第三十三話「オルタネイティブ3」
劣勢を強いられているソビエト連邦だが彼らには切り札とも言えるものが存在する。それはESP能力という他者の思考を読み取る者たちを用いた計画、オルタネイティブ3である。これはこのESP能力者を人工的に生成、育成してBETAの思考を読み取って情報収集や和平の道を目指すというものである。
1973年のBETA侵攻より始まったこの計画は13年を迎えてようやく最初の能力者を戦線に投入する事が出来るようになった。彼女たちはその能力を用いてハイヴに突入。そこにあると思われるコアから情報を得るために動き出した。
「……というわけでそいつらがまもなくここにやってくるわけだ」
「……余裕を見せていていい相手なのか? 聞く限り厄介だと思うが」
「そこまで問題じゃないよ。
そう、オルタネイティブ3だが俺はこれを詳細に把握している。理由? 簡単さ。彼らの計画に東ドイツも加わったからだ。いや、違うな。ESP能力者を運ぶ護衛に第666戦術機中隊が選ばれたっていうのが正しい。彼らはハイヴ攻略ではなく奥にたどり着き帰還することを第一としており、そのために突入部隊は戦術機のみというかなり特化した状態となっている。
「そしてそんな彼らを迎撃する役目を君、アイリスディーナに任せるというわけさ」
「なるほど、この1年の成果を見せてみろという事だな」
「そういう事。無論逃がすと大変だから退路は絶つし通信も妨害する。アイリスディーナはただ敵を倒す事だけを考えてくれればいいよ。ああ、でもESP能力者だけは生かしておいてね。どういう存在か興味があるから」
「了解した。私としてもグレーテル以外の相手が欲しかったところだ。このチャンスを有効に使うとしよう」
本当にアイリスディーナは素直になった。彼女が最も改造前と性格が変わっていないな。見てくれも良いし人間だったら手を出していたかもしれない。そんな欲求がない今の体としてはそんなことをするつもりはないけどな。
「ここはオルタネイティブ3の為にわざわざ作り上げたハイヴだ。壊れても何の問題もないから好きに暴れて構わないからね」
「そうか? では精々満足できるように暴れるとしよう」
フェイズ2にまで成長させたこのオリョクミンスクハイヴ。ここはまさに蟻地獄と呼ぶにふさわしい場所だ。精々オルタネイティブ3の少女たちにはかわいらしく踊ってもらうとしよう。アイリスディーナという乱舞の花としてな。
『これよりハイヴに突入する! 一人でも多くの姫君を玉座まで連れていくぞ! 君主気取りのやつらから王冠を奪い取るぞ!』
『『『『『Уpaaaaaaaaa!!!』』』』』
オルタネイティブ3を計画し、必要なESP能力者を確保したソビエト連邦だったが最大の難関が存在した。BETAは決して前線付近にハイヴを作らない。周辺一帯がBETAの勢力圏となって初めて建設するのだ。つまりESP能力者を乗せた戦術機をBETAの勢力圏内を横断してハイヴに突入しないといけなかった。
そんなことをすればハイヴにたどり着く前に撃墜されてしまう。頭を抱えるソビエト連邦だったが前線に近いオリョクミンスクにハイヴが建設された事で一筋の光明を得た。そもそもシベリアは東に行けば行くほど軍が展開されている。西にはほとんど兵がいなかったことで周辺を制圧したとBETAが誤認したというのが有識者の考察だがこの手を逃す事はないと言わんばかりにソビエト連邦はすぐさまオルタネイティブ3を発動。ESP能力者10名とその護衛として1個大隊36機が参加した。彼らは全滅することを覚悟しているがだからと言って作戦を失敗に終わらせるつもりはなかった。
『大隊長! ハイヴです! ハイヴが見えました!』
『よし! 総員警戒を怠るな! この周辺でレーザー級は確認されていないがそれでも用心は必要だ!』
『もちろんです! この日のために行ってきた訓練はばっちりですよ!』
隊員たちの士気は高く、誰もがこの日のために訓練を行ってきた彼らにとってはこのくらいどうという事はない。実際、彼らはハイヴから迎撃に出てきたBETAを苦も無く倒すと一機の撃墜もなくハイヴへと突入する。これまでにハイヴ侵入に成功した例はソビエト連邦への侵攻の原因となった奇襲作戦以来初の事であり、2回目もまたソビエト連邦が独占するに至った。
『っ! カシュガルハイヴのデータとは大分違っているな……』
地中に通じる穴へと飛び込んだ彼らだがホールや分かれ道が一切ない道をひたすらに降りていく。
『大隊長、これって罠なんじゃ……』
