【本編完結】BETA転生   作:鈴木颯手

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第八話「用済み」

 情報収集に専念した結果が出始めている。この世界、正確には門が通じた場所がファルマート大陸という名前であり、帝国という国家が統治していることも分かった。この国はローマ帝国に酷似しており政治体制も皇帝を頂点してその下に元老院が存在している。そして帝国が今、二つに分裂していることも。

 一つは主戦派。愚かにもまだまだ戦い続けようと言う者たちで相手との力量を謀れない馬鹿者だ。二つ目が講和派。皇帝の力を制限して元老院が主導となって講和を結ぼうというチキンな奴らだ。ちょっと反撃された程度で態度を一変させる芯のない軟弱者どもの集まりだ。

 とはいえそれはBETAがファルマート大陸東部を占領するまでの話だ。異形の化け物を呼び寄せる形となった第一皇子ゾルザルが主戦派講和派関係なく責められており、皇族の権力を抑制するべきではないかという意見が増え始めているようだ。そして帝国は自衛隊よりもこちらに意識を向けているようで日本とさっさと講和してこちらに全力で対処するべきだと言い出す奴らまでいるようだ。

 そして悪いが俺はもう、お前たちに興味はなくなった。ついに俺は門を作り出した奴にたどり着いたのだ。それは人ではなく、神。俺が捕らえた亜神ジゼルが仕えるハーディだった。ここまで調べ上げるのは意外と簡単だった。というのもハーディのお膝元であるベルナーゴという都市にいるらしい。詳しい事は分からないがそこでハーディが降臨? するらしくとにかくそこでなら会う事は出来るようだ。

 そして門を生み出した以上それを閉じるのも彼女の役目なのだろう。だから素材のドラゴン娘を投入して物理的な破壊を試みたという事だろう。となるとあのドラゴン娘を交渉の材料にして門の技術を手に入れるか? 流石に神様相手に物理攻撃が通用するとは思えないしそうなると交渉という手段になるわけだが……。

 

「帝国、いらないよね?」

「そうですね。ベルナーゴ周辺に手を付けなければ問題ないと思います」

 

 俺はこのファルマート大陸侵攻の最終戦略会議を開始している。参加者は俺、アイリスディーナ、伊隅次女、唯依姫、夕呼先生、アルフレート達愉快な第666戦術機中隊の仲間たちだ。

 

「ハーディという神が技術を持っていると判明した以上帝国を滅ぼさないでおく理由はありません。このまま西へBETAを向かわせれば一月でファルマート大陸全土を蹂躙する事が可能だと判断します」

「その場合に衝突する可能性の高いアルヌスの者達、日本国の自衛隊ですが不利と判断した時点で門を破壊して撤退すると考えられます。なので自衛隊に関しては叩けるなら叩くで基本的に放置で問題ないと思います。無論、彼らの動向は確認し続ける必要はあると思いますが」

「俺としてはこのままあっちの世界にも攻めていいが門でしかつながっていない以上無理か……。ならば彼らにはピエロになってもらおう」

「ピエロ、ですか?」

 

 せっかく繋がったんだ。どうせなら関わりたいと思ってしまうのも仕方がないだろう。だからこそ彼らに行うのはBETAによる侵攻じゃない。()()()()()()()()()()()()()。幸いにも俺はそう言った経験が豊富だ。失敗しない程度にはうまく行える自信がある。問題は自衛隊だな。俺が知っている自衛隊であるのなら潔癖とも言える程規律に縛られた者たちだ。賄賂やハニトラが通用するとは思えない以上日本人の弱点を突くのが手っ取り早いだろうな。

 

「ではファルマート大陸侵攻は計画通りで。日本に関しては俺が主導して行おう。補佐としてはアイリスディーナとカティア、後は適当に数名程残して全員は侵攻の方に手を回してくれ。アイリスディーナがこっちを手伝う以上アルフレートが総指揮を執れ。ファルマート大陸での侵攻経験がある伊隅次女と唯依姫が副官としてサポートをするように」

