艦砲射撃とともに始まった海王星作戦。この奇襲攻撃で人類は沿岸部の敵を排除、橋頭堡を確保する……はずだった。
「ば、馬鹿な!?」
その言葉を叫んだのは誰だったのか。もしかしたら全員だったかもしれない。確かに沿岸部にはレーザー級がいた。しかし、事前の調査でそれは少数であり、被害は受けても艦砲射撃で殲滅出来ると思われていた。
しかし、艦砲射撃が始まると、
「レーザー級の数事前情報の10倍、いやこれはそれ以上です!」
「BETAはこの作戦を読んでいたというのか!? だがレーザー級は一発を打つのに時間がかかる! 今のうちに……!」
その言葉が最後まで言われる事はなかった。声の主が乗艦した船がレーザー級の一撃を受けて爆発したためである。そしてそれは一隻ではなかった。数にして10隻を超える船が攻撃を受けていた。
「敵は砲弾の迎撃と艦艇を沈める奴に分かれたのか!? BETAがそんな手を使うとは……! だが今度こそチャンスだ! 全艦砲撃を継続せよ!」
最初の一手こそ予想外の手を受けて慌てたがすぐに各艦艇は攻撃を再開する。今度は迎撃されることもなく沿岸部に命中していく。充填が完了したらしいレーザー級が迎撃と攻撃を行っていくがそれも数が減っていく。それを8回ほど繰り返すとレーザー級の攻撃は完全にやんだ。
「よし! 各戦術機は内陸部の敵の掃討に入れ!」
予定よりも手痛い打撃を受けた連合軍も戦術機を輸送する船に被害はなく、何の問題もなく次の攻撃に移る事が出来た。
「大尉。どうやらBETAの動きは大分こちらに対応してきているようだ」
『問題ありません。我々はどのような敵であろうとも東ドイツのために戦うだけです』
「……そうだな。全ては我らの祖国のために」
出撃の準備が整い、格納庫に仕舞ってあった戦術機が上昇していく。全機出撃準備が整い大尉の号令待ちとなった。
『諸君。敵の動きはこれまでのように単調なものではない可能性がある。だがそれがどうした? 我らは東ドイツ最強の戦術機部隊である! その実力を今こそ示すぞ! 全機出撃!』
その言葉に合わせて一斉に跳躍ユニットを点火。一斉に船を出て前線へと飛びだっていく。そして南部戦域にたどり着いた第666戦術機中隊は2つの小隊に分かれて襲い掛かるBETAへの攻撃を開始した。
「ちっ! 予想外に多いか……!」
長期戦になる事を踏まえて銃火器による遠距離攻撃を行っているアルフレートはレーダーに映る敵の数を見てそう毒づいた。BETAは当初の予定は5000もいればいい方だと考えられていたが蓋を開けてみれば1万は確実に超えていそうな数が存在していた。明らかにこちらの動きに合わせているとアルフレートは感じていた。それはアイリスディーナも同じようで、周辺のBETAを駆逐し終えると通信を行った。
『総員傾注。ここで小休止を取る。各員、マガジンの残弾を確認しておけ。長期戦になる。休めるうちに休むぞ』
『何を考えている同志大尉! 却下だ! 却下!』
そんなアイリスディーナの命令に不服を漏らしたのはグレーテルだった。今回の作戦で彼女は党から失敗は許されないとプレッシャーをかけられており、焦りを見せていた。
『我々は日没までに40キロの縦深を命じられている! アメリカ軍や欧州連合軍に遅れをとるなど東ドイツの威信にかかわる! それは我々の……!』
そこまでグレーテルが話した時だった。レーダーが新たなBETA群をとらえた。その数は2万以上。ワルシャワ条約機構軍とアメリカ軍や国連軍が展開する戦区の境目を縫うように向かってきていた。
「ちっ! 敵が来るぞ!」
『総員傾注! これより我々は敵の前衛に飛びこみ足止めを行う』
『あの数の群れに突っ込むんですか!?』
『足止めをするだけだ。せっかくの橋頭堡がやられてはたまらないからな』
11機の戦術機が低空で突撃する。6機が前衛、5機が後衛で攻撃を行う。
「突撃級だ。数は3000。5層以上の波で進軍中!」
『総員非装甲部を狙え! 間違っても正面から挑むなよ!』
