【本編完結】BETA転生   作:鈴木颯手

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第二十二話「海王星作戦4・包囲殲滅戦」

 そして、BETAの第2波を止めるアクティブディフェンスが発動した。北進を続ける6万のBETAに対して艦砲射撃を含めた攻撃が3方向から同時に行われる。それらは突撃級すら吹き飛ばし、小型の戦車級を残らず吹き飛ばしていく。

 それは戦術機に乗ったアルフレート達にも確認でき、レーダーに映るBETAの反応が急速に消えていく様子に戦慄さえ覚えてた。

 

『これほどの包囲殲滅を成功させるなんて……』

『これが俺たちと西側の差か……。あいつらが怒るのも当然だな。戦力も戦術も、俺たちとは違いすぎる。西側の連中に、俺たちの力なんて本当に必要なのか……?』

 

 あまりにも一方的な様子にテオドールは自分の存在意義を失ったかのようにそういったがアルフレートがそれに対して答えた。

 

「戦術とは対策されて当たり前のものだ。それにいくら完璧な作戦とはいえ始まるまでは机上の空論に過ぎない。ましてや相手はBETAだ。人間の予想なんて」

 

 そこまで言ったとき、新たなBETAの反応がレーダーに映る。

 

「通じない」

『両翼の戦術機が次々と撃墜されています!』

『これは……! くそ! あいつら()()()()()()()()()()()!』

 

 テオドールの言葉通り、BETAは地下から現れた。それも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。結果、奇襲を受けた両翼の戦術機に大量の撃墜判定が出る。更にレーザー級による露払いは済んだとばかりに突撃級、要撃級が出現したが悪夢はまだまだ続いた。

 

『内陸から要塞級の出現報告! 数は100!』

『100!? 見間違いではないのか!?』

『見間違いではないようです! 無数の戦車級とともに北上中!』

「……これは、BETAは戦術を用いたという事か!?」

 

 明らかにアクティブディフェンスに対するカウンターの如き動きにアルフレートは驚く。それは他の面々も同じであり、先ほどまでの包囲殲滅が霞むほどの衝撃だった。

 そもそも、BETAは戦術と思われる行動はとらない。ただ数を活かして侵攻しているだけだ。それゆえに今回のようなアクティブディフェンスなどの戦術が生み出されたがそれはBETAが戦術的行動をとらないのが前提だ。今回はその前提が壊れたがゆえに逆に包囲を受ける形となったのだ。

 

『両翼の損耗率50%を超えます!』

『沿岸部に出現したレーザー級が艦隊に攻撃を仕掛けています! そちらにも被害が!』

『北上中のBETA群海岸から15キロまで近づいてきています!』

 

 絶望的とも言える状況に加えて通信から入ってくる兵たちの悲痛な叫びが状況の悪さを物語っていた。そんな状況に対して真っ先に動き出したのはアイリスディーナだった。

 

『総員傾注! 我々は現在の任務を放棄。西側の連中の救助を行う!』

『っ! ベルンハルト大尉正気か!? 我々が西側の連中を助けるなど……』

「こちらは了承した。で? どうする? 部隊を分けるか?」

 

 アイリスディーナの命令に従う意思を見せたのはアルフレートだった。そしてそのうえで片翼に集中するのか両翼に展開するのかを問う。

 

『両方助ける、と言いたいところだがそれは難しい。ゆえに片翼のみの救助を行う。対象は東、左翼だ。左翼のBETA群は右翼よりもおおいからな。右翼のアメリカ軍には悪いが自力で対応してもらおう』

『ベルンハルト大尉! 何故西側の連中を……!』

『このままでは撤退すら難しい。みてのとおりレーザー級は左右に広く展開している。沿岸部ならばともかく内陸部のレーザー級を叩かない限り逃げる事は難しくなる』

『それは! ……そうだが』

『国連軍より第666戦術機中隊へ』

 

