……それにしても、なぜ何かしら問題を抱えたオリキャラしか生まれないのか。
以下、人物紹介
ウラギク
四天王の一人で、ひこうタイプの使い手の女性。名前の由来はハマシオンのもうひとつの和名であるウラギクから。花言葉は「追憶」、「君を忘れない」。
元配信者で、パルデアで一、二を争うインフルエンサーだったが、とあるコラボ配信中に放送事故レベルの失態を犯したことで自身のチャンネルが大炎上を起こし、それをきっかけに配信者を引退した。
その後はOLとしてチャンプルジムリーダー・アオキの部下となり、汗水流して社会に揉まれながらも元来の明るさや人を引っ張る行動力を遺憾なく発揮し、アオキから一目置かれることに。
四天王を務める傍ら、いつかはもう一度配信者として返り咲きたいと願っている。
《あなたの目玉をエレキネット!エレキトリカル★ストリーマー!
何者なんじゃ?ナンジャモでした~!》
笑顔で配信を終える彼女を最後まで見届けた後、スマホをしまう。今やパルデアで彼女を知らぬ者など生まれたばかりの赤子くらいしかいないであろう超有名人、パルデア屈指のインフルエンサー、ナンジャモ。
ハッコウシティにてでんきタイプ専門のジムリーダーも兼任している彼女の多忙さは、一サラリーマンやオフィスレディと比較するとやはり計り知れないのだろうか、とぼんやり考える。
「……随分、差が付いたなぁ……」
かつては己も立っていた、配信者という厳しくも美しい舞台。他ならぬナンジャモと切っても切れぬ因縁がある自分にとって、今の彼女は眩しすぎる。
「……ん。先輩、もう終わったかな?」
スマホに表示された時間を見て、それがいい時間だったのでベンチから立ち上がり、宝食堂へ向かう。現在はジムチャレンジ中なので、少しばかり時間を潰していたところだ。
食堂に入ると、ちょうどジム戦が終わったのかこちらに向かってくる先輩と挑戦者の姿が。
「先輩、お疲れ様です」
「お疲れ様です、ウラギクさん」
先輩に軽く挨拶をして、それから挑戦者の学生さんに会釈する。それから先輩と共に店を出て、職場へ向かう。
「挑戦者さん、お強かったですか?」
「えぇ、とても」
「ふふっ、そんな気はしてました。先輩が何やら楽しそうでしたので」
「……?楽しそうでしたか?」
「はい、とっても」
先輩は三足の草鞋を履いていたり、上司にあれこれムチャぶりされたり、社会の厳しさに揉まれまくって死んだコイキングのような目をしている。おまけに無表情が常なのでわかりにくいのだが、先輩の後輩として付き合いの長い私は無表情の先輩の些細な変化に気づくことができる。
「さぁて、来週にはトップチャンピオンの視察がありますからね。そろそろポケモンたちの調整もしないとですよ」
「…………」
「こらっ、目を逸らしちゃダメですよ!私も先輩の調整に付き合いますので、気合入れていきましょう!」
「いえ、そこまでしてもらうつもりは……」
「ダメですっ!いっつも先輩を顎でこき使うあんちきしょうの鼻を明かすんです!コテンパンのフライパンでさっと炒めてペロッと平らげちゃいましょう!」
「上司にそのような口を利いてはいけませんよ。……ただ、まあ」
「お?」
「ウラギクさんの熱意については、素直に受け取ることにします」
「わーい!それじゃあ、早速バトルですね!」
「ちょ」
先輩の手を引っ張り、人目のつかない場所を探す。
トップチャンピオン……いっつもニコニコ穏やかなのに、どこか腹黒さを感じるのはきっと気のせいじゃないはず。見てろよ~……私と先輩の猛特訓で、ぎゃふんと言わせてやるんだから!
トップチャンピオン・オモダカ。ぶっちゃけ私はこの人が苦手だ。一番の理由はやはり、「何を考えているのかわからない」ところ。
人によっては無表情に見える先輩の方がわかりにくい、という人もいるだろうが……私にとって先輩ほどわかりやすい人はそういない。
さて、肝心のトップの視察だが……先輩は負けてしまった。まぁ、さすがはトップチャンピオン、その名に恥じぬ確かな実力者だった。横で見学してたけど、本当に強いよね。
……「ドドゲザンとキラフロルの順番変えろよ」と思ったのは私だけじゃないはず。
「アオキ。以前よりも随分と力をつけたようですね」
「……えぇ、まぁ。心強い後輩がいるもので、つい張り切ってしまいました」
「ほぅ……?」
……あれ?なんかトップがこっち見てる……?なんだろう、私、なにか粗相でもしたかな……?