『可能性は高い。だが、我々の目的は姫君の護衛。ハイヴの攻略ではないとはいえ中心部に近づく必要がある。ギリギリを見極めるぞ』
そしてそこからどれほど降りた頃だろうか?地下深いためか司令部との通信は出来なくなり、引き返そうかというタイミングでついにホールへと出た。しかし、そこはメインホールと思えてしまうほど巨大な空洞であり、中心地には一機の戦術機が鎮座していた。
『あれは戦術機!? 何故ここに……!』
『っ! 馬鹿野郎! こんなところにある以上理由は一つしかないだろ!』
『あれはBETAだ!』
大隊長がそう叫ぶと同時に、その戦術機は動き出した跳躍ユニットを吹かすとまるでテレポートと間違えそうな程の速度で以て一番近い位置にいた戦術機のコックピットに双剣を突き刺した。
一撃で以て撃墜した戦術機にようやく大隊の面々は動き出し、射撃を開始するがあまりにも速いその戦術機には一発も当たらなかった。それどころか戦術機は逃げながら背中の装甲を開くと、そこに内蔵されていた照射粘膜からレーザーを発射した。それは照射粘膜を中心に半円形上にレーザーを拡散し、その背を追いかけていた大隊をレーザーの餌食にしていった。
『敵後部にレーザー級の照射粘膜があるようです! それもあの様子だとかなり厄介な代物かと……!』
『くそ! 総員背後に回り込むな! 敵は後方を守るすべを持っているようだ! 死にたくないなら前方から切り込め!』
『『『『『Уpaaaaaaaaaa!!!』』』』』
その指示を聞き5人が前方から切りかかる。2人が長刀を構え、その後ろから3人が支援をする。それに対してBETAの戦術機は動きを止めると今度は腹部の装甲を開く。そこには重レーザー級の如き照射粘膜が存在した。
『っ! 避けろ! レーザーがくるぞ!』
しかし、大隊長の指示は間に合わなかった。指示と同時に重レーザー級のレーザーが発射。射線上にいた5機の戦術機は一機残らず破壊される。この間僅か数分。たったこれだけの時間で6機を撃墜させたBETAの戦術機を前に大隊長は決断する。
『……退却だ! これ以上の戦闘は厳しすぎる! 総員急いで来た道を……!』
『大隊長! 来た道がありません!』
『なんだと!?』
大隊長が来た道の方向をみればいつの間に閉じたのかそこには大量の砂や土で防がれた姿があった。一番近い出口を潰されたと大隊長は歯噛みする。とはいえ道はもう一つだけ存在する。入ってきた方向とは別、まるで守護神のごとく存在していたBETAの戦術機の後方に続く、ハイヴの中心部への道が。
『……総員傾注! これより我々は敵の中枢に続くと思われる道に突入する!』
『っ! 大隊長、それは危険では……?』
『このままここにいるよりはマシだ! 道がふさがれた以上留まるのは危険すぎる。だが、中枢に行けば他の出口が探せるかもしれないし、我々の本来の目的を達成できるかもしれない!』
『……了解しました! では私が殿を務めます』
『なら私も!』
『俺も残ります!』
『……済まない。必ず脱出して見せる! 総員行け!』
3機の戦術機を足止めに残し、残りは全て中枢へと向かっていく。3機の戦術機は命をかけてBETAの戦術機の足止めを開始する。銃を撃ち、位置を特定されないようい動き続けるが大隊を追いかけられないように通路からは離れない。そのように動き回る事でBETAの戦術機の足止めに成功するがそれは僅かな時間でしかなかった。
まず、1機目が先読みをされてレーザー照射を受けて撃墜。2機目は近接戦闘を行い、敵の長刀を根元から切り落とし、四肢を切り落とすとコックピットに双剣を突き刺して破壊。そして最後の3機目は狂ったように銃撃を行ってきたがそれらすべてを避けていき、ゼロ距離からのレーザー照射を受けて破壊された。
「……それなりに手ごたえのあるやつらだったな。初実戦としては上々と言えるな」
計9機の戦術機を一人で破壊したアイリスディーナは戦闘をそう評価すると跳躍ユニットを吹かして隊長機の後を追いかけるのだった。
佐渡島防衛の時にあった突撃級が防護壁を登ろうとして前足動かしている姿可愛くないですか?BETAの人形が欲しいとマジで思ったよ
……と思ったらだいぶ可愛らしいのが売られてた
次話は2022/11/27 23:09投稿予定です。
唐突だけど他作品をBETAで蹂躙したくなった。何処が良いと思う?なお、BETAはこの作品のやつらとする。
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