 グレーテルは否定的な様子を続けているがそれをアイリスディーナは毅然と答える。そしてアイリスディーナのいう通りこのままでは逃げる事も難しいのは彼女にも分かっていた。そんな葛藤を心の中で抱えていると国連軍より通信が入る。とはいえその通信相手は国連というよりもそこに乗船している東ドイツの軍部からの通信だった。

 

『貴官らの損耗率を答えよ』

『こちら第666戦術機中隊。損耗はありません』

『ええい! 貸せ! 第666戦術機中隊の損耗など関係ないお前たちは今すぐに撤退だ! この作戦は失敗だ! 作戦失敗の責任は西側の連中に負ってもらう! ゆえにお前たちは損害なく撤退する事だけを考えろ!』

「では艦隊にはレーザー級の殲滅を頼みましょう」

『なんだと!?』

「現在、沿岸部から内陸部にかけてレーザー級が展開しています。これらを殲滅しない限り撤退は難しいです。そしてレーザーヤークトを得意とする我らを撤退させるという事は代わりに行ってくれるということですね? 同志少佐」

『それは……!』

「……とはいえ同志少佐は理解しておられますよね? ここで我々が真っ先に撤退した場合、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()笑われかねないことなど」

『それは……! ……、……。出来るのだな?』

「出来なければ全滅するだけです」

『……』

 

 いまだ決めかねているらしい同志少佐に対して声を上げたのは意外な事にグレーテルだった。どうやらアルフレートが話している間にテオドール達が通信を行っていたようで、先ほどまでの葛藤は消えていた。

 

『我々はこれよりレーザーヤークトを行います!』

『なっ!? 中尉まで何を言って……!』

 

 グレーテルは同志少佐の言葉を最後まで聞かずに通信を切った。

 

『さぁ! 行くぞ同志諸君! 我々は東ドイツ最強の部隊、シュヴァルツェスマーケンだ! 不埒な異星起源種どもに、頼りない西側の連中に! 我々の力を見せてやれ!』

『その通りだ! 総員跳躍開始! 我に続け!』

 

 シュヴァルツェスマーケンは行動を開始した。それと同時に各戦線においても反撃が行われようとしていた。

 

「おのれ! こうなっては少しでも砲撃を続けろ! 沿岸部だけでもBETA群を駆逐するんだ!」

 

 艦隊では砲撃が再開され、レーザー級の殲滅を行おうと躍起になっていた。

 

『東の連中が動き出したようだ! 俺たちも負けてられないぞ!』

 

 右翼にいたジョリーロジャースは奇跡的に全機健在であり、友軍機とともに過酷なレーザー級の殲滅を開始した。

 

「シュヴァルツ09、05。お前たちは撤退しろ」

『少佐!? 何を言って……!』

『少佐のいう通りだ。両機は戦線を離脱。安全地帯まで後退しろ』

『大尉までなんで……』

『……全滅を避けるためですね?』

 

 訳が分からないといった様子のカティアに変わり、答えたのは同じく撤退を命じられたシルヴィアだった。

 

『これまでのように無事に済む保証はない。である以上全滅だけは避けなければならない。お前には、なすべきことがあるのだろう?』

『安心しろ。必ず生きて帰るさ』

『大尉……。テオドールさん……』

 

 カティアがなんの目的で亡命してきたのか。それをアイリスディーナは知らない。だが、彼女と同じようにどうしても叶えたい願いを持つアイリスディーナはカティアを死なせるべきではないと後方へと送る事を決めたのだ。そして、カティアの目的を唯一知るテオドールも後押ししたことでカティアは覚悟を決めた。

 

『シュヴァルツ05、09とともに離脱します』

『皆さんどうかご無事で……!』

 

 二機が離脱していったのを確認したアイリスディーナは改めて伝える。

 

『よし、これで我々は一蓮托生だな』

『慣れあうつもりはない! 私は出来る事をしたまでで……!』

『やっぱり同志中尉はそのくらい張り合いがないとね』

 