「貴方がそこまで言いますか」
「えぇ。……トップの視察前に、調整と称してバトルしたのですが……」
「結果は?」
「三本勝負……二対一で、自分が負けました」
「ほほぅ」
お二人共、なんの話をしているんだろう?ここだとちょっと遠くて聞こえないな……バトルも終わったし、ちょっと近づいてみようかな?
「ウラギクさん」
「え……あ、はいっ!」
と、トップに呼ばれた……!?私は慌ててバトルフィールドに上がり、先輩とトップの元に向かう。
「えと……なにかご用でしょうか?」
「えぇ、少々貴女に頼みたいことがありまして……」
「な、なんでしょうか?何でも言ってください!」
「では、私とバトルをお願いします」
「はいっ、バトルですね!……え"っ、バトル!?」
な、なんで私がトップとポケモンバトルを……いや、言われたからにはやるしかない!
「わかりました……!トップの胸、お借りします!」
「ふふっ……素直でイイ子ですね。アオキ、部下に恵まれましたね」
「(上司にも恵まれたかったですね……)」
「なにか?」
「なにも」
これはいいチャンス……先輩に代わって、私がトップチャンピオンをコテンパンのフライパンでこんがり焼き上げてフランベで仕上げてバクバクしちゃいます!
そうして始まった、トップとの勝負ですが……うぅ、トップのポケモン、四体しか倒せませんでした……先輩、ごめんなさい!
「ふむ……お見事」
「い、いえ……ありがとうございました……」
「いかがでしたでしょうか、トップ。彼女の実力は」
「えぇ、大変申し分ないですね」
……あれ?そういえばなんで私がトップとバトルすることになったの?いきなり勝負を申し込まれたから、断るわけにもいかずに受けたけど……むむむ……?
「ウラギクさん」
「は、はい!」
「アオキの推薦もありますし、なにより貴女の実力やポケモンと向き合う姿勢も申し分ない」
「あ、ありがとうございます……?」
「なので……明日より四天王、よろしくお願いしますね?」
「わかりました。……?え……あ、えぇ~!?」
私は思わず先輩に顔を向ける。先輩の方がキャリアは上だし、むしろ先輩が四天王をやるべきでは!?
「頑張ってください」
あっ!先輩のこの顔は……「やったー、仕事が一つ減ったぞラッキー!」って顔!しかもジムリーダー業よりも忙しい四天王業を後輩に押し付けたー!?
……いや、待てよ?あのアオキ先輩が、本来なら自分の業務であるはずのより重要性の高い四天王を後輩に私に託したということは……これは、先輩からの信頼の証!?そう考えると猛烈にやる気が沸いてきたー!!
「わかりました……!ウラギク、四天王配属、了解しました!!」
「ふふふっ、とても良い返事です。聞いていて、とても気持ちがいいですね。ねぇ、アオキ?」
「……………………はい」
こうして、四天王ウラギクは誕生したのでした!
「……懐かしい、な」
肩を落として立ち去る挑戦者を見送り、私は独り言ちた。
挑戦者の何気ない発言に、思わず過去を思い返してしまうくらいには精神的にキテしまったらしい……情けない、せっかく先輩から託された四天王なのに。
「お疲れー、ウラギク」
「ウラちゃん、お疲れなのですー!」
「はい、お疲れ様でした。チリさん、ポピーちゃん」
隣でバトルを見ていた二人に挨拶をする。それから、次に備えてスタンバイしていたハッサクさんも呼び、先ほどの挑戦者について吟味する。
「ウラギク、さっきの挑戦者やけど……」
「あぁ、大丈夫ですよチリさん。私は平気です」
「平気なわけあるかい。自分、顔真っ青やで?強がるんも大概にしぃや」
うっ……やっぱり顔に出てたか。
「ウラちゃん、大丈夫ですか……?」
「ごめんね、ポピーちゃん。心配させちゃったね」
「人には誰しも、得手不得手があるもの……無理をすることなく、あなたらしくいることこそが肝要ですよ」
「ハッサクさん……ありがとうございます」
ポピーちゃんにハッサクさんにもフォローされてしまった……しっかりしろよぉ、私!このくらいじゃへこたれてられないぞ!
