「な、なんで……!?」
『なんで? その問いにはもともとこうなる予定だったからとしか答える事は出来ない』
アルフレートはいつものように淡々と伝えるがそれはこの場においては最悪と言えた。何しろ彼が言う言葉はアネットを絶望へと叩き落とす言葉となっているのだから。
『私は確かにモスクワ派から派遣された監査官だ。だからと言ってベルリン派ではないというわけではない』
「今まで、だましていたんですか?」
『騙していた、と言えばそうなるな。とはいえ私の目的は君たちを死なせないことだ。君たちに不利になるような情報は流していないし、報告もしていない。良好な関係を築けるように行動してきたつもりだ。ただ、この瞬間だけ君たちに武器を向けているだけだ』
それでも、裏切り行為には変わらない。アネットはどうすればいいのか分からずに震えていると、アルフレートはため息をついた。
『……どうやら両機ともに出る気はなさそうだが
そういうと同時に、両機のコックピットが自動的に開く、見れば遠隔操作の開閉版を弄っている武装警察軍の兵士がおり、それによってあけられている事が分かった。
「降りろ!」
「ぐっ! ううぅぅっ!!」
アネットは無理やりおろされると地面に叩きつけられ、両腕を拘束された。拘束から逃れようともがけば兵士に押さえつけられてしまう。遠くを見ればテオドールとカティアも同じ様に拘束されており、これで全員が捕まったことを意味していた。
アルフレートは近くに降りるとアネットのもとへと歩いていく。アネットは信じていた相手の裏切りに涙を浮かべながらにらみつけていた。
「安心しろ。お前たちがこれから痛い目に遭う事はない。それに、これは救いでもあるんだ」
「っ! 何が救いだ! 裏切り者が!」
「この意味はすぐに分かる。連れていけ」
「来い!」
「くそ! 離せ! 離せよ!」
暴れてもがくアネットを兵士が二人がかりで連れていく。整備兵も拘束された状態で外に止まっているヘリへと乗せられていく。第666戦術機中隊の面々は複数のヘリにバラバラに乗せられてしまう。
やがてヘリは離陸し、基地を飛び立っていく。アネットと同じヘリに乗せられたのはカティアとファムであり、そんな彼女たちを複数の武装警察軍が取り囲むように座っている。
「アルフレート……。なんで……」
「アネットさん……」
好きな人に裏切られた。テオドールと同じように、それも信じていた相手に裏切られた彼女になんと声をかければいいのかカティアには分からなかった。
雰囲気の暗いなか、ヘリは東へと進んでいく。前線へと近づいていく様子にカティアは不思議に思い、思わずといった様子で武装警察軍に声をかけた。
「あ、あの……」
「……なんだ?」
「っ! わ、私たちはどこに、向かっているんです、か?」
睨まれつつも最後まで喋ったカティアに兵士は意外にも律儀に答える。
「ミンスクハイヴだ」
「えっ!?」
「なっ!?」
だが、帰ってきた答えは予想外のものだった。ミンスクハイヴ。それはBETAの拠点であり、人類が気軽に訪れる事が出来る場所ではない。こんな大人数で向かえば自殺行為ではないか。そんな凶行とも取れる行動をとろうとしている彼らにカティアもファムも絶句してしまう。
「途中にあるゼーロウ要塞陣地にて機体を交換する。さすがにミンスクハイヴまでヘリでいくのは無理だからな」
「本当に、いけるというんすか? それに、あそこはBETAが……」
「問題ない。我々が到着するころには
この時、兵士が言った言葉の意味をカティアは理解できなかったが、ゼーロウ要塞陣地に到着してその意味を知る事になる。
一方、ゼーロウ要塞陣地は再びの危機に見舞われていた。重レーザー級が再び出現したのだ。それも数は倍。とてもではないが持ちこたえられるとは思えなかった。
「第666戦術機中隊は!?」
「そ、それが……! 何度も呼び掛けていますが応答ありません!」
「……」
ゼーロウ要塞陣地を預かる女性司令官は先ほどベルリンでクーデターが発生したという情報を得ていた。相手はシュタージであり、第666戦術機中隊は目をつけられていたことを思えばすでに拘束されていると判断すべきだった。
だが、だからと言って戦局が好転するわけではない。このままではゼーロウ要塞陣地が突破されるのも時間の問題であった。
「っ! 後方よりアンノウン接近! これは……! 戦術機です! シュタージのシュトゥルムヴィントです!」
