アンテナ(だけ)でダンジョンに行くのは、流石に間違っている。   作:クロジャ/時々シロジャ

7 / 9
複数になったよ、やったね


第七話 アンテナの技名って、書いてることやばいよね

 ーーー登録が完了しました

 

 扉の先はなにもない、暗闇でも、明るい場所でもない。一言で片付けていいのならば、訳わからん、それに尽きる。

 そんな感想を抱いていると、脳内に声が響く。あの神もどきとは少し違う、明らかな機械音。AIとか、それに近い。

 

 当たり、か?

 

 ーーーようこそ、アルファ様。早速、説明させていただきます

 

 いや、速い速い速い。少し待ってくれ、そう声を上げようとするも、出せない。似た感覚、またあれか、こちらからは喋らせてくれないやつか。でもっても、あれ、ということは、これもあの神もどき絡みということだ。

 

 ーーーこの場所の説明から参りますが...この世界はアルファ様専用の、特訓場、とでも思って下さい

 

 なるほど、特訓場(れっつほんばん)ね、了解。

 

 ーーー⬜︎⬜︎⬜︎様より、『この世界で生きる為にはもっと強くなれ。だが、強くなるための環境がなく、困り果てているだろう。それ、やる』、とのことです

 

 一回でいいから、あいつを鋭利な物で八つ裂きに引き裂いていいかな、いいよね。なんで、こんな上から目線なの、あいつ。そもそもの原因、全部が全部、お前じゃねぇか。

 

 ーーー次に使い方の説明です。アルファ様の記憶にある、『電波人間のRPG』を元に、この世界は作成されております。なので、大抵のことは、感覚的に分かってしまうと思われます

 

 ......なるほど、なんとなく読めてきたぞ。

 ダンまちの世界で強くなろうとすると、どうしても神の恩恵(ファルナ)が必要不可欠になる。だが、自分は元々持っているアンテナの力で得られない。だから、この世界での戦闘=確死という方程式が成り立ってしまう。

 だからこそ、この世界以外で強くなればいい。そう、電波人間達の世界にいる、モンスターなら出来るのだ。それを今日証明した、アンテナの力さえ用いれば、(常に命懸けでまったく余裕はないけれど)勝てるのだ。

 

 ーーーおそらくですが、わたしの方から色々と述べさせていただくよりも、ご自身の手で触られた方が分かりやすいかと思われます。わたしは分からない部分が出てきた所で、要所要所伝えた方がよろしいかと

 

 それは、確かに。ここでいきなり、大量の情報をばーっと与えられても、全部は覚えられない。遊んだことのあるゲームが元になっているなら、ひとまず触った方が早いだろう。

 だが、それについての返事を.....どうやったらいい?

 喋れない状態は続いている。どこにいるかも分からないから、首返事も出来ない。あれ、これ、ひょっとして疑問系じゃなくて、ただの決定事項なのでは。

 

 ーーーそれでは、説明は以上となります。短い時間でしたが、ご静聴いただきありがとうございました。アルファ様の益々のご成長を心よりお祈り申し上げます

 

 それ、会社の断り文句.....というか、あぁ、なるほど。

 この世界を作った、ともなれば、あの神もどきの仕業であり、その世界を説明しているこいつ。

 このいい加減具合、一方的、若干滲み出る嫌味。

 あいつ、あの神もどき。自分自身をモデルにこの説明係も作っていやがったな.....と。

 

 急激に訪れる光を前にして、そんなことを考えるのだった。

 

 ーーーーーーーーーー

 

 「...............ん、ふわぁ.....んー。.....どこだここ」

 

 覚醒。目を開け、周辺を見渡し、そっと一息。先と違って声を出せる、ただあいつはいなくなっていた。

 呼んだら出てくるっぽいから、また後でいいや。多分、会話じゃなくて、一方的になるから、めんどくさい。

 