「……にしても、ホンマわっからんなぁ。ウラギクのどこに文句があるんやろな?」
「ウラちゃんはひこうタイプの専門家として、とっても素敵なトレーナだと思いますけど」
「それなー。鳥が苦手ってだけで、なんでひこうタイプの専門家したらあかんねん。好きこそ物の上手なれって言うやろ。パルデアには鳥じゃないひこうポケモン、たくさんおるしな」
「…………」
そう……私はひこうタイプ専門の四天王……ただし、重度の鳥アレルギーなのだ。そのため、ひこうタイプではありふれた鳥ポケモンが、私の手持ちには一切存在しない。
――ひこう使いなのに、鳥いないのかよ。
先ほどの挑戦者の言葉だ。私の胸にグサリ、と突き刺さりその上派手に抉っていった。先輩だって、四天王だったときはひこうタイプの鳥ポケモンを使っていたというし、なんならジムリーダーとしての手持ちにも鳥ポケモンがいる。
だが、私はダメだ。鳥アレルギーの症状に散々苦しんだ過去がトラウマになり、鳥ポケモンが近づくだけで過呼吸に陥り、まともな判断ができなくなる。とにかく原因を排除しようと暴力的になり、そのせいで配信者時代に問題を起こして大炎上し、自身のチャンネルを削除しなければならない事態に陥ったのだから。
そのせいで、当時の私と一、二を争うインフルエンサーだった彼女には多大な迷惑をかけてしまった……正直、顔を合わせる資格もないと思う。二度と合わないほうがいいのだ、私と彼女は。
私が暗い気持ちで落ち込んでいると、ボールの一つが開いて中からポケモンが飛び出した。
「ボーマンダ?」
「ボマ」
私のエースポケモン、ボーマンダ。私の気持ちの表れ。ボーマンダはボールから飛び出すと、ペロリと私の頬を舐めてくれた。……慰めてくれるんだね。
「ありがとう、ボーマンダ」
「ボマー!」
今はOLと四天王の兼任だけど、いつかは先輩のように三足目の草鞋を……彼女と同じ輝く舞台に返り咲きたいと思っている。
一度は夢破れた、私の翼……もう一度、羽ばたきたいと願う両翼。今はまだ、"はねやすめ"の時期……けれど、いつか。いつかは夢に向かって"そらをとぶ"……その時まで、今はお休み。
四天王・ウラギク。夢破れ墜つるとも、この両翼は未だ折れず。
とりあえずこんな感じで……無理に読まなくてもいいように、この下にウラギクさんの裏設定でも置いときます。
以下、反転
実は重度の鳥アレルギーで、幼少期からその症状で苦しんだ影響から鳥ポケモンに対してトラウマを抱いている。具体的には過呼吸になり、原因排除のために暴力を振るうようになるほど。
配信者時代、ナンジャモとのコラボ配信の際にウラギクがひこうタイプ好きと知ったナンジャモが、自身の専門タイプであるでんきタイプとの複合ポケモンであるカイデンをサプライズでプレゼントしたことで問題が発生。眼前にカイデンを繰り出されたウラギクはトラウマから絶叫とともにカイデンを殴打し、そのままスタジオから逃走してしまったのである。
鳥アレルギーであることをコラボ相手のナンジャモはおろか、リスナーにも黙っていたウラギク。徹底的に秘匿していたことが仇となり「ナンジャモのサプライズをウラギクが台無しにした」という事実のみが残り、その結果ウラギクのチャンネルは大炎上。弁明の余地もなくネットから姿を消さなければならなくなってしまった。
そんな彼女の手持ちポケモンはフワライド、ストライク、スピンロトム、ギャラドス、ボーマンダと、見事に鳥ポケモンがいない。エースのボーマンダをひこうタイプへテラスタルしてくる。手持ちにスピンロトムがいるのは、「関わらない方がい」と断言しながらも迷惑をかけてしまったナンジャモのことが忘れられないから。エースがボーマンダなのは、夢を叶えたボーマンダをエースに据えることで夢破れた自身を鼓舞したかったから。
なお、後に事情を知ったナンジャモからは「もう一度会って、ちゃんと仲直りがしたい」と思われている。
ここまで律儀に読んでくださり、ありがとうございました。
そんなあなたへ、お願いがございます。……続き書いてくださいお願いしますm(_ _)m
それはそれとして方言って難しいなぁ……皆さんは方言とかってどうやって勉強しているんですかね……?