アイリスディーナの指示に合わせて突撃級の後方に銃弾を叩きつけていく。場合によっては砲弾すら防ぐ装甲を持つ突撃級だがそれは正面のみの話である。後方や脇は他のBETAと同じ硬さしかない。
そして先頭の突撃級が倒れたことにより後方の突撃級がぶつかり、身動きが取れなくなっていく。そこを一匹ずつしとめていくがそれでも数が多すぎて対処が難しくなってく。
『上申します! 砲撃が来ます! 直ぐに撤退を!』
『砲撃だと!? 何を言って……!』
『俺たちがいるんだぞ!? そんなこと……!』
『西側は私たちのように戦術機による近接戦闘を想定していません! ……支援砲撃で徹底して叩いてからになります』
「……そういう話は事前になかった。ふん、こういうところが人類が押し込まれている理由なんだろうな」
もともと西側の衛士であるカティアの説明にアルフレートは眉を潜める。一大反抗作戦の時でさえまとまれない人類に未来はあるのか? アルフレートはそう思いつつも目の前の事態に目を向けた。
「大尉。撤退するぞ。ここにいる理由はない」
『同志少佐!? 何を言っている! それでは西側の作戦の優位を示す事に……!』
「優位も何もないだろうが! このままでは我らは砲撃の雨にさらされるぞ! 砲撃が来るのを事前に把握しておきながら愚かにも前線に居続けた結果砲撃に巻き込まれた馬鹿どもになりてぇのか!」
『っ!』
撤退をしようとしないグレーテルに対してアルフレートは怒りを覚え、叫ぶ。祖国の優位性やプライド等そんなことは関係ない。目の前に迫る回避できる死を回避しないことがどれほど愚かなのか。そしてそれを分かっていないグレーテルにアルフレートは怒りを込めて叫んだのだ。
「どうなんだ!? グレーテル・イェッケルン中尉!」
『わ、私は……!』
『……撤退するぞ。ヴァルデ少佐のいう通りだ。ここに残る意味はない』
言葉に詰まるグレーテルに変わり指示を出したのはアイリスディーナだった。中隊長の指示という事もあって全機撤退を開始する。そしてその直後に砲撃が開始された。
『そこの戦術機部隊! 聞こえているなら北西に迎え! 脱出を支援する!』
『それはありがたい! 私は東ドイツ軍第666戦術機中隊アイリスディーナ・ベルンハルト大尉だ』
『こちらは西ドイツ軍第51戦術機甲部隊ヨアヒム・バルク少佐! 後方の要撃級はこちらが対応する!』
分裂したドイツの片割れの支援を受けつつ第666戦術機中隊は撤退を開始する。そして、途中ですれ違った部隊、第103戦術歩行戦闘隊が放ったフェニックスミサイルを目撃した。それはミサイル内に内蔵された無数の小型爆弾が目標地点に到着すると周囲にばらまくというものであり、第666戦術機中隊が11機で辛うじて抑えていた突撃級を全滅させる威力を見せつけた。
その様子に、一番のショックを受けたのは東ドイツに妄信しているとも言えるグレーテルだった。
『そんな……私たちがいるのに』
『わかったでしょ? これが東ドイツの、社会主義国家の扱い。世界中から嫌われてるのよ』
『……っ!』
ポーランド出身であり、テオドール以上になれ合いを嫌うシルヴィア・クシャシンスカの言葉にグレーテルは何も言えなくなってしまう。BETAとの戦争前から国力的に劣っている社会主義国家だがBETAとの戦争がはじまるとそれが激化した。そして欧州連合やアメリカなどの西側諸国は力を蓄えて満を持して戦争に参加したのだ。
アルフレートとしてはそんな経緯がある以上このくらいは出来て当然とさえ感じていた。だが、グレーテルにとっては自分たちがどれほど頑張ろうとも無意味にさえ感じられる西側の力に悔しさで歯を食いしばるのだった。
次話は2022/11/14 23:30投稿予定です。
唐突だけど他作品をBETAで蹂躙したくなった。何処が良いと思う?なお、BETAはこの作品のやつらとする。
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