アンテナ(だけ)でダンジョンに行くのは、流石に間違っている。   作:クロジャ/時々シロジャ

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土日投稿できんかった。なんでさ


第六話 この世界のゴブリン〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉いちごおばけ

 「おやすみなさい」

 

 両親からの返答を耳にすると、寝床につき、ばたりとベッドに倒れる。自部屋が与えられているので、今回みたいな情報過多で、落ち着きたい時は助かる。どうしてもって時は、外に出て、誰もいない場所でごろごろと考え事するんだけど。

 

 片腕を持ち上げ、手に持っているの物をカチャカチャと遊ぶ。それがなにかと問われれば、一言鍵だと答える。なんのと問われたら、こっちが聞きたいと返すしかない。

 

 【いちごおばけ】を文字通り命懸けで倒し、なんとか生還。まだなにかないかもと探していたところに、なんだこれはと拾い上げた結果がコレ、この鍵。

 何の説明もなく、何であるかも分からず、ただ疑問だけが募り、その場は仕方なく、遅くなる前に家へと向かった。血飛沫のように飛んだ大量の血は、ゆっくりと、静かに、綺麗さっぱりと無くなっていた。貧血になるだろうたら思っていたが、血も回復するのか、ふらふらとすることもなく、本当に何事もなかったかのように帰れた。

 それで今に至るわけなんだけど、やっぱり分からない。

 

 【いちごおばけ】はこんなのをドロップしない。図鑑でも一応確認してみたが、鍵の記載はなかった。もしやドロップ品ではなく、誰かが捨てたものではないのかとも一瞬思った。

 まあ、なんとなく違う気がしてるんだけど。立派な仮説があるわけでもなく、ただ漠然とこれは自分のだという確信に近いものがある。

 

 見た目は青色とシンプルながら、作りが意味不明で、ゲームに出てくるような『かんたんなかぎのかきかた』で書かれたような単純さ。先端の鍵穴に入れる部分が二つのみで、持つところは丸くなっており、中心には光に反射する石のようなものが。

 

 見れば見るほど、鍵なのかと疑ってしまう。ひょっとして、鍵穴に入れて回すのではなくて、同じ型の場所にはめ込んで作動させるとか、そっちのタイプか。

 

 前世であれば、このタイプの鍵が落ちていても、玩具を落としたのかな?程度で済ませるだろう。それが誰か物好きなやつが作って、やっぱり不注意で落としてしまった、そういう考えに至れる。

 だが、この世界はダンまちであり、電波人間の能力があり、【いちごおばけ】もいた。バグのような事態が重なりすぎて、益々この鍵についての謎が深まる。

 

 .....珍しいタイプの鍵だよなぁ、ホントにこれ。

 手に持っている鍵を、宙に差して、回すように指を横へと、なんとなく動かしてみる。

 意味は特段なく、進まない考え事に飽きてきて、暇つぶしにやってみただけ。厨二心が疼いたと言ってもいい。ただの手遊びの一つ、そのはずだった。

 

 ガチャリと扉を開けた音が、静かな部屋に響く。

 

 「え」

 

 宙に現れるは扉。人間一人が通れる大きさ、つまり普通の扉である。しかし、残念、普通という言葉は扉の場所を見ることで、一気に評価を変えざるを得ない。

 鍵を回した位置、横になりながら、宙に回したのである。ならば、現れる場所は必然的に宙になり、いま扉は目の前で浮いている状態にある。

 

 「............どゆこと」

 

 重力を無視して、宙に配置された扉は、早く開けろといわんばかりの存在感を放つ。なお、鍵は差したままで抜いてはいない。

 開けるべきか、開けないべきか。どちらになるかはわからないがーー少なくとも、一度戻すべきである。戻るかは知らないが、宙にあっては、入ることができない。それにこの状態で開けた場合、中の重力がどいなっているのか、こちら側に従って物が落ちてくるかもしれない。

 

 意味はないが、そーっと鍵を反対側へと回して抜く。すると、魔法のように現れた扉は、また魔法のように姿を消した。

 とりあえずは、部屋の中に扉が、しかも宙に浮いた状態で、放置される事態は避けられたようだ。

 

 「.....どーしよ」

 

 ベッドから疲れた体を脱出させて、部屋の真ん中にて立つ。

 鍵、宙に扉を出現させる特殊な鍵。手に余る代物ではある、投げ捨てておきたいし、面倒ごとは避けたい。

 だが、神の恩恵(ファルナ)を得られない自分が、この世界でどうにかして生きるには、やはりアンテナの力は大事。だが、そんなアンテナの力もたかだか【いちごおばけ】に苦戦し、あわよくば死にかける始末。

 【いちごおばけ】がこの世界でいうところの、何に当たるかは分からない。神の恩恵(ファルナ)を得た者からすれば、道端の小石程度にもならないかもしれないし、ひょっとしたら強いのかもしれない。

 

 だが、そんな安易な考えは捨てるべきだろう。神の恩恵(ファルナ)を得ていない自分が攻撃を避けれた、ということは、きっと、多分、そういうことなのだ。その程度しかない。そして、その程度にアンテナの力は苦戦している。

 

 考えれば、考えるほど、死ぬ確率が高いとしか思えない。

 

 ろくに使ってこなかったアンテナの力。心のどこかで、何かを害するのを躊躇っていたのだ、だから生活の一部で役立たせる程度にしか使わなかった。それと同時にこうも思っていた、案外なんとかなるだろうと。

 楽観的すぎる考えだ、何も考えていなかった。ど田舎だから、ダンジョンにいないから、転生者だから、それに、チートっぽい力が手に入ったとも勘違いしていた。

 

 いい加減に認めよう。この世界は、強くなれなきゃ、吹けば飛ぶ塵のように、簡単に死ぬ。秒だ、秒。

 そして、強くなるには、このど田舎では無理だろう。敵もそこまで出てこないし、今の自分がどれくらい戦えるのかも分からない。分かることは、【いちごおばけ】より強いのは確かだ。

 

 きっかけ、強くなる一歩。この鍵なら、与えてくれるかもしれない。

 扉の先に何が待っているか。一方通行になっているかもしれないし、行き来できるかもしれないし、なにもないかもしれないし、なにかあるのかもしれない。

 ほんっっっと、この世界に来てから不確定要素が多すぎて困る。

 あと、開けるなら家でないほうがいいだろう。モンスターが出てくるかもしれないし、危険度も不明だから。

 

 ...そっと、外へと出る。

 帰れるといいな。

 .......いや、帰ってくる。

 鬼が出るか、蛇が出るか。

 鍵をまた、宙に差して回す。

 

 今度は現れた扉を、この手で開いた。




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  • え、どっちも逝くの?死ぬぞ?作者が
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