1973年.この年は人類にとって絶望の始まりの年となった。まず、4月19日に中国のカシュガルに地球上初のハイヴが誕生した。BETAと呼ばれる異星人との戦いは数年前より続いていたとはいえそれは遠く離れた月面での話である。人類の本土ともいえる地球はいまだBETAの脅威を受けていない安全な土地だったのだ。それを覆すようにハイヴというBETAの拠点が誕生したのである。
当初、自国領内にハイヴが建設されたことを知った中華人民共和国はこれを単独で攻略しようとした。これはBETAの技術を独占しようと考えた中国が国連の介入を嫌った末の行動であったがこの日に備えて準備を行ってきた中国軍は序盤こそ優勢に物事を進めていた。しかし、のちに
しかし、それでも国連の介入を嫌った中国は同じイデオロギーの国家であるソビエト連邦に対して救援要請を行い、中ソ両軍によるハイヴ攻略が決定された。紅旗作戦と名付けられたこの作戦において四方八方より両軍は攻撃することで攻略を行おうとしたが両軍が用意した大量の物量を超える物量をBETAが展開したことであっけなく返り討ちにあい、中国軍は8割以上の損害を出して撤退を余儀なくされた。
そして、その仕返しと言わんばかりに中国領内に大量のBETAが侵攻。新疆・チベット両自治区を壊滅させると一気に東進。中国の政治・経済・人口が集中する沿岸部に足を進め始めていた。
ここまでされてようやく中国軍は国連の介入を受け入れ、防衛体制を整え始めるがそのころには中国の西半分はBETAの侵攻を受けて壊滅した状態だった。年が明けた1974年には本格的な戦闘が勃発し、BETAの侵攻を阻止しようと国連軍にアメリカをはじめとする西側諸国が応戦したが敵の進行速度を鈍化させる以上の効果を与える事が出来ずにずるずると後退していった。
「地球に降り立ったBETAは明らかに月面のやつらとは違う」
中国戦線に派遣された国連軍の総司令は東進を続けるBETAの動きを見てそう結論をづけた。月面での戦闘は人類の敗北で終わっており、最近完全撤退が完了したばかりであったがその時にもたらされたデータを見る限り月面のBETAと地球のBETAでは動きが違うと結論を出した。
「BETAは人類を見つけると容赦なく襲い掛かってくる。それはどの方向にいようともだ。しかし、こいつらは違う。
ソビエト連邦からもたらされた情報はある程度判明しつつあったBETAの行動原理のデータを吹き飛ばすには十分すぎた。ソビエト連邦は何を考えたのか偵察隊を出してハイヴの情報収集を行っていた。結果として彼らは紅旗作戦時の戦場付近にまで到達に成功したがハイヴを守っていると思われる要撃級や戦車級が襲い掛かってくる事はなかった。それ以上の接近は危険と判断した偵察隊はそこで帰還したためこれがBETAが発見できていなかったからなのか別の理由があるからなのかは分からないが月面での動きとは違うと判断させるには充分と言えた。
「つまり、このBETAに月面でのデータは通用しないということだ。それこそ物量しか使用してこなかったBETAが
BETAが成長しているのであればこれ以上の成長を許さずに叩き潰す。国連軍総司令はそう判断すると根拠となる情報とともに国連に提出。この意見をもとに国連軍は余力があるうちにハイヴ攻略作戦の準備を開始するのだった。
「アー亜―アー……。あ“あ”ーーー!」
戦車級の口から出てくる発声……、というには微妙な声を聴きながらまだまだ改良の余地があると感じてくる。というか改善の余地しかない。せめて金切り声でもいいから人間が喋ってるように見せないと……。
さて、中ソ両軍による侵攻を退けた我らBETAは中国横断マラソンを開始した。群れをおおよそ3つに分け、北部は北京、中央部は南京、南部は上海を目指して進ませている。これらは中国軍、というにはおかしい多国籍軍が迎撃を行っている。この多国籍軍は一体何なのか? それが分からない。義勇軍と呼ぶには数が多いし、複数の国の連合軍というには装備が均一すぎる。なのに兵士は白人から黄色人種まで様々だ。
ありえそうなのが国連軍だが俺の知る限り国連が軍隊を持ったことなどないはずだ。いや、この世界が俺の知る世界とは違っているために編成されている可能性もあるがどちらにしろこれを多国籍軍と呼ぶしかない状態だな。早く人類の情報を得たいが肝心の人間の生成がうまくいっていない。
腕や足はそれらしいものが完成している。おおよそ一千万くらいか? それだけあれば四肢の模倣は容易だった。だが、人間のかなめと言える胴体と頭部は無理だ。臓器を作るにはまだまだ試行錯誤がいるし脳や心臓に至っては手出しさえできていない。頭脳級というBETAがいる以上脳を作る事は出来るがそれを人間サイズにすることが難しい。巨大化していいのならいくらでも高スペックなものが作れるが小型化するならば技術と知識が必要だ。今の俺にはそれらが圧倒的に足りていない。ここら辺は時間をかけて作っていくしかないだろう。
そんなわけで俺は別のアプローチをすることにした。とはいってもやる事は簡単だ。人間の形をさせたBETAに人間の皮をかぶせるだけだ。人間を作る事は出来なくても人間の形に抑え込んだBETAなら比較的簡単だ。
だが、そうなると必要となってくるのが“声”だ。これはBETAも持っていない器官であり、一から作る必要が出てきた。だが、原理は簡単な以上後は人間の声に近づけるだけ……なのだがこれがうまくいかない。今のままでは人間の形をした奇声を発する何かにしかならない。一応、声がなくても行けるっちゃいけるが情報収集を主任務とする以上コミュニケーションをとるうえで一番重要な声は必要不可欠だ。
「がー! ぎー! ぎゅー! ぎぇー! ぎょごぎょよお“お”お“お”」
うん、か行を言ったはずなのに濁音交じりで続けて話そうとするとバグったように変な声になる。これさえ改善出来ればいいんだけどまだまだ先は長そうだな。
となるとそろそろ第二のハイヴの建設の方も動いた方がいいな。人間から転生したためかBETAの創造主からの命令が全く来ない。というか同じ重頭脳級から通信もない。カナダらへんに落下したらしい重頭脳級からは一回だけ通信が入ったがそれ以降はないと考えると撃墜されたと考えた方がいいかもしれない。
そうなるとこのハイヴが攻略されたときに備えてバックアップ機能を搭載した次のハイヴを作り上げるべきだろう。幸い、頭脳級作成に必要なポイントはある。気軽に生み出せないほど高価だが大量に作るわけではない以上これらは横断マラソンで回収した資源で賄える。
となるとハイヴをどこに置くかだが山だろうと何だろうと平地にして資源として回収してしまう以上どこに建設しても問題はないだよなぁ。よし、横断マラソン組の最前列とここの中間地点あたりにしよう。ここら辺の人間は回収済みだし攻撃を受ける事はないだろう。
そうと決まれば早速頭脳級を作って戦車級や突撃級とともにハイヴ建設を行わせるか。なんでも突撃級は穴掘り名人らしいし機能的なハイヴにしてくれるだろう。うちの横穴も彼らが作ってくれたんだから。
1974年10月。米国がBETA着陸ユニットの宇宙迎撃構想を打ち出したころに中華人民共和国青海省の
新たなハイヴの建設に伴い最初に出現した方をH:01
まりもちゃんは
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マミる(原作準拠)
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マミらない(トラウマ回避)
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武の精神をぶっ壊せ(更なるグロ描写)