アンテナ(だけ)でダンジョンに行くのは、流石に間違っている。 作:クロジャ/時々シロジャ
でもどうしようね、主人公くん、原作しか知らないよ。アルファアとかザルドとか、誰状態やよ。
臓器を削られた。血も大量に流れた。
もうまもなく死ぬだろう。自分の体だから、感覚的にわかるし、客観的に見てもそうだろう。ステータス画面を覗いてみたが、残りHPは3しか残っていなかった。この世界にいくら魔法があろうと、この状態から一気に回復することは不可能だろう。
【いちごおばけ】も倒したことを確信するかのように、攻撃を止め、立ち去ろうとこちらに背を向けている。食べられるとも思っていたが、あちら側の目的は倒すだけ、らしい。
向かっている先は、自分の村だ。きっと襲うのだろう。自分のように、一人一人殺すのだろう。この一匹によって、全てが終わってしまうのか。
だいたい連れてきたじゃないって。倒せるやつ持ってこいよ。強いわ、強すぎるって。これっぽちも歯が立たなかったんだが。第一、八歳児にやらせることじゃない。精神年齢は違うけど、肉体は紛うことなき八歳児。正直よくここまで持ったと思う。
理不尽の極み。死んだあとに会ったら、一発ぶん殴ってやる。
でもその前に、やることがある。
血を流したおかげで、文字通り血の気が抜けて、頭が冷静になった。回らなくもなったが、死の間際に思い出すことが出来た。最初からこっちにしとけばよかったと後悔しそうになるが、そもそもあっちの説明が足りなすぎるのが悪い。
もう一個、自分には攻撃手段がある。その存在をいま思い出した。
油断しきってる背中に、限界まで声を張り上げ、自分を奮い立たせ、最後の足掻きをする。これで倒せなかったら、じゃない。これで倒し切る。
「つむじかぜ!」
ひゅうと風が不自然に流れると、勢いよく加速して、【いちごおばけ】を襲う。何かを裂く音と共に、【いちごおばけ】が大きな叫び声を上げ、そのまま塵となって消えていった。
「ほん、とうに、あと一撃....だったのか....」
仰向けになって倒れる。げほげほと息、というか血を吐きながら、【いちごおばけ】が消滅したのを横目で確認し、目を閉じる。倒せたことに安堵しながら、命が尽きるその瞬間が、もう眼前にきているのを体感する。
【いちごおばけ】程度でここまで苦戦するのだ、【おばけホール】なら秒でやられるな、なんて失笑しながら思う。まさか、あの神もどきも、自分がここまで苦戦してしまうなんて、思わなかっただろう。もしくは、自分は実験台的存在だったのかもしれない。
もはや真相は分からずじまいだが、また死後に会えたら問い詰めてやろう。そう締めくくり、今度は両親へと思考が移動した瞬間。なにかがお腹に当たった。
パキンと、割れる音。ガラスとか、きっとその類。痛みはないが違和感はある。じわりと、体に浸透していく感覚。
気になって見てみたが、限界を迎えている体では首も上がらず、見れる範囲が狭い。目だけ動かしてみるが、特に何も情報を得られず、もやもやとしたのが残る。最後の最後で、一体なんなんだ。
誰かに瓶とかを投げつけられたか。ひょっとしたら緊急時だからと、ポーションを投げてくれたのかもしれない。それくらいの推測しかたたないが、ここはなにもない草がずーっと続く場所だ。人工物なんて誰かが、持ち出さない限りは出てこない。
「...........いや、そうだよ。なんでそんな音が鳴ったんだ?」
もし、先程言ったように、誰かが投げつけたのなら、少なくとも声か、気配。なにかしら投げた、それに準ずるなにかを起こした証拠が分かるはずだ。だって、ここはなにもない、草しかない場所なのだから。
それに、瓶だと仮定したが、そうだとしても何かがおかしい。人工物を誰かが持ち出し、それを気づかれないよう投げつけ、当たったのなら、少なくとも斜めに当たるはずだ。そして、そう当たるのなら、あるはずなのだ。破片が、割れる音がした原因たるなにかの破片が、どこかに落ちているはずだ。
だが現実は違う。斜めではなく、お腹に当たり、破片らしきものも動かせる範囲の腕では確認されない。なにかがおかしい。
