【本編完結】BETA転生   作:鈴木颯手

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第四十九話「明星作戦3・事後処理」

「艦隊損耗率8%、各戦術機部隊総合損耗率2%。戦車部隊及び一般歩兵部隊ともに損耗率0%。……結果だけをみれば大勝であったな」

「ですが結果的にG弾を披露する事になりました。必要な事だったとはいえBETAはなにかしらの対策を講じてくると思います」

 

 横浜ハイヴの攻略を目的とした明星作戦は全て順調に進み、見事攻略に成功した。人類が初めてBETA相手に勝利したといってもいい作戦であったがその分失ったものも大きい。

 まず、G弾発射までに消費した弾薬。次に太平洋上に展開していた艦隊。これらの補填は既に行われているために問題はなかった。しかし、G弾の発射によって各国ではG弾の脅威論が浮上している。G弾を現状保有する国はアメリカしかいない。そして、アメリカはこれまでに様々な失態ともとれる行動を起こしている。時間が経過したとはいえソ連が発表した内容をいまだに信じている者も多い。

 

「各国の反応は想定内だ。むしろ事前に説明をしたために批判的な声は上がっていない。問題はその下だ」

「下……。その国の国民達ですね?」

「ああ、最悪な事に一部の国では暴動にまで発展している。アメリカという裏切り者を今すぐ倒すべきだとな。全く、これもBETAの仕業かね? 彼らの気持ちも分かるだけに何と言えばいいのか分からないぞ」

 

 そう話す国連の高官は肩をすくめているがそれに対して香月夕呼は毅然と答えた。

 

「確実に噛んでいるでしょう。暴動の発生から鎮圧までの流れをみれば一目瞭然です。彼らの中には銃火器で武装する者もいました。詳しいルートは分かっていませんがただの暴動でそんな武装が出てくるとは思えません。それも百丁近くも」

「BETAは人類の結束を引き裂く行為が好きなようだな」

「ただ出来るから実行しているだけかもしれませんよ? 人類の結束なんて脆いものなんですから」

 

 そもそも、カシュガルハイヴが出来た時でさえ中国が独断専行を行い、被害を拡大させている。その時から人類は結束なんてできていなかったのだ。それなのにBETAの手が入り込んだ現在で一致団結するなど不可能に近い。

 ならばするべき事は数少ない信頼できる者のみで敵の中枢を一気に破壊する。それを行うために必要な情報を集めるのがオルタネイティブ4であり、G弾投下と他星系への移住を目的としたオルタネイティブ5を隠れ蓑にしているのだ。

 

「そういえばついにオーストラリアにもハイヴが建設されたそうだ。南東部のミルパリンカに確認できた」

「これでオーストラリアはBETAの手に落ちますね」

「全く……。ようやくハイヴを一つ攻略したというのにこの調子では地球がハイヴで埋め尽くされてしまうな」

「ですが確実に人類はBETAへの反抗の準備を整えつつあります。特に横浜ハイヴで見つけたこれなんかは非常に助けとなるでしょう」

 

 そう言って夕呼が手に持ったタブレットの画面を高官へと見せる。それを見た高官は不愉快そうに眉を潜めつつ夕呼に問う。

 

「本当にこれが役にたつのかね? 私としては今すぐにでも楽にさせるべきだと思うが……」

「あたしは人類を救うためならどんな非道な行為も行いますよ。それで後世の人に貶されたとしても」

「……分かった。どちらにせよオルタネイティブ4の最高責任者は君だ。君なりの方法で頑張り給え。我々はそのために支援をしよう」

「ありがとうございます。では早速ですがこれを運用するにあたり横浜ハイヴ跡地に国連軍の基地を建設していただきたい。表向きは前線基地兼特殊部隊の訓練場として」

「裏ではオルタネイティブ4の本拠地として、か。確かにこれを見る限りハイヴ跡地から動かせないな。分かった。日本政府と協議しつつ実行にむけてなんとかしよう。それで? 人員は決めているのか?」

「ええ。あたしの友人に()()()()()()()()()()()()がいます。今は帝国軍で部隊長として頑張っていると風のうわさで聞きました。これがその詳細です」

「……ほう? 中々に優秀な経歴だな。そして出自もはっきりとしている。強いていうのであれば()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()事くらいか。だがその後の調査で怪しい行動もない。問題はないだろう」

 

