アルフレートの逮捕後、彼が戻ってくることはなかった。アイリスディーナはアクスマン中佐が言ったとおりに恩赦を受けてすぐに釈放された。しかし、このことで危機感を持った彼女たちは第666戦術機中隊が存続できるように動き出した。その手始めとして英雄として名を残したこの部隊を教導隊にすることで戦術機部隊の質の向上を図るという提案をすることになった。
教導隊となればシュタージとてうかつには手が出せなくなると踏んでの事だった。当初こそシュタージの根回しにより失敗しかけたものの、交渉を担当したグレーテルが相手側の不祥事で脅す事により無事に達成できた。
そして、交渉を行ったグレーテルに同行したテオドールは帰還するとすぐにアイリスディーナへと報告を行ったが、その帰りに彼はリィズに呼び出された。
「……随分長い間話してたんだねお兄ちゃん。ね、ベルンハルト大尉となにかあるの?」
「?」
「やっぱりお兄ちゃん、シュタージと戦おうとしてない?」
「っ! 何を言ってんだよ! 俺は中隊長に任務の報告をしてただけで……!」
前回にもされた質問。リィズはシュタージに逆らうかもしれないとテオドールに不安を見せていた。その時はそう言った事は本当になく、本音でしないと言っていたが今回は違う。シュタージが本格的に動きを見せてきた以上彼はアイリスディーナが参加していた反体制運動に参加することを決意していた。
そんなテオドールを信じているのかいないのか、リィズはテオドール腕にしがみつき、頭を埋める。
「私、怖いんだよ。決戦も近いのに……。カティアさんやアネットちゃんが、私の事を疑ってて……」
「……!」
「お兄ちゃんも、私の事スパイだと思ってる?」
「それは……!」
状況証拠だけを並べればリィズはスパイと断言出来た。それだけの証拠があった。だが、兄としてのテオドールはそれを否定したかった。
「そうだよね。シュタージに何をされたか分からないんだもん。信用できるわけないよね」
「違う! お前は俺にとって大事な家族だ! 俺はお前を信じてる!」
「お兄ちゃん……」
「みんなだって、お前の事を望んで疑ってなんていないさ」
「それ、本気で言ってる?」
「「っ!?」」
二人の会話に入るように声をかけたのはシルヴィアだった。
「知らなかったわ。あんたたちにあんな過去があったなんて」
そういうとシルヴィアはリィズに拳銃を向けた。
「来い、リィズ・ホーエンシュタイン。お前を拘束する」
「なっ!? どういうつもりだ!」
「不安要素を排除するのよ」
突然の凶行ともとれるシルヴィアの行動にテオドールはかばうように叫ぶがシルヴィアは何のことはないと言わんばかりに答えた。そんなシルヴィアに乗るようにファムも現れ、話し出す。
「自ら怪しさを暴露して話を逸らす。シュタージが考えそうな手だわ」
「そいつが武装警察軍の衛士なら、亡命者狩りをしていた可能性もあるわ。人間狩りをしていたようやつを、中隊においておける?」
「やめろ! これからBETAと決戦だってのに中隊の戦力が減れば……!」
「あたしがフォローする!」
ただでさえアルフレートというジョーカーを失っているのにここで戦力を減らすのか? そんなテオドールの言葉を否定するようにアネットが言った。その後ろではカティアとイングヒルトもおり、シルヴィアの意見に賛同しているのがうかがえた。
「アクスマン中佐も言っていたけど本来、同一部隊に家族は配置しないの。誰かの意志が介在しない限り」
「それは……! リィズ、違うよな? お前がシュタージなんて……」
「当たり前じゃない!」
どんどんとかばう事も出来ない状況になっていき、テオドールはすがるようにリィズに問いかけるがそんな彼女は絶叫とも悲鳴とも言える声で叫んでいた。
「あんな奴らと一緒にしないで! 私は! 私は! 本当に、シュタージじゃない!」
そう叫ぶと、シルヴィアの横を通り過ぎて走っていった。泣き叫びながら、テオドールはリィズの後を追おうとすうが、その行動をカティアが止めた。
「テオドールさん! リィズさんは、私に問いかけてきたんです。大尉が何をしようとしているのかって」
「カティア……」
「テオドールさん。約束、しましたよね?」
カティアのすがるような視線にテオドールは何も答えられない。だが、彼は兄として妹であるリィズを見捨てるという選択肢は、取れなかった。
「済まない……。だけど、俺はリィズを見捨てる事は出来ない」
「テオドールさん!」
そう言ってテオドールはリィズの後を追う。この状況でリィズが行きそうな場所は自室の可能性が高いと彼はあたりを付けて彼女の部屋に向かう。
「リィズ! リィズ!」
テオドールはリィズの部屋の扉をたたく。しかし、部屋から彼女の声は聞こえなかった。代わりに何かが倒れる音が聞こえ、テオドールは悪いと思いつつも扉を開けて中に入る。
「リィズ……。いないのか?」
部屋は暗く、物が散乱していたが、リィズの姿はなかった。テオドールはあたりを見回しながら部屋の奥へと入っていくと、突然扉がしまり、後ろから駆け寄る足音と、抱き着かれる感触が伝わってきた。
「リィズ……! 何を……!」
「お兄ちゃん……」
リィズは服を着ていなかった。裸の状態でテオドールを後ろから抱きしめていたのだ。
「私、お兄ちゃんの事が好き。お兄ちゃんの為なら何でも出来るよ。……でも、今のままじゃ無理だよ。みんなに疑われながら戦えない」
「リィズ……」
「でも、お兄ちゃんが信じてくれるなら……。信じられるものをくれるなら……」
そう言ってリィズはテオドールを見上げてくる。
「お兄ちゃん……。
抱いて」
そう、私はお兄ちゃんの為なら何でもする。なんでもできる。
「お兄ちゃん……」
「リィズ……」
お兄ちゃんのぬくもりが伝わってくる。いつからか抱いていた私の願い。それをこんな形で叶えたくはなかった。
「安心して、お兄ちゃん。私、お兄ちゃんが二度と戦わなくてもいいようにいっぱい頑張るから」
たとえそれがお兄ちゃんの願いでなくても。罵倒されて軽蔑されたとしても私はお兄ちゃんが幸せになってくれるなら何でもする。
「待っててね。お兄ちゃん。必ず、お兄ちゃんを幸せにするから」
そのためだったら、私はシュタージでも、ソビエト連邦でも、欧州連合でも、アメリカでも……
-恐ろしい女だ
声が聞こえてくる。
約束通り、私とお兄ちゃんを助けてくれるのよね?
-約束に足る戦果をお前は上げてきた。あとはお前が裏切らない限り私は約束を反故にすることはない
この手を取ってもう3年。引き返せる時はすぎた。私の事を人々が知ったら裏切り者と罵倒するでしょう。ふざけるなと怒鳴るでしょう。そして、
-最後の命令だ。第666戦術機中隊の面々を全員
……了解しました。必ず任務を遂行して見せます
-期待している。が、忘れる事はないように。
もちろんです。
……私は本来なら予想外の人物。使えるから使っただけ。不利になったり今後の動きに支障が出るのなら捨てるだけの存在。だからこそ、私は頑張らないといけない。たとえ、
次話は2022/11/19 23:33投稿予定です。
唐突だけど他作品をBETAで蹂躙したくなった。何処が良いと思う?なお、BETAはこの作品のやつらとする。
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