【本編完結】BETA転生   作:鈴木颯手

59 / 93
大雪のためかネット環境が悪いです。
投稿出来ない可能性も出てきました


第五十七話「甲21号作戦2・開始」

 2001年12月25日8時56分。ついに人類はBETAへの反撃の一歩を踏み出した。

 

「国連軌道爆撃艦隊の突入弾分離を確認! 5、4、3、2、1……甲21号よりレーザー照射確認!」

 

 連合艦隊第一戦隊の旗艦を務める最上の戦闘指揮所では甲21号作戦の開始によって始まった最初の一撃が報告される。

 そしてそれをレーザー級が迎撃に移る一定の距離に入ったらしく、メインモニターに映る突入弾が次々と撃墜を示すLOSTで埋め尽くされていく。

 

「作戦区域上空に重金属雲発生。なおも拡大中」

 

 しかし、それは人類にとっては何の問題もない迎撃だ。そもそもレーザー級という明確な脅威が存在する以上迎撃される事は想定内であり、人類は迎撃されることを前提とした重金属雲というレーザー照射の威力を抑える雲を発生させる砲弾を撃ち込んでいた。結果、BETAは遠距離の火力を減少させられる結果となった。

 

「撃ちー方ー、はじめ!」

 

 そこへ間髪入れずに第一、第二戦隊を含む全艦艇による砲撃が開始される。一度は迎撃をしてしまったためにこの艦砲射撃を撃ち落すレーザー級はほぼおらず、次々と沿岸部に展開していたBETAを吹き飛ばしていく。

 

海神(わだつみ)分離。分離後各潜水艦浮上してミサイル攻撃に入れ!」

「ウィスキー部隊各機甲師団は上陸に備えよ」

 

 強襲上陸用の戦術機である海神は陸上における機動性能こそないに等しいがその代わりに水中における航行能力と火力に特化した機体となっている。これらが一斉に上陸したことで上陸地点のBETAは次々と掃討されていく。ハイヴ周辺の部隊だったからか、突撃級を先頭とした何時もの陣形ではなくすべてのBETAが入り乱れる秩序ない様相となっていた。

 

「海神、八幡新町上陸を確認」

「旧中興へ侵攻。旧石花、金丸、畉田を制圧」

「ウィスキー部隊各機甲師団へ。上陸を開始せよ」

 

 今回の作戦において投入された3つの部隊の一つ。ウィスキー部隊が指示に従い上陸を開始する。戦術機は跳躍ユニットを吹かして飛び、戦車等は上陸艇を用いて海上を進む。

 が、そこまで楽に人類を上陸させるほどBETAも甘くはない。飛び立った戦術機の一機を極太のレーザーが飲み込む。重金属雲というレーザーの威力が減少されている中、そのレーザーは佐渡島ハイヴに重レーザー級が存在する事を指していた。

 

「スティングレイ1よりHQ(ヘッドクォーター)! 支援砲撃を要請する! 重レーザー級が戦術機母艦を狙っているぞ!」

 

 その直後、重レーザー級が第二射を発射。その一発が戦術機母艦に命中し、中にいた戦術機ごと爆沈した。その後も次々と重レーザー級の攻撃が飛んでいき、ウィスキー部隊は作戦開始してすぐに多大な損害を出していった。

 

「作戦第2段階進行中。帝国連合艦隊第2戦隊は砲撃を続行。残弾40%」

「ウィスキー部隊上陸に成功。旧八幡新町及び旧川原田本町を確保。機体損耗率7%」

 

 それでも上陸には成功し、戦線を内陸部に押し込んでいく。佐渡島には沿岸部に防護壁が築かれていたが僅か3年でそれらは残骸が多少残っているだけという状況になっていた。ウィスキー部隊の一員として上陸した第九九九懲罰大隊の駒木咲代子はかつて佐渡島の防衛に参加していた者の一人として言い知れない気持ちを抱いていた。

 

「HQよりエコー艦隊。現時刻を以って作戦は第3段階へ移行。砲撃を開始せよ」

 

 そして、西側にBETAの眼を引き付けた事で作戦は次の段階に入った。国連軍を中心としたエコー艦隊が佐渡島の東側、両津港を目指して進んでいたのだ。

 HQからの指示を受けて国連軍艦隊の司令長官は待ちわびたと言わんばかりに声を張り上げて攻撃の命令を下す。それにより東側に展開していたBETAが気付くがレーザー属種は全て西側に引き付けられている。砲弾を迎撃してくれる物はおらず、次々と吹き飛ばされていく。

 