「シュタージの!? 一体何をしに……! いや、もし救援に来たとしたら……」
女性司令官は突然の事態に驚くがこの状況でなら確実に救援だと考えたが相手はシュタージである。素直に受け入れる事は出来なかった。しかし、劣勢であることに変わりはない。
「……仕方ない。ではシュタージの戦術機に通信を……!」
受け入れる事を決めた瞬間だった。ゼーロウ要塞陣地全体を揺らすような振動と爆音が響いてきた。それも何度も何度もである。明らかな非常事態に誰もが慌てだした。
「何事だ!?」
「せ、戦術機が攻撃を仕掛けてきました! 要塞陣地の火砲が破壊されています!」
「馬鹿な!? シュタージは一体何を考えているの!?」
明らかに凶行としか思えない行動に女性司令官は悲鳴の如き叫び声をあげた。しかし、ゼーロウ要塞陣地の悪夢は続く。
「重レーザー級の攻撃です! 上部の壁が破壊されました! 一部融解しています!」
「火砲の減少によりBETA群の勢いが増しています! このままではすぐにでもここは突破されてしまいます!」
「……」
女性司令官は覚悟を決めた。このままではこの陣地を守り切る事は出来ない。であれば放棄して撤退するしかない。
「政治総本部に通信! ゼーロウ要塞陣地は陥落する! 時間を稼ぐので市民の避難をさせるようにと!」
「そ、それが……。先ほどから政治総本部との通信が出来ない状況にあります。それどころかベルリンの重要拠点どれともです……!」
「なんですって!?」
ベルリンとの通信途絶。それが意味するのは今ゼーロウ要塞陣地を突破されてはベルリンの市民は逃げきれないという事だ。女性司令官は東ドイツという国そのものが滅び去る様子を感じながらもそれでも最後の最後まで抵抗を続けると指揮を続けた。
それが無意味な抵抗であると理解しながら。
「ふむ、予想外にも抵抗は続いているのか……」
カティアたちがゼーロウ要塞陣地に到着したときには地獄絵図と呼ぶにふさわしい光景が広がっていた。ゼーロウ要塞陣地は重レーザー級の攻撃を受けてところどころか融解しており、突撃級が衝突して出来たであろう穴から戦車級や要撃級がベルリンに向かって進んでいる。戦車級が壁に取り付き、もともと黒かった要塞陣地が真っ赤に染まっている。壁に出来た穴から内部に侵入している様子から抵抗が続いているのが分かるが既に大勢は決している状態だった。
そして、カティアたちを驚愕させたのは
「そ、そんな……!」
「これじゃ、ベルリンは……」
東ドイツは全域に渡り、シュタージによって疎開が禁止されているために前線に近いベルリンには今も多くの市民が残っている。それゆえに、今も行列を作って進み続けるBETAによってどうなるかなど一目瞭然だった。
「では着陸しましょうか」
「え!?」
そして、男の言葉に再び驚愕する。下はBETAでいっぱいだ。見ればレーザー級や重レーザー級もおり、迎撃されていないのが不思議なこの状況で男はあろうことか着陸すると言い出した。そんなことをすれば着陸する前に撃墜されるだろう。
しかし、男の言葉にパイロットも素直に従い高度を下げていく。カティアはヘリの真下に大量のBETAが降りてくるのを待っている姿を想像しながら下をのぞけば、まるで着陸の邪魔にならないかのようにBETAが着陸付近を避けて行動していた。
「何が、起きて……」
「まさか……!」
まるで、このヘリを
「……あなたたちは、BETAの味方になったのですか?」
そう、BETAへの恭順だ。何をどう取引したのかは分からないがその予想がこの状況では一番しっくり来た。でなければ自分たちはゼーロウ要塞陣地に近づいた時点でレーザー級に撃ち落されているはずなのだから。
そんなファムの問いに男は笑みを浮かべる。どこか女性らしい、男らしくない笑みはまるでファムが的外れな問いをしているのを笑っているかのようだった。
「味方も何も
反体制派? そんなものが活躍できると思ってます?(シュヴァルツェスマーケン後半全カットという凶行)
次話は2022/11/22 23:04投稿予定です。
唐突だけど他作品をBETAで蹂躙したくなった。何処が良いと思う?なお、BETAはこの作品のやつらとする。
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