東方 人妖伝   作:無限バンダナ

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前回までのあらすじ

食糧調達と武器の修繕のため玄武の沢に向かった剛鬼
エンジニアの河童、にとりに修繕を依頼し、調達も終わり帰路についていた道中、突如剛鬼の前に神出鬼没のスキマ妖怪、八雲紫が姿を現す。果たして彼女の目的とは?


第四話 任務

剛鬼「八雲...紫」

 

目の前の金髪ロングで、紫色のフリルのついたドレスを身につけ、手には特徴的な日傘と扇子を持ちヒラヒラさせる人物の名は八雲紫。幻想郷の賢者の一角を担い、実質この幻想郷を管理しているスキマを操る大妖怪である。

容姿はさながら10代の少女ではあるが、かれこれ1000年は生きているらしい。

 

紫「ご無沙汰だけど、息災のようね」

 

剛鬼「そりゃどーも」

 

このスキマ妖怪、常に何を考えているかわからず胡散臭いところもあり、なかなか信用のしづらい妖怪である。

 

剛鬼「まだ冬眠してる思ってたが。珍しいな、アンタが直接顔を出すなんて。一体なんの用だ?」

 

紫「別に眠り続けてるわけでもないわよ。...今日あなたに会いに来たのは一つ依頼をしにきたの。」

 

剛鬼「依頼?」

 

紫「そう、実は近々新しい住人がこの幻想郷に移り住むことになってね。挨拶にと一つ異変を起こしてもらおうと思うの。」

 

剛鬼「異変ね。で、その新しい住人ってのは一体どんな奴なんだ」

 

紫「吸血鬼よ」

 

剛鬼「...っ!おいっそりゃあ...」

 

吸血鬼。その言葉を聞いて剛鬼は思わず反応してしまう。

そうなるのも無理はない。今より約10年前、幻想郷の支配を目論んで外の世界から襲来した吸血鬼達が異変を起こしたのだ。

外から来た吸血鬼達は強大な力を有しており、力を弱めつつあった一部の幻想郷の妖怪達はその配下についたこともあり、幻想郷と吸血鬼達の激しい戦いが繰り広げられたが、最終的には幻想郷の人間や妖怪が手を組み、目論見は阻止された。

 

紫「大丈夫、今回はちゃんと理解ある方だったから」

 

剛鬼「...」

 

あの異変以降吸血鬼には良い印象はないが、事前に話を通すあたり、そして紫が許可したのなら問題は無いのだろう。

剛鬼はとりあえずその状況を飲み込むことにした。

 

紫「...で、ここからが本番なのだけど、前に決めたアレ、覚えてるかしら?」

 

剛鬼「...スペルカードルールか」

 

スペルカードルール。吸血鬼異変以降、妖怪の権力者達と博麗の巫女が話し合いのもと考案された、人間と妖怪の新しい決闘方法である。このスペルカードルールを用いれば、妖怪は異変を起こしやすくなり、又人間は異変を解決しやすくなる。双方ともに数を減らすことなく持ち得る力を衰えさせない、これからの幻想郷維持には欠かせないものである。

 

紫「そう、そのスペルカードルールを今回の異変の首謀者、レミリア・スカーレットが使うことに同意してくれたわ。だから今回の異変がスペルカードルールの試験運用にもなるわけ。そこで、」

 

紫は言葉を区切ると口元を隠していた扇子をピシャリと閉じ、剛鬼に先端を向けた。

 

紫「あなたにこの異変の監督役を勤めて欲しいの」

 

剛鬼「...は?俺が監督役?」

 

思わぬ依頼内容に唖然としてしまう。

 

紫「そうよ」

 

剛鬼「...おいおい、監督役なんていんのか?それに霊夢なら問題ねぇ。それはアンタが一番知ってるはずだ」

 

紫「ええ、霊夢なら問題ないわ。...問題なのは異変がスペルカードルールから逸脱してしまった場合。」

 

紫は再度口元を扇子で覆いながら話を続ける。

 

紫「初めてのスペルカードルールだから何が起こるか分からない。勿論あの子の力なら問題はないでしょう。それでも波風立てずに終わって欲しいの」

 

紫の手で霊夢を育てたこともあり、昔から紫は霊夢に過保護になる節がある。最近はその過保護さに霊夢は嫌気がさしているみたいだが。

 

剛鬼「だとしても、それはアンタの役目じゃないのか?幻想郷の管理者さんよ」

 

紫「あら、あなたもその管理の一端を担う者ですわ。それに、人と妖怪、双方に身を置くあなたにとって、きっと良い刺激になるはずよ」

 

そう言うと紫はこちらに背を向けスキマを開く。

 

紫「とにかく頼むわ。あ、そうそう恐らく夏辺りに異変は起きると思うわ。向こうも準備がどうのこうの言ってたし。それまでしっかり準備していて頂戴。それじゃあね」

 

そう言い終えると紫はスキマの中に姿を消していった。

 

剛鬼「...たくっ」

 

相変わらず人使いが荒い奴だ、そう愚痴をこぼしながらも剛鬼は帰路に着いた。

 

 

 

 

 

 

3日後剛鬼は再びにとりのもとへ向かった。

 

剛鬼「どうだにとり、できたか?」

 

にとり「おう、ばっちりよ。あたしら河童の技術を持ってすれば、こんなのおちゃのこさいさいってね」

 

薄い胸をどんと張りながら、自信満々ににとりは言う。

実際に河童の技術は幻想郷では随一であり、剛鬼もその技術を買ってこうして度々修繕を依頼している。

剛鬼は早速修繕された武器と防具を手に取る。

 

剛鬼「...流石、いい仕事してるぜにとり」

 

にとり「だろう?ちゃあんと黒染め加工もしといたよ」

 

妖怪を相手にする時は大抵日が暮れて暗くなった時が多い。武器や防具、衣装は黒い方が敵に発見されづらくなる。そういった意味で、剛鬼はにとりに黒く染めるようにお願いしている。

 

剛鬼「ああ、いつも助かるぜ」

 

にとり「すぐにボロにすんなよ」

 

剛鬼「まったくだ。さて...」

 

剛鬼(異変の件、何事も無ければいいが...)

 

そう憂いながら剛鬼はにとりに礼を言いつつ、工房を後にした。

 

 

 

 




こんなテンポで大丈夫か?

大丈夫だ、問題な...い?

次回から紅魔郷入ります!
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