【本編完結】BETA転生   作:鈴木颯手

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第四十七話「明星作戦1・始動」

 ふふ……

 

 はは……

 

 あはははははははっ!!!!

 

 やっぱり楽しいわぁ! これだからやめられないのよ!

 

「……ガブリエル。今回の一件は説明してくれるんだな?」

「もちろんですよ」

 

 ふう、怖い顔をしているわね。彼、と言えばいいのかしら? 彼でも彼女でもないけれど名前はないし彼と便宜上呼ぶことにしましょうか。彼は見ただけでも怒りを露わにしているわね。

 

「ならば聞かせてもらおう。何故、態々前線にハイヴを建設したのか。佐渡島はまだ理解できる。あそこからならBETAを日本中に送り込めるからな。だが、横浜の方はなんだ? 建設の理由が不明すぎる。しかも態々()()()()程の事でもあるのか?」

「もちろんですわ。とは言え先に言わせてもらえれば別に横浜だから建設したわけではありませんわ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の話ですわ」

 

 それさえかなっていれば横浜じゃなくても問題はありませんでした。佐渡島は()()()()()()()()()()()()()()と言って途中から彼が指揮してしまっていましたし、それ以外の日本ではほとんど一般市民はいませんでした。そんな中で横浜に侵攻したときには逃げ遅れた一般市民が大勢いましたわ。

 

「だから横浜に作ったと? だがそれでは……」

「攻撃を受けると言いたいのですね? 問題ありませんわ。彼らが行動するのも計画のうちですので」

 

 私が考えているのはこうだ。まず、この横浜において快楽実験を行う。人間をどのように刺激すれば()()()()()()()()()()()()()()()()()()を知りたいために一般市民を使って実験します。そして、そんな彼らをハイヴ攻撃に来た者たちに見せる事でその表情を楽しめるでしょう。ハイヴ攻略戦はきっとすぐにでも行われると思いますわ。こんな前線にハイヴが建設されるなんて今までなかったんですもの。だからBETAの勢力圏内の奥深くに位置してしまう前に攻撃してくると予測しています。たとえ罠だと分かっていたとしても。

 

「……なるほどな。だが、この計画だとハイヴの中枢にまで入り込ませるのだろう? 問題ないのか?」

「ええ、実はこのハイヴは特殊なつくりにしようと思っています。

まず、メインシャフトを深く掘ります。具体的にはフェイズ4あたりまで掘れれば言う事はないですね。そしてそこに死角となりやすい位置を作り、レーザー級を配置。欲を言えば重レーザー級がいればいいんですが数が少ないので無理強いはしませんわ。後は穴の下まで降りた人間を四方八方からレーザー攻撃で袋叩きにする、というものですわ」

「理解は出来たがうまくいくのか? 一撃で葬り去れなければ反撃が来るぞ」

「その時は最下層にドリフトを作って大量のBETAを用意。それらで殲滅すればいいのです。そのために横浜ハイヴは地上に通ずる道をメインシャフトのみにして横道を潰します」

「……まぁ、良いだろう」

 

 ふふ、あなたならそう言ってくれると思っていましたわ。

 そう、この横浜ハイヴは意図的に用意された狩場。かつてのオリョクルミンスクハイヴとやっている事は同じですわ。ただ、それが戦術機の実戦であったか人類を狩る為のものかの違いでしかありません。

 ああ、楽しみですね。戦術機は破壊する必要がありますが一般兵が入ってきた場合はわざ殺さずになぶるように攻撃しましょうか。闘士級を使って両足を潰し、そんな状態で石を投げさせて遊ぶ。……いい、良いです! これならいつまでも楽しめそうですわ!

 

「アメリカは日米安保条約を破棄して撤退したみたいだし日本に構う事はないだろう。そっちからの増援はないとみて間違いないだろう」

「ふふ、米軍がなんですか? この狩場はアメリカ軍にも有効ですよ?」

「G弾を用いる可能性もある。油断はできないだろう?」

「確かに日本で使用する可能性はありますがそれならカナダの方が先でしょう?」

 

 カナダはグレーテルさんが執拗に人的損耗を念頭に置いて攻撃しています。元々カナダは不毛の土地となっていますし今更G弾を落としても問題はないでしょう。

 

「……お前が良いなら止めないがまさかここで観察するのか?」

「もちろんですよ。実際に見てこそ楽しいのですから」

 

 どっかの誰かさんのように奥で引きこもっているなんて私には出来ませんね。リスクを背負って行動してこそ楽しいのですから。

 

「……まぁ、良いが死んでもお前の肉体に予備はないし復活は出来ないからな?」

「あら? そんなもの必要ありませんよ」

 

 そんな分かり切った安全なんていりません。あなたはそうやって安全に安全を重ねて後方で震えていればいいんですよ。私はあなたに作られた以上逆らいはしませんがだからと言って行動まで縛られる事はありませんよ?

 

「そうか。それじゃ俺はこれで失礼するとしよう。佐渡島と京都で確保した娘達を改造しないといけないからな」

「ええ、どうぞごゆっくり」

 

 そうやって女のお尻を追いかけているといいわ。私は私で楽しむだけですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明星作戦(オペレーション・ルシファー)ね……。まぁ、仕方ないわ」

 

 香月夕呼はオルタネイティブ4の責任者として日本帝国の帝都機能が移転された仙台にて活動を行っていた。そんな彼女の最近の仕事内容は目前に迫ってきた明星作戦の準備である。既に必要な手筈は整っており、今日にでも参加する兵が横浜に向かう事になる。夕呼は非戦闘員である為にこの仙台で見守る事しかできない。

 

「どちらにしろ()()()()()()()()()()()()という気持ちも分かるし隠れ蓑になっている以上ここで使うのは理に適っている、と言いたいわね……」

 

 夕呼は手に持った明星作戦の大まかな内容書類を見て眉を潜める。納得もしたし理解もした。だけど人間として、日本人としての夕呼の心は否定していた。今すぐにでも止めたい。そんな気持ちが襲ってくるがそれを義務と責任感でもって押しとどめる。既に賽は投げられたのだ。作戦の変更も中止も出来ない。

 

「横浜ハイヴにG()()()()()()()()()()()()()()()()……。もしオルタネイティブ5が本格的に始まればこれが通常の行いになるのよね……」

 

 G弾の威力はこれまでの起爆実験で立証済みだ。そしてその結果もたらされる被害にも。それでも、今のオルタネイティブ4はオルタネイティブ5のG弾の運用を隠れ蓑にして発動している。それを示すためにもG弾は一度使っておく必要があったのだ。そんな中での横浜ハイヴの建設はまさに渡りに船であった。

 

「BETA、あなたたちが何を考えているのか知らないけど、これまで人類が失ってきたもの、その一部だけでも返してもらうわよ」

 

 夕呼は決意を秘めた瞳で横浜ハイヴが撮影された写真を睨むように見ながらそう言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 様々な人物の思惑や決意が重なりあい、複雑に絡み合った明星作戦が今、幕を開けようとしていた。

 

「……」

 

 そしてそんな作戦の舞台となる横浜ハイヴをあ号標的ははるか遠く離れたカシュガルより真剣な表情で見つめるのだった。

 




次話は2022/12/11 23:24投稿予定です。

夕呼先生の処遇

  • 人類と運命を共に
  • 繁殖場に
  • 脳くちゅ
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