 ここ、島か。小さな島、大股4、5歩が縦横の限界。どこまでも遠く、遠く、海が広がっている。

 ひょっとして、初期島。RPGはRPGでも、FREEモチーフか、ここ。カネコさんはいないが、たぶんそうだ。なんなら、船もない。島ってか、孤島。

 あー、でも変更点もある。掲示板みたいなのと、あと赤色に金の装飾が施されている宝箱....これ、見た目からして完全にアレだわ。

 

 「開けるのが正解なのか、コレ.......?もはや、ここまでくると、全てが罠に見えてくるぞ」

 

 だからといって悩む気はそれ以上、毛頭なく。強くなるための手段かもしれないならば、罠だろうと突っ込む。こちとら、時間がないもんで。神の恩恵(ファルナ)を得られない身からすると、一分一秒が本当に惜しい。

 即決即断、宝箱を開ける。中身を見てみると、いくつかのアイテムらしきもの、それを視認すると同時に脳内から陽気な音が流れた。

 ぱんぱかぱーんと、なんとも力が抜ける音。

 

 不意に表示させていないにも関わらず、ステータス画面が現れる。項目の一つにある、自分のアンテナ欄に新しいのが追加されていた。それも一属性ではなく、複数属性。

 もう一度、宝箱に入っているアイテムに目をやる。ゲームで見たものもあれば、ないものもある。そして、この新しいアンテナの追加。察するに【いちごおばけ】を倒した報酬なのだろう。

 

 助かる、と言いたいところだが、不安もある。それは【いちごおばけ】を倒した()()で、アンテナが増えたということである。ラッキーなんて、楽観的にはなれない。あの神もどきが粋な計らいをしてくれるとは、到底思えない。

 【いちごおばけ】を倒した時にも思ったことだが、あいつに与えられたアンテナの数と種類。あれは、最低限なのだろう。強くもなく、弱すぎてもなく、頑張れば。死ぬ気で頑張れば倒せる強さ。

 複数属性はゲームで使っていた時は、演出がかっこいいな、名前がかっこいいな、くらいにしか思っていなかった。だが、それが現実になると考えると、まぁ、やばいだろう。言ってること、ただの災害だし。

 

 それがいま手に入った。苦笑い、背筋に冷や汗が流れる、難易度調整ミスってんじゃないのかアレ。いやただの考察だから、確定ではないけど。

 現実逃避に掲示板へ向かう。アイテムもあるのだが、何があるのか、いまは確認したくない。後回しにしかならないが、精神的に今はちょっと。あー、あー、見えない聞こえなーい。

 

 「なんじゃこりゃ」

 

 掲示板までの距離は、宝箱から大股一歩未満。少し前のめりに体を傾けるだけで見えてしまう。目線を逸らすだけで見えた掲示板には、複数の紙が貼り付けられていた。

 内容を見ると、撃破目標と書かれた紙がほとんどで埋め尽くされており、そこにはゲームに出てからモンスターの名前とイラストが。

 明らかにステージ後半でしか見ないような奴もいれば、前半にチラッと出てきた奴もいる。強さもまばら、難易度もバラバラ、勝手に取っていけ、みたいになっている。

 

 ........で、これはなんだ。いや、取ったところでなにすればいいんだ。

 

 無駄にこんなところにある、訳もありそう....なんだが、ここまできてそれはないと信じたい。宝箱の件もある、掲示板がなにも意味もなくポツーンと立っているわけではない、と思いたい。

 これに書かれていることから考えるに、好きなのを取って、なにかをすれば、どこかに連れて行かれるのだろう。場所名まで書かれているし。.....た、ぶん。いや、おそらく。いや、もしかしたら。

 ほんとに説明不足過ぎる。呼んで本当に来ても、まともな説明がくるとは思えないし。

 

 宝箱にはまだ見ていない複数のアイテム、目の前には手段が不明の掲示板、おそらく別次元か別世界に存在しているこの島。

 情報量の多さに、少しため息をついた。




アンケートだよ。
多くてごめんね、

誰と戦わせる?

  • アルファア
  • ザルド
  • その他
  • え、どっちも逝くの?死ぬぞ?作者が
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。