「日本帝国でのクーデター、ねぇ……」
12月5日。今日驚くべき報告が上がってきた。日本帝国でクーデターが発生したのだ。一部の帝国軍が将軍を蔑ろにする政府に不満を持ったが故の行動だったらしいが、ぶっちゃけ驚いている。なんてたって俺はなんも関与していないんだから。とは言え中国人の暴動の時点でそれっぽい動きはあったから予測は出来たかもしれないがだからどうしたとしか言いようがない。別にクーデターを成功させようとさせまいとこっちの不利になる事はない。大なり小なり犠牲は出て混乱する。その隙をついて侵攻させるのもありだがどうせならもう少し弱らせたい。日本をいただくのは終焉の日と決めているからな。
「それに主人公らしきものも候補はあれど確証には至っていない」
俺が撒いた特殊な個体から得た情報の一つ。
「にしてもこの横浜基地、なかなかに厳重だな」
オルタネイティブ4の最高責任者である香月夕呼が厳選しただけの事がありこの基地に人間級は入り込めていない。整備兵一人に至るまではっきりと身分が証明できる者のみで固められている。明らかに人間級の存在に気付いている証拠だ。
衛士の訓練兵だって親が帝国軍の将校、皇族、国連事務次官、日本帝国総理大臣、情報省の課長と権力者の娘達ばかりが揃えられている。一体どうやって集めたんだと聞きたい程のそうそうたる面々だ。これでは基地にもぐりこませることも出来ないし、まりもちゃんからの情報提供で我慢するしかないな。
「んー、しかし。こうしてみるといよいよ最終局面と言えるな。アイリスディーナ、お前はどう思う?」
「私ですか? そうですね……。おそらくですが人類の動き次第で時間が大幅に変わってくると思います」
「人類の動き、ねぇ。それは反抗作戦をするか否かで温存される国力が変わってくるって事だろ?」
「その通りです」
確かにそうだな。いまだアメリカはかなりの国力を有しているし日本も見方を変えればクーデターを行ってしまえるだけの余裕があると言える。本当に余裕がない国はクーデターすら出来ないからな。
「反抗作戦をさせたいのであればこのままじわじわと侵攻を続けるのが得策です。反抗作戦を行う余裕を与えれば確実に実行に移すでしょうから」
「でないと人類は滅亡するからな。反抗作戦実行まで時間はかかるがそれすらさせない強気の攻めで侵攻するよりかは早く決着がつくか」
「その場合は欧州連合を最初に潰すべきでしょう。そして欧州のBETAを地中海を通じてアフリカに送り、聖戦連合軍の背後を脅かすのです」
「確かにそうなれば聖戦連合軍は戦力を割かないといけない。10年以上耐え続けてきた頑強な防衛線を崩す事が可能となるな」
そうなった場合はアメリカに工作をするのも忘れてはいけない。アメリカはG弾という厄介な兵器を保有している。止める手段は用意しているが一番いいのはそもそも使わせないことだ。発射前にG弾を使用不可能にしてしまおう。そのための保管場所も特定しているしな。
「そういえば人類が海上に逃げた場合はどうするのですか? 流石に海中や陸上からレーザー照射をするのは厳しいと思いますが……」
「心配はいらないさ。アルフレートからの報告で東ドイツは完全に掌握し、ソ連も8割がた取り込み終えている。それらの国の戦艦や輸送艦を用いるさ」
輸送艦だってレーザー級と重レーザー級を乗せれば戦艦すらしのぐ最強の戦闘艦艇に変貌する。それが出来ない場合は海を干上がらせるだけだ。そういやハイヴ内の人間の為にも水を確保しないと。このままいけば地球は草木一本存在しない惑星になってしまう。そうなれば大気は薄くなったり酸素が消えたりして人間が住めない土地になってしまうだろう。それに備えた地下環境の改善を図らないといけないか。
「少しもったいない気もするが別にいいか。今更な話だしな」
「……?」
「あ、いや。なんでもないよ。こっちの話だから気にしないでね。そんな事よりもいつでも出撃できるように準備は整えておくように。終焉の日が早まらないとも限らないしその前に人類にお披露目をする可能性だってあるからな」
「了解しました。ですが我々はいつでも出撃できる準備は整っています。あなたがつれてくるように命じた日本の少女たちもBT-03の扱いを完璧にしています。さすがにエリート候補生だけあり実力は我々にも劣っていません」
「へぇ? アイリスディーナがそういうって事はかなりの実力者って事だな」
東ドイツでは数年、BETAとして18年間戦術機を乗っているだけあってアイリスディーナの実力はBETAの中でトップだ。そんな彼女が手放しでほめるあたりいい拾い物をしたって事だな。
「その後にひろってきた佐渡島の少女もなかなか高い実力を見せています。さすがに一般人であったために実力面では劣りますが経験を積めば十分強くなれる人材と言えます」
「って事は拾っていて正解だったな。衛士でもなっていたら中々手ごわい相手になっていたって事だしな」
あの時、祖父と思わしき人物にロッカーの中に入れられる少女を目にしていなければ見逃してしまっていたかもしれない。でもあの娘も哀れだな。押し込められ、気絶してしまったが目を覚ました時には人ではなくなっていたんだから。そしてそれを頭できちんと理解できるのに恐怖を抱くことも悲しむことも出来ずに淡々と受け入れてしまっている自分を把握できる。やはりこういった改造は楽しいなぁ。
「んじゃ今以上の実力を身に着けられるようにしてくれ。撃墜される可能性だってあるんだ。アイリスディーナ達第666戦術機中隊の面々は肉体のバックアップが出来ているがあいつらはまだできていない。撃墜されて死んでしまえばそれでおしまいだからな」
「了解しました。そうならないように訓練をさらに厳しくしましょう」
おや? 何か言ってはいけないようなことを言ってしまったか? まぁ、訓練だし死にそうな目にあっても実際に死ぬわけじゃないし甘んじて受け入れてくれよ。これも実力をつけさせるには必要な事なんだから。
「ああ、それと今北欧に
「なるほど。それは楽しみですね」
アイリスディーナはそう言って笑う。きっと俺も笑っているだろう。全世界への大規模侵攻の開始時に手に入れた人間。それを改造して生み出した
勇猛果敢な部族の少女……。一体何ンダル少尉なんだ……
次話は2022/12/17 23:21投稿予定です。
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