本当に異世界というのは面白い。何が起こるのか分からないし僕を飽きさせない。
ただ、正直に言って炎龍は残念だった。僕も物陰から見ていたけどまさかレーザー級の攻撃で絶命するとは思ってもみなかったよ。まぁ、あれを何発も耐えられたらそれこそヤバいと言えるがおかげでアイリスディーナ達が切り札として用意していた重レーザー級が全く出番がなかったよ。重レーザー級みんなしょぼんとしているようにも見えるし。
まぁ、別に殺せたんだしそれでいいや。炎龍っていうすごい素材が手に入ったんだ。これをG元素にするのは少しもったいない気がする。BETAに改造して量産するのもありかもしれない。そろそろBETAも飛べる種類がいてもいいんじゃないかと思っていたところだし。いつまでも空戦を戦術機級頼みってわけにもいかないからね。
「それで? こいつが炎龍を操っていたやつか?」
「はい。どうやらこの世界において神に最も近い存在である亜神のようです」
アイリスディーナによって連れてこられた青い肌の少女は亜神といういずれ神になる存在だった。名前くらいは聞いた事があるがまさか亜神がこんな格好をしているなんてな。どう見ても露出の激しい白ゴスだ。これがこいつらの正装なのか趣味で着ているものかは知らないが青い体に白い衣装はとても映えるという事だけは事実だな。
「亜神って確かあれだよな? 不老不死?」
「人間級の報告通りであるならそうですね」
「……」
目の前のドラゴン娘は口をふさいではいないが喋る気はないようでこちらをずっとにらみつけたままだ。まぁ、僕も別に話したい事はないから困ったりはしていないけどね。それにしても不老不死か……。これは良い掘り出し物かもしれない。もし、G元素に変換した部位が生えてくるというのなら僕はG元素を取りたい放題出来る素材を手に入れたって事になる。そうなれば今は大量にあるG元素の残量を気にしないで使っていけるって事になる。そうなればいろいろと実験とか改良とかにバンバン使っていけるという事だ。
大きさは人間と大して変わりはないから一度にとれる量は少ないが永久に採れるってところが素晴らしい。
「よし、それじゃ早速G元素にしてみようか。まずは左腕からね」
「了解しました」
「っ! 俺に一体何を……ギッ!?」
左腕を切り落としてG元素に変換してみるが……、へぇ、こいつが亜神だからか人間ではないからかは分からないが採れる量は二倍ってところか……。後は再生するかだが……。
「どうだ?」
「再生はしていますがあまり早いとは言えませんね。60秒で肩から肘までと言ったところです」
「となると二分で腕一つの再生か……。なら次は足で試してみよう。二分で再生できるのが四肢単位なのか部位の完全再生にかかる時間かを調べないといけない」
「了解です」
「お、お前ら俺にこんな仕打ちをしてただで……アアッ!!!」
ふぅむ。やはりこのドラゴン娘は素材としては素晴らしいな。G元素変換量は20代女性の倍以上だと判明した。これなら一度に採れる量の問題も多少は目をつぶる事が出来る。それにおおよそ10分で女性二人分だと仮定すればたった一日で100人分という事になる。これは繁殖場用のハイヴで収穫する時の数と同じだ。それをたった一人で供給できる。素晴らしい。
「アイリスディーナ。この亜神は他にもいるんだったな?」
「ええ、数は確認できていませんがまだいると思われます。……手に入れますか?」
「そりゃ、これだけ優秀な素材がいくらいても困る事はないからな。後3体くらいは欲しいところだ。そうすれば俺たちは事実上無限のG元素を手に入れたも同然の状態となるわけだからな」
「それは胸が躍りますね。ではそれらの発見、捕獲も今後の目標に?」
「ああ。とは言えしばらくは本当に情報収集を最優先してもらう。情報を知らないと動くことは出来ないし出来ても目標を達成する事は出来ないからな。しっかり頼むぞ? 人間級は大量に用意したからうまく使ってくれ」
「わかりました。あとでみちる達と配分を決めておきます」
「頼んだぞ~」
「……あ、ああ。ころして、くれ……」
「だめだめ。これから君は毎日G元素の生成を行ってもらうんだから死なせなんてしないよ。というか不老不死なんだろ? どちらにしろ殺す事なんて出来ないよ」
素材がなんかうわごとを言っているが僕としては別にどうでもいい。むしろこれから永遠に続くんだから少しは耐性を持ってもらわないとな。早く慣れるといいな!