 グレーテルはアネットの返しに照れくさそうにしているがどちらにしろここからは一機の撃墜が即座に死につながってしまいそうな危険地帯である。全員が覚悟を決めて突撃を行おうとした時だった。

 

『右前方より友軍機! フッケバインです!』

『ちょうどいいところに来たな。ベルンハルト大尉! レーザー級の殲滅に手を貸してもらえるか?』

 

 友軍機、フッケバインは健在のようで数を保って跳躍をしていた。そこにヨアヒムからの通信が入るが内容はアイリスディーナ達もやろうとしていた事だった。

 

『無論だ。我々はレーザーヤークトを主任務とする部隊だ。この状況での戦闘は望むところだ!』

『いいねぇ! 東ドイツ最強の部隊にお供するんだ。俺たちも気合い入れていくぞ!』

『行くぞ! 総員! 攻撃開始!』

 

 フッケバインと合流した第666戦術機中隊は一斉射撃を開始する。そして、フッケバイン強いてはキュルケ達はシュヴァルツェスマーケンという東ドイツの強さを知る事となる。

 

『あれが旧世代機の動きか!? 一体どれだけの操縦技術なんだ……!』

『東ドイツ最強の称号はプロパガンダだったわけではないのか……』

 

 旧世代機を使っているとは思えない動きにフッケバインの面々は何故東ドイツがここまで持ちこたえられていたのかを理解した。東ドイツでは徴兵によって兵の数こそ豊富に存在するが戦術機部隊は第666戦術機中隊を除いてまともに残っていない。それにもかかわらずここまで持ちこたえられた答えが目の前に存在した。

 

『……』

『キュルケ! 避けろ!』

『え?』

 

 戦術機の運用のうまさを見せつけられたことでキュルケの心に何とも言えない気持ちがあふれてしまった。それが明確な隙となった。ヨアヒムが怒鳴った時にはすでに横から要撃級が迫ってきており、その腕を振り上げていた。

 とっさに迎撃しようとしたがそれよりも先に腕が振り下ろされた。あ、死んだとキュルケは悟ってしまい、目の前に振り下ろされる腕を呆然と見る事しかできなくなった。そして、その腕が振り下ろされ……

 

「ぼさっとするな!」

『……な!?』

 

る前にアルフレートが両腕に持った剣で切り落とし、次に胴体を切り裂いて絶命させた。あまりにも一瞬で起こった事にキュルケは何が起きたのか把握できなかったが助けられたことだけは理解できた。

 

「今は一機の撃墜でも惜しい! 死にたくないのなら最後まであきらめるな!」

『……あ、えっと』

「お前言ってたよな? 私たちを巻き込んで死ぬなと。だからこそ今言ってやる! 俺たちを巻き込んで死ぬな! お前が死ねば俺たちの死だ! そう思って行動しろ!」

 

 そういうとアルフレートは機体の背を向けて跳躍した。嵐の如き勢いに圧倒されていたがキュルケはすぐにハッとすると顔を真っ赤にした。

 

『わかっているわよ! テロ国家に負けてられないわ!』

 

 キュルケは怒りを感じつつ機体を動かしてついていく。復活したキュルケの活躍もあり、シュヴァルツェスマーケンとフッケバインは無事にBETA群を抜け、レーザー級がいるいる位置にまでたどり着いた。しかし、そこには北上していた要塞級が迫ってきており、更なる苦難がアルフレート達に襲い掛かるのだった。

 




次話は2022/11/16 23:07投稿予定です。

唐突だけど他作品をBETAで蹂躙したくなった。何処が良いと思う?なお、BETAはこの作品のやつらとする。

  • GATE
  • 日本国召喚
  • ありふれた職業で世界最強
  • コードギアス
  • 地球防衛軍5
  • 僕のヒーローアカデミア
  • ゼロの使い魔(アニメ版)
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  • 短編にして全部書け!
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