だとしたら、上に投げて当てた?なんのために?それにだとしたら、尚更破片が飛び散るはずだ。高低差があるのだから。
最後にもう一つ、いま気づいた。少なくともさっきまではそんなことはなかった。明らかに瓶らしきものに関係がある。
感覚がある、てことは、お腹が元に戻ってる....?瓶らしきものの正体が、本当にポーションもしくはそれ以上のもので、それを誰かが投げてくれたってこと、なのか。
おそるおそると、体を起こしてみる。すると、数十秒前までは確かに動かなかった体が動いた。お腹を見てみると、何事もなかったかのように戻ってる。痛みもいつのまにか引いてる。無傷といっても過言じゃない。
どういうことだ。いや、本当にどういうことなんだ。
【いちごおばけ】を倒した報酬、特訓(本番)達成のお祝いとかか?なにか一つでも情報を得るために、普段は変化すらないステータス画面を確認してみる。神の恩恵云々がまた起きないよう、下の方も隅々まで見てみるとーーなんだこれ。
新しくステータス画面に、『図鑑』というのが追加されている。【いちごおばけ】を倒す前にはなかったので、倒した後に出てきたのは間違いない。
ステータス画面をタップし、図鑑を開く。そこには、No.1【いちごおばけ】と一つだけ記入してあった。
説明書きとか、弱点とか、習性とか、本当に図鑑に載っているような内容と、経験値に、ドロップ品。
なにかが頭の中で噛み合った音がした。
念の為、HPを確認すると、満タンになっていた。ということは、やはり、そういうことらしい。
あの時、【つむじかぜ】でとどめをさした。倒した後も、風はしばらく残っていた。だから、ひゅんひゅん上へと、飛ばされ、時間差で落ちてきた。
ドロップ品の『キズぐすり』、もしくは『キズぐすり+』が。
背中に落ちたのは上へと飛ばされたから。破片がないのは、使用されたアイテムは、どこかへと消えるから。そこはゲームと同じなのな。
有り得なそうだけど、それくらいしかなさそう。これだと噛み合ってくれる。これ以外だとちょっと思い浮かばない。
それにしても運が良かった、これに尽きる。後少し、ほんの少しでもずれていたら、ドロップしたキズぐすりは自分ではないとこに落ち、自分は死んでいただろう。多分。
多分と自信がないのは、死亡がHP=なのかもしれないという仮説が浮かんだからだ。キズぐすりはHPを回復するが、臓器まで回復する力はなかったはず。ということは、HPがなくなっていく=体が損傷、負傷していくことに繋がる、のかもしれない。詳しくは流石にこれだけじゃ分からない。
ひとまずは、だ。生き残ったことに感謝するとしよう。
まだ何か残ってないか、ゴールドがゲームだと必ず落ちるはずだから、こっちだとヴァリスか。それか、別のか何かが、落ちていたりしないか。生き残った途端にこれだから、人間案外しぶといものである。
命からがらだったのだ。まだなにかあってもバチは当たらないだろうと、【いちごおばけ】がいた周辺を探す。風で飛ばされた可能性もあるからだ。
「........これは、こんなの、【いちごおばけ】がドロップしたっけか.,..?」
光に反射していた物を発見。手に取ると、そこにあったのは、本来【いちごおばけ】がドロップしない物だった。
「鍵........?」
土曜日たくさん登校したい。日曜も。
なんかあったら、感想とかで教えてね。鵜呑みにはしないけど、それなりにがんばるから。
誰と戦わせる?
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アルファア
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ザルド
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その他
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え、どっちも逝くの?死ぬぞ?作者が