「嘘だろ……」
その日、第1偵察隊の面々は大陸東部にたどり着き、目の前の惨状を実際に目にした。特地を襲った地震や皇族の奴隷とされていた邦人の救出などが起きている影で第1偵察隊は同じく偵察隊を率いる伊丹耀司の報告書を受けて急遽大陸東部にやってきていたのだ。
「ヤバい……。あれはマジでヤバい……」
偵察隊の隊長は双眼鏡から見える光景にそれにしか言えなかった。戦車すら小さく感じられる体躯の化け物がうようよしており、その間を縫うように小型の化け物がいくつも存在する。そしてそれらは大地を削り、均していき掘り返した土をどこかへと運んでいく。途中で出会う生物は容赦なく襲い掛かり次々と食い殺されていく。
「畜生……! 帝国のやつらあんな化け物共を呼び寄せやがって……!」
大陸東部があっけなく陥落したというのもうなずけると隊長は写真を撮ると即座に撤退を決めた。化け物とはそれなりの距離が離れているとは言えあんなのの近くに、それこそ視界に入るところにいたくはなかった。それに写真を撮り、情報を入手したのだから任務は成功だと言い聞かせながら隊員たちを連れてアルヌスへと引き返していく。
そして、持ち帰られた写真を見て一番の驚きを見せたのも伊丹耀司だった。
「こ、これってBETA!? 嘘だろ!?」
「伊丹二尉、知っているのか?」
報告書を提出したために参考人として呼ばれていた伊丹は第1偵察隊が持ち帰った写真を見て顔を真っ青にした。考えていた中でも最悪の連中が来たと思い、BETAの事を知らない狭間陸将や柳田に説明する。
「BETAっていうのはマブラヴっていう18禁ゲームに登場する地球外生命体です。実際は生命体として人間を認識していないんですがそこは関係ないので省きます。こいつらはマブラヴの世界でユーラシア大陸を制圧して人類を10億人にまで追い込んだ化け物です」
「それほどか? で、これらは我々で対処は出来るのか?」
狭間陸将が一番気になるところ、それは自衛隊で対応が出来る相手なのかだ。それによっては今後の特地での動きが大きく変わってくる。最悪の場合は撤退すらあり得る話だ。そして、伊丹が話す内容はその最悪の場合が必要なものだった。
「無理です。マブラヴの世界は2001年ですが技術だけで言えば俺たちより上です。ですがこいつらはそんな技術すら無意味にしてしまう厄介さを持っているんです」
「……分かった。伊丹二尉、急で悪いがこのBETA? という生物の情報をまとめてくれ。そして場合によっては隊員たちに周知させてほしい」
「……了解しました」
普段ならめんどくさい業務であり、お断りしたいところだが相手が相手なだけにそうもいっていられなかった耀司はきな臭い事になってきたと感じつつ、BETAの情報を事細かにまとめる作業をするべく狭間陸将たちのいる部屋を後にした。そして、部屋に残った狭間陸将と柳田は深刻な表情のままため息をついた。
「……柳田二尉、済まないが
「わかりました」
「我々の力が及ばない相手。伊丹二尉の言葉が嘘だったと、間違った情報だったと信じたい出来事が起こるとはな……」
狭間陸将はここにきて特地という場所が最悪の結果を生み出そうとしている状況に再びため息をつくのだった。
次話は2023/01/07 23:34投稿予定です。
あ号君の名前に関して
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名前なんていらねぇ!
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呼びづらいからさっさとつけろや!
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てめぇに任せられねぇ!変わりにつけてやる
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あ号君が本名でしょ?何言ってるの?