「要塞級だ! 数は8!」
『このタイミングで、か……。仕方ない。シュヴァルツェスマーケン! レーザー級は任せた! 要塞級はこちらで何とかしよう!』
『済まない……!』
『ふ、何。お前たちはレーザーヤークトはお前たちの得意分野なんだろう? ならばさっさと殲滅してこっちを助けてくれよ』
『もちろんだ』
「では俺はフッケバインの手伝いをしよう」
お互いの役割を決めたがアルフレートは要塞級の方に向かうといったがある意味では当然と言えた。そもそも、アルフレートの戦術機は高速近接戦闘型である。そういう点で言えばレーザー級よりも要塞級の相手をするのは妥当と言えた。
『いいのか? あんた監査官なんだろう? 監査対象の傍を離れていいのかよ』
「問題ない。この状況で何を監視する? それに、俺はこいつらを信じている。俺がいなくても東ドイツの為に行動するさ。むしろ俺としてはお前たちが受け入れてくれるかが心配だな」
『は! この状況で戦力が増える申し出を断るほど俺たちに余裕なんてないさ! 監査官殿のお手並み拝見と行かせてもらう!』
「ならばしっかりと見せつけてやるよ。シュヴァルツェスマーケンについていける監査官の実力をな!」
その言葉とともにアルフレートは刃を展開。跳躍ユニットを吹かすと高速で要塞級に近づいていく。その速度は戦術機の出せる速度を超えており、まるでジェット機の如き速度であった。
そんなアルフレートの接近に気付いた一番近い要塞級が触手を振るってくる。50mも伸びるこの触手はレーザー級並みに厄介であり、避けるのも一苦労だがアルフレートは苦も無く躱すと唯一の武器を失った要塞級の懐にもぐりこんだ。
「はあぁぁぁぁっ!!!」
アルフレートは両腕の双剣を平行に構えると速度を上げ、力いっぱいに足を切りつける。速度が乗っていたこともあり足は簡単に切断され、バランスを崩した要塞級は倒れこんだ。
『まじか……! たった一機で要塞級を倒すのかよ!?』
「当たり前だ。俺の機体は本来は要塞級を圧倒するための機体だからな!」
そう話している間にアルフレートは要塞級の真横から一気に突っ込む。要塞級はその体型上左右からの攻撃をうまく対処できない。アルフレートは向かってくる触手を再び躱すと足を二本切り落として見せる。僅か数分で要塞級を二体も無力化するアルフレートにフッケバインは何も言えない。
本当は決死の覚悟を決めていたつもりが蓋を開ければアルフレートの無双を見せつけられていた。今ではフッケバインは倒れた要塞級に止めを刺す作業を安全にこなす事しかやる事がなくなっていた。
そして、順調に要塞級がやられていく隣でシュヴァルツェスマーケンもレーザー級を順調に倒していた。
『レーザー級は残り何体だ!』
『残り20』
『17だ!』
『12!』
『10!』
『5!』
『2!』
『これで! 最後!』
要塞級という最大の障害がなくなった以上この程度の任務はいつもの事だ。テオドールが最後の一体を倒したことで左翼に出現した内陸部のレーザー級は掃討された。
『よし! 要塞級は……』
「今倒した」
そして、レーザー級の殲滅とほぼ同時にアルフレートによる無双も終了した。8体という絶望的な要塞級を相手にアルフレートは難なく倒したようでフッケバインの処理が追い付いていないほどだった。
『あっはっは! どうやら東ドイツ最強っていうのは監査官も含まれるみたいだな! 俺たちの決死の覚悟が無駄になってよかったぜ!』
『もう、あきれるしかないわね……』
あまりにも圧倒的すぎるアルフレートの活躍にヨアヒムは笑い、キュルケはあきれていた。フッケバインの他のメンバーも同じようで似た反応が返ってくる。
そこへ、重金属雲がなくなったことで通信が回復したらしく、国連艦隊から通信が入る。
『国連軍より第666戦術機中隊、および第51戦術機甲部隊へ。レーザー級の殲滅を確認した。右翼においてもジョリー・ロジャースの活躍によりそちらも片付いた。沿岸部は取り戻した。つまり、すべてのレーザー級の殲滅を確認した。これより砲撃を開始する。巻き込まれないように退避されたし』
『こちら第666戦術機中隊。了解した』
『同じく第51戦術機甲部隊。了解だ』
レーザー級の完全殲滅。これが意味するのは砲撃により敵を片付ける事が出来るという事だ。つまり、絶望的とも言えたこの戦闘を勝利で終わらせることが出来るかもしれないという事だ。
シュヴァルツェスマーケンとフッケバインはすぐに戦域を離脱する。その数分後には砲撃が始まり、沿岸部・内陸部のBETA群を駆逐していく。包囲するように展開していたがゆえに一つ一つの敵は少ない。各個撃破されるようにBETA群は駆逐されていき、戦闘開始時には夜だったが夜が明けるころには一面にはBETAの死骸しか残っておらず、動いているものは皆無だった。
そして、それが意味するのは犠牲を出し、予想外の事態に陥ったが海王星作戦を成功させたという事だった。それが分かった瞬間、全兵が喜びの雄たけびを上げ、この勝利を喜ぶのだった。
「3年に及ぶ忍耐も終わりです」
目の前の男の言葉に、私は心臓を握られたかのような感覚に陥った。私の周りに、信用できる者は残されていない。信頼していた副官も気づけば
「海王星作戦は人類の勝利で終わりましたが目的は達成されました」
「……勝利を捨てて得た利益がある、と?」
「聞きますが人類にとっての勝利とは何でしょう?」
「……BETAを地球から駆逐する事でしょう。二度と地球に来れないようにできればもっと良い」
「ではBETAの勝利とは。実はこれは存在しません」
男の外見のくせに口調は女性らしさが見えるために違和感があるがそれを消し去らんばかりの恐怖が全身を襲ってくる。3年前のあの日から、私に心休まる時間は無くなっていた。
「そもそも我々は人類と戦争をしているとは思っていません。簡潔に言えば、開拓。この言葉がしっくりきます。人類が人のいない大地を見つけ、田を耕し、港を整備し、家を建てて街を形成する。人類とはその過程に存在する障害物でしかありません。田で言えば雑草、港で言えば不安定な足場。家で言えば埃、街で言えば災害。我々はその程度の認識なのですよ」
「……なるほど」
ふ、皮肉だな。人類はBETAの勝利で浮かれているが彼らからすれば戦争ですらない。雑草を取り除く際に手を切ってしまった程度なのだ。では手を切らないように手袋を填めてもう一度やりなおす。その程度でしかないのだ。
「それでは予定通りに。決して
「もちろんさ。君達の手を取ったあの日から覚悟は出来ている」
さぁ、始めようか。
次話は2022/11/17 23:17投稿予定です。
唐突だけど他作品をBETAで蹂躙したくなった。何処が良いと思う?なお、BETAはこの作品のやつらとする。
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