「「「「「了解!」」」」」

「夕呼先生は引き続き門の解析と門の開発をしてくれ。開発が出来、安定して繋がる事が出来た場合、ベルナーゴも吹き飛ばして構わない」

 

 どうせ門の技術が欲しいがために延命させるだけだ。必要がなくなれば用済みとして処理すればいいだけの話だ。

 

「ああ、それと亜神を発見したら積極的に捕縛するように。不老不死である以上手荒に扱っても構わない。逃げられない、反抗されないことを最優先にせよ」

 

 ドラゴン娘のおかげでG元素は劇的に増えているが欲を言えばもっと亜神が欲しいところだ。最低でも3体いればG元素はほぼ無尽蔵となる。使いたい放題になりいろいろと研究や改造も出来るからな。

 

「全員自前の戦術機を使って構わない。戦術機級も全機出し徹底的に蹂躙せよ。特地で最強と言われていたドラゴンの能力も大したことはなかった以上お前たちだけでも十分すぎるだろう」

 

 帝国には翼竜という竜騎兵がいるがそれも脆い。対応は楽だ。

 

「さぁ、諸君。蹂躙を開始しよう」

 

 

 

 

 

 

 

「帝国東部を占領する勢力がエロゲーの宇宙人どもだった? 何ともつまらない冗談ですね」

 

 伊丹耀司によって判明した大陸東部に居座る勢力の情報を確認した森田首相が最初に発した言葉に外務大臣である嘉納は呆れた。確かにその気持ちは分かるが証拠として現物の写真とそのエロゲー、マブラヴに登場するBETAの絵も提出されているのにそれらを見ていながらの発言なのだ。

 

「だいたいゲームのキャラが出てくるなんてここは何時からフィクションになったのですか?」

「ですが首相、門というフィクションが実際に起こっているのです。可能性は充分に高いでしょう」

 

 事なかれ主義の森田は米国をはじめとする国際社会からの圧力もあり門を閉じたくはないという気持ちが嘉納には感じられた。しかし、その場合は最悪BETAが門を超えてやってくる可能性もあるのだ。圧力があろうと門を閉じる決断は必要だった。

 

「それにそいつらは今のところはおとなしくしているのでしょう? ならばこのまま放置でいいではありませんか」

「馬鹿な……! あれが大人しくしているからと言ってこのまま手を打たないのはあまりにも危険すぎます!」

 

 嘉納はマブラヴをプレイしたこそないがエロゲーの皮を被った鬱ゲーと名高いこの作品を知ってはいた。それゆえに森田の言葉はあまりにも危機感が足りないと憤りを感じていた。悲しいかなマブラヴの世界は舞台となる2001年の時点で二足歩行のロボットを開発し、月面に行ける宇宙船を持っており、自分達よりもはるかに進んだ技術を持っていた。そんな彼らが足の引っ張り合いをしていたとしても敵わない相手がBETAなのだ。

 

「無論米国を始め各国には詳細を報告してあります。そんな彼らの反応はわかりますか? 嘲笑ですよ。日本人はついに現実とフィクションの区別がつかなくなったのかと言われましたよ。そんなことよりもさっさと特地の情報を寄こせとね」

「ですが……!」

「この話は終わりです。外交官には引き続き帝国との講和を進めるように伝えてください」

 

 それ以上は聞きたくないと言わんばかりに話を終える森田に嘉納は歯を食いしばりながらもその場を後にする。実際のところ、国民にこの情報を提示した場合BETAの脅威を真に理解できる者は1割にも満たないだろう。誰だって自分たちの攻撃が通用しない化け物というのを想像するのは難しい。だからこそその脅威を理解できる自分たちが動くべきだと。

 

「狭間陸将に連絡。責任は俺がすべて取る。必要と判断した場合は現場の判断で門を破壊しろとな」

 

 それゆえに、嘉納は一切の責任を背負う覚悟を決めて狭間陸将に命令を下すのだった。

 




次話は執筆中です。

あ号君の名前に関して

  • 名前なんていらねぇ!
  • 呼びづらいからさっさとつけろや!
  • てめぇに任せられねぇ!変わりにつけてやる
  • あ号君が本名でしょ?何言ってるの?
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