 そう言って高官は()()()()()()()()()()()()()が記載されたタブレットを夕呼に返す。その後も二人は実務的な話を続け、オルタネイティブ4の今後について調整を行っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「横浜にてG弾が使用された」

「! それは本当ですか……!」

 

 ソ連領シベリア。BETAとの最前線となっているそこにある基地でアルフレートはアネットとイングヒルト、その他数名を集めて会議を行っていた。しかし、その議題に上がった内容に誰もが絶句する。この場にいるのは全てBETAに精神を書き換えられた者。いうなればBETAの尖兵と呼べる者たちだ。

 そんな彼らもG弾の事は知っていた。しかし、実際に使用されたのは今回が初めてであり、そのこともあり誰もが驚きを露わにしていた。

 

「これによって横浜ハイヴは上部構造物が吹き飛び、二発目で中部までが破壊された。その際に指揮を執っていたガブリエルが死んでいる」

「想定以上の威力ですね。確か重力がなんちゃらで迎撃も難しいんですよね?」

「そうだ。G弾はG弾でしか迎撃出来ない。とは言え数が有限だ。今はそんな事よりも受け取った指令を伝えるのが先決だ。

我々東ドイツは今後も継続して戦闘を続けよとの事だ。幸いここ数年で東ドイツはほぼ手中に収めたと言っていい。ソ連内部にも大量の内通者を作り上げている。もはや共産陣営は我々の操り人形と言っていい。問題はアメリカだ」

「アメリカですか? でもオルタネイティブ3と中華帝国、そしてカナダへの上陸で国際的影響度は低くなっていますよね?」

 

 今更アメリカに何の用だとイングヒルトが声を上げるがそれにアルフレートは簡潔に答える。

 

「そのアメリカがG弾を持つ唯一の国だ。警戒するに越したことはない。それにやつらは国際的影響度や信用度を落としているが生産能力や国力においていまだ世界トップだ」

 

 削げたのは周囲への心象であり、力ではない。アルフレートはそう考えていた。その言葉に誰もが納得し、改めてアメリカへの警戒を強める事となった。

 

「そういえば最近BT-03が開発されたらしい」

「03……。それって日本侵攻時に手に入れた同志たちのために?」

「その通りだ。彼女たちはもともと日本人。つまりピーキーな性能に慣れている。そんな彼女たちのために作られた機体だそうだ」

 

 BT-03ヤーパンは日本の設計思想である密集格闘戦・近接射撃戦に特化した機体となっている。機動性能はシュトゥルムヴィント、ゲシュテーバーを凌駕している上に燃費も上がっている。一方で機動性を確保するために防御は薄くなっている。武装は74式長刀を基に突撃級の正面装甲で作られた頑丈なものとなっている。

 

「加えて専用機の開発も始まっている。BT-04と仮名されているらしいがかなり高性能になるようだ」

「専用機って事はあいつ以外扱えない代物になるってことだよな?」

「そうだ。まだ詳しくは確認できていないがすくなくとも生半可なもので終わるはずがない。大型の機械の龍と呼ぶべき超兵器も研究しているらしい」

「えぇー。そんなの完成したら人類に勝ち目ないじゃん」

「そもそも今の時点で人類に勝利出来る可能性は低い。太平洋にオリジナルハイヴのバックアップハイヴの建設が進められている。既にフェイズ3相当になっているそうだ」

「あれ? それならもうバックアップはしているのか?」

「していないそうだ。残念ながらまだ重頭脳級の予備を配備するには内部が完成していないらしい。海中での作業だ。仕方ない面もあるだろう。完成は2002年ごろを予定している」

「って事は()()()と同時にバックアップハイヴが起動するって事か。それは面白そう!」

「そうなるだろう。それまでに我々は自らの任務をこなし、その日に備えるぞ」

「「「「「了解!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 大崩壊。BETAが位置づけた人類の()()()()。その日が設定できてしまう程人類に後がなく、あ号標的は勝利できると予測を立てていた。

 オルタネイティブ4に向けて準備を進める香月夕呼と人類に止めを刺すべく準備を進めるあ号標的。圧倒的にBETA有利で進む中でついに2001年を迎え、両者にとってキーマンとなる主人公。白銀武は横浜に姿を現した。

 




次話は2022/12/13 23:12投稿予定です。

夕呼先生の処遇

  • 人類と運命を共に
  • 繁殖場に
  • 脳くちゅ
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