そもそもこの世界の作品を知らない事が致命的すぎるよな。今更ではあるけど原作を知っていれば俺の行動の差異を知ったり、原作をどうするかを決める事も出来たしどこにいるのかもわからない主人公を探してこんなに苦労する事もなかったはずだ。
仕方ない。今はもう一つの重要事項の精査をするか。
オルタネイティブ4。俺は当初こそG弾の集中運用によるハイヴ攻略と厳選された人類の他星系への移住が計画内容だと思っていたがどうやらこれは違うらしい。オルタネイティブ5という予備案だったこれを表向きは採用しつつこれを隠れ蓑に本来の計画が進められていた。
00ユニットと呼ばれる生物的根拠が0だか何だかを使ってBETAとコミュニケーションを取る。そしてその過程でこちらの情報を引き出して今後の戦争に役立てるというものだ。俺が、というよりBETAが人類を生物として認識していないからこそ計画されたものらしいがかわいそうに。人類を生物として認識していないのはBETAの一般常識のようなものであり、俺は
創造主。俺たちBETAを作った宇宙人で驚くべきことに珪素、つまりシリコン生命体との事だ。創作上ではよく見かける生命体だが俺も詳しくは知らない。というか見たことがないからどういう姿かたちをしているのかが分からない。もしかしたら人型ではないかもしれないしな。ちなみに、実際に珪素生命体が存在するか否かという話があるが存在しない可能性が高いらしい。理由は忘れたがな。それにそのことを理由に否定した場合、まさにBETAの認識と同じになってしまう。BETAは創造主が炭素から生命体が生まれる確率は低いと言われてその事を前提に動いているのだから。
さて、話がそれたが主人公が見つからない以上このオルタネイティブ4の計画からして物語に深くかかわっているのは確実だ。だが残念ながらこの計画の最高責任者である香月夕呼はBETAが人類内部に入り込んでいる事に気付いているようだ。だからこそオルタネイティブ5を隠れ蓑にして極秘に動いているみたいだしな。その秘匿性と言えばさすがと言わざるを得ない。
である以上こちらも慎重に動く必要がある。すくなくとも手駒を近くに配置する事は出来ない。内部の様子は
ふふ、楽しみだなぁ。気づかれないように隠匿に隠匿を重ねた結果、最初から知られていたと知った時の彼女の表情。常に澄ました表情でいる香月夕呼がどう歪むのかすごく楽しみだ。それまでに“終焉の日”の準備を完璧にしないとね!
「……はっ!!??」
白銀武は自室にて目を覚ました。この光景を見るのは二回目であり、それを理解すると飛び起きるように立ち上がると部屋を出て外を確認する。外にはずっと過ごしてきた平和な日常、ではなく荒れ果てた横浜の姿があった。そう、
「うっ!」
それを理解すると同時に武は口を押えて蹲った。次々と殺されていく仲間、そして自分。夢と呼ぶには痛みと感触が残り過ぎている。脳が夢だったと思い込みたくても実際に受けた肉体がそれを否定する。あれは現実だと。夢なんかではないと。
「……ぐっ!」
胃液をある程度吐き出した武は青白い顔をしつつも確かな意思を持って前を向く。最初の世界を1回目、次を2回目とするならば今回は3回目の世界となる。2回目の世界と同じかそれとも違うのかは分からないがそれでもあのような悲劇を起こしたくはないと武は決意した。
「今度こそ、みんなを救うんだ……!」
フラフラと歩きだした武は横浜基地に向かって歩いていく。たとえまた捕まるとしてもあの場が世界を変えられる唯一の場所だ。それを確信している武は確かな足取りで向かう。あの悲劇を繰り返さないために。
「夕呼先生!」
「……あたしに生徒はいないけど?」
「大切な話があります! どうか聞いてください!」
「あなたのいう事は理解したわ。そして本当なんでしょうね。
いいわ。信じてあげる。だからあなたが見てきたことをすべて話しなさい。未来を変えたいというのならまずはそこからよ」
「もちろんです。俺もあんな悲劇は繰り返したくはないですから」
「白銀って本当に兵役についたことがないのか? とても素人とは思えない手さばきだが……」
「あー、我流で鍛えていたからそのおかげかな?」
「それにしてはすごいわよ。まるで歴戦の軍人みたい。これで衛士としての腕前も文句なしなら何も言えないわね」
「あ、あはは……」
「なんで……。沙霧大尉! どうして……!?」
『今の日本に未来はない。なればこそ実力で以てそれを分からせる必要があるのだ!』
「くそっ! また俺は……!」
「XM3。これはすごいな! これを全戦術機に搭載できれば戦死する者を格段に減らせるぞ!」
「俺もそう思っています。だからこそ今回の試験結果をいろんな人に共有してほしいんです」
「任せろ。これだけすごい結果となったんだ。誰でもこの有用性に脱帽するはずさ!」
「純夏……」
「あなたのおかげで00ユニットは早く開発出来たわ。後は白銀、分かるわね?」
「もちろんです。もう二度とあんな事にならないようにします!」
「ふふ、期待しているわ」
「凄乃皇の試験をしたいけど甲21号作戦は出来ないわね。すくなくともBETAが戦術機を運用していると判明した以上うかつに攻撃すれば返り討ちにあってしまうわ」
「でもハイヴ攻略をしないとBETAを止める事なんて……」
「だからこそ今回は新型兵器の情報は伏せておくわ。新型兵器の投入がきっかけになった可能性は十分にあるんだもの。だからこそ今回は
「……はい」
「安心しなさい。必ず人類の光となれるような戦果を持って帰るから」
「……そんな……」
「……A-01部隊は乱入してきた漆黒の戦術機によって全滅。最上にて指揮を行っていた香月夕呼以下最上乗員は艦と運命を共にした。投入兵力も9割を失った。……極東戦線の戦力は事実上消滅したに等しい。00ユニットを回収できたのが唯一の救いと言えるが……」
「夕呼先生……」
「くそ! 白銀! 北海道まで撤退するぞ! 急げ!」
「で、ですがまだ味方の機甲部隊が……!」
「これ以上衛士を失うわけにはいかない! 急いで……白銀避けろ!」
「しまっ……!!!!」
「白銀ぇぇぇっ!!!!」
次話は2022/12/24 23:19投稿予定です。
夕呼先生の処遇
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人類と運命を共に
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繁殖場に
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脳くちゅ