「エコーアルファよりHQ、全艦艦載機発進準備良し!」

「HQ了解。アルファストライク。繰り返す。全機発進せよ!」

 

 そして、この作戦が初陣と言えるオルタネイティブ4の戦術機部隊が佐渡島に向かう。

 

「行くぞヴァルキリーズ! 全機続け!」

「「「「「了解!」」」」」

 

 隊長の伊隅の言葉に従い伊隅ヴァルキリーズの名を持つA-01部隊が発進する。海上すれすれを高速移動するA-01はあっという間に上陸を果たすと周囲のBETAの掃討に入る。

 新型のOSであるXM3を搭載した機体に乗る彼女たちは本人たちの技量もあれど瞬く間にBETAを殲滅していく。

 

「サラマンダー1よりHQ。旧両津市一帯を制圧。両津港を確保!」

「了解。第2機甲部隊揚陸を開始。周辺掃討を願います」

 

 そしてそれに遅れをとってたまるかと言わんばかりに国連軍の戦術機も両津市の確保に成功した。それによって更なる部隊の揚陸が可能となり、戦線の安定化を図る事が出来るようになった。

 

「ウィスキー全隊の損耗率33%、エコー全体の損耗率13%。ともに作戦継続に支障なし」

「ウィスキー主力部隊は旧沢根、旧高瀬に戦線を構築。部隊最後尾は旧窪田を放棄、西進中」

「エコー主力部隊は旧北松ケ崎を確保。なおも北上中」

 

 作戦は第一段階における地上戦力の完全駆逐を達成できていないことに目をつぶれば順調に進んでいた。損害もかなり出ているが想定していた範囲内の損害であり、まだ焦るような状況ですらなかった。

 

「現時刻を以って本作戦の第四段階への移行を宣言する」

「HQより全軍に告ぐ。作戦は第四段階へ移行」

 

 そして最終段階である第四段階に移行。本格的にハイヴ内の攻略を始める事になる。これは軌道上から第6軌道降下兵団が突入・降着してハイヴに攻撃する事となっている。そしてそれを確認後ウィスキー部隊も順次ハイヴに突入して占領を目指していく事になっていた。エコー部隊は全体的に支援に回る形となっており、エコー主力は海底からのBETAの上陸に備え、A-01は新型兵器、凄乃皇・弐型の侵攻ラインの維持を行う事になっていた。

 

「さて、ここまでは順調ね」

 

 順調に進む甲21号作戦だが夕呼はこのままハイヴを攻略させてくれるとは思っていない。必ずBETAは動きを見せる。それを見極める事も作戦を行った理由の一つにあった。そのために危険性が高いハイヴ攻略を行ったのだ。凄乃皇の試験も重要であるがBETAの動きを確認するのも大切な事であった。

 

「他の地域のBETAに動きは?」

「今のところ確認できません」

「そう……。余裕か、罠か」

「香月副指令、私としては罠と考えるべきだと具申します。BETAとしても人類にここまで好き勝手させるとは思えません。確実にこのまま進めば何かしらの罠が潜んでいるでしょう」

「それは事前に予測できている事です。どんな罠が来ようとも跳ね返す。それが出来ると判断してこの作戦を行っているのですよ?」

「……そうでしたな。我々としても新型兵器の性能に期待したいところです。あれがあれば人類は滅亡の淵から助かる可能性が出てきますからな」

「……そうですね。あれが人類の希望となってくれればいいのですが」

 

 夕呼は作戦の経過とともに感じる嫌な予感に蓋をしながら作戦を次の段階へと移行していく。

 

 

 

 

 

-準備は完了した。

 

-後は指示を出すだけで人類に終止符を打てる。

 

-全戦術機級が各国に向かい、蹂躙する。

 

-人間級が役目を終えて自爆テロや暴動を起こす。

 

-政府や企業にもぐりこんだ者たちによってそれらは機能不全に陥るだろう。

 

-そして人間は自分以外を、いや自分すらも信じられない疑心暗鬼に陥り結束できなくなる。

 

-もういいだろう。

 

-主人公も把握した。

 

-白銀武。

 

-君が一体どんな存在かは分からなかったがお前が主人公という事実は変わらない。

 

-そしてお前を潰すにはそれだけの理由で十分だ。

 

-お前らが行っている甲21号作戦。

 

-それを君たちの墓標が立つ場所にしてやるよ。

 

-我がBETAが誇る最強の駒を使ってね。

 

-大崩壊を開始せよ。

 

-人類の終焉の日は今、訪れた。

 




次話は2022/12/21 23:20投稿予定です。

夕呼先生の処遇

  • 人類と運命を共に
  • 繁殖場に
  • 脳くちゅ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。