分(ほぼ生身)vsレベル一程度のモンスター。勝ち目ないのでは?
「...!またきた!」
辛うじて目に見える速度。【いちごおばけ】の基本技、【ひっかく】が襲いかかる。もちろん、一回で終わるはずもなく、二回、三回と続けて繰り出してくる。
威力はそこまでないだろう。一撃ではやられないだうが、ただでは済まないだろう。そんな予感がする。
「攻撃する暇がない!勝てる勝てない以前に、戦いにならないんだが⁈」
先程与えた【ひのたま】も、決してダメージがないわけじゃないだろう。ゲーム的な考えていくと、二発くらい与えれば倒せるはずだ。
だがそれも現実世界で考えると、どうなのか。嫌な予想ばかり浮かび、倒す方法が一つ、また一つと無くなっていく。
体力がなくなれば、やられるのは目に見える。避けれているのも体力がまだ続いているからだし、限界がくれば、その瞬間爪が体を引き裂いていくだろう。
「こうなったら、一か八かっ!」
爪を振り下ろした瞬間を狙い、その一瞬に空いた隙間を縫うように、【いちごおばけ】の体をぶん殴る。いまある全力、【ちょっとつよくなれ】でほんの少し強化された拳を、相手にぶつける。
『〜〜!』
殴った衝撃で手が痛む。じんじんとした手をさすりながら、一メートル強、距離が開いたことに安堵する。それに、少し痛そうだ。ダメージもちょっとだけ入ってるっぽい。
でも、いまはそっちじゃなくて、もいっちょ!
「ひのたま」
なにもない空間に火が、火が....えと、火が.....
「出てこな、ってまたあぶなっ!」
不発に終わった自分の元へ、また変わらず襲いかかってくる【いちごおばけ】。【ひっかく】の応酬を避けながら、必死に頭を回して、理由を探る。
「(なんで発動しない?MPが足りなかった?いや、あと一発は打てたはずだ。再使用には時間がかかるのか?いや、【ちょっとつよくなれ】を使った後にステータス画面を見たことがあるが、特になにも出ていなかった。だが事実使えていない......書いていないだけで、連続で発動するには時間がかかるのか?あぁもう分からん!)」
地団駄を踏みたい気分だった。いけるかもと思った途端、原因不明で使えなくなる【ひのたま】。殺す気満々の爪を、少しずつ、でも確実になくなる体力と、ただ時間だけが過ぎる。
酸素が少ない。頭が回らない。沸騰したように体が熱い。なにか決めて、そう、きっかけでもいいからなにかーー
「ーーあっ」
石、足が、危な、爪、く、るーー
ざくり、と。
体の真ん中を綺麗に爪が裂く。
傷が深い。【すごくかたくなれ】を使っていたはずなのに。たかが、序盤に出てくる程度の敵。それがたったの一撃でこんな、こんな、あ、あ、あぁぁぁぁアアア‼︎
「ーーがっ、いっ...!ごはっ....ひゅっ.....」
口から血を大量に吐く。
痛い。
息が吸えない。
痛い。
意識が保てない。
痛い。
痛い。
や、ばい、これ本当に死んじゃ
「.................ちょ」
容赦なく振り下ろされる爪。
こっちのことなどお構いなしに、痛みに悶える自分など、欠片も気にせず、一撃が。
再び体の真ん中を、綺麗に、爪が裂いた。
誰と戦わせる?
-
アルファア
-
ザルド
-
その他
-
え、どっちも逝くの?死ぬぞ?作者が